1973年に発表された、神経学者オリヴァー・サックスの体験に基づく著書”Awakenings”の映画化。 患者に対する医師の献身的な努力と劇的に回復する患者の精神的苦悩を描く、製作総指揮、監督ペニー・マーシャル、主演ロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムズ、マックス・フォン・シドー他共演のヒューマン・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ペニー・マーシャル
製作
ウォルター・F・パークス
ローレンス・ラスカー
製作総指揮
ペニー・マーシャル
アルネ・シュミット
エリオット・アボット
原作:オリヴァー・サックス
脚本:スティーヴン・ザイリアン
撮影:ミロスラフ・オンドリチェク
編集
ジェラルド・B・グリーンバーグ
バトル・デイヴィス
音楽:ランディ・ニューマン
出演
ロバート・デ・ニーロ:レナード・ロウ
ロビン・ウィリアムズ:マルコム・セイヤー
マックス・フォン・シドー:ピーター・インガム博士
ジュリー・カヴナー:エレノア・コステロ
ジョン・ハード:カウフマン医師
ルース・ネルソン:ロウ夫人
ペネロープ・アン・ミラー:ポーラ
アリス・ドラモンド:ルーシー
ピーター・ストーメア:神経化学・薬学士
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1990年製作 120分
公開
北米:1990年12月17日
日本:1991年4月13日
北米興行収入 $52,096,480
■ アカデミー賞 ■
第63回アカデミー賞
・ノミネート
作品
主演男優(ロバート・デ・ニーロ)
脚色賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1969年、ブロンクス。
慢性神経病患者専門のベインブリッジ病院に赴任したマルコム・セイヤー(ロビン・ウィリアムズ)は、研究者のつもりでいたのだが、仕事欲しさに仕方なく医師として働くことになる。
精神に異常をきたした患者に囲まれ、セイヤーは気が滅入ってしまう。
ある日セイヤーは、自分の意志を全く示そうとしない患者のルーシー(アリス・ドラモンド)が、物を受け止めることを医師のカウフマン(ジョン・ハード)らに報告する。
カウフマンらは、それを反射行動だと決めつけて、セイヤーの意見を聞き流す。
しかし、看護師のエレノア・コステロ(ジュリー・カヴナー)は、セイヤーに同調して協力を申し出る。
突然、患者達に興味を抱き始めたセイヤーは、彼らが1920年代に流行した、嗜眠性脳炎を患っていることに気づき、後遺症研究の権威ピーター・インガム博士(マックス・フォン・シドー)の元を訪ねる。
インガム博士は、患者の脳は機能を失ってしまったという、絶望的な答えをセイヤーに伝える。
セイヤーは床に模様を描き、患者の視覚を刺激させることを思いつき、ルーシーを立ち止まらずに目標に到達させることに成功する。
その後セイヤーは、以前から気になっていたレナード・ロウ(ロバート・デ・ニーロ)の母親(ルース・ネルソン)を訪ね、彼の生い立ちを聞く。 集中的にレナードの診察を始めたセイヤーは、彼が名前を呼ばれたことに反応したことに気づく。 セイヤーは、精力的に患者達に刺激を与える治療を行い、各患者が、音楽や何かのきっかけでそれに反応しようとすることを知る。 レナードは、セイヤーの手助けで”RILKE PANTHER”という文字を綴り、それがオーストリアの詩人ライナー・マリア・リルケの詩を意味していることにセイヤーは気づく。 パーキンソン病向けの新薬L-ドーパを、患者に試すことを考えたセイヤーは、カウフマンに相談して、家族の同意書を取るのを条件にそれを許可される。 ロウ夫人から、レナードへのL-ドーパの投与の承諾を得たセイヤーは、様々な飲み物や薬の量を調整して反応を見る。 レナードに付き添い、夜を徹して彼の様子を観察していたセイヤーは、彼がベッドからいなくなったのに気づく。 慌ててレナードを捜すセイヤーは、彼が自力で歩行して言葉を発し、”レナード”と自分の名前を綴った事実を確認する。 完全に意志が戻ったレナードは、母親と対面し、エレノアや看護師達に挨拶する。 息子を取り戻した母親の喜びや、周囲の人々の驚きに応えるレナードだったが、30年間の空白の時間に気づき動揺も見せる。 それでもレナードは、平凡な日常生活を満喫してセイヤーと外出もして、彼に好意を持つエレノアとの仲を取り持とうとしたりする。 セイヤーはL-ドーパを患者全員に投与しようとするが、カウフマンは、多額の費用がかかるのを知り、消極的な答えしか出さない。 しかしセイヤーは、エレノアら看護師らがカンパを始め、後援者にレナードの回復状況を見せて、資金の援助を得ることができる。 薬を投与された患者達は意志を取り戻し、病院内は騒動になってしまう。 そんな時レナードは、患者の見舞いに来た女性ポーラ(ペネロープ・アン・ミラー)に恋してしまう。 ポーラと話す機会ができたレナードは、自分を患者だと思わない彼女に、治療を受けていることを正直に話して戸惑わせる。 レナードを病院に残し、患者を連れて外出したセイヤーは、自分の趣味で植物園の見学に行くが、患者達は飽きてしまい、ダンスホールへと向かい楽しい時を過ごす。 ロウ夫人は、回復はしたものの、レナードが女性に興味を持ったことを知り動揺する。 ある日レナードは、より人間らしさを求めるために、独りで外出する許可を病院側に要求する。 結局それは病院側に却下され、それを知ったレナードは怒りを露にして興奮し、それをきっかけにして、ひきつけや偏執的な行動をとり始める。 病院側と症状が悪化していくレナードとの狭間で思い悩むセイヤーは、助けを求めてきた彼を優しく見守る。 回復していた患者は、自分達もレナードのようになるのではと不安を抱える。 レナードは、自分を犠牲にして実験台になることを決心し、セイヤーにそれを伝えるが、痙攣は激しくなり、症状はさらに悪化し、ロウ夫人は息子の苦しみに心を痛める。 レナードは、自らポーラに別れを告げるが、彼女は優しく接し安らぎを与えようとする。 やがてレナードは、以前のように意志を失ってしまう。 セイヤーは、レナードが回復した時の記録フィルムを見ながら、”命を与えて、また奪うことが親切なことか”とエレノアに問い質す。 エレノアは、”命は与え奪われるもの、あなたは親切な人だから、その辛さがわかる”と、セイヤーを慰める。 患者達は、レナードと同じく元の症状に戻り、ポーラは、その後もレナードに面会するために病院を訪れる。 セイヤーは、人間の魂と純真な心は、どんな薬よりも強いことを痛感する。 そしてセイヤーは、エレノアの気持ちに応え、彼女をカフェに誘う。 セイヤーとチームは、その後も新薬を用いながら脳炎患者のリハビリを続け、レナードら患者の多くには、短い目覚めがあったが、1969年の夏のような、劇的な事例は起きなかった。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
1969年、ブロンクス。
慢性神経病患者専門病院に赴任したマルコム・セイヤーは、研究者のつもりが医師として働くことになる。
精神患者に囲まれたセイヤーは、気が滅入ってしまうのだが、あることをきっかけに患者達に興味を持ち、彼らが、1920年代に流行した嗜眠性脳炎を患っていることに気づく。
セイヤーは精力的に患者と接し、30年間もの間、意思を伝えないでいるレナードに、新薬のL-ドーパを投与して反応を見る。
そして、セイヤーの努力は実り、レナードは完全に意思を取り戻し、言葉を発するまでに回復するのだが・・・。
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非協力的な病院側医師達と、それに対抗するような主人公医師を含む現場チームとの駆け引き、目覚めた患者の親子愛や恋心などを、主演2人の熱演を生かしつつ描写する、ペニー・マーシャルの、女性らしい繊細な映像感覚は注目だ。
第63回アカデミー賞では、作品、主演男優(ロバート・デ・ニーロ)、脚色賞にノミネートされた。
希望しない職につきながら、その生真面目さで、植物人間に近い患者達の症状改善に知力体力を捧げる医師を、ロビン・ウィリアムズは好演し、その自然な演技が、精神患者を熱演するデ・ニーロよりも好印象を受ける。
ロビン・ウィリアムズは、容姿も原作者オリヴァー・サックスに似ている。
アカデミー主演賞候補にはなったが、主役はR・ウィリアムズに譲っている感じのする、難病のため30年間の”眠り”からようやく目覚める患者の苦悩を、ロバート・デ・ニーロは体当たりで演じている。
美しい人の心を表現したかのような、ランディ・ニューマンの音楽も印象に残る。
主人公医師を献身的に支えるジュリー・カヴナーの、控えめではあるが、看護師としての能力の高さを感じさせる好演も光る。
新薬投与を含め、患者達への人間的扱いの配慮に欠ける医師ジョン・ハード、レナード(デ・ニーロ)の母親ルース・ネルソン、レナードにほのかな恋心を寄せられる女性ペネロープ・アン・ミラー、患者として同じく回復するアリス・ドラモンド、L-ドーパに関する講演をする薬学士でピーター・ストーメア、そして、後遺症研究の権威として、マックス・フォン・シドーが登場する。