1960年代にアート界に衝撃を与えた画家マーガレット・キーンと夫ウォルター・キーンの波乱の結婚生活を描く、製作、監督ティム・バートン、主演エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、ジェイソン・シュワルツマン、テレンス・スタンプ他共演のコメディ・ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:ティム・バートン
製作
ティム・バートン
スコット・アレキサンダー
ラリー・カラゼウスキー
脚本
スコット・アレキサンダー
ラリー・カラゼウスキー
撮影:ブリュノ・デルボネル
編集:JC・ボンド
音楽:ダニー・エルフマン
出演
マーガレット・キーン:エイミー・アダムス
ウォルター・キーン:クリストフ・ヴァルツ
ディック・ノーラン:ダニー・ヒューストン
ディーアン:クリステン・リッター
ルーベン:ジェイソン・シュワルツマン
ジョン・キャナデイ:テレンス・スタンプ
エンリコ・バンドゥッチ:ジョン・ポリト
ジェーン(幼少期):デラニー・レイ
ジェーン(少女期):マデリン・アーサー
判事:ジェームズ・サイトウ
アメリカ 映画
配給 ワインスタイン・カンパニー
2014年製作 106分
公開
北米:2014年12月25日
日本:2015年1月23日
製作費 $10,000,000
北米興行収入 $14,479,780
世界 $29,253,170
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1958年、北カリフォルニア。
男性優位の時代、横暴な夫から逃げるために、マーガレット・ウルブリッヒ(エイミー・アダムス)は、描いた絵を持参し、幼い娘ジェーン(デラニー・レイ)を連れて家を出る。
サンフランシスコ、ノースビーチ。
友人のディーアン(クリステン・リッター)と再会したマーガレットは、職もない身で夫と別居してしまったため、焦って仕事を探し始める。
絵を描くことしかできなかったマーガレットは、家具会社の職を得ながら、休日には似顔絵を描き生活費を稼いでいた。
ある日、同じ画家のウォルター・キーン(クリストフ・ヴァルツ)に声をかけられたマーガレットは、自分の絵には心があると言う彼から、絵の安売りをするべきではないと助言される。 陽気で気の好いウォルターから食事に誘われたマーガレットは、彼に親しみを感じる。 二人は親交を深め、ウォルターは、なぜ人物の目を大きく描くのかをマーガレットに問う。 人は何でも目を通してみると言うマーガレットは、それが心の窓であると語る。 ウォルターからバランスが悪いと指摘されたマーガレットは、目は自分の気持ちであり、描き方を変えるつもりはないと伝える。 実は不動産業者だったウォルターは、それを知られたくなかったことをマーガレットに伝え、画家として一流になることが夢だったと話す。 マーガレットはウォルターを自宅に招き、二人は惹かれ合うのだが、ジェーンを夫が引き取るという裁判所命令連絡が届く。 結婚すれば問題は解決すると考えたウォルターは、マーガレットに求婚する。 戸惑うマーガレットだったが、ウォルターの気持ちを受け入れ、二人はハワイで結婚式を挙げる。 サンフランシスコに戻り旅行のことをディーアンに話したマーガレットは、ウォルターの女癖の悪さなどを知らされるものの気にしなかった。 画商のルーベン(ジェイソン・シュワルツマン)に自分の風景画を見せたウォルターは迷惑に思われ、抽象画しか興味がない彼にマーガレットの絵を見せるものの追い払われる。 興行主エンリコ・バンドゥッチ(ジョン・ポリト)のクラブのトイレ前の壁に絵を飾ってもらえることになったウォルターは、マーガレットの絵を気に入った客にそれを買ってもらう。 トイレの通路では話にならないと言うウォルターは、バンドゥッチに侮辱されたために騒ぎを起こす。 逮捕後、マーガレットに迎えに来てもらったウォルターは、自分が彼女の絵の作者だと語ってしまったことを伝える。 クラブに向い絵を引き上げようとしたウォルターは、スターの出演もない日にも拘わらず、絵が完売したことをバンドゥッチから知らされる。 新聞記事になった、騒動のきっかけである絵を皆が見に来て売れたとという話を、バンドゥッチから聞いたウォルターは驚く。 記者のディック・ノーラン(ダニー・ヒューストン)に話しかけられたウォルターは、今回の件をコラムにすると言われる。 絵の話を訊かれたウォルターはパリのことを語ろうとするが、”ビッグ・アイズ/大きな目”の絵のことだとノーランに言われる。 帰宅したウォルターは眠っていたマーガレットを起こし、絵が完売したことを伝え、これからも売れまくると伝えて彼女を喜ばせる。 数日後、絵を持参してクラブに向かったマーガレットは、ウォルターが、絵を自分で描いているように話していたために驚く。 それを追及したマーガレットは、絵を売るための方法だとウォルターに言われる。 そこにタイプライター・メーカー”オリヴェッティ”のディノ・オリヴェッティが現れ、”ビッグ・アイズ”に興味を示して作者が誰かを尋ねる。 マーガレットは名乗り出ることができず、ウォルターが自分が描いたと言って対応し、絵は5000ドルで売れる。 それをウォルターから知らされたマーガレットは納得して、稼ぐために絵を描き続けることになる。 その後ウォルターは、市長やソ連大使、ノーランの協力を得て大女優ジョーン・クロフォードに絵を贈呈して知名度を上げ、有名人となった彼はギャラリーを開くことになる。 絵はウォルターが描いていると言ってジェーンも騙すことになってしまったマーガレットは心を痛め、教会で懺悔をしてそれを告白する。 家族のためにしている夫のことを信じることだと、マーガレットは神父に言われる。 1960年。 美術評論家のジョン・キャナデイ(テレンス・スタンプ)は、”ビッグ・アイズ”に何の魅力も感じないと言って厳しく批判し、ウォルターは、それをテレビで確認する。 部屋に閉じ篭っているマーガレットが絵を描いていることを知らないジェーンは、母の様子を見に行くがウォルターに呼び戻される。 ウォルターは、批判に対抗するために、テレビに出演する考えをマーガレットに伝える。 テレビ出演したウォルターは、戦後のヨーロッパで悲惨な状況下の子供達に接して衝撃を受けたため、その体験から子供ばかりを描いていると語り視聴者の涙を誘う。 ウォルターの話に納得した人々は”ビッグ・アイズ”に注目し、彼は支持されギャラリーは人で溢れる。 ところが、絵は売れないままポスターやチラシを持ち帰る者ばかりで、ウォルターは、それを販売することを考える。 安くてもコピーがバカ売れしていることで喜ぶウォルターだったが、自分の絵が単なる商品化していることを、マーガレットは複雑に思う。 作風が違う自画像を描いたマーガレットは、その絵には自分のサインをしたいとウォルターに伝える。 混乱を招き問題が起きると言うウォルターは、自分の絵を世に出したいマーガレットに、既に共犯者であることを伝える。 指示には従っていると言うマーガレットは、この絵は取り上げないでほしいとウォルターに伝える。 ノーランの取材を受けていたマーガレットは、ウォルターの前妻との娘リリーが現れたために驚くが、そこでも彼の話を聞き入れるしかなかった。 自分の絵もギャラリーに飾ったマーガレットは、”MDH/マーガレット・ロリス・ホーキンス”という結婚前の名前で署名する。 その後、”ビッグ・アイズ”の模造品も氾濫するが、ウォルターはアート界を席巻する。 1963年、カリフォルニア州、ウッドサイド。 自分が”ビッグ・アイズ”を描いていることを疑われたウォルターはディーアンを追い払い、マーガレットは、たった一人の友人を失う。 ジェーン(マデリン・アーサー)にも疑われながら絵を描き続けたマーガレットは、ある日、ウォルターの風景画が他人の作品であることを知ってしまう。 それを追及されたウォルターは、自分が絵を描いているところを見たことがないと言われ、パリに行ったことさえもマーガレットに疑われる。 反論できないウォルターはマーガレットに拒まれ、画家になろうとした気持ちは確かだったために苦悩する。 そんなウォルターは、開催される”ニューヨーク万国博覧会”で大作を発表する計画をマーガレットに伝える。 アトリエに閉じ篭り絵を描くマーガレットはその場で眠ってしまい、鍵を見つけて入って来たジェーンに起こされる。 ジェーンは、動揺するマーガレットに全て知っていると答える。 ”ニューヨーク・タイムズ” 1964年4月、ニューヨーク。 激怒したウォルターは、その場にいたキャナデイを罵るものの、相手にされずにその場を去る。 ”明日よ、永遠に”と題した会場の絵は撤去され、キャナデイとマーガレットを恨んだウォルターは、訴えると言って彼女とジェーンに襲い掛かる。 アトリエに逃げ込んだマーガレットとジェーンは、鍵穴からマッチを投げ込まれ、火が点いたためにその場から逃れた二人は、ハワイに向かう。 ホノルル、1年後。 それを承知したマーガレットは、収入源とするために100枚の”ビッグ・アイズ”を描くようにとウォルターから言われる。 その後マーガレットは、”エホバの証人”に救いを求め、”MHD・キーン”の署名でウォルターに絵を送る。 地元ラジオ局に出演したマーガレットは紹介され、ウォルターが夫でも画家でもないことを話し、自分が”ビッグ・アイズ”を描いたことを語る。 マーガレットとジェーンは解放された気分になり、その件を、キャナデイやノーラン、ディーアンとバンドゥッチ、ルーベンも知ることになる。 ノーランに強力を求めたウォルターは、反論する記事を書いてもらう。 再び嘘をつくウォルターに憤慨したマーガレットは、名誉棄損による慰謝料1700万ドルを求める訴えをホノルル地裁に起こす。 口頭弁論が行われるため現地に着いたウォルターは、余裕を見せる。 マーガレットが混乱を引き起こし、大量の記事は虚偽に値しないと判断した判事(ジェームズ・サイトウ)は、彼女の訴えを却下する。 虚偽罪にしか関係していなかった弁護士はその場を去り、名誉棄損で訴えられていたウォルターは、仕方なく自分で弁護することにする。 それを知ったノーランは、テレビの”ペリー・メイスン”の知識しかないウォルターを心配知する。 証人席でウォルターに質問されたマーガレットは、夫に強要されて絵を描き、殺すとまで言われたと語る。 二人は言い合いになり、馬鹿げた夫婦喧嘩は見たくないと判事に制止される。 自分を証人にしたウォルターは、終戦直後のヨーロッパの孤児達に接して”ビッグ・アイズ”を発想したと話し、その後の名声を語り自慢話を始める。 聞くに堪えない内容に判事は苛立ち、マーガレットとウォルターに絵を描かせて解決させようとする。 1時間以内に”ビッグ・アイズ”を描くことになったマーガレットは余裕を見せ、ウォルターは戸惑う。 マーガレットは順調に描き始め、筆を持つこともないウォルターは、筋肉を傷めたと言って描くのを放棄する。 勝訴したマーガレットは、法廷で描いた絵を手にしながら裁判所の前に現れて題名を訊かれる。 ”証拠物件224”と答えたマーガレットは、ウォルターの画集にサインを求められて快く応ずる。 マーガレットは、一番大切なもの、ジェーンと自分の絵を手に入れることができたことで満足する。 自分が作者だと主張し続けたウォルターは、無一文になり2000年に他界した。 再婚したマーガレットは、数年後にハワイからサンフランシスコに戻り、ギャラリーをオープンした。 マーガレットは、今でも毎日絵を描き続けている。
...全てを見る(結末あり)
ギャラリーはオープンし、ディーアンは、ウォルターと絵のイメージが一致しないと言ってマーガレットに意見し、彼が子供の絵ばかり描くことに疑問を抱く客もいた。
豪邸で暮らし始めたマーガレットは、訪ねてきたディーアンにアトリエを見られてしまい、それに気づいたウォルターは焦る。
ウォルターの絵が万国博覧会会場で展示されることを知ったキャナデイは、馬鹿げた考えを阻止しようとする。
万国博覧会開幕を目前に控えたパーティーの席で、会場に展示された絵の批評が”ニューヨーク・タイムズ”に掲載され、ウォルターとマーガレットはキャナデイに酷評されたことを知る。
ウォルターかのら電話を受けたマーガレットは、離婚手続きの書類が届いたと言われ、全ての絵の権利を渡せば応ずると言われる。
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*(簡略ストー リー)
1958年、サンフランシスコ、ノースビーチ。
横暴な夫から逃れるため家を出たマーガレット・ウルブリッヒは、職を探し娘ジェーンと共に生活を始める。
絵を描くことが趣味のマーガレットは、休日は似顔絵を描いて家計の足しにしていた。
ある日、同じ画家のウォルター・キーンに声をかけられたマーガレットは、大きな目に特徴のある自分の絵には心があると言われ、彼と親しくなりやがて結婚する。
興行主エンリコ・バンドゥッチのクラブに絵を飾ってもらったウォルターは、彼と揉めたことが新聞記事になり話題になり、マーガレットの絵”ビッグ・アイズ”が売れたために驚く。
それを自分の絵だと語り売りまくることに成功したウォルターは、その後、アート界を席巻する。
自分の作品だと言えずに単なる商品と化していく絵のことを考え心を痛めるマーガレットだったが、描き続けるしかない彼女は苦悩する・・・。
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天才画家、または天才詐欺師の物語か・・・ティム・バートンが描く実録のコメディ・ドラマ。
マーガレット・キーンの特異な作風の絵を強調させるためか、ティム・バートンの独得の世界観は控えめで、時代設定を考えると「エド・ウッド」(1994)のような内容の作品を期待していたためやや残念な気持ちもする。
同作のようにモノクロ作品にすれば雰囲気も変わっていたとかとも思えるが、マーガレット・キーンの絵がキーポイントであるために、それは無理な話だろう。
終盤は法廷で争われる夫婦の対立が描かれているのだが、果たして、マーガレット単独で、描いた絵が世の人々に受け入れられたかは、誰もが思う疑問だろう。
詐欺師まがいのウォルターの”功績”と言っては語弊があるが、マーガレットを利用した彼の強引な方法により、”ビッグ・アイズ”が世間に知られたのは確かだ。
絵を自分のものと認めさせることが目的で、それで満足する、マーガレットの邪念のない笑顔で爽やかに締めくくられるのは、二人の争いなどを忘れさせる、なかなかよろしいラストだっだのではないだろうか。
苦悩する主人公のマーガレット・キーンを好演し、ゴールデングローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ)を受賞したエイミー・アダムスと、どこか憎めない詐欺師のようなその夫ウォルター・キーンを演ずるクリストフ・ヴァルツの、実力派二人の演技は見ものだ。
主人公二人を取材する記者ダニー・ヒューストン、主人公の友人クリステン・リッター、画商のジェイソン・シュワルツマン、美術評論家ジョン・キャナデイのテレンス・スタンプ、興行主エンリコ・バンドゥッチのジョン・ポリト、主人公の娘の幼年期デラニー・レイ、少女期のマデリン・アーサー、判事ジェームズ・サイトウなどが共演している。