1931年に発表された、ファニー・ハーストの小説”Back Street”を基に1932年に公開された「裏街」のリメイク。 最初の出会いで結婚のチャンスを逃し既婚者となった銀行家と服飾デザイナーの許されぬ恋を描く、監督ロバート・スティーヴンソン、主演シャルル・ボワイエ、マーガレット・サラヴァン、リチャード・カールソン、フランク・マクヒュー、ティム・ホルト他共演の恋愛ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・スティーヴンソン
製作:ブルース・マニング
原作:ファニー・ハースト”Back Street”
脚本
ブルース・マニング
フェリックス・ジャクソン
撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
編集:テッド・J・ケント
音楽:フランク・スキナー
出演
ウォルター・ルイス・サクセル:シャルル・ボワイエ
レイ・スミス:マーガレット・サラヴァン
カート・スタントン:リチャード・カールソン
エド・ポーター:フランク・マクヒュー
リチャード・サクセル:ティム・ホルト
ハリー・ナイルズ:フランク・ジェンクス
スミス夫人:エスター・デイル
フェリックス・ダーレン:サミュエル・S・ハインズ
フリーダ・スミス:ペギー・スチュワート
エリザベス・サクセル:ネル・オデイ
ディリング夫人:キティ・オニール
コリンヌ・サクセル:ネラ・ウォーカー
ブレイク:チャールズ・レイン
ミラー夫人:セシル・カニンガム
アダムス夫人:マージョリー・ゲイトソン
ミス・エヴァンス:デイル・ウィンター
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1941年製作 89分
公開
北米:1941年2月7日
日本:1951年1月10日
製作費 $675,000
■ アカデミー賞 ■
第14回アカデミー賞
・ノミネート
ドラマ音楽賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
20世紀初頭、シンシナティ。
快活で人気者のレイ・スミス(マーガレット・サラヴァン)は、自動車作りに没頭し苦労するボーイフレンドのカート・スタントン(リチャード・カールソン)に協力し励ましていた。
義母(エスター・デイル)が経営する店に戻ったレイは、嫌味を言われるものの気にしない。
ホテルの展示会に向かったレイは、セールスマンらと楽しい時間を過ごし、ハリー・ナイルズ(フランク・ジェンクス)に誘われるものの相手にしない。
レイは、エド・ポーター(フランク・マクヒュー)にも誘われ断るものの、気のいい彼には優しく接する。
駅でレイに見送られたエドは、列車から降りる銀行家ウォルター・ルイス・サクセル(シャルル・ボワイエ)に気づき挨拶する。...全てを見る(結末あり)
魅力的なウォルターが気になるレイは、旅立つエドから彼を紹介される。 帰ろうとしたレイは、ウォルターから食事に誘われてレストランに向かう。 意気投合した2人は話が弾み、その後、港に向かい、ウォルターはルイヴィル行きの蒸気船に乗ろうとする。 2人は惹かれ合い、ウォルターは船に乗らずにレイにキスする。 その後ウォルターは、数日ホテルに滞在する。 ピクニックに出かけるレイは、カートが車作りを諦めてデトロイトに行くことを知り、数年で戻ると言う彼と友好的に別れようとする。 数日で自分が変わったと言われて戸惑うレイは、カートに別れを告げる。 ウォルターと出かけたレイは、彼からルイヴィルに婚約者がいることを知らされる。 翌日、出発しようとしたウォルターは、レイに電話をして港に呼ぶ。 ハリーと出かける約束をしていたレイは、他の用事ができたと言いながらも港に送ってもらう。 娘のフリーダ(ペギー・スチュワート)と共に2人を見かけたスミス夫人は、レイに呆れてしまう。 牧師を呼び船上で結婚する準備をするウォルターは、店に電話をするものの、スミス夫人から、レイがセールスマンと出かけたことを知らされる。 ハリーが違う方向に向かったために馬車を降りたレイは、港に着くものの船は出港した後だった。 5年後、ニューヨーク。 雪が降る中、帰宅しようとするウォルターは、偶然レイに出くわす。 再会を喜ぶウォルターは、レイが5年前から街で暮らし、企業で既製服のデザインの仕事をしていることを知る。 レイは、息子がいると言うウォルターから食事に誘われ、付き合うことにする。 ウォルターから、5年前に港に来なかった理由を訊かれたレイは、牧師を呼んだ彼が船上で結婚するつもりだったことを知り驚く。 レイは間に合わなかった理由を話し、ウォルターは、それを知っていればすべてが変わっていただろうと彼女に伝える。 二度と会わない方がいいと考えるレイだったが、ウォルターは再会を運命と考え、彼女と別れる気はなかった。 その後、ウォルターとの関係を続けたレイは、下宿の大屋ミラー夫人(セシル・カニンガム)にそのことを非難され、追い出されてしまう。 ウォルターと部屋を探したレイは、ディリング夫人(キティ・オニール)の下宿を借りることにする。 ディリング夫人からスミス夫妻と言われたレイは戸惑うが、ウォルターはそう呼ばれたことを喜ぶ。 その後、コリンヌの話題になり、離婚のことも口にしたウォルターだったが、レイは、彼がすべてを失うたと考えてそれを望まなかった。 ある日レイは、訪ねて来たエドを歓迎し、この部屋に移り1年暮らしていることを伝える。 エドに既婚者と付き合っていることを知られてたレイは、会社を辞めたことを話す。 レイが男に養われていることを知ったエドは、間違った選択だと言って彼女を気遣う。 レイを傷つけてしまったと思ったエドは謝罪し、既製服の会社を経営するシカゴの友人に紹介することを提案するものの、彼女はこの街を離れる気はなかった。 ニューイヤーズ・イヴ。 レイは、ウォルターのことを考えながら部屋で待っていた。 フェリックスと話をしたウォルターは、ヨーロッパの責任者にすると言われ、コリンヌと共に行くのが条件だったために戸惑う。 ウォルターの愛人に気づいていたフェリックスは、夫婦関係を元に戻すのが目的だった。 レイは、ようやく現れたウォルターから、銀行の役員になったことを知らされる。 ウォルターはヨーロッパに行くことを話し、一緒にいたいと言うレイに、コリンヌが同行すると伝える。 本当は一緒にいたいと言うウォルターの気持ちを知ったレイは、納得する。 その後レイは、ヨーロッパの各地から手紙をよこすウォルターの帰国を待っていた。 ウォルターから頼りが届かなくなり心配になったレイは、訪ねて来たカートとの再会を喜ぶ。 自動車会社の共同経営者となったカートは、製造している車をレイに見せて、彼女と楽しい時間を過ごす。 レースのためにニューヨークに来ていたカートは、自社の車が優勝したために、レイの応援に感謝する。 カートに送ってもらったレイは、手紙で求婚するので返事がほしいと言われて彼と別れる。 下宿のポストに何もないことを確認したレイは、部屋にウォルターがいたために驚く。 レイは、ウォルターが帰国しても直ぐに連絡をくれなかったことを疑問に思い、スペインで娘が生まれたことも知りショックを受ける。 ウォルターが自分を大切に思っていることは理解するレイだったが、以前とは彼が変わってしまったと感じがする。 カートに電報を送ったレイは、シンシナティに戻る。 スミス夫人に生地を売り込んでいたエドは、戻っていたレイとの再会を喜び、彼女がデトロイトでカートと結婚することを知る。 エドは、レイがニューヨークの男とは別れて、彼に結婚のことを話していないことを知り、彼女を駅に送る。 エドは、電話ボックスから出てきたウォルターに挨拶し、以前レイをこの駅で紹介したことを思い出す。 ウォルターがレイに会いに来たことを知ったエドは2人の関係に気づき、彼女をホームに送ろうとする。 それをレイに拒まれたエドは、ウォルターに彼女が青年と結婚することを伝える。 エドはその場を去り、結婚することを話したレイは、ウォルターから幸せになってほしいと言われ、到着した列車に乗ろうとする。 どうすればいいか分からなくなったレイは、行かせたくないと言うウォルターに抱き寄せられ、彼女を乗せないまま列車は出発する。 1928年、ニューヨーク。 記者ブレイク(チャールズ・レイン)らの質問を受けたウォルターは、客室に向かう。 乗客のウォルターのアダムス夫人(マージョリー・ゲイトソン)は、公然の秘密であるウォルターの愛人レイが乗船する姿を見つめる。 それを知るリチャードとエリザベスも、レイのことが気になり、何とかしようと考える。 ウォルターとレイは人目を避けて言葉を交わし、リチャードとエリザベスは、その姿を目撃する。 下船したウォルターとレイは、ホテルで密会する。 カジノで楽しんでいたレイは、リチャードとエリザベスに見つめられ、居たたまれなくなり部屋に戻る。 そこにリチャードが現れ、レイは、母以外の者は父との関係を知っていると言われて非難される。 これ以上、自分たち家族に近づかないでほしいとレイに警告したリチャードは、エリザベスの結婚の障害にならぬよう、父から離れるべきだと言って声を荒げる。 そこに現れたウォルターは、リチャードにレイとの出会いと25年間のことを話す。 ココは自分の場所であり追い出すことはできないと言うウォルターは、リチャードに出て行くようにと指示する。 自分たちは犠牲になったと言うリチャードは、ウォルターとレイを非難してその場を去る。 ウォルターのことを気遣うレイは、使節団長を解任されたとことを知り、自分たちの関係が問題になったと考える。 自分に責任があると思い後悔するレイは、離れないでほしいと言うウォルターに、そばにいると伝える。 ウォルターは、リチャードがレイに話したことを気にしながら、疲れた様子で立ち去る。 翌朝レイは、届けられた新聞記事で、ウォルターが心臓麻痺で倒れたことを知る。 リチャードと2人になったウォルターは、ある部屋に電話をかけてもらう。 それがレイの部屋だと気づいたリチャードは、ウォルターの耳に受話器を近づける。 レイの名前を呼んだウォルターは、静かに息を引き取る。 リチャードは受話器を置いて医師を呼び、その様子が聴こえたレイは、ウォルターが亡くなったことを知る。 レイは、1人にしないでほしいと話をしようとするが、リチャードは電話を切る。 その後リチャードは、ニューヨーク行きのチケットを渡すためにレイの部屋を訪ねる。 レイの具合が悪いことに気づいたリチャードは、医師を呼びに行く。 ウォルターの写真に語りかけるレイは、リチャードが優しくしてくれたことを話し、彼が自分たちの息子になっていたかもしれないと考える。 レイは、あの日、自分が船に乗り、船上で皆に祝福されながらウォルターと結婚することを思いながら息を引き取る。
頭取の叔父フェリックス・ダーレン(サミュエル・S・ハインズ)に呼ばれたウォルターは、妻コリンヌ(ネラ・ウォーカー)の話になる。
レイの元に向かおうとしたウォルターは、フェリックスらが訪ねて来たために出かけられなくなる。
政府の使節としてヨーロッパに向かうウォルターは、客船の船長に妻コリンヌと娘エリザベス(ネル・オデイ)、そして息子リチャード(ティム・ホルト)を紹介する。
*(簡略ストーリー)
20世紀初頭、シンシナティ。
快活で人気者のレイは、自動車作りに没頭するボーイフレンドのカートに協力し励ましていた。
そんなレイは、ニューヨークの銀行家ウォルター・ルイス・サクセルに出会い恋に落ちる。
婚約者に会いに行く途中だったウォルターは、レイのことが諦められず、乗船する船の上で彼女と結婚しようとする。
船で旅立つウォルターに呼び出されたレイは遅れてしまい、彼に会うことはできなった。
5年後、2人はニューヨークで再会し、レイはウォルターが結婚したことを知るのだが、2人の愛は再燃する・・・。
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ファニー・ハーストの小説”Back Street”を基に1932年に公開された「裏街」のリメイク。
最初の出会いで結婚のチャンスを逃し既婚者となった銀行家と服飾デザイナーの許されぬ恋を描く恋愛ドラマ。
後にディズニー映画作品の多くを手掛けるロバート・スティーヴンソンが監督し、人気スターのシャルル・ボワイエとマーガレット・サラヴァンの主演が話題になった。
ロバート・スティーヴンソンの繊細な感情表現と人物描写が見どころの作品でもある。
男性に人気のある快活な女性の恋がコメディ・タッチの雰囲気で展開し、既婚者と愛人の関係がやや重苦しく描かれる中盤から、愛を貫き通した末の悲劇的なメロドラマとして終わる。
何度か幸せになるチャンスを逃してしまうヒロインの、悲しい人生が切なく描かれ、主人公の写真の前で、彼と結ばれることを思い描きながら息を引き取るラストは涙を誘う。
フランク・スキナーのドラマチックな音楽が印象的であり、第14回アカデミー賞ではドラマ音楽賞にノミネートされた。
主演のシャルル・ボワイエとマーガレット・サラヴァンは、許されぬ恋と知りながら愛を貫き通す銀行家と、彼を愛するために人生を捧げる女性を好演している。
自動車作りに没頭するヒロインのボーイフレンド、リチャード・カールソン、ヒロインを気遣うセールスマンのフランク・マクヒュー、ヒロインを恨む主人公の息子ティム・ホルト、ヒロインに惹かれるセールスマンのフランク・ジェンクス、ヒロインの義母エスター・デイル、その娘ペギー・スチュワート、主人公の叔父である銀行の頭取サミュエル・S・ハインズ、主人公の娘ネル・オデイ、ヒロインの下宿の大屋キティ・オニール、主人公の妻ネラ・ウォーカー、新聞記者チャールズ・レイン、ヒロインが追い出される下宿の大屋セシル・カニンガム、主人公とヒロインの悪い噂話をする船の乗客マージョリー・ゲイトソンとデイル・ウィンターなどが共演している。