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巴里の女性 A Woman of Paris (1923)

すれ違う恋に悩む男女を描く、製作、監督、脚本チャールズ・チャップリン、主演エドナ・パーヴァイアンスカール・ミラーリディア・ノットアドルフ・マンジュー他共演のドラマであるサイレント作品。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:チャールズ・チャップリン

製作:チャールズ・チャップリン
脚本:チャールズ・チャップリン
撮影
ローランド・トザロー
ジャック・ウイルソン
編集
モンタ・ベル
チャールズ・チャップリン
音楽
ルイス・F・ゴットシャルク
フリッツ・スタールバーグ
チャールズ・チャップリン(1976)

出演
マリー・サン・クレール:エドナ・パーヴァイアンス
ジャン・ミレ:カール・ミラー
ピエール・ルヴェル:アドルフ・マンジュー
マリーの父親:クラレンス・ゲルダート
ジャンの母親:リディア・ノット
ジャンの父親:チャールズ・K・フレンチ
フィフィ:ベティ・モリッシー
ポーレット:マルヴィナ・ポロ
ウェイター長:ヘンリー・バーグマン(クレジットなし)
荷物を運ぶ男:チャールズ・チャップリン(クレジットなし)

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1923年製作 82分
公開
北米:1923年9月26日
日本:1924年10月16日
製作費 $351,000
世界 $11,230


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
フランスの田舎町。
不幸な家庭の犠牲者となったマリー・サン・クレール(エドナ・パーヴァイアンス)は、継父(クラレンス・ゲルダート)に交際を禁じられている恋人ジャン・ミレ(カール・ミラー)との駆け落ちを決意する。

父に部屋のドアの鍵をかけられたマリーは、外で待つジャンにそれを伝え、窓から出て彼と通りを歩きながら話をする。

それに気づいた父親は、マリーの部屋の窓を閉めて、入り口に鍵をかけてしまう。

ジャンから、昼にはパリに着き結婚できると言われたマリーは部屋に戻ろうとするが、窓は閉められ入り口も開けることができない。

出てきた父親に追い払われたジャンは、マリーを家に連れて行く。
...全てを見る(結末あり)

父(チャールズ・K・フレンチ)から、マリーを連れて出て行くようにと言われたジャンは、口論となり憤慨し、彼女を連れてその場を去る。

マリーを駅に送ったジャンは、支度をして戻ると彼女に伝えて家に向かう。

戻ったジャンを迎えた母親(リディア・ノット)は、マリーと真剣に愛し合っているジャンのことを許すよう夫を説得する。

話を聞き入れるつもりがない父だったが、ジャンのための金を妻に渡す。

母に別れを告げて、金を受け取ろうとしないジャンは、父と話すよう説得されて居間に向かう。

父が亡くなったことに気づいたジャンと母親は驚き、そして悲しむ。

医師に連絡したジャンはマリーからの電話を受け、問題が起きたのでパリ行きは延期しなければならないと伝える。

医師が到着したためにジャンは受話器を置き、マリーは、彼の気が変わったと思い電話を切る。

医師を迎えて受話器を取ったジャンは、マリーが電話を切ったことに気づく。

絶望したマリーは、到着した汽車に乗りパリに向かう。

1年後、パリ
富豪の実業家でプレイボーイのピエール・ルヴェル(アドルフ・マンジュー)の愛人となったマリーは、優雅な日々を送っていた。

マリーとレストランに着いたピエールは、ウェイター長(ヘンリー・バーグマン)と共に厨房に向かいシェフを紹介され、テーブルに戻り食事を楽しむ。

翌朝、訪ねて来た友人のフィフィ(ベティ・モリッシー)に起こされたマリーは、彼女が一晩中、起きていたことを知る。

一方、別の女性と自分の婚約の記事を確認したピエールは、マリーに電話をして夕食に誘う。

マリーを訪ねた友人のポーレット(マルヴィナ・ポロ)は、フィフィにピエール婚約の記事を見せる。

それを知ったマリーは気にする様子もなく、その場を去るフィフィとポーレットを見送る。

記事が気になるマリーは、考え込む。

その夜、出かける気になれないと言うマリーと、婚約の記事について話し合ったピエールは、納得しない彼女に、明日また来ると伝えてその場を去る。

カルチエ・ラタン
友人のアパートでパーティーを開いていたポーレットは、マリーに電話をして誘い場所を教える。

その場に着いたマリーは、右か左かどちらの入り口か分からなくなり、向かった部屋に入ろうとする。

出てきた男性がジャンだったためにマリーは驚き、母親と暮らす彼が画家になったことを知る。

ジャンに肖像画を描くことを依頼したマリーは、彼にアパートの住所を知らせてその場を去る。

翌朝、マリーのアパートにいたポーレットは、訪ねて来たジャンを気にしながら立ち去る。

ジャンを歓迎したマリーは肖像画の打ち合わせを始め、彼の喪章に気づき、そのことを尋ねる。

マリーは、自分が去った日にジャンの父親が亡くなったことを知る。

勘違いして去ったことで心を痛めるマリーは、訪ねて来たピエールから、部屋にいるジャンのことで皮肉を言われ、説明しても理解してもらえないだろうと伝える。

結論を急ぎ過ぎると言われたマリーは、注意するようにと助言するピエールを見送る。

マリーに肖像画の衣装を確認したジャンも、その場を去る。

かつてを思い出すマリーに愛を伝えたジャンは、彼女にプロポーズし、二人は部屋を出る。

買い物から戻り、二人の話を聞いていたジャンの母親は、今後のことを考えながら悩む。

マリーは、ジャンとの結婚か、ピエールの愛人として優雅な暮らしをするかの選択を迫られる。

ピエールに不満を訴えるマリーは、ネックレスを窓から投げ捨ててしまう。

それを浮浪者が拾ったために追いかけたマリーは、ネックレスを取り戻して男に金を渡す。

その滑稽な様子を見て、ピエールは笑ってしまう。

戻って来たマリーが、結婚を望むジャンを愛していると言っても信じないピエールは、その場を去る。

マリーがまともな女性だと思えないと言う母に、結婚を反対されたジャンは苛立つ。

しかし、涙して悩む母を気遣うジャンは、マリーとは結婚しないことを伝える。

そこに現れたマリーは二人の話を聞いてしまい、ジャンは彼女に気づく。

意志の弱いジャンに失望したマリーは、その場を去る。

その夜、ピエールはポーレットと過ごし、フィフィは二人が気になる。

ポーレットをアパートまで車で送らせたピエールは、歩いて自宅に戻る。

ジャンが通りにいることをメイドから知らされたマリーは、ピエールに電話をする。

二人は、明日の夕食を共にすることを約束して電話を切る。

マリーの部屋の窓を見つめることしかできないジャンは、諦めてアパートに戻り、考え込みながら眠る。

翌朝マリーは、現れたフィフィから、昨夜のピエールとポーレットのことを知らされる。

そこにポーレットが現れ、別室で彼女から、昨夜のことは内緒だと言われたフィフィは、当然だと答える。

今夜もピエールと食事の約束があると言われたフィフィは、マリーの元に向かいそれを伝える。

ポーレットの前でピエールに電話をかけたマリーは、夕食の時間を確認する。

それを気にしながらポーレットはその場を去り、マリーとフィフィは、彼女の動揺した様子に満足する。

後悔する失意のジャンは、拳銃に弾を込めて、母に声をかけて出かける。

マリーのアパートの前で身を隠すジャンは、彼女とピエールが出てきたために銃を手にするものの、撃つことができず、二人の車を追う。

高級レストランに着き、ピエールと共に席に着いたマリーは、”最後に一度だけ会いたい”というジャンからのメッセージを受け取る。

そのメモを確認したピエールは、ジャンをテーブルに招き座らせる。

ピエールがメモを見たことを知ったジャンは、彼に襲い掛かるものの、支配人に制止されて、その場から追い出される。

銃声が聴こえたためにマリーは動揺し、ピエールはジャンが自殺したことを知る。

ジャンの遺体は運び出され、マリーは失神してしまう。

訪ねて来た警官からジャンの死を知らされた母親は、運び込まれる息子を見て呆然とする。

ジャンのメモとマリーの肖像画を見た母親は怒りがこみ上げ、銃を手にして彼女のアパートに向かう。

留守だったマリーはジャンのアトリエに行ったとメイドから知らされた母親は、銃を手にしてアパートに戻る。

ジャンに寄り添い泣き崩れるマリーを見て銃を置いた母親は、彼女と手を握り共に涙する。

時の流れが、和解したマリーとジャンの母親の心を癒す。

田舎のカントリーコテージを、孤児のための家にしたマリーとジャンの母親は、充実した日々を過ごす。

ある朝、訪ねて来た神父から結婚のことでからかわれたマリーは、ジャンの母親に頼まれて、少女と共にミルクをもらいに行く。

付近の街道を友人と車で移動するピエールは、マリーのことを訊かれ、知らないと答える。

ミルクをもらったマリーは、街道を走る馬車に乗せてもらい、ピエールの車とすれ違う。

マリーは、反対方向に遠ざかっていく車を見つめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
フランスの田舎町。
愛し合うマリー・サン・クレールとジャンは、親に交際を反対されているため、駆け落ちすることを考える。
パリに向かう予定のジャンはマリーを駅に送り、支度をするために家に戻る。
父の死を知ったジャンは、マリーに電話をして出発の延期を伝える。
ジャンの気が変わったと思い込んだマリーは、失意のうちに一人旅立つ。
1年後、パリ、富豪で実業家のプレイボーイ、ピエールの愛人になっていたマリーは、優雅な日々を送っていた。
ピエールが婚約したことを気にしながら、友人に誘われてパーティーに向かったマリーは、部屋を間違えてしまう。
その場にいたジャンとの再会に驚いたマリーは、母と暮らし画家になっていた彼に肖像画を描くことを依頼し、再び愛が芽生えるのだが・・・。
__________

冒頭で主演しないことが明記されるチャールズ・チャップリンが、製作、演出、脚本に専念した作品。

主演ではないが、田舎町の駅のシーン(上映から11分頃)で、荷物を運ぶ男としてチャップリンは端役出演している。

また、1976年には、チャップリン自身が音楽を付け加えて再編集された。

コメディではないシリアスなドラマではあるが、チャップリン作品でお馴染みの、ウェイター長で登場するヘンリー・バーグマンの出演シーンなどは、チャップリン映画そのものを感じさせるユーモアあふれる演出となっている。

上流階級を軽蔑する皮肉を込めた物語も、チャップリン作品らしい内容であり、優雅な社交界の世界に足を踏み入れたヒロインが、その象徴である愛人が乗る、遠ざかる車(両者は互いに気づかない)を見つめるシーンで終わるメッセージ性のあるラストも印象的だ。

常に相手役だったエドナ・パーヴァイアンスを、ヒロインとして描きたかったチャップリンが、女優としての彼女の存在を世に広めたかったという意向で製作された作品でもある。

しかし、チャップリンの考えとは裏腹に、ヒロインを無難に演ずるエドナ・パーヴァイアンスの演技は、彼のパートナー以上の評価は得られず、彼女の愛人役のアドルフ・マンジューの魅力が強烈に印象に残る。

ヒロインを愛するものの、すれ違いの恋に苦悩するカール・ミラー、その母親リディア・ノット、その夫チャールズ・K・フレンチ、ヒロインの父親クラレンス・ゲルダート、ヒロインの友人ベティ・モリッシーマルヴィナ・ポロなどが共演している。


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