ボブ・ケインとビル・フィンガーによるアメリカン・コミックス「バットマン」を基に映画化されたシリーズ第5作。 前作の陳腐な内容から一新した新たなシリーズの1作目。 いかにして闇のヒーロー”バットマン”が誕生したかを描く、物語の原点に戻った作品。 監督、脚本クリストファー・ノーラン、主演クリスチャン・ベール、リーアム・ニーソン、マイケル・ケイン、ケイティ・ホームズ、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン、キリアン・マーフィ、トム・ウィルキンソン、ルトガー・ハウアー、渡辺謙共演。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:クリストファー・ノーラン
製作総指揮
ベンジャミン・メルナイカー
マイケル・アスラム
製作
エマ・トーマス
チャールズ・ローヴン
ラリー・J・フランコ
キャラクター創造
ボブ・ケイン
ビル・フィンガー
ジェリー・ロビンソン
原作
デヴィッド・S・ゴイヤー
脚本
クリストファー・ノーラン
デヴィッド・S・ゴイヤー
編集:リー・スミス
衣装デザイン:リンディ・ヘミング
撮影:ウォーリー・フィスター
音楽
ハンス・ジマー
ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演
ブルース・ウェイン/バットマン:クリスチャン・ベール
ヘンリー・デュカード:リーアム・ニーソン
アルフレッド・ペニーワース:マイケル・ケイン
レイチェル・ドーズ:ケイティ・ホームズ
ジェームズ・ゴードン:ゲイリー・オールドマン
ルシウス・フォックス:モーガン・フリーマン
ジョナサン・クレイン/スケアクロウ:キリアン・マーフィ
カーマイン・ファルコーニ:トム・ウィルキンソン
リチャード・アール:ルトガー・ハウアー
ラーズ・アル・グール:渡辺謙
フラス刑事:マーク・ブーン・ジュニア
ローブ市警本部長:コリン・マクファーレン
フィンチ検事長:ラリー・ホールデン
ジョー・チル:リチャード・ブレイク
トーマス・ウェイン:ライナス・ローチ
マーサ・ウェイン:サラ・スチュワート
ブルース・ウェイン少年:ガス・ルイス
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2005年製作 140分
公開
北米:2005年6月15日
日本:2005年6月18日
製作費 $150,000,000
北米興行収入 $205,343,770
世界 $371,853,780
■ アカデミー賞 ■
第78回アカデミー賞
・ノミネート
撮影賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
放浪の末に投獄されたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、ラーズ・アル・グール(渡辺謙)の代理ヘンリー・デュカード(リーアム・ニーソン)と出会う。
悪を憎む者同士の道、正義の実行を願う道”影の同盟”の道、そのラーズ・アル・グールの教えを受ければ、超人的な力を身につけ、別の存在になれるというデュガードの言葉に導かれ、ブルースはヒマラヤに向かう。
ラーズ・アル・グールの元にたどり着いたブルースは、デュガードに自らが恐れるものを語り始める。
__________
大富豪ウェイン家の御曹司ブルース(ガス・ルイス)は、幼い頃、誤って古井戸に転落してコウモリに襲われる。 それ以来、コウモリを恐れるブルースは、家族でオペラを鑑賞し、コウモリを連想させる場面で彼は帰りたがる。 劇場を出たブルース達は、その帰り道で、暴漢ジョー・チル(リチャード・ブレイク)に襲われ、両親トーマス/マーサ(ライナス・ローチ/サラ・スチュワート)を殺されてしまう。 それ以後、ブルースは恐怖に怯えるようになってしまう。 成長したブルースは、逮捕され刑期中のジョー・チルの公聴会で彼を殺そうとするが、マフィアのボス、カーマイン・ファルコーニ(トム・ウィルキンソン)の指示で、チルは暗殺されてしまう。 自分が手を下せなかったものの、怒りは収まったブルースだったが、地検に勤める、幼馴染みのレイチェル・ドーズ(ケイティ・ホームズ)から、裏社会を牛耳るファルコーニが、ゴッサム・シティの治安を乱し、街が犯罪都市と化している現実を見せられる。 ブルースはファルコーニに会うが、警察や判事までを支配する、恐怖の力を見せ付けられて放り出される。 その後、ブルースは放浪の旅に出て、犯罪者の中に身を投じて、恐怖と怒りを克服する道を捜し求めていた時に、デュガードに出会ったのだった。 ブルースは、デュガードに”戦う意志”を叩き込まれ、復讐、正義、罪悪感について考え抜く。 修行は最終段階に入り、犯罪都市ゴッサムにブルースを送り返すために、ラーズ・アル・グールは、彼に殺人犯の処刑を命ずる。 それを拒んだブルースは、ラーズ・アル・グールを殺害して、火薬に火を放ち、気絶したデュガードを連れて脱出する。 そしてブルースは、ゴッサム・シティに戻る決心をして、デュガードを村人に託す。 ウェイン邸に戻ったブルースは、屋敷内に迷い込んだコウモリを見て古井戸を思い出し、その中で、その恐怖を克服したことを知る。 ブルースは父親の会社を知るため、応用科学部に移動していたルシウス・フォックス(モーガン・フリーマン)の元を訪れ、彼が発明していた前衛部隊用のサバイバル・スーツなどを屋敷に持ち帰る。 執事アルフレッド・ペニーワース(マイケル・ケイン)の協力で、屋敷内の洞窟や地下道などを調べたブルースは、ゴッサム・シティを救うための準備を進める。 汚職がはびこる警察の中で、それに染まらないゴードン巡査部長(ゲイリー・オールドマン)に目をつけたブルースは、彼の協力を得ようとする。 更なる装備が必要となったブルースは、軽量で自由変形する繊維と、重装甲車をフォックスから提供される。 正義感に燃える地方検事レイチェルが、ファルコーニに狙われていることを知ったブルースは、装備の改良を急ぎ、全てのデザインを、自分の恐怖の象徴”コウモリ”と、その黒で統一する。 そしてブルースは、”バットマン”としてファルコーニの前に姿を現し、さらにレイチェルに悪徳判事の弱みを握らせる。 ブルースは、闇の活動を怪しまれないために、わざとプレイボーイに成りすますが、それを知ったレイチェルは失望する。 警察はバットマンの無謀な行動を放っておけず、危険人物として捜索を始めるが、ゴードンは、彼が協力者だと確信していた。 汚職警官を締め上げ、ファルコーニが麻薬を密輸する情報を掴み現場を押さえようとしたバットマンは、彼を診察した精神薬理学の医師ジョナサン・クレイン(キリアン・マーフィ)が変身した”スケアクロウ”に毒を浴びせられ、火だるまにされてしまう。 再び恐怖がブルースを襲うものの、アルフレッドに救われ、フォックスの解毒剤で一命を取り留める。 ウェイン・エンタープライズを任される社長代理リチャード・アール(ルトガー・ハウアー)は、水源を気化させるマイクロ波放射器で、毒物を散布する実験を行ったという噂を知っているフォックスから、それに関する資料を奪い彼をクビにする。 スケアクロウ(クレイン)の毒で、ファルコーニは精神に異常を来たし、精神鑑定の結果ナローズ島の病院に入れられることになる。 レイチェルはそれを不審に思い、専門医を派遣しようとして、クレインに毒を浴びせられる。 しかし、そこにバットマンが現れ、クレインから黒幕を聞き出そうとする。 警察が到着したために、バットマンはレイチェルを連れてその場から姿を消す。 ゴードンはバットマンに協力し、クレインが水道管に毒物を混ぜたことを彼から知らされる。 毒を吸ったレイチェルを救うため、バット・モービルで逃走したバットマンは、警察を振り切り屋敷に戻りフォックスの作った解毒剤でレイチャルを救う。 意識を取り戻したレイチェルに、大量生産用の解毒剤を渡したブルースは、自分の誕生パーティーに出席する。 ゴードンは汚染された水道水が、液体のままでは害のないことを知り、拘束したクレインを尋問するが、彼は口を割らない。 ブルースは、盗まれたマイクロ波放射器で汚染された水道水を気化させるつもりだということをフォックスから知らされ、解毒剤の大量生産の支持を出す。 そこにデュカードが現れ、彼がラーズ・アル・グールであったことが分かり、ヒマラヤでブルースが見つけた” 青い花”を精製して、クレインが毒薬を作ったこともわかる。 ラーズ・アル・グールの”影の同盟”は、ゴッサム・シティを滅ぼすために既に主要機関を押さえていた。 さらにウェイン邸に火を放ち、ブルースは梁の下敷きになり気を失ってしまう。 その頃、凶悪犯らが収監されている刑務所や病院なども開放され、街は混乱を極める。 ブルースはアルフレッドに助け出されるが、ラーズ・アル・グールは、水道水の気化を開始しようとする。 ブルースは、バットマンに変身してゴードンの元に向かい、モノレールの下の水道管がウェイン・タワーに通じ、そこにマイクロ波を放射すれば、水は一気に気化して街は壊滅することを伝える。 囚人に襲われそうになったレイチェルは、その場に現れたバットマンに救われる。 レイチェルは、何も言わずに去ろうとするバットマンに名前だけでも聞こうとする。 バットマンは、人の本性は行動で決まるものだと言い残し姿を消し、レイチェルは、彼がブルースではないかと思い始める。 バットマンはモノレールに乗り移り、ラーズ・アル・グールと格闘になり、ゴードンはバット・モービルの武器でレールを破壊する。 バットマンはモノレールが脱線する寸前で脱出し、車内に残されたラーズ・アル・グールは、落下した車両と共に爆死する。 ブルースは、ウェイン・エンタープライズの実権をアールから取り戻し、フォックスが彼の後任となる。 レイチェルはブルース流の正義を理解し、お互い心が通い合う。 ブルースはアルフレッドと共に屋敷の復元を始める。 警部補となったゴードンは、スケアクロウをはじめとした、ナローズ島の囚人が捕まっていないことと、殺人の前科があり、演出好きで、カードの”ジョーカー”が目印の武装強盗が現れたことを、バット・シグナルで呼び出したバットマンに告げる。 そしてバットマンは、手がかりのカードを預かり、闇夜に消えていく。
...全てを見る(結末あり)
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参考:
・「バットマン」(1989)
・「バットマン・リターンズ」(1992)
・「バットマン・フォーエヴァー」(1995)
・「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」(1997)
・「バットマン ビギンズ」(2005)
・「ダークナイト」(2008)
・「ダークナイト ライジング」(2012)
*(簡略ストー リー)
放浪の末に投獄されたブルース・ウェインは、その教えを受ければ、超人的な力を身につけて、別の存在になれるという、ラーズ・アル・グールの代理ヘンリー・デュカードと出会う。
ブルースは、デュガードの言葉に導かれてヒマラヤに向い、自らが恐れるものを語り始める。
大富豪ウェイン家の御曹司ブルースは、幼い頃に、誤って古井戸に転落してコウモリに襲われ、それ以来コウモリを恐れるようになる。
ある日、ブルースは、オペラを観劇に行った帰りに、両親を暴漢に殺されてしまう。
成長したブルースは、両親を殺した犯人を殺害した、マフィアのボス、ファルコーニが、ゴッサム・シティの裏社会を牛耳っていることを知り、その後、放浪の旅に出たのだった。
ブルースは、デュガードに”戦う意志”を叩き込まれ、修行を終えた彼は、ようやくゴッサム・シティに戻る決心をする。
そしてブルースは、父親の会社の重役でもある発明家フォックスや執事アルフレッドの協力を得て、ゴッサム・シティを救うための準備を進める・・・。
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ティム・バートン独特の世界でもある、ファンタジックでダークなイメージで始まった大ヒット・シリーズが、シリアスで現実味のある作風に一変した作品。
執事アルフレッドをはじめ、お馴染みの登場人物や、さらには次回作「ダークナイト」(2008)で登場する、最強の敵”ジョーカー”の出現を予言するラストは心憎い演出だ。
バットマンのコスチュームや、バット・モービルなどのデザインも変わり、このあたりのセンスの良さも、玄人好みする正にプロの技と言える。
1億5000万ドルの巨費をかけて製作され、北米興行収入は2億ドルを超え、全世界でも約3億7200万ドルを稼ぎ出す大ヒットとなった。
第78アカデミー賞では、撮影賞にノミネートされた。
「フォロウィング」(1998)や「メメント」(2001)で注目を集めえたクリストファー・ノーランが、大抜擢で監督、脚本を務め、アメリカ資本ながら、キャスト、スタッフなどの多くをイギリス人で占めたところも注目だ。
また、今までのシリーズでも大物スターの起用が話題になったが、新たなシリーズに相応しい、超豪華な共演陣の演技も見所だ。
「ダークナイト」(2008)の驚異的な興行収入(約10億ドル)には遠く及ばないものの、人気下落気味のシリーズを、見事に復活させた。
主演のクリスチャン・ベールは、自ら苦難の道に身を投じ、罪悪感、復讐心、そして正義について考え抜こうとする、端整な顔立ちにして、逞しい肉体と野性味も兼ね備える主人公を見事に演じている。
主人公の師でありながら、黒幕として存在感を発揮するリーアム・ニーソン、主人を甘やかすことない人情味溢れる執事マイケル・ケイン、バットマンの正体に気づく正義感ある地方検事ケイティ・ホームズ、彼らしくないとも言える、ユーモアと好感度の高い人物を好演する、巡査部長から警部補になるゴードンのゲイリー・オールドマン、彼が主人公の側近というだけで心強い、発明家モーガン・フリーマン、特異なキャラクター、スケアクロウ/クレインのキリアン・マーフィ、街を牛耳る暗黒街の帝王トム・ウィルキンソン、ウェイン社を食い物にするウェイン社社長代理のルトガー・ハウアー、飾り物のようで、ややミスキャスト気味の渡辺謙などが共演している。