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バンドスラム Bandslam (2009)

心に傷を負う音楽好きの内気な少年の成長と恋を描く、監督、脚本トッド・グラフ、主演ガエラン・コネルアリー・ミシェルリサ・クドロー他共演のロマンチック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ロマンチック・コメディ


スタッフ キャスト
監督:トッド・グラフ
製作:エレイン・ゴールドスミス=トーマス
脚本
ジョシュ・A・ケイガン
トッド・グラフ
撮影:エリック・スティールバーグ
編集:ジョン・ギルバート

出演
ウィル・バートン:ガエラン・コネル
シャーロット・バーンズ:アリー・ミシェルカ
Sa5m:ヴァネッサ・ハジェンズ
カレン・バートン:リサ・クドロー
ベン・ウィートリー:スコット・ポーター
バグ:チャーリー・サクストン
バッシャー・マーティン:ライアン・ドノホー
オマール:ティム・ジョー
キム・リー:リサ・チョン
アイリーン・ラーマン:エルビー・ヨスト
本人:デヴィッド・ボウイ

アメリカ 映画
配給 サミット・エンターテインメント
2009年製作 111分
公開
北米:2009年8月14日
日本:未公開
製作費 $20,000,000
北米興行収入 $5,210,990
世界 $12,225,020


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
シンシナティ
高校生のウィル・バートン(ガエラン・コネル)は音楽を愛し、大ファンのデヴィッド・ボウイにひたすらメッセージを送っていた。

登校したウィルは、”デューイ”と言われてからかわれながら監獄にいるような時間を過ごして帰宅する。

母カレン(リサ・クドロー)から、仕事を辞めて引っ越すと言われたウィルは、ニュージャージーに向かうことになる。

カレンと新しい家に引っ越したウィルは、マーティン・ヴァン・ビューレン高校に通い始める。

ランチの時間にウィルは、近くにいたSa5m/サム(ヴァネッサ・ハジェンズ)が気になる。

ウィルは、年に一度の音楽コンクール”バンドスラム”が開催されることを知り、その場でベン・ウィートリー(スコット・ポーター)のバンド”ベン&グローリー・ドッグス”の演奏が始まる。

Sa5mにバンドスラムのことを訊いたウィルは、彼女に挨拶する。

名前の”5”は発音しないと言われたウィルは戸惑う。

そんなウィルを、上級生のシャーロット・バーンズ(アリー・ミシェルカ)が見つめていた。
...全てを見る(結末あり)

その後ウィルは、総合学習のクラスで一緒になったSa5mと仲良くなる。

シャーロットに声をかけられたウィルは、小学校と連携した保育プログラムに誘われる。

ウィルをドライブに誘ったシャーロットは父とよく行った場所に向かい、父が病気だと伝える。

シャーロットは、ウィルが音楽に詳しく、父親が”ザ・フー”などの伴奏者で、両親は離婚した話を聞く。

ウィルは、バンドスラムで優勝するとデビューできるが、ベンのバンドには対抗できないと考えるシャーロットから、バンドを始めるので聴きに来てほしいと言われて誘われる。

バグ(チャーリー・サクストン)とオマール(ティム・ジョー)と組んだシャーロットのバンド演奏を聴いたウィルは、彼女らにアドバイスする。

バンド名が”グローリー・ドッグス”だと知ったウィルは、ベンのバンドと同じなのだが、彼らは”ベン&・・・”がついていると言われ、皆に協力することになる。

翌日ウィルは、Sa5mとシャーロットについて話し、チアリーダーで学園クイーンにもなった彼女が変貌したので警戒するようにと言われ、そのことは”ウィキペディア”にも載っていることを知る。

ウィキペディアをチェックしたウィルは、シャーロットにチアリーダーの件を尋ね、去年のことであり、今は違う人生みたいだと言われ、それが解できずに戸惑う。

ウィル、バグ、オマールと共にバイト先のレストランに向かったシャーロットは、元ボーイフレンドのベンが現れたために迷惑に思う。

バンドをやめたベンを恨んでいるシャーロットは、ウィルを無視する彼に、友人で新バンドのマネージャーであり、バンドスラムにも出場すると伝える。

帰宅したウィルは、友達ができてバンドを手伝うことをカレンに話す。

Sa5mとも親交を深めるウィルは、シャーロットと共に子供の世話をしながら、バンド活動も楽しむようになる。

ウィルは、自動車整備工場でバイトするバッシャー・マーティン(ライアン・ドノホー)をドラマーとして誘い、年上が好きな彼にカレンは姉だと言って説得する。

カレンに協力を求めたウィルは、彼女をバンドの練習に参加させ、バッシャーの気を惹く。

メンバーを増やしたウィルは、バンド名を”アイ・キャント・ゴー・オン・アイル・ゴー・オン”にする。

Sa5mとデートしたウィルはニューヨークに向かい、クラブ”CBGB”に地下から侵入して感激し、彼女との時間を楽しむ。

シャーロットからSa5mのことを訊かれたウィルは、キスするべきだと言われるものの、そのやり方が分からない。

ウィルはキスの仕方をシャーロットに教えてもらい、二人がキスする様子を見たカレンは戸惑う。

翌日の放課後、ウィルはSa5mを見晴らし台に誘い、何とかキスすることに成功し、彼女から、大学で上映される”死霊のはらわたII”に誘われる。

シャーロットと共にクラブに向かったウィルは上映会のことを忘れてしまい、彼を待っていたSa5mは苛立つ。

その件でウィルから謝罪されたSa5mは、シャーロットも一緒だったことを知り、恋していることを否定する彼に不幸を招く女だと言って警告する。

放課後にSa5mの家を訪ねたウィルは、彼女の母親と話をして、Sa5mに音楽の才能があることを知る。

音楽コンテストのビデオを見せてもらっていたウィルは、帰って来たSa5mに非難され、謝罪したいと言われても聞き入れずに追い払う。

ベンがシャーロットと寄りを戻そうとして曲を捧げる場所にいたウィルは、彼に見つかってしまう。

苛立つベンは、ウィルのことを調べようとする。

総合学習のクラスで、Sa5mとウィルは互いのことについて発表し合う。

Sa5mは、自分のことをビデオにしてくれてことに感激して、ウィルと仲直りする。

ウィルのことを調べたベンは父親の話をして、彼を軽蔑しながら”デューイ”と呼ぶ。

動揺するウィルは帰宅して部屋に閉じこもり、窓から入ってきたシャーロットに励まされる。

そこにカレンが現れ、ベッドでウィルとじゃれ合うシャーロットに、車でキスしていたことなどを追及する。

自分のことは放っておいてほしいと言うウィルは、シャーロットが帰った後で、デューイと呼ばれたとカレンに伝える。

カレンは、気落ちするウィルに、きっと素晴らしい人生が待っていると言って励ます。

その後ウィルは、Sa5mやカレンに見守られながらバンド活動を続ける。

そんな時、ウィルはシャーロットの父親が亡くなったことを知り、葬儀を終えた彼女に会いに行くものの冷たくされる。

力になりたいだけだと伝えたウィルは、バンドを抜けるつもりのシャーロットから、病気の父のために心を入れ替え、ベンとはまったく違う、自分たちのような人間と付き合ってみたかったことを知る。

実験の対象にされたと考えるウィルはショックを受けて去ろうとするが、シャーロットからデューイと呼ばれる。

ベンから話を聞いたシャーロットは、デューイの由来は”DWI/飲酒運転”だと言いながら、死が近い最愛の父のために人生を変えるのと、父の恥のために人生をごまかすのとどっちが悪いかをウィルに問う。

傷ついたウィルはその場を去り、自宅に戻った彼は携帯電話のシャーロットの番号を削除する。

その件をSa5mに話したウィルは、警告を聞かなかったことを後悔し、自分はずっと一人で不幸だと考えるものの、一人ではないと言う彼女に励まされる。

バンドのメンバーと話し合ったウィルは、シャーロットの代わりにSa5mをボーカルにしてバンドスラムに出場しようとする。

バンドスラム。
会場で手伝いをしていたカレンは、現れたシャーロットに、夫が事故で死亡させた子供の名前を伝える。

ベンから話は聞いたが、その名前を知らなかったシャーロットは、カレンから、生きていれば自分と同じくらいの年齢だと言われ、ウィルは自分の意思で葬儀に出たことを知らされる。

12歳のウィルは被害者の両親に許しを請うたにも拘らず、皆は夫を刑務所送りにして、息子に憎しみを向けたと話すカレンは、彼とは仲直りせず友達にもならず、放っておいてほしいとシャーロットに伝える。

その理由を訊かれたカレンは、もう一度、裏切られたらウィルは立ち直れないと答える。

ウィルのような男の子は初めてだと言うシャーロットは、これで終わりにしたくない、彼といる自分が好きなので謝罪したいとカレンに伝える。

シャーロットの気持ちを理解したカレンは、パスを渡して彼女を抱きしめる。

ウィルと仲間たちに謝罪したシャーロットは、皆に会いたかったと伝える。

それが真実だということを確かめたウィルは、シャーロットに激励されて出番を待つ。

ベン&グローリー・ドッグスはステージに上がり、曲をシャーロットに捧げると言うベンは、ウィルらが演奏するはずだった彼女の父”フィル”の曲を歌い始める。

シャーロットから知らなかったと言われたウィルは、仕方なく曲を変えるしかなかった。

出番になったウィルは、バンドの準備ができないために時間稼ぎを任される。

ステージ上がったウィルは、デューイとヤジられたために去ろうとするが、マイクを取り”Do we wanna ROCK?!”と叫び、バンドを紹介する。

アイ・キャント・ゴー・オン・アイル・ゴー・オンは、Sa5mがビデオで歌っていた”Everything I Own”の演奏を始める。

Sa5mの熱唱とメンバーの見事な演奏で会場は熱狂し、シャーロットとカレンは声援を送る。

結局、ウィルらは優勝を逃してしまうものの、そのパフォーマンスが話題になり、映像が”YouTube”で拡散される。

動画を見たデヴィッド・ボウイはウィルにメッセージを送り、アイ・キャント・ゴー・オン・アイル・ゴー・オンの名前が気に入りバンドを評価し、立ち上げるインディーズの契約のことで話したいと伝える。

それを知ったカレンは興奮しながら喜び、ウィルは廊下で卒倒してしまう。(デヴィッド・ボウイのアルバム”ロジャー”のジャケットのように。)

その後、シャーロットの卒業式に出席したウィルとSa5mは、愛を確かめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ニュージャージー
引っ越してきた音楽好きの高校生ウィル・バートンは、母カレンと共に新生活を始める。
心に傷を負う内気なウィルは、同じクラスになった女子生徒Sa5mが気になる存在となり友達になる。
別の女子生徒シャーロットからも声をかけられたウィルは、彼女が始めるバンドへの協力を求められてマネージャーになる。
Sa5mとも親交を深めるウィルは、年に一度の音楽コンクール”バンドスラム”に向けてバンド活動も続けるのだが・・・。
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テレビ、映画で俳優として活躍していたトッド・グラフが、脚本を兼ねて監督した作品。(監督としては2作目)

どこにでもある単純なスクール・コメディではなく、辛い経験をしてそれを引きずりながら生きる少年が、様々な出会いや母親の愛情により成長していく姿が、活き活きとした高校生活と共に描かれた作品。

主人公が、異なった性格の二人の女子生徒と親交を深めていく過程が、実に興味深く描かれている。

苦しみ、悲しみ、喜びを分かち合える親友、恋人、家族との絆が深く、そして爽やかに描かれ、観終わった後で心地良い気分になれる快作に仕上がっている。

一般の評価は平均的であり、興行的にも成功した作品とは言えなかったものの、批評家からは高評価を受けた。

主演のガエラン・コネルは、父親の犯した罪への憎しみを周囲から自分に向けられ苦しむものの、新たな出会いなどを経て成長していく少年を好演している。

主人公と親交を深めるバンド・メンバーのアリー・ミシェルカ、主人公と惹かれ合う仲になる個性的な少女ヴァネッサ・ハジェンズ、主人公の成長を見守る母親を印象的に演ずるリサ・クドロー、主人公のライバル・バンドのリーダー、スコット・ポーター、主人公のバンド仲間チャーリー・サクストンライアン・ドノホーティム・ジョー、リサ・チョン、エルビー・ヨスト、主人公が憧れるミュージシャンとして、本人役でクライマックスに登場するデヴィッド・ボウイなどが共演している。


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