1930年代後半から活躍したアルトサックス奏者チャーリー・パーカーの短くも波乱の人生を描く、製作、監督クリント・イーストウッド、主演フォレスト・ウィテカー、ダイアン・ヴェノーラ他共演のヒューマン・ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:クリント・イーストウッド
製作総指揮:デヴィッド・ヴァルデス
製作:クリント・イーストウッド
脚本:ジョエル・オリアンスキー
撮影:ジャック・N・グリーン
編集:ジョエル・コックス
音楽:レニー・ニーハウス
出演
フォレスト・ウィテカー:チャーリー”バード”パーカー
ダイアン・ヴェノーラ:チャン・パーカー
マイケル・ゼルニカー:レッド・ロドニー
サミュエル・E・ライト:ディジー・ガレスピー
キース・デイヴィッド:バスター・フランクリン
マイケル・マクガイア:ブリュースター
ジェームズ・ハンディ:エステヴェス
ダイアン・サリンジャー:ニカ男爵夫人
デーモン・ウィテカー:バード(青年期)
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1988年製作 160分
公開
北米:1988年9月30日
日本:1989年3月
製作費 $9,000,000
北米興行収入 $2,181,290
■ アカデミー賞 ■
第61回アカデミー賞
・受賞
録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1954年9月1日。
サックス奏者のチャーリー”バード”パーカー(フォレスト・ウィテカー)は、ヨードチンキを飲み自殺を図り、妻チャン(ダイアン・ヴェノーラ)の要望で精神科に収容される。
バードは神経を患い入院経験もあり、最近、娘を亡くし仕事にも行き詰っていた。
興奮状態のバードは、病院内でトラブルを起こしベッドで拘束されながら、薬物中毒死した父親のことやステージでシンバルを投げられたことを思い起こす。
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人気のサックス奏者バスター・フランクリン(キース・デイヴィッド)は、かつて、ステージで自分に挑戦したバード(デーモン・ウィテカー)の、あまりの演奏の酷さに、ドラマーがシンバルを投げ捨てた時のことを思い出し爆笑してしまう。
その時とは別人のバードを見たバスターはショックを受け、自分のサックスを川に投げ捨てる。 ディジー・ガレスピー(サミュエル・E・ライト)のバンドに加わった頃の、バードの見事な演奏を思い出していたチャンは、電気療法を薦められるものの、治療を拒み彼を退院させる。 8年前。 名実共に一級のサックス奏者になっていたバードは、ヤク中で女癖が悪く、チャンはそれを気にしていたのだ。 それでもバードは、仲間の演奏をバックに、サックスを質に入れて借りた白馬にまたがりチャンの前に現れ、ついに彼女の心を射止める。 ロサンゼルスに向かったバードは、トランペッターのレッド・ロドニー(マイケル・ゼルニカー)と出会い、相変わらず行きずりの女オードリー(アンナ・レヴァイン)を相手にする。 バードやディジーの”ビバップ”は西海岸では受け入れられず、クスリが手に入らないバードは酒浸りになってしまう。 ニューヨークに戻ったバードの仕事は無く、チャンが彼を売り込みクラブの契約を取る。 やがて、女の子が生まれ、自分を支えてくれるチャンに感謝するバードは、麻薬捜査官エステヴェス(ジェームズ・ハンディ)から、仕事と引き換えに、売人を売るよう迫られるがそれを断る。 バードの名を取ったクラブ”バードランド”のオープンを前に、彼はパリの演奏旅行を成功させる。 ニューヨーク。 白人のロドニーは、”アルビノ(白皮症)・レッド”と改名されてブルースを歌わされるが、これが受けてツアーは成功する。 しかし、ロドニーもクスリを常用し、制止するバードの忠告も聞かず、それを止めることが出来なかった。 その後、バードらはニューヨークに戻るが、ロドニーが捜査官のエステヴェスに逮捕されてしまう。 順調な活動を続けていたバードだったが、娘が病気になり、それが原因で彼女と諍いを起こすようになり、絶っていたクスリに手を出してしまう。 そして、エステヴェスに捕まったバードは起訴されてしまい、ニューヨークでの演奏許可を剥奪されてしまう。 仕方なくロサンゼルスに向かったバードは、ディジーに再会し活動を始めるものの、娘の死を知り再びクスリに溺れ、ヨードチンキを飲み自殺未遂を起こす。 精神科から退院したバードは、チャンの母親の家に引っ越し暫しの静養をする。 バードは仕事のため、かつて拠点にしていた、マンハッタンの52丁目に向かい、その変貌に驚く。 そして、バードはパラマウント劇場で、バスターらのロックンロールに熱狂する観客を見てショックを受ける。 エージェントのブリュースター(マイケル・マクガイア)の元を訪れたバードは、時間を守らず遅れてきたことを非難されチャンに電話をする。 バードは他愛ない会話を交わし、その後、ロサンゼルスで親交を深めたニカ男爵夫人(ダイアン・サリンジャー)の家で倒れる。 一旦は回復するものの、長い間、潰瘍を患い肝硬変と心臓も弱っていたバードは、心臓発作を起こし34歳の生涯を閉じる。(1955年3月12日)
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...全てを見る(結末あり)
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ダンサーのチャンを誘い、プロポーズまでするバードだったが、彼女はそれを頑なに拒む。
バードはロドニーと再会し、彼をバンドに引き入れて南部のツアーに旅立つ。
*(簡略ストー リー)
1954年9月1日。
自殺未遂を図ったサックス奏者のチャーリー”バード”パーカーは、妻チャンの要望で精神科に収容され、薬物依存症で死した父親や、ステージのことなどを思い起こす・・・。
一流のサックス奏者バードだったが、ヤク中で女癖が悪く、チャンにプロポーズするものの、彼女は頑なにそれを拒む。
その後、何とか彼女の心を射止めたバードは、ロサンゼルスに向かいトランペッターのレッド・ロドニーと出会う。
しかし、バードらの”ビバップ”は西海岸では受けず、クスリが手に入らない彼は酒浸りになる。
ニューヨークに戻ったバードは、運をなくしていたが、チャンの働きで再起し、パリの演奏旅行も成功させる。
そして、ロドニーと共に南部へのツアーに旅立ち、そこでも人々を魅了するのだが・・・。
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ジャズに思いを寄せるクリント・イーストウッド渾身の一作で、”巨匠”へと変貌していくことになるきっかけとなった作品とも言える。
死の直前から主人公の人生を回想していく手法で描かれ、立ち直りを見せながらも追い込まれていく姿が実に痛々しい。
第61回アカデミー賞では録音賞を受賞し、カンヌ映画祭では、フォレスト・ウィテカーが男優賞を受賞、イーストウッドはパルム・ドールにノミネートされた。
ゴールデングローブ賞ではイーストウッドが監督賞を受賞し、フォレスト・ウィテカーはノミネートに終った。
商業的に成功した作品ではなく、これ以後のイーストウッド作品にも見られる、重苦しい雰囲気の作品でもあり、2時間40分の長編は、ジャズ・ファンでなければやや辛く感じてしまうかもしれない。
主演のフォレスト・ウィテカーは、少年時代からクスリ漬けの生活を送り、そして自滅してしまうチャーリー・パーカーを熱演し、演技派としての実力を高く評価された。
主人公を支えきれない妻のチャンを演ずるダイアン・ヴェノーラ、同僚レッド・ロドニーのマイケル・ゼルニカー、ディジー・ガレスピーのサミュエル・E・ライト、主人公の才能を妬むサックス奏者キース・デイヴィッド、エージェントのマイケル・マクガイア、麻薬捜査官のジェームズ・ハンディ、主人公の死に立ち会うニカ男爵夫人役のダイアン・サリンジャー、ロサンゼルスの愛人アンナ・レヴァイン、そして主人公の青年期は、フォレスト・ウィテカーの実弟のデーモン・ウィテカーが演じている。