レイモンド・チャンドラーとビリー・ワイルダーの共同脚色によるフィルム・ノワールの傑作「深夜の告白」(1944)をベースにした作品。 用意周到に保険金詐欺を企む夫婦とそれに巻き込まれて混乱する保険外交員の行動を描く、製作、監督ジョン・カサヴェテス、主演ピーター・フォーク、アラン・アーキン、ビヴァリー・ダンジェロ、チャールズ・ダーニング、ロバート・スタック他共演のコメディ。 |
・コメディ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・カサヴェテス
製作:ジョン・カサヴェテス
脚本:アンドリュー・バーグマン
撮影:ビル・バトラー
編集
ドン・G・キャンバーン
ラルフ・E・ウィンターズ
音楽:ビル・コンティ
出演
スティーヴ・リッキー:ピーター・フォーク
レナード・ホフマン:アラン・アーキン
ブランチ・リッキー:ビヴァリー・ダンジェロ
アーリーン・ホフマン:ヴァレリー・カーティン
オマラ:チャールズ・ダーニング
ウィンスロー:ロバート・スタック
ロペス医師:リチャード・リバティーニ
ノーゼル:ポール・ドゥーリイ
ヘレン:バーバラ・ターバック
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1986年製作 93分
公開
北米:1986年5月30日
日本:未公開
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロサンゼルス。
平凡な保険外交員のレナード・ホフマン(アラン・アーキン)の優秀な三つ子の息子達は、名門イェール大学に合格する。
しかし、レナードは妻アーリーン(ヴァレリー・カーティン)に、4万2000ドルの学費を支払うのは不可能だと告げる。
経費も合わせた場合、4年間で20万ドルも払えるはずもないと意見するレナードは、奨学金なしでは無理な話だと言いながら出勤する。
調査部長オマラ(チャールズ・ダーニング)にも、学費のことを問われて、一族がイェール出身の社長ウィンスロー(ロバート・スタック)に相談するように言われたレナードだったが、彼もあてにならなかった。 社員から、イェールに合格した息子達のことを言われる度に不快になるレナードは、住宅保険の件で連絡のあったリッキー家に向かう。 夫人ブランチ(ビヴァリー・ダンジェロ)に迎えられたレナードは、夫スティーヴ(ピーター・フォーク)が直に亡くなると知らされる。 レナードは、心臓が悪い上に借金もあるスティーヴが、生命保険もかけていないことを知り、何かブランチの役に立てればとも思いながら引き上げようとする。 そこにスティーヴが帰宅して、レナードは、確かに彼は心臓が悪いようだということを確認する。 しかし、それはスティーヴとブランチの芝居だった。 翌日、ブランチとドラッグストアで会ったレナードは、列車から落ちて死亡した場合などに倍額支払われる、傷害保険があることを彼女に伝える。 そして二人は、スティーヴが死んだ場合に、保険金が受け取れる計画を練り始める。 そこにスティーヴが現われ、彼は再び痛みで発作が起き、回復したような芝居をして、その場を立ち去る。 翌日、契約のためにリッキー邸を訪れたレナードは、動揺しながらも、計画通りに、住宅保険とその控えだと言って、傷害保険の二つにスティーヴからサインをもらう。 レナードは、スティーヴが足を折ったという連絡をブランチから受ける。 計画実行を決めたレナードは、スティーヴの主治医ロペス医師(リチャード・リバティーニ)に、彼の心臓が悪いことを確認する。 その夜、レナードは、列車で戦友会に出かけるスティーヴを迎えに行く。 レナードが運転する、車の後部座席に乗ったブランチが、スティーヴの首をロープで絞めて殺害する。 スティーヴを、苦しみから救ってあげたと考えてレナードは納得しようとする。 その後、スティーヴに扮して列車に乗ったレナードは、発車後、直ぐに飛び降りようとする。 乗客ノーゼル(ポール・ドゥーリイ)がスティーヴに声をかけるが、彼はそれを何とかかわして飛び降りる。 ブランチとの待ち合わせ場所で、スティーヴの死体を捨てたレナードは、慌てながらその場を立ち去る。 帰宅したレナードは、寝ている息子達にイェールに行けることを伝えて、スティーヴの死亡事件のニュースに耳を傾ける。 しかし、確認したスティーヴの死体の顔が、判別がつかないことになっていると知り、レナードは不思議に思う。 後日、ブランチは、弁護士のロイド・ネーゲルに変装したスティーヴと保険会社を訪れる。 レナードは、黙って話を聞いていたが、オマラは、今回のような事件が起きるケースの、確立の低さを率直に述べる。 ネーゲルは、疑われることに不快感を示すブランチに代わり、契約した以上、保険金の500万ドルの支払いを要求する。 死体の解剖にも同意したブランチとネーゲルはその場を立ち去る。 二人を追ったレナードは、身元不明の死体は、遺体安置所から持ち出したものだと知らされる。 この状況下で、全く動じていないスティーヴは、解剖の件を何とかするようレナードに任せる。 解剖はロペス医師が行うことになるが、死体は埋葬され、スティーブが横たわっていた。 同席したオマラは、死体が生きていることを見破るものの、彼は捕らえられて連れ去られてしまう。 オマラを拘束し、ウィンスローの屋敷に向ったスティーヴとレナードは、誰もいない様子だったために、何かを略奪しようとする。 ミケランジェロの彫刻を見つけた二人は、それを持ち出そうとするが、ウィンスローが帰宅して追い出されてしまう。 社長にバカにされたと言って憤慨したレナードは、会社から何かを盗むことを考えて息巻く。 会社の金庫を破ろうとした二人だったが、テロリストと遭遇して、爆弾を仕掛けたことを知る。 オマラが、二人の危険を察知して、見張っていたブランチに解放されて会社内に向う。 警察も到着し、テロを知らされたブランチは、自分達が解決しようとしていると言ってごまかす。 テロリストに気づいたオマラは銃撃されるが、それを逃れて、スティーヴやレナードと立ち向かい、爆破を阻止する。 その後、駆けつけたウィンスローは、会社を救ったオマラやスティーヴ、そしてレナードに感謝する。 ウィンスローは、屋敷で盛大なパーティーを開き、感謝の印として、レナードの三人の息子の学費援助を約束する。 招待されたスティーヴは、レナードをビジネス・パートナーとして誘うが、それを断る彼と揉めて、トラブルは続く。 しかし、全てが丸く収まった彼らは、喜びを分かち合う。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
保険外交員のレナード・ホフマンは、優秀な三つ子の息子達が揃って名門イェール大学に合格するものの、彼はその学費のことを考えると頭が痛い。
そんな時レナードは、住宅保険の件で訪れたリッキー家の夫人ブランチに、死が迫っている夫スティーヴが、生命保険にも入っていないことを知らされる。
借金も抱えるスティーヴが、確かに心臓病だと確認したレナードは、ブランチと共に、彼を苦しみから救ってあげるという名目で、保険金詐欺を考える。
レナードは、列車事故の場合に保険金が倍になる、傷害保険をブランチに勧め、スティーヴには知られないように、契約書に彼のサインをもらう。
しかし、スティーヴは病気でもなく、ブランチと組んで保険金を騙し取ろうとしていたのだった。
そうとも知らずに、息子達の学費のため、人のよいレナードは、二人の企みに加担させられるのだが・・・。
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アメリカ映画界においてインディペンデント映画を確立したジョン・カサヴェテスは本作公開の3年後に亡くなり、彼にとっての遺作となった。
数々の問題作を残したジョン・カサヴェテスだが、純粋なドタバタ喜劇が遺作というところが実に興味深い。
編集権をめぐり映画会社と揉めたために、カサヴェテス自身は、本作を自作と認めていないと言うが、盟友ピーター・フォークの飄々とした詐欺師、また、その後も活躍し続けて現在に至る、個性派アラン・アーキン、二人の軽妙な演技を十分に楽しめる。
ビル・コンティの、軽快で楽しい音楽もドラマにマッチしている。
他の俳優陣も実力派揃いで、主人公の妻で詐欺に加担するビヴァリー・ダンジェロ、教育熱心なレナード(A・アーキン)の妻ヴァレリー・カーティン、保険調査部長を愉快に演ずるチャールズ・ダーニング、社長ロバート・スタック、医師リチャード・リバティーニ、社員バーバラ・ターバック、列車の乗客ポール・ドゥーリイなどが共演している。