第二次大戦末期、敗色迫るナチス・ドイツがアルデンヌの戦いで見せた反攻作戦を描く、”Ultra Panavision70”の圧倒的迫力画面も話題になり巨費を投じた戦争映画の超大作。 監督ケン・アナキン、主演ヘンリー・フォンダ、ロバート・ライアン、ロバート・ショウ、ダナ・アンドリュース、テリー・サバラス、チャールズ・ブロンソン、ハンス・クリスチャン・ブレヒ、ピア・アンジェリ他共演。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ケン・アナキン
製作
ミルトン・スパーリング
フィリップ・ヨーダン
脚本
ミルトン・スパーリング
フィリップ・ヨーダン
ジョン・メルソン
撮影:ジャック・ヒルデヤード
編集:デレク・パーソンズ
音楽:ベンジャミン・フランケル
出演
ヘンリー・フォンダ:カイリー中佐
ロバート・ライアン:グレイ将軍
ロバート・ショウ:ヘスラー大佐(ドイツ軍)
ダナ・アンドリュース:プリチャード大佐
ジョージ・モンゴメリー:デュケン軍曹
テリー・サバラス:ガフィー軍曹
チャールズ・ブロンソン:ウォレンスキー少佐
ハンス・クリスチャン・ブレヒ:コンラート伍長(ドイツ軍)
ジェームズ・マッカーサー:ウィーヴァー少尉
ピア・アンジェリ:ルイーズ
ヴェルナー・ペータース:コーラー将軍(ドイツ軍)
カール=オットー・アルベルティ:ディーペル少佐(ドイツ軍)
タイ・ハーディン:シューマッハ少佐(ドイツ軍)
バーバラ・ウェール:エレナ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1965年製作 161分
公開
北米:1965年12月16日
日本:1966年4月16日
製作費 $20,000,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1944年12月、第二次大戦末期。
ドイツ軍の降伏も噂され始めた頃、アメリカ陸軍情報部のカイリー中佐(ヘンリー・フォンダ)は、敵の反撃を警戒して、上空からの偵察に余念がなかった。
カイリー中佐は、あるドイツ軍将校と森に潜む敵軍らしき部隊の写真を撮影して司令部に向かう。
写真を撮られたヘスラー大佐(ロバート・ショウ)は、偵察機に怯える運転手の部下コンラート伍長(ハンス・クリスチャン・ブレヒ)を伴い、新たな作戦決行のため司令部に向かう。
司令部に到着したヘスラー大佐は、コーラー将軍(ヴェルナー・ペータース)から、準備が整った機甲部隊を率いて、反撃作戦の指揮を執ることを命ぜられる。
作戦司令室に案内される途中、へスラーはパラシュート降下で敵陣に潜入する、シューマッハ少佐(タイ・ハーディン)の率いる、アメリカ兵に扮したスパイ部隊の存在を、ディーペル少佐(カール=オットー・アルベルティ)から知らされる。 司令室でへスラーは、天候悪化をついた50時間以内の奇襲作戦の全容を、コーラー将軍から聞かされる。 そして、作戦に使用されるキング・タイガー(映画ではM47パットン)の旅団を視察したへスラーは、任務を遂行を決意する。 ベルギー、アンブレーブ、連合軍師団司令部。 アルデンヌでの、戦車とドイツ将校(ヘスラー)の写真をグレイに見せたカイリーは、敵の反撃開始の確証を得るため、捕虜を捕ること命ぜられる。 その頃、ヘスラーの部下コンラートは、旅団を任されて息巻く上官に、かつて指揮した精鋭兵士達が手元にいないことを指摘する。 機甲部隊の若き戦車長達を見て、へスラーはこの大作戦に挑む彼らに未熟さを感じる。 しかし、戦車長らは”パンツァーリート”を合唱し、意気込みを見せる彼らに、へスラーは勝利を確信する。 その後カイリーは、前線のウォレンスキー少佐(チャールズ・ブロンソン)の部隊に、捕虜を捕らえさせようとする。 捕らえた捕虜が軽装備の少年兵だったため、それを自分の目で確かめたプリチャードは、ドイツ軍の反撃はありえないと考える。 しかし、撮影した将校が機甲部隊で戦果をあげたヘスラーだということが分かり、カイリーは、自分の考えが正しい方向を指していることを確信する。 その頃、ヘスラー機甲部隊出撃の前に、シューマッハ率いるスパイ部隊が、パラシュート降下で敵陣に入る。 そして、へスラーの部隊は進撃を開始して、クリスマス・ムードのアメリカ軍に奇襲をかけて撃破していく。 ウォレンスキーの部隊がそれに気づいて出撃し、カイリーもそれに同行する。 カイリーは、破壊したタイガーの無線から聞こえるヘスラーの声で、自分の考えが正しかったことを確認する。 アメリカ軍は、敵戦車の圧倒的破壊力に撤退を余儀なくされる。 快進撃を続けるヘスラーだったが、進行が早すぎるために、地雷の除去が間に合わず、司令車両が爆破されてしまう。 師団司令部は大混乱となり、カイリーは、敵の目標はヘスラーの向かう場所だということを、グレイ少将に伝える。 そして、ヘスラーが必ず通るであろう橋の確保を、カイリーはグレイに命ぜられる。 その頃、既にシューマッハのスパイ部隊に前線は撹乱されてしまう。 ウォレンスキーの部隊からはぐれてしまったウィーヴァー少尉(ジェームズ・マッカーサー)は、標識の方向が違うことを疑問に思うデュケン軍曹(ジョージ・モンゴメリー)と共に自軍に戻ろうとする。 シューマッハは橋を確保して、その後に現れた爆破工作部隊員を殺す。 現場近くに到着したカイリーは、橋にいたのが、工兵ではなく憲兵だったことを思い出したウォレンスキーの言葉で、その兵士らがドイツ軍のスパイだということに気づき橋に急行する。 既にヘスラーは橋を渡ろうとしていたが、現場に到着したカイリーは、後続のトラックから川に落ちたドラム缶が空だということを確認して退避する。 車が故障したウィーヴァーとデュケンは、その後、捕虜となり、ドイツ軍は彼らを含めたアメリカ兵を銃殺しようとする。 デュケンは死亡するが、ウィーヴァーはその場から逃走する。 戦争を利用して物品売買を商売にしている、戦車隊のガフィー軍曹(テリー・サバラス)は、ドイツ軍の反撃で戦車を失ってしまう。 ガフィーは、協力者の地元女性ルイーズ(ピア・アンジェリ)に分け前を渡し、商売を諦めようとする。 グレイ少将は師団司令部を死守する覚悟を決め、参謀のプリチャード大佐は、その場に戻ったカイリーに、自分の見解の誤りを謝罪する。 重火器と援軍を要請したグレイ少将だったが、その支援もタイガーに阻止されてしまう。 猛攻を続けるヘスラーだったが、それでもその進撃状況の遅れを指摘し、コーラー将軍が前線に現れる。 敵軍の余力を確認したヘスラーは、その士気を打ち砕くためにも、司令本部のあるアンブレーブを叩く重要性を主張して攻撃の許可を得る。 支援を断たれ、ヘスラーの部隊が目前に迫ったグレイ少将は、ウォレンスキーの部隊を残し已む無く撤退する。 その後、ヘスラーはアンブレーブを占拠し、捕虜となったウォレンスキーが、マルメディで捕虜が虐殺されたことをヘスラーに伝る。 ウォレンスキーは、捕虜の処遇がなされなければ、暴動を起こすとヘスラーに脅しをかける。 ヘスラーは、コーラー将軍に連絡を入れ、虐殺により敵の抵抗が増し、戦意をそぐための攻撃や、味方の犠牲が無駄になると抗議する。 カイリーは、へスラーの機甲部隊の進撃が早過ぎるため、燃料の補給が間に合わない状況になってきていることを知る。 その頃、ドイツ軍に包囲されたバストーニュのアメリカ軍は、降伏勧告を受けるが、第101空挺師団師団長代理アンソニー・マコーリフ准将は、”ふざけるな!”(Nuts)と返答する。 新たな司令部を設置したグレイ将軍は、敵の状況を分析し、明らかにガス欠だという結論に達し、反撃命令を出す。 悪天候のために、敵を見失ったアメリカ軍は攻めあぐみ、再び上空偵察を強行したカイリーは、敵を発見するものの撃墜されて負傷する。 へスラーの部下コンラートは、好んで戦争をしている人殺しだとへスラーを罵り、自ら前線行きを志願する。 そして、米独双方機甲部隊の大激戦が始まり、グレイ少将は戦況を見守り、敵の燃料を消費させようとする。 敵の策略を察したヘスラーは、燃料補給のためアメリカ軍の燃料基地を狙う。 その頃、虐殺を免れたウィーヴァーは、部隊からはぐれた兵士らと合流し、アンブレーブが廃墟と化しルイーズを失ったことで気落ちするガフィーの戦車に出くわす。 ヘスラーの動きを知ったグレイ将軍は、燃料基地爆破を命ずる。 しかし、既に基地はシューマッハのスパイ部隊の手に落ちていた。 その基地にガフィーの戦車が現れ、ウィーヴァーがスパイ部隊の正体を暴き全滅させる。 基地にいたカイリーを助けたウィーヴァーは、燃料を利用してへスラーの部隊を壊滅させる。 そして、反撃作戦は失敗に終わり、生き残ったコンラートは武器を捨て、他のドイツ兵と共に祖国へと帰って行く。
...全てを見る(結末あり)
カイリーは、司令官グレイ少将(ロバート・ライアン)に、敵が攻勢に転じる可能性を告げるが、 参謀のプリチャード大佐(ダナ・アンドリュース)はそれを信じない。
*参考
https://www.youtube.com/watch?v=8JDkdc246QQ&feature=youtu.be
*(簡略ストー リー)
1944年12月。
劣勢のドイツ軍はベルギー南東部アルデンヌで、ヘスラー大佐率いる”キング・タイガー”旅団で反撃に出ようとする。
迎え撃つアメリカ陸軍情報部カイリー中佐は、敵の動きを察知して、司令官グレイ少将に報告するものの、上層部は敵の攻撃の確信を持てない。
そして、ヘスラーの奇襲作戦は、連合軍の防御準備の隙を突いて決行され、破竹の勢いで進撃を開始する。
タイガーの破壊力に圧倒されるアメリカ軍は苦戦しながらも、燃料不足という敵の弱点を見つけて反撃に転ずる・・・。
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豪華スター顔合せも注目の作品で、アメリカ側が主役の内容で進行しつつ、ドイツ軍機甲部隊指揮官へスラー大佐のキャラクターを強烈に描写してバランスをとっている。
周知のバルジの戦いだが、娯楽に徹しているため、その反攻作戦の進行に「史上最大の作戦」(1962)のような緊迫感などがあまりない。
スペイン陸軍全面協力の多くの戦闘場面は、当時としては迫力あるものの、M47パットン戦車を無理やり”キング・タイガー”に見せかけて強調させる、巨大な模型をこれ見よがしにするシーンなどは頂けない。
製作費に当時の金額で72億円かけたにしては不満だ。
”キング・タイガー”を揃えるのが無理な話ならば、余計このシーンはいらないと思うし子供じみて見える。
また、今観ると、模型を多用したことが裏目に出て安っぽい感じを受けてしまう。
子供の頃に観た時は、大感激したものだが・・・。
主演のヘンリー・フォンダは、多くの出演者と重要な場面で接触しながら、孤軍奮闘という感じで熱演している。
ロバート・ライアンは、冷静な判断で師団を統率するアメリカ側司令官を、参謀のダナ・アンドリュースも、反攻作戦の可能性を否定し、ヘンリー・フォンダと対立するが、後半は協力し合う潔い士官をそれぞれ好演している。
主演を喰ってしまっているほどのロバート・ショウは、その人物像がやや誇張され過ぎているようにも思えるが、強烈な個性を発揮する。
その他、チャールズ・ブロンソンは最前線の部隊を率いる指揮官、戦争よろず屋のテリー・サバラスの悲哀なども興味深く描かれ、彼の恋人役で、攻撃の犠牲になってしまうピア・アンジェリも、登場場面は少ないが印象に残る。
この時代、「史上最大の作戦」(1962)や「レマゲン鉄橋」(1969)などで、ドイツ軍人を何度も演じたハンス・クリスチャン・ブレヒが、へスラーに愛想を尽かす部下役を好演し、作品のラストは彼が祖国に帰って行くシーンで終わる。
部隊とはぐれるが、終盤重要な役を演ずる士官のジェームズ・マッカーサー、その部下ジョージ・モンゴメリー、作戦の司令官ヴェルナー・ペータース、ヘスラー(R・ショウ)の副官カール=オットー・アルベルティ、ドイツ軍のスパイ部隊の指揮官タイ・ハーディンなどが共演している。
本作での最大の見せ場、というか個人的に好きな場面は、反攻作戦の機甲部隊の若い戦車長達が歌う”パンツァーリート”だ。
*そのシーン
https://www.youtube.com/watch?v=8JDkdc246QQ&feature=youtu.be
ドイツ軍の行進歌として広く知られるこの曲が、派手な戦闘場面よりも印象に残る。
5番まである歌詞を、劇中では1番を繰り返し歌っている。
勇ましい主題曲など、音楽担当はベンジャミン・フランケル。
機甲部隊の指揮官へスラー大佐は、アメリカ軍の戦線突破で名を馳せた、パイパー親衛隊中佐がモデルだ。
パイパーは、劇中でも登場する、マルメディ虐殺事件の責任を問われ死刑になった。
また、バルジの戦いでは欠かせないエピソード、アメリカ第101空挺師団長代理アンソニー・ マコーリフ准将が、バストーニュをドイツ軍に包囲され降伏勧告を受けた際に、”NUTS!(ふざけるな!)”と言い返した有名な事件も、おまけのように登場する。