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アトランティック・シティ Atlantic City (1980)

コカインを売りさばく犯罪に巻き込まれた元ギャングの老人と彼が思いを寄せる隣人の女性の関係を描く、監督ルイ・マル、主演バート・ランカスタースーザン・サランドンミシェル・ピコリケイト・リード他共演の恋愛が絡む犯罪ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ロマンス)


スタッフ キャスト ■
監督:ルイ・マル

製作
ドニ・エロー

ジャン・キムニー
脚本:ジョン・グェア
撮影:リチャード・シュプカ
編集:シュザンヌ・バロン
音楽:ミシェル・ルグラン

出演
ルー・パスカル:バート・ランカスター

サリー・マシューズ:スーザン・サランドン
ジョセフ:ミシェル・ピコリ
グレイス・ピンザ:ケイト・リード
デイヴ・マシューズ:ロバート・ジョイ
クリッシー:ホリス・マクラーレン
ヴィニー:アンガス・マッキネス
アルフィー:アル・ワックスマン
本人:ロバート・グーレ
レストランのウエイター:ウォーレス・ショーン

カナダ/フランス 映画
配給 パラマウント・ピクチャーズ

1980年製作 103分
公開
カナダ:1901年12月19日
フランス:1980年9月3日
北米:1981年4月3日
日本:1989年5月27日
製作費 $7,200,000
北米興行収入 $12,729,680


アカデミー賞 ■
第54回アカデミー賞
・ノミネート
作品・監督
主演男優(バート・ランカスター
主演女優(スーザン・サランドン
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ニュージャージー州、アトランティック・シティ
アパートで一人暮らしをする老人ルー・パスカル(バート・ランカスター)は、隣部屋のサリー・マシューズ(スーザン・サランドン)が気になる存在であり、流しで上半身にレモンを塗る彼女を窓越しに見つめる。

フィラデルフィア
サリーと疎遠だった夫デイヴ(ロバート・ジョイ)は、電話ボックスに隠された取引用のコカインを奪う。

その後、ギャングのヴィニー(アンガス・マッキネス)が、そのコカインがなくなっていることに気づく。

サリーの妹クリッシー(ホリス・マクラーレン)と駆け落ちして妊娠させてしまったデイヴは、彼女を連れてヒッチハイクでアトランティック・シティに向かう。
...全てを見る(結末あり)

カジノのオイスター・バーで働きながらディーラーになる夢があるサリーは、デイヴとクリッシーが現れたために驚く。

二人を追い払おうとしたサリーだったが、仕方なくアパートに連れて行き、ルーはその様子を見ていた。

元ギャングではあるが今ではナンバー賭博の仲介をしている貧しいルーは、金のために階下に住む足の悪い婦人グレイス・ピンザ(ケイト・リード)の世話をしつつ親密な関係でもあった。

サリーは、デイヴの行動を非難して追い出そうとする。

ルーは、自分を召使い扱いするグレイスにうんざりしていた。

デイヴはサリーに罵られ、バックから彼女の財布を抜き取り外出する。

サリーは、ディーラーになるためにジョセフ(ミシェル・ピコリ)の厳しい指導を受けていた。

元締めフレッドに集金した金を渡したルーは、その場にいたたデイヴを監視する。

デイヴはフレッドにコカインを売ろうとするが、よそ者との取引を断られる。

ある男を紹介されたデイヴは連絡を取り、隣人だと言って声を掛けられたルーがかつてナンバー賭博を仕切っていたと知り、店を出た彼を追う。

金を払うということでルーの部屋に向かったデイヴは、幼児用の下剤とコカインを混ぜて量を増やし、それが大金になることをルーに教える。

コカインを数時間預ってもらうことにしたデイヴは、ルーが世話をしているグレイスが足が悪いことを知り、クリッシーを呼びに行く。

グレイスの元に向かったデイヴは、クリッシーが足つぼのマッサージ師であることを伝える。

サリーに惹かれているフランス人のジョセフは、彼女に語学レッスンのテープを渡す。

デイヴは売人のいるホテルに向かう途中、様々な話をルーから聞き、彼がアル・カポネダッチ・シュルツの世話になったことなどを知る。

身なりが悪いデイヴは、ルーを売人のアルフィー(アル・ワックスマン)の元に向かわせる。

報酬を増やすと言えわれたルーはアルフィーに会い、コカインを売る。

ホテルを出たデイヴは、フレッドに裏切りで現れたヴィニーに追われ、駐車場で殺されてしまう。

ルーは、そのホテルで旧友のバディに再会し、靴を磨いてもらいながら昔を思い出す。

ホテルを出たルーは、デイヴが事件に巻き込まれて救急車で運ばれる姿を目撃する。

警官に呼ばれたサリーは、デイヴの遺体を確認して彼の親に連絡を取ろうとする。

親が電話に出ようともしないため戸惑うサリーは、その場に現れたルーに話しかけられる。

隣人だと伝えたルーは、サリーに代わってデイヴの親と連絡を取り彼女の力になろうとする。

アパートに戻ったルーは、グレイスの部屋にいるクリッシーには翌日話せばいいと助言してサリーと別れる。

大金を確認したルーは、いつものように上半身にレモンを塗るサリーを窓越しに見つめる。

グレイスの部屋に向かったルーは、クリッシーにサリーの元に戻るよう伝え、ベッドのグレイスに寄り添う。

翌日、コカインを用意したルーは、デイヴの葬儀の手配をして書類を持参してサリーのバーに向かう。

サリーの仕事が終わる時間を確認したルーは、スーツなどを新調してアルフィーの元に向かう。

コカインを売り現金を手にしたルーはバディに会い、彼のために用意したスーツとチップを渡す。

バーに向かったルーは、デイヴの遺体が飛行機でカナダに運ばれ、その費用は自分が支払ったとサリーに伝える。

隣人の好だと言ってサリーを食事に誘ったルーは、グレイスの世話をしていることなどを話す。

数年腕を磨いてモナコに行く予定だと語るサリーに、ルーは第二の”グレイス・ケリー”だと伝えて言って乾杯し、二人は心を通わせる。

レストランを出たサリーは、旅費は負担するのでデイヴの葬儀に出席するべきだとルーに言われるもののそれを拒む。

花屋に寄ったルーは、デイヴのためにサリーと自分の名で花輪を二つ贈る手配をする。

一旦別れた二人だったが、サリーはデイヴの死について考えて動揺し、それに気づいたルーは彼女を気遣い送る。

ディーラー・クラスの仲間達と買った家を修復しているサリーは、ルーと共にその場に向かう。

サリーの住む部屋を見せてもらったルーは、アパートでいつも窓越しに彼女を見ていることを伝える。

見られている気がしていたと言うサリーは、体にレモンを塗る理由は魚の臭いを消すためだと答える。

サリーが流しの前でする行為を詳しく語るルーは、寄り添ってきた彼女に触れ、そして二人は愛し合う。

アパートに戻ろうとした二人だったが、現れたヴィニーにサリーが乱暴され、ルーは手出しができない。

サリーを守られなかったことで動揺するルーは、アパートに戻りグレイスにも罵られてしまう。

サリーは、荒らされた部屋で放心状態のクリッシーを抱き寄せる。

ルーは旅立つ決心をして身支度を始めるが、銃を手にして部屋を出る。

デイヴが、産まれる子供のためにコカインを売りさばきにこの街に来たことをクリッシーから知らされたサリーは、ルーがそれに絡んでいることに気づき、彼の部屋でそれを確かめる。

ルーは、残りのコカインを1000ドル分残してアルフィーに売り、フレッドに女には手出しをするなと伝えるよう警告する。

支配人に呼ばれたサリーは、夫が前科者であったために解雇され、ディーラーの講習が無駄になり苛立つ。

カジノにいたルーは、現れたヴィニーらを相手にしない。

デイヴの物だと言って、コカインを売った金をルーから奪おうとしたサリーだったがジョセフに制止される。

ジョセフから客の相手をするよう言われたサリーは憤慨して騒ぎを起こし、警備員に追い出される。

ルーもその場を去りバス・ターミナルに向かい、それを知ったサリーは彼を追う。

バスに乗ったルーを、正気を失った父だと言って降ろしたサリーは、再び彼に金を要求する。

そこにヴィニーらが現れ、ルーは彼らを射殺して車を奪い、サリーと共にその場を離れる。

サリーを守ったと言うルーは興奮するが、彼女に銃を捨てるよう言われて指示にし違う。

わだかまりを捨てモーテルの部屋をとった二人は、ヴィニーらギャング殺害事件をニュースで確認して祝杯を挙げる。

クリッシーが気に入ったグレイスは、共に夫を失った身だと言って彼女と親交を深める。

フロリダに向かおうとしているルーはサリーを誘い、再び始まった事件のニュースで、犯人の似顔絵が自分に全く似ていないために喜ぶ。

サリーはそんなルーの姿を見ながら、フランスもいいところだとつぶやく。

夜中にグレイスに電話をしたルーは、事件の犯人が自分だと伝えるが信じてもらえない。

目覚めたサリーが、財布から現金を抜き取ったことを知ったルーは電話を切り、ピザとドリンクを買いに行くと言う彼女に車のキーを渡す。

車は乗り捨てるようにとルーに言われたサリーは、命の恩人だと伝えてその場を去る。

ラジオをつけたサリーは、流れてきたフランスに関する教育番組を聴きながらほほ笑む。

ルーはアトランティック・シティに戻ることにして、フロントで事件の新聞記事に目を通して満足する。

グレイスはアルフィーの元に向かい、ルーの残した1000ドル分のコカインを売る。

そこに現れたルーはグレイスの行為に拍手し、二人は腕を組みながらアパートに向かう。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ニュージャージー州、アトランティック・シティ
元ギャングで今では貧しく一人住まいの老人ルー・パスカルは、隣部屋に住むカジノのディーラーを夢見るサリーが気になる存在だった。
サリーは、妹と駆け落ちした夫デイヴが現れたために驚き彼を追い払おうとする。
ルーは、金のために足の悪い婦人グレイスの世話をしながら深い関係でもあった。
そんなルーは、デイヴが奪ったコカインを売りさばこうとしているのを知り手を貸そうとする。
コカインを売り大金を手に入れたルーだったが、デイヴがギャングに殺されてしまう。
デイヴの死で戸惑うサリーに、隣人の好だと言って親切にしたルーは彼女と親密になるのだが・・・。
__________

監督ルイ・マルを始め、フランスカナダのスタッフ、キャストによる作品である。

元ギャングではあるが貧しく黄昏に近づく悲しげな老人の、娘のような隣人の女性への淡い恋心を描く、ルイ・マルのしっとりとした雰囲気の演出が見所だ。

一方、コカインが絡む事件やヒッピー的な若者が登場するアメリカの社会問題なども描かれている。
そして、主人公らが事件に巻き込まれながら、それぞれの考えで新たな人生を歩もうとする爽やかに終わるラストは心地よい。

ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞した。
第54回アカデミー賞では、作品、監督、主演男優(バート・ランカスター)、主演女優(スーザン・サランドン)、脚本賞にノミネートされた。

ハリウッドの黄金期を製作、演技者として支えたバート・ランカスターの燻し銀の演技は注目であり、その物腰や仕草に人としての年輪を感じる素晴らしい演技を見せてくれる。

既に10年のキャリアがあった30歳前半のスーザン・サランドンは、親子以上の年齢差がある名優バート・ランカスターを相手に臆することなく、複雑な役柄を流石に実力派だけあり見事に演じている。

ヒロインに好意を抱くディーラーの指導者ミシェル・ピコリ、ユーモラスであり不思議なキャラクターとして印象に残る、主人公の世話になる婦人ケイト・リード、ヒロインの夫ロバート・ジョイ、ヒロインの妹ホリス・マクラーレン、ギャングのアンガス・マッキネスコカインの売人アル・ワックスマン、歌手役でロバート・グーレ、そして、レストランのウエイター役でウォーレス・ショーンが端役出演している。


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