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バターンを奪回せよ Back to Bataan (1945)

太平洋戦争下のフィリピンで劣勢のアメリカ軍と地元民で組織されたゲリラ部隊の戦いを描く、監督エドワード・ドミトリク、主演ジョン・ウェインアンソニー・クインビューラ・ボンディ他共演の戦争ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest
アンソニー・クイン / Anthony Quinn / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:エドワード・ドミトリク
製作:ロバート・フェローズ
原作
イーニアス・マッケンジー
ウィリアム・ゴードン
脚本
ベン・バーズマン
リチャード・H・ランドー
撮影:ニコラス・ムスラカ
編集:マーストン・フェイ
音楽:ロイ・ウェッブ

出演
ジョセフ・マッデン大佐:ジョン・ウェイン
アンドレス・ボニファシオ大尉:アンソニー・クイン
バーサ・バーンズ:ビューラ・ボンディ
ダリセイ・ダルガド:フェリー・フランケリ
ハスコ少佐:リチャード・ロー
黒木大佐:フィリップ・アーン
ベネッサ軍曹:アレックス・ハヴィエル
マキシモ・クエンカ:ダッキー・ルーイ
ウェイト中佐:ローレンス・ティアニー
本間将軍:レオナルド・ストロング
ビンドル・ジャクソン:ポール・フィックス
日本軍将校:アブナー・ビーバーマン
ブエナベントゥラ・ベーリョ校長:ウラディーミル・ソコロフ
ジョナサン・ウェインライト将軍:ジョン・ミルジャン

アメリカ 映画
配給 RKO Radio Pictures
1945年製作 95分
公開
北米:1945年5月31日
日本:1966年12月13日
北米興行収入 $2,490,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1945年1月30日、フィリピンルソン島
カバナチュアン日本軍捕虜収容所を襲撃したアメリカ陸軍レンジャーは、捕虜を救出する。

指揮官のアンドレス・ボニファシオ大尉(アンソニー・クイン)は、捕虜を移動させて敵の先発隊を倒して退避する。

3年間捕虜となっていた兵士は、人々に歓迎される。
__________

1942年。
バターン半島で戦うフィリピン軍は、20万の日本兵を相手に10日間抵抗していた。

アメリカ陸軍ジョナサン・ウェインライト将軍(ジョン・ミルジャン)は、日本軍が流すラジオ放送のダリセイ・ダルガド(フェリー・フランケリ)のアナウンスを聴く。

劣勢のウェインライトは、前線のジョセフ・マッデン大佐(ジョン・ウェイン)に連絡し、厳戒態勢を敷き待機するようにと伝える。
...全てを見る(結末あり)

恋人のダリセイが日本側に協力しているために心を痛めるボニファシオは、自分を心配してくれるマッデンから、気持ちは分かると言われるものの、勝手に攻撃をしたことを責められる。

敵の総攻撃を知らされたマッデンは、厳戒態勢をとることをボニファシオに指示して陣地に戻る。

味方の戦闘機に攻撃されたマッデンは、指揮官に連絡を入れて抗議するものの、敵を狙ったと言われる。

大軍が押し寄せていると言われたマッデンは、それを確かめるために自分で調べに行こうとする。

前線の凄まじい戦いを確認したマッデンは部隊に戻り、ダリセイのラジオを聴き苛立つボニファシオを落ち着かせて、戦死した指揮官の部隊を任せる。

その後、本部に向かいウェインライトと話したマッデンは、ゲリラ部隊を組織してもらうと言われるものの、部下と別れる気はなかった。

マッカーサー司令官がオーストラリアに脱出したことを知らされたマッデンは、命令に従うしかないと考え、事態打開のために最善を尽くすとウェインライトに伝える。

フィリピン兵で部隊を組織することを知らされたマッデンは、部下に別れを告げる時間もない上に、情報はダリセイのラジオから収集するようにと言われる。

耳障りな放送を聴きたくないマッデンだったが、自分たちを守るために、ダリセイは敵内部の情報を伝えていることを知らされる。

それを聞いて安心したマッデンは、ウェインライトから、マッカーサーとラジオ放送の件は、ここだけの話にしてほしいと言われる。

日本軍司令官の本間将軍(レオナルド・ストロング)と話し合ったダリセイは、更に厳しい内容で放送してほしいと言われる。

日本人はフィリピン人を家族のように思っているが、こちらの考えを受け入れようとしないと言う本間は、考慮してくれればいつでも歓迎するとダリセイに伝える。

その話を好意的に受け入れる考えのダリセイに、本間は、従わない場合は容赦はしないと付け加える。

バリンタワク公立学校。
”本日から、校舎が日本軍の宿舎になるため、午後からは休校する”というブエナベントゥラ・ベーリョ校長(ウラディーミル・ソコロフ)のメッセージが掲示板に貼られていた。

アメリカ人教師バーサ・バーンズ(ビューラ・ボンディ)は、ベーリョが見守る中、最後の授業を行う。

そこに、日本軍将校(アブナー・ビーバーマン)が現れる。

部下のベネッサ軍曹(アレックス・ハヴィエル)と共にフィリピン兵と合流したマッデンは、兵士はクルス伍長だけで、あとは民間人であることを知る。

武器はナタだけだということを確認したマッデンは、400~500人の敵に対抗すると皆に話し、今後はべネッサに従うようにと伝える。

料理担当のビンドル・ジャクソン(ポール・フィックス)から、人数が少な過ぎると言われたマッデンは、任務成功の可能性を訊かれ、五分五分だと答えるしかなかった。

将校から星条旗を下ろすことを強要されたベーリョは、それを拒む。

ベーリョが首にロープをかけられたため、少年マキシモ・クエンカ(ダッキー・ルーイ)が将校に襲い掛かる。

マキシモは兵士に銃で殴られ、バーンズから指示に従うように言われても拒んだベーリョは、旗竿に吊るされる。

出発しようとしたマッデンは、現れたバーンズから、校長のベーリョが日本兵に殺されたことを知らされる。

バーンズから、将校を罰するようにと言われたマッデンは、飛行場を奇襲する任務があるので村には行けないと伝えて出発しようとする。

マッデンを非難したバーンズは、碑文を覚えてほしいと言って”最期を迎えるのはどこでも構わない、死刑台または原野、戦場、祈りを行う場所でも・・・”という、フィリピンの英雄ホセ・リサールが処刑の前夜に残した言葉を、ベーリョの墓に刻むことを要望する。

飛行場に近づいたはずのマッデンは、捕虜を移動させる日本兵が、弱った者を容赦なく殺害する様子を目撃する。

バターンが陥落したことを知ったマッデンは、隊員から、戦えるアメリカ兵がいない現状での任務遂行は無理だと言われる。

英雄アンドレス・ボニファシオの招集なら応じるかとフィリピン人の隊員に訊いたマッデンは、彼の孫は生きていることを知らせて、移動する列の中にいることを伝える。

ボニファシオを確認したマッデンらは、日本兵をおびき寄せて殺し、軍服を奪ったべネッサが列に戻る。

助けが来たことを知らされたボニファシオは、気分が悪くなったフリをして倒れる。

日本兵に扮したべネッサが、ボニファシオを殺したように見せかける。

助けられたボニファシオをバーンズの元に連れて行ったマッデンは、英雄ボニファシオの孫だと彼女に伝えて介抱してもらう。

マッデンは、戦いはまだ終わっていないと人々に伝えることと、武器を敵から奪うことを補充人員に指示する。

バーンズが避難する気がないため、マッデンは、村に行くのでベーリョの碑文を用意してほしいと伝える。

学校を襲撃したマッデンらは、将校を捕らえて吊るし、ベーリョを埋葬する。

ベーリョの墓には、”最期を迎えるのはどこでも構わない、死刑台または原野、戦場、祈りを行う場所でも・・・”と言う碑文が約束通り刻まれた。

回復するものの何も食べようとしないボニファシオのことを心配するバーンズは、マッデンから、彼が複雑な女性関係で悩んでいることを知らされる。

マキシモがラジオを探して来たことを知ったジャクソンは、皆と共にダリセイの放送を聴く。

父が殺されたことを知ったマキシモは悲しみ、マッデンは彼を慰める。

コレヒドール島のアメリカ軍が日本に降伏したことを知ったマッデンは、負けを認めるボニファシオに、祖父は諦めなかったことを伝える。

自分だけが助かったことを気にするボニファシオは、名前を利用し戦わせるための価値しかない男だと嘆きながら、アメリカ軍の戦力の状況をマッデンに尋ねる。

苛立つボニファシオは、言い過ぎたことをマッデンに謝罪し、辛い気持ちを伝える。

マッデンから、マニラに向かい僧侶に扮し、修道院で情報を入手することを指示されたボニファシオは、それに従う。

マニラ
懺悔室で情報を受け取るボニファシオは、相手がダリセイだと知り驚く。

一目ダリセイの顔が見たいと思うボニファシオは、監視されていると言われるものの、裏の公園で会うことになる。

監視されながらダリセイと話したボニファシオは、戦い抜く考えを変えない彼女に再会を求めるが、危険なので自分が会いに行くと言われる。

マッデンの元に戻ったボニファシオは、ダリセイのことを話さなかった彼を責める。

上からの命令だと言われたボニファシオは、勝てる見込みが低ければ考えて行動するべきだとマッデンに伝える。

戦うために戻ったと言うボニファシオは、自分の名を利用して仲間を死なせないでほしいとマッデンに伝える。

それなら自分たちで戦うと伝えたマッデンだったが、勝算はあるとボニファシオに伝えて微笑む。

その後、待機するようにというオーストラリアからの指示を受けたマッデンは、戦いに備える。

その間、現地民は、日本兵を襲い武器などを奪う。

反攻の実態を把握できない本間は苛立ち、部下のハスコ少佐(リチャード・ロー)から状況を聞く。

ダリセイを呼んだ本間は、市民がゲリラを支援している理由を尋ね、国民が独立を強く望んでいることを知る。

独立記念式典を盛大に行う考えを知らされたダリセイは、バリンタワクで行うことを提案し、賛成した本間は黒木大佐(フィリップ・アーン)にそれを任せる。

出発する部隊に同行するバーンズは、マキシモに生徒たちの世話を任せて残るよう指示するが、彼は納得しない。

マキシモと話したマッデンは、心配するバーンズの気持ちを伝えて、兵士になりたいと言う彼に大佐の階級章を渡し、指示に従うよう説得する。

バリンタワク。
記念式典が始まり、日本軍によりフィリピンの独立が宣言されるが、その様子を監視していたマッデンらが攻撃を仕掛ける。

マイクに向かったダリセイは、本心を語ると言って、口だけの独立は無視して戦うことを国民に促す。

ボニファシオはダリセイを救い出し、日本軍は反撃しようとする。

式典に参加していたマキシモは捕らえられ、彼を殴った黒木大佐は、大佐の階級章を持っていることを確認する。

ゲリラ部隊のことを聞きだそうとした黒木は、マキシモを痛めつける。

観念したマキシモは、アジトに案内すると言ってトラックに乗る。

移動するゲリラ部隊を見つけてハスコ少佐だったが、マキシモが運転を妨害してトラックは崖から落ちる。

その場に向かったマッデンらは、敵を倒してマキシモを救い出し、バーンズは瀕死の彼に話しかける。

階級章を奪われたと言うマキシモは、別のものをマッデンから渡され、”自由”のスペルも覚えられなかったことをバーンズに謝罪して息を引き取る。

その後、オーストラリアからの指示を受けたマッデンは、手分けをして移動し、自軍の潜水艦が来るレイテ島北部で合流することをボニファシオに伝える。

その後、数か月間、戦いながら南に向かった部隊は、敵の施設を破壊する。

東京の空襲、ミッドウェーガダルカナルの戦い他でアメリカ軍は勝利し、部隊の心には”レイテ島”という合言葉が刻まれた。

海岸に着いたボニファシオは、オーストラリアに向かったマッデンが直に戻ることを知らされる。

多くの市民が待機している様子に驚いたボニファシオは、潜水艦を待ち、ここで何かが起きると噂されていることを知り動揺する。

間もなく潜水艦が現れ、上陸したマッデンは物資を運ばせる。

ボニファシオらを連れて陸軍航空軍のウェイト中佐(ローレンス・ティアニー)の元に向かったマッデンは、約束した通りアメリカ軍は戻ると言う彼の話を聞く。

マッデンは、10月20日午前10時にレイテ島に上陸することを伝え、ウェイトは、海軍の砲撃に備え周辺住民を避難させたいことをボニファシオらに伝える。

上陸させるためなら避難はいらないと言うボニファシオに、マッデンは、上陸を知った敵の移動を阻止するために道路を封鎖することを伝える。

敵の武器庫を奇襲するというボニファシオらの考えに驚くウェイトに対しマッデンは、任務は必ず遂行すると本部に伝えることを要請する。

水田地帯の敵の部隊を襲撃したマッデンらはその場を制圧し、武器弾薬などを奪い橋に爆薬を仕掛ける。

村に向かったバーンズは、学校を再開しようとする。

アメリカ軍の上陸作戦は始まり、マッデンらは敵の移動を阻止しようとする。

激しい攻防の中、マッデンは援軍の到着を喜ぶ。

先頭を終えたボニファシオはダリセイの元に向かい、二人は抱き合う。

自由の土地の土をダリセイに見せるボニファシオは、マッデンから、土はまだたくさんあるので、傷の手当てをするようにと言われる。
__________

映像には、カバナチュアン日本軍捕虜収容所から解放された兵士たちの行進が映し出される。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1942年、太平洋戦争下、フィリピン
劣勢のアメリカ軍の最高司令官ダグラス・マッカーサーは、オーストラリアに脱出する。
残留軍司令官のウェインライト将軍から、ゲリラ部隊を組織することを命ぜられたアメリカ陸軍レンジャーのジョセフ・マッデン大佐は、自由を勝ち取るために戦おうとする地元民たちと準備を始める。
独立の英雄である”アンドレス・ボニファシオ”の孫でマッデンの部下ボニファシオ大尉は、日本軍に協力しラジオのアナウンスする恋人のダリセイのことで心を痛めていた。
バターンが陥落しコレヒドール島アメリカ軍も降伏したことを知ったマッデンは、戦いを諦めようとする地元民の意見を聞く。
マッデンは、独立の英雄孫である部下のボニファシオのためなら地元民が戦えると考え、彼を救出するのだが・・・。
__________

太平洋戦争下のフィリピン、劣勢のアメリカ軍と地元民で組織されたゲリラ部隊の戦いを描く戦争ドラマ。

本作が公開されたのが1945年の5月31日であり、ヨーロッパでは終戦直後、沖縄戦の最中だったことに注目したい。
撮影とほぼリアルタイムで起きた戦地の映像なども興味深い。

バターン死の行進”をはじめ、日本軍の残虐性を強調した場面が多々あり、当然、日本での公開はされずに、初公開は21年後の1966年だった。
日本を蔑視した表現が多くある内容ではあるが、長い支配下のフィリピンの独立には協力しようとする日本側の考えなども描く、エドワード・ドミトリクの細やかな演出も見逃せない。

大規模なアメリカ軍の軍事行動を描く作品ではなく、アメリカ陸軍レンジャーと地元民で組織するゲリラ部隊の戦いが主な内容となっている。

撮影当時37歳の主演のジョン・ウェインは、アジア人の中で一際体格がよく、若くして貫禄十分であり、アメリカ軍残留部隊の指揮官を見事に演じている。
大佐が分隊の指揮官であるのはやや疑問だが・・・。

主人公の部下を演ずるアンソニー・クインは、恋人(フェリー・フランケリ)が日本軍の協力者(実はスパイ)であることで心を痛める、独立の英雄である”アンドレス・ボニファシオ”の孫を好演している。

厳しい環境下でも気丈に振舞い、主人公にも説教する現地の学校のアメリカ人教師を印象的に演ずるビューラ・ボンディ、日本軍の少佐リチャード・ロー、大佐フィリップ・アーン、司令官の将軍レオナルド・ストロング、将校のアブナー・ビーバーマン、勇敢に戦う現地の少年ダッキー・ルーイ、アメリカ陸軍航空軍の中佐ローレンス・ティアニージョン・ウェインの盟友であり、彼の作品に多く出演する、主人公の部下で食事係のポール・フィックス、地元の学校の校長ウラディーミル・ソコロフジョナサン・ウェインライト将軍のジョン・ミルジャンなどが共演している。


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