地中海の港町で計画される陰謀とそれに関係する人々の思惑を描く、製作、監督、脚本ジョン・ヒューストン、主演ハンフリー・ボガート、ジェニファー・ジョーンズ、ジーナ・ロロブリジーダ、ロバート・モーレイ、ピーター・ローレ、エドワード・アンダーダウン他共演のコメディ・ドラマ。 |
・ハンフリー・ボガート / Humphrey Bogart / Pinterest
・ジェニファー・ジョーンズ / Jennifer Jones / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・ヒューストン
製作:ジョン・ヒューストン
原作:ジェームズ・ヘルヴィク”Beat the Devil”
脚本
トルーマン・カポーティ
ジョン・ヒューストン
撮影:オズワルド・モリス
編集:ラルフ・ケンプレン
音楽:フランコ・マンニーノ
出演
ビリー・ダンルーサー:ハンフリー・ボガート
グウェンドレン・チェルム:ジェニファー・ジョーンズ
マリア・ダンルーサー:ジーナ・ロロブリジーダ
ピーターソン:ロバート・モーレイ
ジュリアス・オハラ:ピーター・ローレ
ハリー・チェルム:エドワード・アンダーダウン
ジャック・ロス少佐:アイボア・バーナード
ラヴェロ:マルコ・トゥーリ
ジャック・クレイトン警部:バーナード・リー
SSナヤンガのパーサー:マリオ・ペローネ
行政官:ジュリオ・ドンニーニ
SSナヤンガの船長:サロ・ウルジ
イスパノ・スイザの運転手:フアン・デ・ランダ
シャルル:アルド・シルヴァーニ
アメリカ/イギリス 映画
配給
ユナイテッド・アーティスツ(北米)
British Lion Films(イギリス)
1953年製作 94分
公開
イギリス:1953年11月24日
北米:1954年3月12日
日本:1954年3月24日
製作費 $1,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
地中海の小さな港町。
4人組の悪党ピーターソン(ロバート・モーレイ)、ジュリアス・オハラ(ピーター・ローレ)、ラヴェロ(マルコ・トゥーリ)、ジャック・ロス少佐(アイボア・バーナード)が連行される。
6か月前。
アメリカ人のビリー・ダンルーサー(ハンフリー・ボガート)は、4人と組んでウラン密輸で大儲けを企んでいた
イギリス領東アフリカに船で向かうイギリス人のグウェンドレン・チェルム(ジェニファー・ジョーンズ)は、一緒に船に乗るかもしれないピーターソンらが気になり、それを夫のハリー(エドワード・アンダーダウン)に伝える。
ビリーの妻マリア(ジーナ・ロロブリジーダ)は、植民地局の高官ポール・ヴァミーアがクラブで何者かに殺害されたという新聞記事の内容をビリーに伝える。
考え込むビリーは、ヴァミーアの行動を警戒して恐れていたピーターソンが関係していることをマリアに話す。
ヴァミーアが鉱山の採掘権の件で上司に何か話すのを、ピーターソンが阻止したと言うビリーは苛立ち、マリアが彼を落ち着かせる。
...全てを見る(結末あり)
納得できないビリーはカフェに向かい、ロスが到着する姿を見つめる。 ハリーとその場にいたグウェンドレンは、現われたピーターソンらに気づく。 ビリーは、ロスのことをピーターソンに伝える。 ビリーに話しかけたグウェンドレンは、汽船”ナヤンガ”に彼が乗るのを確認し、ピーターソンらが仲間だということを知る。 ビリーらは、現れた船のパーサー(マリオ・ペローネ)から、出航が遅れることを知らされる。 島にもいい場所があると言うビリーは楽しむことを勧めて、ハリーとグウェンドレンを食事に誘い、呼びに来たロスと共に仲間の元に向かう。 ピーターソンと話したビリーは、出航が遅れることを気にする彼に、ヴァミーアの件を話題にして彼を牽制する。 その日の夕方、ビリーは、ハリーとグウェンドレンそしてマリアと共に所有するレストランに向かい、食事を楽しむ。 翌日、ハリーは体調を崩し、お湯袋が見つからないことを気にする。 ビリーに観光に誘われたハリーは断り、グウェンドレンだけを行かせる。 海を望む高台で、ビリーとグウェンドレンは話をしながら心通わせる。 同じ頃マリアは、お茶を用意してハリーの様子を見に行く。 ビリーは、ハリーがアフリカに行く目的は、原子力を生み出す資源ウランのためだということをグウェンドレンから知らされる。 グウェンドレンは、ハリーへの協力をビリーに求める。 その話を聞いていたオハラは、仲間たちの元に向かう。 オハラらとカフェにいたピーターソンは、グウェンドレンと戻って来たビリーに、彼女らのコーヒー農園の話をする。 ハリーの話題を口にするマリアの様子を気にしないビリーは、出かけようとするもののオハラが訪ねて来る。 ビリーとマリアは、アイルランド人のオハラの話を聞く。 ビリーを待っていたグウェンドレンは、現れたピーターソンと話し、ロンドンの名家の出であるハリーがアフリカに向かう目的は、”大罪”と関係があると伝える。 グウェンドレンは、戦後、精神世界に目覚めたハリーは、その本質がアフリカにあると考え、現地に向かい、大罪の問題について研究したとピーターソンに話す。 そこにハリーが現れ、ピーターソンを紹介したグウェンドレンは夫と浜辺に向かう。 ビリーが信頼できる男か確認しようとしたオハラは、外の様子が気になりその場を去る。 部屋を出たビリーは、ロビーにいたグウェンドレンに合図し、ハリーに挨拶して彼とバーに向かう。 その場にいたロスに一杯おごったビリーは、ヒトラーやムッソリーニを崇拝する彼の話を聞く。 その時ロスに電話が入り、会議だと言う彼はビリーと共にその場を去る。 皆で話し合ったピーターソンは、チェルム夫妻は危険だと考え、ビリーのことも疑う。 そこにビリーが現れ、ピーターソンは、二人だけで飛行機でアフリカに向かうことを彼に伝える。 ビリーから、入札まで2週間あるのでまだ早いと言われたピーターソンは、目的はグウェンドレンとの船旅ではないかと彼をからかい、荷造りをする。 アフリカに向かうと言うビリーとの愛を確かめたグウェンドレンは、ピーターソンらに操られていいると言って彼を非難する。 ビリーが大金を手に入れようとしていることを知ったグウェンドレン、それに興味を持つ。 ピーターソンとビリーは飛行場に向かうが、途中で車(イスパノ・スイザ)が故障してしまう。 運転手(フアン・デ・ランダ)と共に車を押したビリーとピーターソンだったが、坂道を下った車は崖から海に転落してしまう。 ビリーが細工したと考えたピーターソンは、ハリーのウランを狙っているはずだと言って彼を非難する。 グウェンドレンが話していたと言われたビリーは、チェルム家のウランは作り話で、自分で調べるよう指示する。 話が本当なら分け前は半分やると言うビリーは、グウェンドレンは空想癖があるとピーターソンに伝える。 マリアと浜辺で日光浴をしていたグウェンドレンは、ハリーとピーターソンの車が崖から転落したことを知らされる。 その後、オハラらは今後のことを話し合い、ハリーはマリアのことを気遣う。 ベッドで悲しむグウェンドレンから、ビリーを愛していたと言われたハリーは、いつもの空想だと思い信じようとしない。 ケースの中のお湯袋を見つけたハリーは、マリアのためにアスピリンを持って行く。 ハリーと話をしたラヴェロは、儲け話を持ち掛ける。 そこにビリーとピーターソンが戻り、マリアは卒倒してしまい、グウェンドレンは喜ぶ。 ホテルに現れたパーサーは、出航することを皆に伝える。 ハリーの様子がおかしいことが気になるビリーは、グウェンドレンから、自分を愛していると彼に話してしまったことを知らされる。 儲け話の次に駆け落ちを提案し始めたグウェンドレンの話に戸惑うビリーは、今は無理だが金が手に入れば希望に応えられると伝える。 ようやく船は出航し、ピーターソンは、チェルム家には土地はおろか家名も存在しないという電報を受け取る。 ハリーのケースを部屋から持ち出すようロスに指示し、それを調べたピーターソンは、ハリーがただの一般人であることを知る。 ケースがなくなっていることに気づいたハリーは、それをパーサーに話し、ロスが持ち出すのを目撃していたことを知り取り戻す。 その件をビリーに伝えたグウェンドレンは、財界との関係やウランの土地などの話をした自分が悪いと言われて苛立つ。 単なる下宿屋の嫁と思われたくなかったと言うグウェンドレンは、ハリーの上品な振る舞いなどは、上流への憧れだとビリーに伝える。 既にケースは取り戻したと言うグウェンドレンは、船長(サロ・ウルジ)にピーターソンらを追及させていることをビリーに話す。 船長は、自分も同じケースを持っていると言うピーターソンの話を聞き、ハリーの誤解だと判断して、丸く収めようとする。 納得しないハリーは酔っている船長を批判し、ビリーからは、ケースが戻ったので水に流すべきだと言われたため、ウランの密輸計画を当局に知らせる考えを伝える。 動揺するピーターソンは、その話をハリーがラヴェロから聞いたことを知り、現地に着いたら通報すると言う彼に脅される。 ラヴェロは、ビリーが死んだと思い、仲間が必要だと思ったことを伝える。 ピーターソンは、船旅は2週間続くてめ、ビリーにハリーの説得を頼む。 ハリーの身に何かあれば、自分も破滅すると考えたマリアは、告発を取り消すよう彼を説得するものの無駄だった。 その後、機関室のポンプが故障したために修理したハリーは、それを皆に伝える。 しかし、暫くしてポンプは完全に壊れてしまい、船長に責められたハリーは、機関室の者たちが邪魔したせいだと伝える。 ハリーがロスに襲われたことを知ったビリーは、それを阻止する。 その場は混乱して騒ぎになり、グウェンドレンは、ハリーが心の病であり、被害妄想で人を殺そうとすることを皆に伝える。 船員に取り押さえられたハリーは、手錠をかけられて拘束される。 グウェンドレンは、これですべて丸く収まるとビリーに伝えるものの、パーサーから船が沈むと言われて驚き、ハリーが拘束されている部屋に向かう。 ビリーがドアを壊し、ハリーがいないことに気づいたグウェンドレンは、彼の別れを告げるメモを見つける。 救命ボートに乗り岸にたどり着いたビリーらは、現れたアラブの兵士に捕らえられる。 行政官(ジュリオ・ドンニーニ)に尋問されたピーターソンらは疑われ、グウェンドレンは、溺れた夫は貴族であり、首相と女王の親書も持っていることを伝えるものの、相手にされない。 行政官は、正体と目的を明かすようピーターソンに迫り、気を逸らそうとしたビリーは、その場から逃げるものの捕らえられる。 痛めつけられたビリーは行政官と話し、”リタ・ヘイワース”と知り合いかと訊かれたため、紹介状を書くので自分で口説けと言って彼をからかう。 船を用意してくれれば稼がせると言われた行政官は、疑わしいピーターソンを脅す。 船を手に入れたビリーは港に向かい、ナヤンガの船長に罵倒されるものの相手にしない。 ホテルに戻ったビリーは、スコットランドヤードのジャック・クレイトン警部(バーナード・リー)と話し、ヴァミーアの件を訊かれる。 ピーターソンらも加えて話をしたクレイトンは、ヴァミーアと会っている彼らに質問をする。 友好的に情報を入手しただけだと言うピーターソンだったが、グウェンドレンは、この中の一人はプロの殺し屋だと話し始める。 ロスがナイフで夫を殺そうとしたと言うグウェンドレンは、それはピーターソンの指示であり、イギリス政府が所有するウランを盗む計画を実行するためだとクレイトンに伝える。 その後、ピーターソンら4人は逮捕される。 ハリーの下宿屋に向かうことをマリアに伝えたグウェンドレンは、ビリーにキスして去ろうとする。 そこにパーサーが現れてグウェンドレンに電報を渡し、ハリーが生きていることを知った彼女は驚く。 電報を確認したマリアは卒倒し、ビリーはその内容を読み思わず笑ってしまう。 ”発信地 イギリス領東アフリカ
例の土地を購入した ウランが眠る可能性大 お湯袋を持って来れば許す ハリー”
*(簡略ストー リー)
地中海の小さな港町。
アメリカ人のビリー・ダンルーサーは、悪党のピーターソンら4人と組んでアフリカに向かい、ウランで大儲けしようと考える。
ビリーは、若くて美しい妻マリアがいる身でありながら、イギリス人のグウェンドレンに惹かれ、彼女も夫のハリーと共にウランの件でアフリカに向かうことを知る。
ビリーはグウェンドレンと親交を深め、マリアはハリーに魅力を感じ始める。
その後ビリーは、グウェンドレンの妄想癖を気にしながらも、ピーターソンらと共に計画を実行しようとするのだが・・・。
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1951年に発表された、ジェームズ・ヘルヴィクの小説”Beat the Devil”を基に製作された作品。
製作、監督、脚本を兼ねるジョン・ヒューストンが、「アフリカの女王」(1951)に続き盟友ハンフリー・ボガートと組んだ作品。
地中海の港町を舞台に、アフリカで計画される陰謀を実行しようとする悪党と、彼らに関係する人々の思惑を描くコメディ・ドラマ。
主人公を始め癖のある登場人物の個性を活かし、それぞれが微妙に絡み合う関係をユーモアを交えながら描く、ジョン・ヒューストンの巧みな脚本と演出が見どころの作品。
舞台が地中海の小さな港町ということで、イタリア各地で撮影された風光明媚な映像も印象に残る。
上記のように、ジョン・ヒューストンと組んだ「アフリカの女王」(1951)で待望のアカデミー主演賞を受賞して間もない主演のハンフリー・ボガートは、悪党仲間をまとめるリーダーとして、アフリカのウラン資源を狙う計画を実行する男を、いつものように雰囲気ある演技で熱演している。
主人公と惹かれ合うようになる、空想癖のある女性を好演するジェニファー・ジョーンズ、夫である主人公の顔色を気にせず新たな愛を求めるジーナ・ロロブリジーダ、主人公と共に計画を実行しようとする悪党のロバート・モーレイ、ピーター・ローレ、アイボア・バーナード、マルコ・トゥーリ、空想癖がある妻(ジェニファー・ジョーンズ)に対し、被害妄想的な上流に憧れる男性を印象的に演ずるエドワード・アンダーダウン、終盤で主人公らを尋問するスコットランドヤードの警部バーナード・リー、汽船ナヤンガのパーサー、マリオ・ペローネ、船長のサロ・ウルジ、主人公らを捕えて尋問するアラブの行政官ジュリオ・ドンニーニ、崖から落ちる”イスパノ・スイザ”の運転手フアン・デ・ランダ、レストランの支配人アルド・シルヴァーニなどが共演している。