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氷の微笑 Basic Instinct (1992)

殺人事件を捜査する刑事と容疑者である女性小説家の関係を描く、製作総指揮マリオ・カサール、監督ポール・バーホーベン、撮影ヤン・デ・ボン、主演マイケル・ダグラスシャロン・ストーンジョージ・ズンザジーン・トリプルホーン他共演の官能サスペンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(サスペンス/犯罪)


スタッフ キャスト ■
監督:ポール・バーホーベン

製作:アラン・マーシャル
製作総指揮:マリオ・カサール
脚本:ジョー・エスターハス
撮影:ヤン・デ・ボン
編集:フランク・J・ユリオステ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

出演
ニック・カラン:マイケル・ダグラス

キャサリン・トラメル:シャロン・ストーン
ガス・モラン:ジョージ・ズンザ
エリザベス”ベス”ガーナー:ジーン・トリプルホーン
ロクサーヌ”ロキシー”ハーディ:レイラニ・サレル
フィリップ・ウォーカー警部補:デニス・アーント
タルコット警部:チェルシー・ロス
サム・アンドリュース:ブルース・A・ヤング
マーティ・ニールセン警部補:ダニエル・フォン・バーゲン
ヘイゼル・ドブキンス:ドロシー・マローン
ジョン・コレリ:ウェイン・ナイト
ラモット博士:スティーヴン・トボロウスキー
マクルウェイン博士:ジェームズ・レブホーン
ハリガン:ベンジャミン・ムートン
内務調査官:ミッチ・ピレッジ

アメリカ 映画
配給 トライスター・ピクチャーズ

1992年製作 128分
公開
北米:1992年3月20日
日本:1992年6月6日
製作費 $49,000,000
北米興行収入 $117,727,000
世界 $352,700,000


アカデミー賞 ■
第65回アカデミー賞
・ノミネート
編集・作曲賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
サンフランシスコ
ある夜、元ロック・スターが、ベッドの上でアイスピックにより惨殺される。

市警の殺人課ニック・カラン刑事(マイケル・ダグラス)は、同僚のガス・モラン(ジョージ・ズンザ)と共に殺人現場に向かう。

本部長タルコット警部(チェルシー・ロス)の監視下でフィリップ・ウォーカー警部補(デニス・アーント)らと現場検証をしたニックは、凶器のアイスピックを確認する。

ニックは、上層部が気を遣う事件だと言うタルコットから、慎重に捜査を進めるよう忠告される。

唯一の容疑者で、被害者の恋人であるキャサリン・トラメル(シャロン・ストーン)を訪ねたニックとガスは、彼女の”友人”だというロクサーヌ”ロキシー”ハーディ(レイラニ・サレル)を本人だと思い間違える。
...全てを見る(結末あり)

ニックとガスは、ロキシーからキャサリンがビーチ・ハウスにいると聞きその場に向かう。

キャサリンに会い、事件のことを何点か質問した二人だったが、彼女は動揺する様子もなかった。

元恋人である心理学者のエリザベス”ベス”ガーナー(ジーン・トリプルホーン)のオフィスに向かったニックは、警察の内部調査部の依頼による彼女の質問を受ける。

精神、肉体的に問題なしと判断されたニックは、今でも好きだとべスに言われてその場を去る。

署に戻ったニックは、キャサリンが、心理学を学び学業優秀で、両親を事故で亡くし1億ドル以上の資産を持つ作家であることをウォーカーから知らされる。

その著書の内容が、引退して恋人に殺されるロック・スターの話だということだった。

キャサリンの小説をチェックしたニックは、その内容の殺人も凶器がアイスピックで、今回の事件と酷似していることをガスに伝える。

その後、事件に関する会議が開かれ、同席したべスは、精神病理学の専門家で司法省の犯罪心理分析チームのラモット(スティーヴン・トボロウスキー)を紹介する。

ラモットは、小説の著者キャサリンが犯人であるか、著者に恨みを持つ者が彼女に罪を被せようとした殺人であることを指摘する。

著者が犯人であれば、その頭脳は計り知れないものであるという言葉に加えた説明が、ガスには理解できない。

べスは本がアリバイであると語り、自分の書いた通りに犯罪を犯す者はいないと話す。

後者の場合は、非情に変質的な考えの持ち主で、平気で無関係な者を殺し、著者に深い恨みを持ち、人の命などなんとも思わない人物であることが考えられた。

ガスは、いずれにしても異常者であるということを確認し、ラモットは、精神を病む犯人の危険性を警戒する。

ウォーカーの判断でキャサリンへの捜査が進められることになり、彼女が対抗してくると考える。

しかしニックは、一流弁護士を雇い自分を守ろうとすることだけを考えるような相手ではないことを指摘する。

キャサリンの別荘に向かったニックは、質問に答えてもらうため署への同行を彼女に求める。

支度をする間、部屋で待っていたニックは、かつて誤って観光客を撃ってしまった、自分の記事が掲載されている新聞がその場にあることに気づく。

ニックは、下着も着けずに洋服を着るキャサリンを乗せて、ガスと共に署に向かう。

キャサリンが、自分のことを調べ尽くしていることなどに気づいたニックは警戒する。

また、次回作の構想が、危険な女に恋する刑事が、その女に殺される内容だとも言われる。

署に着いたキャサリンは、地方検事補ジョン・コレリ(ウェイン・ナイト)に迎えられる。

タルコットやウォーカーも紹介されたキャサリンは弁護士のことを聞かれ、自分の考えていた通り必要ないようだと、ニックがその場の者達に伝える。

隠し事はないというキャサリンは、禁煙だというコレリに従おうともせず質問に答える。

被害者との関係、性交渉の内容、そしてラモットとの会議を基にしたコレリらの質問に答えるキャサリンは、殺人を否定する。

その場の男達を挑発するようなキャサリンは、麻薬使用も認め、小説を書く目的で被害者と付き合ったことなども話す。

嘘発見器もシロとなりキャサリンを釈放するしかなくなるが、ニックは機械を騙す例を以前に経験したことがあることを伝える。

キャサリンを送ったニックは、自分が二人を殺し、同じテストをパスしたことに彼女が気づいていることを知る。

お互い牽制して別れた後、ニックはバーに向かい、その場にいたウォーカーから、キャサリンと知り合いではないのかと尋ねられる。

それを否定するニックは、キャサリンに騙されていると言って、両親や交際していたボクサーの死を疑うべきだと指摘する。

例の事件で”シューター”というあだ名をつけられていたニックは、内務調査部のマーティ・ニールセン警部補(ダニエル・フォン・バーゲン)にからかわれて一触即発となる。

その場に来ていたべスがそれを制止し、二人は彼女の部屋に向かい激しく愛し合う。

べスがキャサリンと大学の同窓だと知ったニックは驚く。

ニックが、他の女のことを考えながら力づくで抱いたことを批判するべスは、彼を追い払う。

翌日ニックは、同僚サム・アンドリュース(ブルース・A・ヤング)の調べで、キャサリンが在学中の1980年代に大学で、教授がアイスピックにより殺されていたことを知る。

ウォーカーは、その件や事件に関する捜査を部下に命じ、キャサリンを監視するようニックに指示する。

車で出かけたキャサリンを追ったニックは、彼女が”ヘイゼル・ドブキンス”という女性の家にいることを知る。

夜になり、その家を出たキャサリンはビーチ・ハウスに向かう。

署に戻り”ヘイゼル・ドブキンス”を調べたニックは、1956年に殺人罪で実刑となり1965年に刑務所を出たことを知る。

現れたガスから、殺された大学教授が心理学者で、キャサリンがその教授のゼミを受けていたことを知る。

更にヒックは、平凡な主婦だった”ヘイゼル・ドブキンス”が一家を惨殺し、その理由もわからないこという話をガスから聞く。

翌日、キャサリンの別荘に向かったニックは、次回作で、自分をモデルにしていると言われる。

ニックは、大学教授や”ヘイゼル・ドブキンス”のことを聞かれる。

キャサリンは、教授のアイスピック殺害事件は小説の参考にして、”ヘイゼル・ドブキンス”は友達だと答える。

観光客の件は殺人であり、コカイン服用時の事件で、それがきっかけとなり妻が自殺したと言われたニックは、迫るキャサリンを突き放す。

そこに、バイセクシャルであるキャサリンの恋人ロキシーが現れ、ニックはその場を立ち去る。

べスのオフィスに向かったニックは、彼女が自分の記録をニールセンに渡したことを知る。

ニックは、それをキャサリンに売ったと言ってニールセンに言いより、彼の同僚に制止される。

ガスから冷静になるよう言われたニックは、キャサリンが自分の全てを調べ上げていると伝える。

その夜、怒りが収まらないニックの部屋を訪ねたべスは、ニックのためを思いニールセンに資料を渡したことを伝える。

その後、ニールセンが何者かに殺されたという報告を受けたニックは現場に向かい、ウォーカーに銃を押収される。

昼間ニールセンと問題を起こしたニックは、当然、疑われることになり、内務調査員やウォーカーの質問を受ける。

現れたべスが、ニックの部屋を訪ねたことを証言し、タルコット本部長は、精神鑑定の結果が出るまで、彼を休職処分にすることを伝える。

ニックはべスに感謝し、彼女は資料を渡したことの償いだと言って二人は和解する。

アンドリュースから、キャサリンの両親の事故死の件を聞いたニックは、彼女が犯人だという考えを変えないことをウォーカーに伝えるものの、相手にしてもらえない。

帰宅したニックは、その場でキャサリンが待っていたことを知り、彼女を部屋に招く。

ニックは牽制しながら、キャサリンに何が目的かを尋ねる。

キャサリンは、両親を事故死に見せかけて殺した、青年の完全犯罪を描く著書をニックに渡す。

両親の死後に書いた本だと言って、休職中も自分を監視することを確認したキャサリンは、現れたガスに言葉をかけてその場を去る。

その夜ニックは、被害者の店でロキシーと楽しむキャサリンに会い、彼女の家で激しく愛し合う。

被害者と同じように、スカーフで手を縛られたニックは警戒するものの何も起こらなかった。

ニックは、現れたロキシーに殺すと言われて脅されるものの彼女を相手にせず、キャサリンが、愛し合う様子を覗くことを望んでいることを知る。

翌朝、目覚めたニックは、残されていたメモでキャサリンがビーチ・ハウスにいることを知り、その場に向かう。

ニックは、惹かれてはいるが必ず殺人の証拠を掴むと言ってキャサリンを牽制する。

ガスは、ニックがキャサリンと寝たことを知り驚き、彼の身を案ずる。

恐怖を感じないというニックに、ニールセンの貸金庫に大金があったことをガスは知らせる。

ガスを見送ったニックは、その直後にキャサリンの車に狙われる。

それを追ったニックは、工事現場で落下した車に近づき、運転していたロキシーが死亡したことを知る。

現場に駆け付けたウォーカーは、キャサリンの車を運転していたロキシーを知るニックが、偶然、事故に遭遇したという話を信じるはずもない。

翌日、べスの元に向かったニックは、マクルウェイン博士(ジェームズ・レブホーン)らの精神鑑定を受ける。

質問にまともに応じないニックは席を外し、心配しているというべスを相手にせず、キャサリンの元に向かう。

キャサリンはロキシーの死は自分の責任だと言って悲しみ、寄り添うニックと愛し合う。

ロキシーが自分を装う犯行などしないと言うキャサリンは、女には運がなく、大学時代も付きまとわれた経験があることをニックに話す。

その後ニックは、ロキシーが16歳の時に、弟二人を殺す衝動殺人を犯していたことを知らされる。

ニックは迷い始め、キャサリンに付きまとったと言う”リサ・バーマン”という女性を調べるが手掛かりは掴めなかった。

キャサリンの家に向かったニックは、その場にいたヘイゼル(ドロシー・マローン)を紹介され、彼女に”シューター”と言われてからかわれる。

探した名前が”リサ・ホバーマン”だと言われたニックは、その女性が後に改名したべスだということを知り驚く。

べスに会ったニックは、キャサリンが自分の真似をして付きまとったという逆の話を聞く。

自分を犯人にしようとする、全てキャサリンに仕組まれている話しだと言うべスの言葉を聞き入れないニックは、混乱しながらその場を去る。

アパートに戻ったニックは、その場で待っていたキャサリンに、リサを見つけたことを知らせ、逆の話をしていたことを伝える。

それを信じて、自分を犯人だと思うのかを問われたニックは否定するが、嘘をついていると言い残してキャサリンは立ち去る。

ニックは資料室に向かい、1年以上も前にリサの資料をニールセンが持ち出していたことを知る。

ガスは、べスを犯人だと疑うニックを批判する。

アパートに戻ったニックは、その場にいたキャサリンと愛し合う。

書いている小説の内容が変わり、刑事は死なない可能性があると言うニックに、キャサリンは必ず誰かが死ぬと答える。

その後ニックは、べスの夫である医師が銃で殺されていたことを知る。

それが未解決事件であり、迷宮入りしたことを地元警察から聞いたニックは、1年前にその件でニールセンが現れたことと、妻に”女”がいたという噂が流れた話も聞く。

キャサリンの家でプリントされる原稿に気づいたニックは、相棒の警官がエレベーターで殺されるという文を読む。

現れたキャサリンは、本の中で主人公は死にゲームは終わったと言ってニックに別れを告げる。

キャサリンは、その場にいたヘイゼルと共に2階に上がる。

ガスから、キャサリンの大学時代のルームメイトが見つかったと知らされたニックは、彼と共にあるビルに向かう。

呆然とするニックが車を降りたため、ガスは休職中だと言って彼をその場で待たせ、ビルに入りエレベーターに乗る。

キャサリンの原稿を思い出したニックは、ガスが狙われると考えてビルに向かい階段を駆け上がる。

ガスは、4階でドアが開いた瞬間、何者かにアイスピックでめった刺しにされる。

ニックは4階に到着するが、血まみれのガスは息を引き取る。

物音がしたため、ガスの拳銃を手にしたニックはその場に向かう。

そこには、ガスのメッセージを聞いて呼ばれたと言うべスがいた。

ポケットに手を入れたべスに警告したニックは、彼女を銃撃する。

”愛していたのに”と言い残したべスは息絶え、ニックはポケットの中のキーホルダーに気づき、自分の行為を悔やむ。

現場に駆け付けたウォーカーは、ガスを殺したと思われるアイスピック他の物的証拠が発見されたため、べスのアパートを調べさせる。

アパートでも、べスの犯行を裏付ける多数の証拠が見つかり、ニックもそれを確認する。

べスの部屋から見つかった銃は、ニールセンを撃った銃だと断定され、今回のアイスピックも前回の物と同じだった。

留守電のメッセージもガスからのものは確認されず、殺されたロック・スターとべスの面識もあるはずだということが分かる。

ニックは考えこみながらアパートに戻り、そこには事件をテレビで知ったキャサリンが待っていた。

あなたを失うと言って動揺するキャサリンをニックは抱きしめ、そして二人は愛し合う。

その後、二人は将来のことなどを語り合う。

ベッドの下にはアイスピックがあった。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
サンフランシスコ
元ロック・スターがアイスピックにより惨殺される。
市警の殺人課ニック・カラン刑事は、同僚のガスと共に、唯一の容疑者である、被害者の恋人キャサリン・トラメルの元に向かう。
頭脳明晰で心理学を学び巨額の遺産を持つ作家であり、際立つ美貌のキャサリンに翻弄されながら、ニックは捜査を続ける。
その後、キャサリンの新作のモデルが、危険な女に殺される刑事、つまり自分だと知ったニックは、彼女の怪しい魅力の虜となる・・・。
__________

ポール・バーホーベンのテンポのよい演出と、正当な”謎解き”を惑わせるような巧みな編集により、飽きずに見られる内容には仕上がっている。

殺人事件を接点としながら、その職業にそぐわない様な主人公二人が、なるべくして関係を持つという、サスペンス映画としてはありがちな展開と、ご都合主義、思わせぶり的な過剰描写がやや気になる。

はみ出しデカ的な主人公と全く隙を見せない容疑者のアンバランスな関係も、前者が大物マイケル・ダグラスであるから成り立っているという感じを受ける。
キャスティングにミスっていたら、単なる駄作に終わった可能性もあり。

実際に並外れた知能を持つシャロン・ストーンの、それを生かした役柄に注目したいところなのだが、公開当時は、その美貌と官能的な描写ばかりが話題になった。

とは言え、そのお陰で、北米興行収入は約1億1800万ドル、全世界では約3億5300万ドルの大ヒットとなり、続編「氷の微笑2」(2006)も製作された。

第65回アカデミー賞では、編集、作曲賞にノミネートされた。

主演のマイケル・ダグラスは、過去の失態を引きずりながら、容疑者に翻弄されその魅力の虜になる刑事を熱演する。

既に10年以上のキャリアがあったものの、それほど目立たない役柄を演じ続けていたシャロン・ストーンは、本作によりブレイクして一時代を築くことになる。

やや偏屈な役柄だが、主人公の同僚として味のある演技を見せるジョージ・ズンザ、主人公の元恋人で心理学者のジーン・トリプルホーン、ヒロインの恋人レイラニ・サレル、主人公の上司デニス・アーント、本部長チェルシー・ロス、主人公の同僚ブルース・A・ヤング、主人公と対立する内務調査官ダニエル・フォン・バーゲン、ヒロインの友人だという謎の老女役を演ずる、ファンには懐かしいドロシー・マローン、地方検事補ウェイン・ナイト、精神病理学の専門家スティーヴン・トボロウスキー、精神科医ジェームズ・レブホーン、主人公の同僚ベンジャミン・ムートン、内務調査官ミッチ・ピレッジなどが共演している。


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