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攻撃 Attack (1956)

部下を見殺しにする無能な上官と信頼厚い分隊長の対決を描く、製作、監督ロバート・アルドリッチ、主演ジャック・パランスエディ・アルバートリー・マーヴィン共演による、第二次世界大戦を舞台にした戦争映画の傑作。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)


スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・アルドリッチ
製作:ロバート・アルドリッチ
原作:ノーマン・ブルックス”The Fragile Fox”
脚本:ジェームズ・ポー

撮影:ジョセフ・バイロック
編集:マイケル・ルチアーノ
音楽:フランク・デ・ヴォール

出演
ジャック・パランス:ジョー・コスタ中尉
エディ・アルバート:エルスカイン・クーニー大尉
リー・マーヴィン:クライド・バートレット中佐
ウィリアム・スミサーズ:ハロルド”ハリー”ウッドラフ中尉
ロバート・ストラウス:バーンスタイン
バディ・イブセン:トリヴァー
ジョン・シェポッド:ジョン・ジャクソン
ペーター・ヴァン・アイク:親衛隊大尉
リチャード・ジャッケル:スノーデン
ジミー・ゴールドウィン:リックス
ストローザー・マーティン:インガーソル軍曹
スティーヴン・グレイ:オットー

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1956年製作 107分
公開
北米:1956年10月17日
日本:1956年11月
製作費 $750,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1944年、第二次世界大戦下のヨーロッパ
ベルギーに本部を置く、“フラジール・フォックス”隊F2分隊のジョー・コスタ中尉(ジャック・パランス)は、戦闘中の部下インガーソル軍曹(ストローザー・マーティン)から援軍を要請される。

それを、上官のエルスカイン・クーニー大尉(エディ・アルバート)に伝えるが応答はなく、コスタは、部下を目の前で見殺しにしてしまう。

クーニーは、判事である父親の七光りで前線に送られただけの、無能な指揮官だった。

後方に戻った部隊に、クーニーの幼馴染みでもあるクライド・バートレット中佐(リー・マーヴィン)が、ポーカーをするために現れる。
...全てを見る(結末あり)

士官らは招集されるがコスタが現れず、ハロルド・ウッドラフ中尉(ウィリアム・スミサーズ)が彼を呼びに行く。

無能なクーニーを排除するため、ウッドラフは、コスタに話をもちかける。

ウッドラフは、出世欲旺盛なバートレットの軍歴に傷を付けるクーニーを、現場から外させようと考える。

コスタは、腹の内が読めないバートレットに話を持っていく気はなく、それを拒む。

バートレットら4人はポーカーを始めるが、犠牲となった兵士の話題に話を振られたクーニーは動揺し興奮し始めコスタを罵る。

コスタは我慢できず、クーニーに殴りかかろうとするが、ウッドラフがそれを制止する。

二人が席を外した後、ウッドラフは、クーニーの解任をバートレットに直訴する。

クーニーを出世の材料と考え、彼が無能故に、優秀な部下が揃う司令部には入れたくないのが本音のバートレットは、分隊の最前線出撃はなくなったため、安心するよう伝えてウッドラフをなだめる。

安心したウッドラフは、それをコスタに知らせるが、彼は、バートレットに言いくるめられているだけで、クーニーの件は自分で片を付けると言い張る。

そしてコスタは、今度クーニーがしくじったら、始末をつけるとまで明言する。

そこに、案の定、出撃命令が出て、部隊は前線に向かうことになる。

コスタは、クーニーから新たな任務の命令を受けるが、彼は再び怖気づく。

そんなクーニーに、コスタは裏切ったら必ず殺すと言い放ち出撃する。

副官のトリヴァー軍曹(バディ・イブセン)や、バーンスタイン(ロバート・ストラウス)、スノーデン(リチャード・ジャッケル)らの小隊を従え、コスタはある小さな町の入り口に到着する。

小隊は間隔を空け町に突撃し、犠牲者を出しながらも町の民家たどり着く。

結局は5人しか残らず、動きのとれないコスタは、クーニーに援軍を要請する。

しかし、クーニーは無線に出ようともせず、出撃しようとするウッドラフを制止し、コスタに撤退命令を出そうとする。

コスタらは、地下に潜んでいた親衛隊の大尉(ペーター・ヴァン・アイク)と部下オットー(スティーヴン・グレイ)を捕虜にし、何も話そうとしない大尉を外に放り出す。

大尉は味方に銃撃されて死亡し、コスタはオットーを脅し戦車などの戦力を知る。

砲撃と煙幕をウッドラフに要請したコスタは、応答がないまま、必ずクーニーの所へ戻ると言うことを伝え、後退し
ようとする。

ウッドラフは砲撃を開始させ、戦車が近づく中、コスタは部下を撤退させる。

最後に残ったコスタは、神に祈りながら民家を脱出して、途中、負傷したリックス(ジミー・ゴールドウィン)を連れ帰ろうとするが、彼は息絶えてしまう。

その後、トリヴァー、バーンスタイン、スノーデンが、捕虜のオットーを連れて部隊に戻る。

それを迎えたクーニーは、コスタのことを気にするが、生還したトリヴァーらの恨みを買う。

クーニーは、コスタの復讐を恐れて指揮もせずに、酒をあおり続ける。

部隊本部にも敵の攻撃が迫るのだが、クーニーは現れたバートレットに、自分の命令を無視して、コスタが撤退したと報告する。

クーニーの部隊が、町にいるはずだったことを責めるバートレットは、その場を死守することを命ずる。

さらにバートレットは、クーニーを指揮官にしたのは父親の判事を喜ばせるためで、撤退したら刑務所送りだと脅して、彼に平手を食らわせ、その場を去ろうとする。

ウッドラフは、尚もクーニーを指揮官にしておくつもりなのかをバートレットに確認し、もし自分が生き残れたら全てを師団長パーソンズ将軍に話すことを伝える。

怯えるクーニーを罵倒したウッドラフだったが、彼の惨めな姿を見て、精神に異常をきたしていると感じ、自分が指揮を執ろうとする。

そこに、負傷しながらもコスタが戻り、迷わずクーニーを殺そうとする。

ウッドラフに言い寄るコスタだったが、敵の戦車が迫り、彼は孤立したトリヴァーらを救いに現場に向かう。

コスタは、バズーカで一台の戦車を倒し、孤立して負傷したバーンスタインとトリヴァー、スノーデンの元にたどり着く。

しかし、もう一台の戦車が現れ、コスタはバズーカを構えるものの不発に終わり、彼の腕は、戦車の下敷きになってしまう。

負傷したバーンスタインを、その場から担架で運び出そうとするトリヴァーとスノーデンらに、ウッドラフとジョン・ジャクソン伍長(ジョン・シェポッド)が合流する。

しかし、クーニーが現れてその邪魔をし、ドイツ軍が迫り彼らは逃げ遅れてしまう。

クーニーが降伏しようとして銃を捨てるが、そこに現れたのは瀕死のコスタだった。

コスタは、最後の力を振り絞りクーニーを殺そうとするのだが、神への願いも叶わず、ついに力尽きてしまう。

そして、死に際のコスタを嘲り笑い、一人脱出しようとするクーニーにウッドラフが銃を向ける。

クーニーは、自分も銃を取り部下らに銃口を向けて命令に従うよう告げ、建物の外に出ようとする。

しかし、ウッドラフはクーニーを容赦なく銃撃し、生存できた場合は、自分を逮捕するようトリヴァーに告げる。

罪の意識を感じるウッドラフをかばい、トリヴァーら3人もクーニーに銃撃を加える。

そこに現れたバートレットには、トリヴァーらはクーニーが戦死したと伝える。

ウッドラフを大尉に昇進させて、クーニーを英雄に仕立て、バートレットは、それを自分の出世に利用しようとする。

バートレットの言葉に我慢ならないウッドラフは、自分がクーニーを射殺したことを認める。

尚も、賢く物事を考えろと言うバートレットの忠告を無視し、コスタの遺体に敬意を表したウッドラフは、この隊で起きた出来事を全て報告するため、無線で師団長パーソンズ将軍を呼び出す。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
第二次世界大戦末期。
判事の息子というだけで指揮官に任命された、無能な大尉クーニーのために、その部下ジョー・コスタ中尉の部隊の兵士が次々と命を落としていく。
クーニーを出世の材料と考えている、出世欲で凝り固まる上官のバートレット中佐は、指揮官の無能さに不満を漏らす、ウッドラフ中尉をなだめる。
その後コスタは、再び失態があった場合は自らの手で殺すとまでクーニーに言い放ち出撃する。
そして、またもや支援を得られずに多くの部下を失ったコスタは、負傷しながらも部隊本部に戻り、クーニーに銃を向けようとするのだが・・・。
__________

ノーマン・ブルックスの舞台劇”The Fragile Fox”を基に製作された作品。

人の生死が関わる、重要なポストに居座る無能な士官と、それを利用して昇進を企てる強かな士官、その狭間で大切な部下を見殺しにして苦悩する、最前線の指揮官らの複雑な絡み合いを、軍隊批判映画とも捉えることが出来る、正義感や自尊心を中心に見事に描いたロバート・アルドリッチの演出手腕も見ものだ。

主演のジャック・パランスの正義感と勇気、上官に対する憎しみを表現した、あの精悍な顔つきは、異常なまでに凄みがある。

壮絶な死を強調する口と、目を見開いた死に顔は強烈な印象を与える。

インパクトのある役柄、その好感度からして、彼のベスト・パフォーマンスとも言える。

無能な上官を演じたエディ・アルバートは、最後まで憎さしか残らないが、その好演故に本作の盛り上がりがあった。

また、二人を出世に利用することしか考えていない”黒幕”リー・マーヴィンは、当時とても30代前半には思えない貫禄を見せてくれる。

主人公達の板ばさみで苦悩する、ウィリアム・スミサーズの若く誠実な士官も印象に残る。

コスタを慕う部下役バディ・イブセンロバート・ストラウスリチャード・ジャッケルも、なかなかいい味を出している。

親衛隊大尉でペーター・ヴァン・アイク、そして、冒頭で命を落とす軍曹役のストローザー・マーティンだが、あの場面だけで彼だと分かったらかなりの映画通だ。

尚、本作には女性が一人も登場しない。


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