リチャード・リンクレイターとキム・クリザン原案による「ビフォアサンライズ」(1995)、「ビフォア・サンセット」(2004)に続く3作目。 18年前に出会い9年後にパリで再会してパートナーとなった男女の関係を描く、製作、監督、脚本リチャード・リンクレイター、主演イーサン・ホーク(脚本)、ジュリー・デルピー(脚本)他共演のラブ・ロマンスの秀作。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:リチャード・リンクレイター
製作
リチャード・リンクレイター
クリストス・V・コンスタンタコプーロス
サラ・ウッドハッチ
製作総指揮
リズ・グロッツァー
ジェイコブ・ペチェニック
マーティン・シェイファー
ジョン・スロス
原作
キャラクター創造
リチャード・リンクレイター
キム・クリザン
脚本
リチャード・リンクレイター
イーサン・ホーク
ジュリー・デルピー
撮影:クリストス・ヴードゥーリス
編集:サンドラ・エイデアー
音楽:グレアム・レイノルズ
出演
ジェシー・ウォレス:イーサン・ホーク
セリーヌ:ジュリー・デルピー
ハンク:シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック
エラ:ジェニファー・プライア
ニーナ:シャーロット・プライア
ナタリア:ゼニア・カロゲロプールー
パトリック:ウォルター・ラサリー
アナ:アリアン・ラベド
アキレアス:ヤニ・パパドプロ
アリアドニ:アティーナ・レイチェル・トサンガリ
ステファノス:パノス・コロニス
ソフィア:ヨタ・アギロポウラス
ホテル受付 – セラフェイム・ラディス
アメリカ 映画
配給 ソニー・ピクチャーズ・クラシックス
2013年製作 109分
公開
北米:2013年6月14日
日本:2014年1月18日
製作費 $3,000,000
北米興行収入 $8,114,510
世界 $20,737,030
■ アカデミー賞 ■
第86回アカデミー賞
・ノミネート
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ギリシャ、ペロポネソス半島、カラマタ、カラマタ国際空港。
妻と別れアメリカを離れていたジェシー・ウォレス(イーサン・ホーク)は、息子ハンク(シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック)を呼び寄せて楽しい夏を過ごし、空港で彼を見送り名残惜しく思う。
18年前に電車で出会い、その9年後にパリで再会し、それぞれのパートナーと別れてセリーヌ(ジュリー・デルピー)と一緒に暮らすようになったジェシーは、彼女との間には双子の娘エラ(ジェニファー・プライア)とニーナ(シャーロット・プライア)がいた。
空港を離れたジェシーは、セリーヌとハンクの話などをする。 老作家のパトリック(ウォルター・ラサリー)から招待されているジェシーは、それに気乗りしないセリーヌを説得する。 パトリックからの電話も、セリーヌは直ぐに切ってしまう。 数年後には巣立ってしまう息子と過ごせない人生に嫌気がさしてきたジェシーは、セリーヌに愚痴をこぼす。 元妻と話しハンクを呼び寄せれば喜ぶとセリーヌから言われたジェシーは、妻が同意するはずがないと答える。 自分が話すと言うセリーヌにそんなことは許さないと伝えたジェシーは、ハンクに父親らしいことがしてやれないために嘆く。 ジェシーはアメリカに帰りたがっているのだが、仕事を辞めてシカゴに行く気はないとジェシーに伝える。 尚も親子関係に満足できないと言うジェシーに、話にならないと言って自分達は終りだと伝えたセリーヌは、反論する彼と言い合いになる。 その時、眠っていたエラとニーナが目覚めたため、ジェシーとセリーヌの別れ話はひとまず終わる。 ジェシーとセリーヌは、娘達と共に買い物をしてパトリックの家に向かう。 楽しい時間を過ごすジェシーは、パトリックと地元の友人ステファノス(パノス・コロニス)と、小説のことについて話す。 セリーヌは、パトリックの亡き友人の妻ナタリア(ゼニア・カロゲロプールー)とステファノスの妻アリアドニ(アティーナ・レイチェル・トサンガリ)と共に食事の支度をする。 新作の構想を話すジェシーは、パトリックの孫アキレス(ヤニ・パパドプロ)が、舞台女優の恋人アナ(アリアン・ラベド)と戻って来たため、彼も仲間に入れる。 食事が始り、ジェシーは、この地で夢のような日々を過ごせたことをパトリックらに感謝する。 パトリックがそれに応え、アキレスも祖父に感謝して、皆からアナとの出会いなどを訊かれて話す。 パソコンが小説を書く時代が来るかという話から発展して、ジェシーとセリーヌは、自分達の出会いについてを訊かれる。 セリーヌは小説を読んでほしいと答え、18年前に出会い、その9年後にパリで偶然に再会したことをジェシーは話す。 偶然ではなく、自分達のことを小説で書いたので会いに行ったと言うセリーヌは、その後、ジェシーに妻子がいると知り騒動になり、成り行きで双子も生まれてしまったと語る。 セリーヌは、空港でハンクを送った帰りの車の中で、自分の仕事を辞めてシカゴに引っ越し、彼と一緒に暮らす話などをジェシーからされたと話す。 様々な話で盛り上がるその場は、大切なことは、誰かへの愛より人生への愛だと言うパトリックの言葉でまとまる。 セリーヌに促されてホテルのことを話したジェシーは、気持ちはありがたいが遠慮することを伝える。 よい思いでをと、自分達のためにホテルを用意してくれてステファノスとアリアドニに説得されたジェシーとセリーヌは、好意を受け入れることにする。 ナタリアが亡き夫と過ごした日々の素晴らしさを語り、忘れかけてしまう寂しい思いを伝え、人生とは過ぎ去ってしまうことだと話す。 セリーヌの手を握りながら、ジェシーは、過ぎ去る人生に乾杯する。 その後、散歩をしながらホテルに向かうジェシーとセリーヌは、意外にも新鮮な気持ちで話ができる。 祖父が死んだというメールを父から受け取ったことをセリーヌに知らせたジェシーは、祖父母の愛の深さなどを話す。 ビザンチン帝国時代の教会に寄った二人は、町に着き、海辺で夕日が沈むのを見つめる。 ホテルに向いチェックインしようとしたジェシーは、著書のファンだと言うフロントのソフィア(ヨタ・アギロポウラス)からサインを求められる。 セリーヌが物語の”マデリン”だと気づいたソフィアは、彼女にもサインを求めるものの、自分ではないと言ってソフィアは否定する。 ジェシーに促されたためにセリーヌはサインし、二人は部屋に向かう。 ステファノスとアリアドニが、ワインとマッサージを手配してくれてあることを知ったジェシーとセリーヌは、二人と子供達にプレゼントをすることを考える。 ベッドで求め合う二人だったが、セリーヌの携帯電話にハンクから電話がある。 セリーヌは簡単な話をして切ってしまい、話せなかったジェシーは残念に思う。 元妻の話をされて不機嫌になったジェシーに対し、セリーヌは、自分の人世を捨ててシカゴに引っ越す話を蒸し返す。 息子と過ごしたいための犠牲になることに納得いかないセリーヌは、ジェシーと言い合いになる。 ハンクを呼び寄せることは無理だが、自分達はアメリカに行くことはできるので、幸せになれる方法はないのかとジェシーはセリーヌに問う。 なぜ自分がいつも妥協しなければならないのかと言うセリーヌは、考えは変わらないことはないとジェシーに伝える。 一度は住んだアメリカに帰りたくないのならかまわないが、ハンクの人生に関与する方法を考えているだけだとジェシーは伝える。 二人はいがみ合うだけで接点が見つかず、セリーヌは部屋から出て行ってしまう。 戻って来たセリーヌは、子育てで苦労してもそばにいてくれなかった辛さをジェシーに語る。 全てを傷つけ過ぎるとジェシーから言われたセリーヌは、彼とのセックスに不満を訴え、部屋も気に入らないために、ステファノスとアリアドニを恨むとまで言い出す。 浮気も疑われたジェシーは、全てを捧げていると言ってセリーヌに愛を伝える。 うんざりする点を上げてほしいなら話すと言うジェシーは、完全にイカレているとセリーヌに伝えて、自分以外に耐えられる者がいるなら教えてほしいと彼女に問う。 どちらにしても自分は受け入れると言うジェシーは、今のままでいいとセリーヌに伝える。 質問の答えが先だと言うセリーヌは、浮気をしていたのかジェシーに尋ね、彼がまともに答えないために認めたと判断する。 同じようなことは自分にもあったとジェシーから言われたセリーヌは、型にはまる窮屈な生き方はご免だと話す彼を残して部屋を出ていく。 戻って来たセリーヌは、もう愛していないとジェシーに伝えてその場を去る。 海辺のテーブルにいたセリーヌの元に向かったジェシーは、出会った時のことを再現しようとする。 自分はこのことを既に体験したと言うジェシーは、タイムマシンに乗り、未来のセリーヌから頼まれて来たと伝えて、託されたという手紙を読む。 ”現れた青年はあなたを守り、愛する者を苦しめてしまったため後悔している。 信実の愛はここにあり、完璧ではないがこれが本物の愛だと言うジェシーは、理解してもらえないのなら諦めるとセリーヌに伝える。 そのタイムマシンを操作するのは難しいのかと尋ねるセリーヌに、ジェシーはとても複雑だと答える。 二人は、最高の夜になると考える。
...全てを見る(結末あり)
救いはあなただけです。
これからが人生の黄金期であり、最高のセックスを体験できる夜を逃さないで・・・。
参考:
・「ビフォア・サンライズ」(1995)
・「ビフォア・サンセット」(2004)
・「ビフォア・ミッドナイト」(2013)
*(簡略ストー リー)
ギリシャ、ペロポネソス半島、カラマタ。
18年前に電車で出会い、その9年後にパリで再会し、それぞれのパートナーと別れて双子の娘も生れたジェシー・ウォレスとセリーヌは、夏のバカンスを過ごしていた。
アメリカから呼び寄せた息子のハンクを空港に送ったジェシーは、正常な親子関係を築けないことで悩んでいた。
シカゴに引越す考えもあるジェシーだったが、それを拒むセリーヌと口論になる。
老作家パトリックに招待されて、楽しい時間を過ごしたジェシーとセリーヌは、友人のステファノスと妻アリアドニから、よい思い出をと言われてホテルの部屋を用意してもらう。
散歩をしながらホテルに向かうジェシーとセリーヌは、意外にも新鮮な気持ちで話ができるのだが・・・。
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1作目と2作目が9年、そして本作もその9年後に製作されたラブ・ロマンスの秀作。
前2作同様、本作でもリチャード・リンクレイターと共に脚本に参加するイーサン・ホークとジュリー・デルピーの自然な会話が見所の作品。
ほぼ主人公二人の独演だった前二作とはやや違う内容で、前半は友人などと集うストーリーとなっている。
後半は、意見の相違が見られる二人が、散歩してホテルに向かいながら新鮮な気持ちで時を過ごし、その後に諍いを起こし、危機を乗り越えるまでを描いている。
穏やかな雰囲気で二人のロマンスを淡々と描く、前二作とはやや違う内容、南ギリシャののどかな雰囲気など、リチャード・リンクレイターとイーサン・ホーク、ジュリー・デルピーの新たな試みと意欲が感じられる作品でもある。
第86回アカデミー賞では、前二作同様、脚色賞にノミネートされた。
息子との親子関係と、それを理解してもらえずに悩むイーサン・ホーク、彼の考えの犠牲になることを嫌い衝突してしまうジュリー・デルピー、主人公の息子シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック、主人公の双子の娘ジェニファー・プライアとシャーロット・プライア、撮影監督して知られる、本作が俳優デビューとなる老作家のウォルター・ラサリー、亡くなった彼の友人の妻ゼニア・カロゲロプールー、老作家の孫ヤニ・パパドプロ、その恋人アリアン・ラベド、主人公の友人パノス・コロニス、その妻アティーナ・レイチェル・トサンガリ、ホテルのフロント係ヨタ・アギロポウラス、受付のセラフェイム・ラディスなどが共演している。