007シリーズ第14作。 1960年に発表された、イアン・フレミングの短編”For Your Eyes Only”に付属した”From a View to Kill”を基に製作された作品。 シリコン・バレー壊滅を画策する大富豪に立ち向かうMI6諜報員ジェームズ・ボンドの活躍を描く、製作アルバート・R・ブロッコリ、監督ジョン・グレン、主演ロジャー・ムーア、クリストファー・ウォーケン、タニア・ロバーツ、グレース・ジョーンズ他共演のスパイ・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・グレン
製作
アルバート・R・ブロッコリ
マイケル・G・ウィルソン
原作:イアン・フレミング”From a View to Kill”
脚本
クリストファー・ウッド
リチャード・メイボーム
撮影:アラン・ヒューム
編集:ピーター・デイヴィス
メインタイトル・デザイン:モーリス・ビンダー
音楽
ジョン・バリー
モンティ・ノーマン:ジェームズ・ボンドのテーマ
主題歌:デュラン・デュラン”A View to a Kill”
出演
ジェームズ・ボンド:ロジャー・ムーア
マックス・ゾーリン:クリストファー・ウォーケン
ステイシー・サットン:タニア・ロバーツ
メイ・デイ:グレース・ジョーンズ
ゴッドフリー・ティベット卿:パトリック・マクニー
スカーピン:パトリック・ボーショー
チャック・リー:デビット・イップ
M:ロバート・ブラウン
Q:デスモンド・リュウェリン
マネーペニー:ロイス・マクスウェル
アナトール・ゴーゴル将軍:ウォルター・ゴテル
カール・モートナー博士:ウィロビー・グレイ
フレデリック・グレイ国防相:ジョフリー・キーン
ジェニー・フレックス:アリソン・ドゥーディ
ポーラ・イワノワ:フィオナ・フレートン
ヴェンツ:ドルフ・ラングレン
イギリス 映画
配給 MGM/ユナイテッド・アーティスツ
1985年製作 131分
公開
イギリス:1985年6月13日
北米:1985年5月24日
日本:1985年6月6日
製作費 $30,000,000
北米興行収入 $50,328,000
世界 $152,400,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
シベリア。
イギリス諜報員ジェームズ・ボンド(ロジャー・ムーア)は、消息を絶った003の遺体を発見し、彼が持ち出したICチップを回収する。
ロンドン、MI6。
M(ロバート・ブラウン)の秘書マネーペニー(ロイス・マクスウェル)と会話を交わしたボンドは、フレデリック・グレイ国防大臣(ジョフリー・キーン)、Q(デスモンド・リュウェリン)そしてMの話し合いに加わる。
ソ連国内にあったアメリカ製のICチップが、”ゾーリン産業”のものだと分かり、ボンドはその調査を命ぜられる。
事件には、東ドイツのドレスデン生まれで、亡命してフランス国籍を持つ、富豪マックス・ゾーリン(クリストファー・ウォーケン)が関わっていることをボンドは知らされる。 ゾーリンは石油やガス、ハイテク産業で財を成し、さらに競走馬の馬主として巨万の富を築いていた。 アスコット競馬場ではゾーリンの所有する競争馬がレースに連勝し、その件でからは疑われていた。 既にフランスの競馬クラブが、探偵を雇いゾーリン周辺の調査が進んでいた。 パリに向かったボンドは、その探偵と接触するのだが、彼は殺し屋(グレース・ジョーンズ)に殺害されてしまう。 ボンドは、エッフェル塔に逃げた殺し屋を追うものの、逃げられてしまう。 殺し屋はゾーリンの愛人でもあるメイ・デイで、彼女の逃亡を助けたのはゾーリン自身だった。 ボンドの協力者ゴッドフリー・ティベット卿(パトリック・マクニー)は、彼の運転手に扮して、ゾーリン所有の種馬競売場に向かう。 ボンドは、ゾーリンの部下である城の警備主任スカーピン(パトリック・ボーショー)に迎えられる。 ティベットは、厩舎でサラブレッドが消えたのを目撃し、宿舎に案内されたボンドらは、スカーピンに監視される。 その後ゾーリンの元に謎の美女ステイシー・サットン(タニア・ロバーツ)が現れ、彼から小切手が渡されるのをボンドは目撃する。 ゾーリンのオフィスに侵入したボンドは、小切手の金額が500万ドルだったことを確認する。 ボンドはさらに、馬の種付け担当カール・モートナー博士(ウィロビー・グレイ)に出会う。 ゾーリンとも対面したボンドは牽制し合い、その後サットンに接近する。 その夜、厩舎に忍び込んだボンドとティベットは、ゾーリンの馬が手術されてICロチップを埋め込まれ、ステロイドを注入してレースに勝っているとを知り、その場で大量のマイクロチップも見つける。 ゾーリンとメイ・デイは、厩舎に何者かが忍び込んだことを知る。 部屋を調べた彼メイ・デイは、ボンドがエッフェル塔で自分を追った男だったことを思い出す。 自分の部屋に戻ったメイ・デイは、待ち構えていたボンドと一夜を共にする。 翌日、ゾーリンはボンドを自分のオフィスに呼び、身元判別装置で彼が諜報員だということを知る。 その後、ティベットはメイ・デイに殺害される。 ボンドはゾーリンに乗馬に誘われ、殺されそうになり捕らえられてしまう。 気絶させられて池に連れて行かれたボンドは、ティベットの遺体と共に車ごと水中に沈められるが、何とか逃げ延びる。 KGBのアナトール・ゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)は、KGBの情報員だということを無視して勝手な行動をとるゾーリンが、資本主義者になっていると言って非難する。 それを気にしないゾーリンは、サンフランシスコ近郊のシリコンバレーを壊滅させて、自らのハイテク産業で世界を制覇する計画を実行すべく、飛行船で現地に向かう。 サンフランシスコ。 同じく、そこを調べていたKGBのポーラ・イワノワ(フィオナ・フレートン)と行動を共にしたボンドは、彼女から盗聴したテープを奪うことに成功する。 ゾーリンが海水を吸い上げていることを知ったボンドは、記者に扮して市庁舎で彼の事業について調べ、そこで、職員だったサットンを見かける。 ボンドはサットンを尾行し、彼女の家に侵入するものの、気づかれてしまう。 そこにゾーリンの手下が現れ、2人は襲われるものの、協力し合い男たちを撃退する。 サットンは、先祖の油田の権利をゾーリンに不正に奪われて訴訟を起こし、その取り下げ料として小切手を渡された経緯をボンドに説明する。 しかし、サットンはゾーリンと法廷で戦うつもりであり、ボンドの前で、渡された500万ドルの小切手を破り捨ててしまう。 その後ボンドとサットンは、海水を断層に運び込んでいるゾーリンの意図を探るために、油井の資料を確認するために市庁舎に向かう。 資料を手に入れたボンドとサットンだったが、そこにゾーリンとメイ・デイが現れる。 ゾーリンはサットンをクビにした上司を殺し、彼女らの犯行に見せ掛けて、2人をエレベーターに閉じ込めて火を放つ。 何とか市庁舎から脱出したボンドとサットンだったが、状況証拠から警察に逮捕されそうになる。 しかし、消防車を奪ったボンドとサットンは逃亡し、ゾーリン所有の地下鉱山内部に侵入する。 内部では、真上に位置するサン・アンドレアス湖の大量の水をシリコンバレーに流し込み沈めてしまうために、爆破準備が進められていた。 それを知ったボンドとサットンはゾーリンに見つかり、2人をメイ・デイが追う。 そして、ゾーリンは一つ目の爆弾のスイッチを押して、メイ・デイを含めた部下も殺そうとする。 浸水が始まった鉱山からサットンを逃がしたボンドは、ゾーリンに裏切られたメイ・デイと手を組む。 2人は爆弾を外に運び出すことを考え、メイ・デイが犠牲になり爆死する。 飛行船で逃げようとするゾーリン、スカーピン、モートナーはサットンを捕らえるが、ボンドが船体のロープにしがみつく。 ゴールデンゲートブリッジにロープを縛り付けたボンドは、ゾーリンと対決して落下死させる。 ダイナマイトに点火してボンドを倒そうとしたモートナーは、彼に飛行船のロープを外されてバランスを崩し、スカーピンと共に爆死する。 任務を終えたボンドは、ゴーゴル将軍からレーニン勲章を授与されることになるが、彼の消息は不明だった。 Qは、最新のスパイロボットでサットンの家の中の映像をチャックする。 サットンと共にシャワーを浴びるボンドを見つけたQは、事件後の処理をしているとMに報告する。
...全てを見る(結末あり)
それを追ったボンドは、CIAのチャック・リー(デビット・イップ)と接触し、ゾーリンの油田の油送ポンプ場を調べる。
*(簡略ストー リー)
イギリス諜報員ジェームズ・ボンドは、ソ連国内にあったアメリカ製のICチップが”ゾーリン産業”のもだったために、その調査をMに命ぜられる。
ボンドは、東ドイツ生まれで亡命してフランス国籍を持つ、富豪ゾーリンがその件に関わっていることを知る。
その頃、ゾーリン所有の競争馬がレースに連勝していたことが疑問視され、ボンドはその件も含めた調査を開始するのだが・・・。
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「ユア・アイズ・オンリー」(1981)から3作目の監督ジョン・グレンが、エッフェル塔やゴールデンゲートブリッジなどを効果的に使った大胆な映像などが話題になった。
パリやサンフランシスコ市街での派手なカーチェイス、格闘や飛行船まで登場する見所満載の娯楽アクションに仕上がっている。
本作は前作に続き、ボンドカー及び秘密兵器が殆ど登場しない。
シリーズ初のビルボードNo.1になった、デュラン・デュランの主題歌”A View to a Kill”は大ヒットした。
しかし、興行収入は、低調だった前作「オクトパシー」(1983)をさらに下回る結果に終わってしまった。
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北米興行収入 $50,328,000
世界 $152,400,000
本作が最後となるロジャー・ムーアは60歳に近づき、ほとんどのアクション・シーンはスタントが代役を務め、何とか役をこなしたと言われているものの、結構、本人が過酷なシーンを演じているようにも見える・・・。
マネーペニーのロイス・マクスウェルも本作で自ら身を引く意向を示し、それに敬意を表して、アスコット競馬場で艶やかな姿を披露する場面が登場する。
クリストファー・ウォーケンは、アカデミー助演賞を受賞した「ディア・ハンター」(1978)で絶賛されたものの、その後、いまひとつという時期で臨んだ本作でも、ややミスキャスト気味だ。
ボンドに協力して危機に立ち向かう女性を魅力的に演じているタニア・ロバーツ、逞しく、スタイル、センス抜群で異彩を放つ殺し屋のグレース・ジョーンズ、レギュラーとしてMのロバート・ブラウン、Qのデスモンド・リュウェリン、お馴染みソ連、KGBのゴーゴル将軍ウォルター・ゴテル、国防相のジョフリー・キーン、そしてボンドの協力者であり殺害されるパトリック・マクニー、ゾーリン(クリストファー・ウォーケン)の右腕パトリック・ボーショー、競走馬を手術する博士役のウィロビー・グレイ、CIAのデビット・イップ、メイ・デイ(グレース・ジョーンズ)のアシスタント、アリソン・ドゥーディ、KGBのフィオナ・フレートン、そして、本作がデビュー作となるKGBでゴーゴル将軍の部下として端役で登場するドルフ・ラングレンなどが出演している。