列車の中で偶然に出会った若い男女の1日だけのロマンスを描く、原案、監督、脚本リチャード・リンクレイター、イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー共演の恋愛ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・リンクレイター
製作:アニー・ウォーカー=マクベイ
原案
リチャード・リンクレイター
キム・クリザン
脚本
リチャード・リンクレイター
キム・クリザン
撮影:リー・ダニエル
編集:サンドラ・エイデアー
音楽:フレッド・フリス
出演
イーサン・ホーク:ジェームズ”ジェシー”
ジュリー・デルピー:セリーヌ
アーニ・マンゴールド:手相占い
ドミニク・キャステル:詩人
ハイモン・マリア・バッテンガー:バーテンダー
ハンノ・ポーシェル:列車の乗客
アンドレア・エッカート:列車の乗客
アダム・ゴールドバーグ:列車の乗客
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1995年製作 101分
公開
北米:1995年1月27日
日本:1995年9月
製作費 $2,500,000
北米興行収入 $5,535,410
世界 $22,600,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1994年6月16日。
列車でブダペストからウィーンに向かうフランス人学生のセリーヌ(ジュリー・デルピー)は、隣の席で言い争いをする夫婦(アンドレア・エッカート/ハンノ・ポーシェル)の会話が気になり、後ろの席に移る。
アメリカ人青年ジェシー(イーサン・ホーク)は、隣の車両に向かった夫婦が言い争っていた理由をセリーヌに尋ねる。
ジェシーから英語が話せるかと訊かれたセリーヌは、話せると言ってドイツ語はよく分からないと答える。
セリーヌに何の本を読んでいるのかと尋ねたジェシーは、”ジョルジュ・バタイユ”の”マダム・エドワルダ”と”死者”の表紙を見せられ、自分は”クラウス・キンスキー自伝”だと伝える。 戻ってきた夫婦が元の席に向かったため、ジェシーはセリーヌを食堂車に誘う。 通っているソルボンヌ大学が来週、始まるセリーヌはパリに戻る途中で、ブダペストへは祖母を訪ねたとジェシーに話す。 明朝の便で帰国するつもりのジェシーは、セリーヌと子供時代のことや様々な話しをして意気投合する。 ウィーンに着いたジェシーは、これで別れては後悔するとセリーヌに伝えて、一晩、街を探索することを提案し、ホテル代を浮かすという口実で彼女を誘う。 ジェシーは、10年か20年後に結婚しているセリーヌが夫との倦怠期を迎えた時に、昔、出会った男達のことを思い、その中の誰かを選んでいたらと考えるという例え話をする。 それは自分かもしれないと言うジェシーは、これは未来から現在へのタイムトラベルだと話し、結局は夫に満足するとセリーヌに伝える。 列車を降りることに合意したセリーヌは、ジェシーと共にウィーン市内に向かう。 ジェシーとセリーヌは、橋の上で青年二人に話しかけてお勧めの場所を聞く。 素人芝居の役者だという二人からプラーター公園での芝居に誘われたジェシーとセリーヌは、チラシを受取り市内巡りを始める。 ”ウィーン市電”に乗ったジェシーとセリーヌは、愛や人生などについて語り合う。 市電を降りた二人はレコードショップに入り、あるレコードを手にして、それを視聴室で聴く。 様々な場所を見て回った二人は小さな墓地に向かい、セリーヌは、昔、訪れたことがあるとジェシーに伝える。 殆どの人が死体でドナウ川に浮かんでいた”名もなき人々の墓”の中でセリーヌは、覚えていた13歳の少女の墓を見つける。 訪れた時に自分も13歳だったために印象に残っていると言うセリーヌは、10年経った今も彼女は13歳のままだとジェシーに話す。 プラーター公園。 自然に惹かれ合うようになった二人は、その場でキスをする。 大観覧車を降りた二人は遊園地で楽しみ、ジェシーと両親について語り合ったセリーヌは、情熱的だった祖母の話もする。 食事をしていた二人に近づいてきた手相占い(アーニ・マンゴールド)は、セリーヌの手を取り占い、”人生のもどかしさを受け入れ、自分自身の中に平和を見つければ、他人との関係を見いだせる”と伝える。 ジェシーの手相も見た占い師は、学ぼうとしていると伝えて、代金を受け取り去ろうとする。 占い師から、自分達は星であることを忘れないようにと言われたジェシーとセリーヌは、星が大爆発してこの世が生まれたので、全てが星くずでできていると話しながら去る彼女を見つめる。 楽しんだセリーヌに対し、ジェシーは占い師を信じようとない。 来週から始まる展覧会のポスターを見て語り合ったジェシーとセリーヌは、教会に向かう。 宗教についてなどを語った二人は、その後、”ドナウ運河”の脇を歩く。 青年(ドミニク・キャステル)から声をかけられたジェシーとセリーヌは、何か言葉を選んで自分に言ってほしいと頼まれる。 その言葉を使って詩をつくると言う青年は、詩が気に入り、それが人生を飾ったら、いくらか金をくれればいいと二人に伝える。 ジェシーとセリーヌは、”ミルクセーキ”というキーワードで詩を書いてもらう。 出来た詩を読んでほしいと言われた青年はそれに従い、セリーヌは良い詩だと思う。 小銭を青年に渡したジェシーとセリーヌは、その場を去る。 詩が気に入ったセリーヌに対し、ジェシーは、前から考えてある詩に選んだ言葉を足しただけかもしれないと夢のない話をするものの、いい詩だと認める。 クラブに寄った二人は恋人について語り合い、セリーヌは半年前に別れて、 ジェシーは、実は旅の目的だった恋人に会いにマドリードに向かうものの別れたことを話す。 通りを歩きながら話してカフェに寄った二人は、自分達が出会ったことを友人に伝える電話遊びを始める。 素晴らしい夜を過ごす二人は、結局、今夜だけを楽しみ明日には別れる決心をする。 バーに向かうものの所持金がないジェシーは、バーテンダー(ハイモン・マリア・バッテンガー)に、今夜しか一緒にいられないセリーヌに赤ワインを飲ませてあげたいことを伝える。 必ず送金することをバーテンダーに約束したジェシーは、ワインのボトルを受け取り彼に感謝する。 その後、ジェシーとセリーヌは、芝生の上でワインを飲みながら夜明けを迎えようと考える。 別れることを決めたのでこれ以上、親しくなるのは悲し過ぎると伝えたセリーヌは、また会痛いと考えるジェシーから、結ばれるべきだと言われる。 セックスが目的で約束を破るのは良くないと言われたジェシーは納得するが、また会いたいし、永遠の別れか結婚を選ぶとしたら、結婚を選ぶと伝える。 結婚のきっかけはこんなものだと考えるジェシーは、本当は、列車を降りた時に寝てもいいと決めたと言うセリーヌと結ばれる。 夜が明けて、別れを惜しみながら市内を散策する二人は、徐々に言葉が少なくなる。 別れの時、セリーヌを駅に送ったジェシーは、彼女を諦めきれない。 セリーヌも同じ気持ちだったために、二人は二度と会わないという約束を撤回する。 昨日の6月16日から半年後、 同じ駅のホームで午後6時に再会することを二人は約束する。 そして、別れを告げたジェシーとセリーヌは、互いのことを考えながら旅立つ。
...全てを見る(結末あり)
夕暮れまで楽しい時を過ごしたジェシーとセリーヌは大観覧車に乗り、素晴らしく美しい眺めに驚く。
参考:
・「ビフォア・サンライズ」(1995)
・「ビフォア・サンセット」(2004)
・「ビフォア・ミッドナイト」(2013)
*(簡略ストー リー)
アメリカ人青年ジェシーとフランス人学生のセリーヌは、ブダペストからウィーンに向かう列車で出会い意気投合する。
セリーヌはパリに戻る途中のだったのだが、明朝、帰国するために飛行機に乗るジェシーは、ウィーンでのホテル代を浮かすという口実で彼女を誘い、一晩、街を散策することを提案する。
セリーヌはそれに合意し、二人は列車を降りて市内巡りを始める。
楽しい時を過ごす内に、二人は自然に惹かれ合うようになる。
やがて二人は、今夜だけを楽しみ明日には別れる決心をするのだが・・・。
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ストーリーを楽しむというより、自然に惹かれ合い、若者らしく会話を弾ませて行動する男女をひたすら追う、ドキュメンタリーのような構成が実に新鮮な作品。
全ての人が気になるだろう、”二人は再び会えるのだろうか・・・”。
その期待に応え、9年後に二人が再会する続編「ビフォア・サンセット」が2004年に、更に「ビフォア・ミッドナイト」(2013)が公開された。
この後、「スクール・オブ・ロック」(2003)など、純なコメディでも才能を発揮するリチャード・リンクレイターの、観る者に胸ときめかせる思いをさせる、何気ない仕草や表情を繊細に描写する演出なども素晴らしい。
第45回ベルリン国際映画祭では、リチャード・リンクレイターが監督賞を受賞した。
ウィーン市内の名所巡りの楽しさと美しい街並み、主人公イーサン・ホ ークとジュリー・デルピーの自然な演技、そして二人の会話が実に心地よい。
”大味なステーキ”のような作品ばかり製作するアメリカ映画とは、全く異質な作品。
舞台がヨーロッパの古都ということもあり、穏やかでしっとりとした雰囲気で爽やかでもあり、切なく、そして希望も感じられる、観賞価値の高い掘り出し物的な作品でもある。
主演のイーサン・ホークは、続編でジュリー・デルピーとの親密な関係が噂となり、 当時の妻ユマ・サーマンと離婚することになる。
無名時代のアダム・ゴールドバーグが、列車の中で居眠りをしている乗客役で一瞬登場する。
手相占いのアーニ・マンゴールド、詩人の青年ドミニク・キャステル、バーテンダーのハイモン・マリア・バッテンガー、列車の乗客夫婦ハンノ・ポーシェルとアンドレア・エッカートなどが共演している。