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評決のとき A Time to Kill (1996 film)

1988年に発表された、ジョン・グリシャムのデビュー作”A Time to Kill”を基に製作された作品。
幼い娘を強姦された男性の弁護を引き受けた若手弁護士の正義を追求する闘いを描く、監督ジョエル・シュマッカー、主演マシュー・マコノヒーサンドラ・ブロックサミュエル・L・ジャクソンケヴィン・スペイシーブレンダ・フリッカードナルド・サザーランドオリヴァー・プラットチャールズ・S・ダットンアシュレイ・ジャッドキーファー・サザーランドパトリック・マクグーハン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ

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スタッフ キャスト
監督:ジョエル・シュマッカー

製作
アーノン・ミルチャン
マイケル・G・ネイサンソン
ハント・ローリー
ジョン・グリシャム
原作:ジョン・グリシャムA Time to Kill
脚本:アキヴァ・ゴールズマン
撮影:ピーター・メンジーズJr.
編集:ウィリアム・スタインカンプ
音楽:エリオット・ゴールデンサル

出演
ジェイク・タイラー・ブリガンス:マシュー・マコノヒー
エレン・ローク:サンドラ・ブロック
カール・リー・ヘイリー:サミュエル・L・ジャクソン
ルーファス・バックリー:ケヴィン・スペイシー
エセル・トゥイッティ:ブレンダ・フリッカー
ルシアン・ウィルバンクス:ドナルド・サザーランド
ハリー・レックス・ボナー:オリヴァー・プラット
オジー・ウォールズ保安官:チャールズ・S・ダットン
カーラ・ブリガンス:アシュレイ・ジャッド
フレディ・リー・コッブ:キーファー・サザーランド
オマー・ヌース判事:パトリック・マクグーハン
ビリー・レイ・コッブ:ニッキー・カット
コーラ・メイ・コッブ:ベス・グラント
ジェームズ・ルイス”ピート”ウィラード:ダグ・ハッチソン
スタンプ・シソン:カートウッド・スミス
ドウェイン・ルーニー保安官補:クリス・クーパー
ウィリー・ヘイスティング保安官補:マーク・W・ジョンソン
ハンナ・ブリガンス:アレクサンドラ・カイル
ウェールバート・ロードヒーバー医師:アンソニー・ヒールド
オリー・エイジー牧師:トーマス・メルディス
看護師:オクタビア・スペンサー
ウィラード・ティレル”W.T”バス医師:M・エメット・ウォルシュ
アイザイア・ストリート牧師:ジョー・セネカ
ティム・ナンレー:ジョン・ディール
ウィンストン:ティム・パラティ
グウェン・ヘイリー:トーニャ・スチュワート
トーニャ・ヘイリー:レイヴァン・ラリーモア・ケリー

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1996年製作 149分
公開
北米:1996年7月24日
日本:1996年12月28日
製作費 $40,000,000
北米興行収入 $108,766,010
世界 $152,266,010


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ミシシッピ州、キャントン
犯罪歴のあるジェームズ・ルイス”ピート”ウィラード(ダグ・ハッチソン)とビリー・レイ・コッブ(ニッキー・カット)は、黒人居住区に向かい住人に因縁をつける。

地元の若手弁護士ジェイク・タイラー・ブリガンス(マシュー・マコノヒー)は、妻カーラ(アシュレイ・ジャッド)と娘のハンナ(アレクサンドラ・カイル)に見送られながら、迎えに来た親友の弁護士ハリー・レックス・ボナー(オリヴァー・プラット)と共に街に向かう。

その後ピートとビリーは、買い物をして家に帰る10歳の少女トーニャ(レイヴァン・ラリーモア・ケリー)を襲い、強姦して痛めつける。

トーニャの帰りが遅いために迎えに行った息子達から、荷物が道路に落ちていたことを知らされたグウェン(トーニャ・スチュワート)は、材木工場で働く夫のカール・リー・ヘイリー(サミュエル・L・ジャクソン)に電話をする。
...全てを見る(結末あり)

法曹界から追放され酒浸りになってしまった師であるルシアン・ウィルバンクス(ドナルド・サザーランド)の事務所を受け継いでいたジェイクは、事務員のエセル・トゥイッティ(ブレンダ・フリッカー)から、経費の支払いが溜まっていることを知らされる。

帰宅したカール・リーは、一命は取り留めたものの、無残な姿で苦しむトーニャを抱きしめ、救急車で病院に向かう。

その頃、オジー・ウォールズ保安官(チャールズ・S・ダットン)は、バーにいたビリーとピートを強姦罪の容疑で逮捕する。

ハリーと共にダイナーでランチを食べていたジェイクは、ドウェイン・ルーニー保安官補(クリス・クーパー)から声をかけられ、以前ビリーの弁護をしたか訊かれる。

それを否定したジェイクは、ビリーがカール・リーの10歳の娘トーニャを強姦したことを知らされる。

その頃カール・リーは、治療を受けるトーニャを見守る。

事務所にいたジェイクは、訪ねて来たカール・リーからトーニャの容態を訊き、面倒な立場になったら助けてくれるか訊かれる。

助けると答えたジェイクは、カール・リーが何をする気なのかを考える。

帰宅したジェイクはハンナを寝かせて、彼女とトーニャをだぶらせて考えてしまうとカーラに伝える。

考えてはだめだと言われたジェイクは、事務所に来たカール・リーが犯人の二人を殺すかもしれないとカーラに話し、保安官に伝えるべきだと言われる。

同じ頃カール・リーは、裁判所に忍び込む。

翌日、事務所に現れたハリーから、ウィルバンクスと何年付き合っていたか訊かれたエセルは、20年間、秘書をしていただけだと言って気分を害する。

留置場から出されたピートとビリーは法廷に向かい、法律を学ぶ学生のエレン・ローク(サンドラ・ブロック)や人々は、連行される二人を見守る。

その時、隠れていたカール・リーは、ピートとビリーに向かって機関銃を乱射し、ビリーの兄フレディ・リー(キーファー・サザーランド)と母コーラ・メイ(ベス・グラント)の目の前で二人を射殺してしまう。

護衛をしていたドウェインも膝を撃たれ、ジェイクが駆け寄り応急処置をする。

帰宅したジェイクが血まみれだったために驚いたカーラは、ハンナを部屋に入れて、動揺する彼を気遣う。

カール・リーの家に向かったウォールズは、抵抗する気のない彼を連行する。

留置場に向かい、弁護をすることになったカール・リーと話したジェイクは、娘に酷いことをしたので殺したと言われ、ドウェインのことを訊かれる。

ドウェインの膝が吹き飛んだと知ったカール・リーは、気の毒に思う。

予備審問後に地方主席検事のルーファス・バックリー(ケヴィン・スペイシー)が公判に持ち込むと言われたカール・リーは、野心家で汚い手を使い事件をPRに利用するバックリーには、ジェイクが殺人事件では勝ったことがないと知る。

検事の選んだ陪審員なら死刑だと言われたカール・リーは、弁護費用に5万ドルはかかることを知り、兄の事件も白人の弁護士は相手にしなかったが、ジェイクが無罪にしてくれたと話す。

頻発するレイプや殺人にうんざりしている人々は、自分のしたことを理解してくれるはずだと言うカール・リーは、助けてほしいとジェイクに伝える。

報道陣に囲まれたジェイクは、カール・リーの弁護士をすることを伝えてインタビューに応じる。

カール・リーの弁護士がジェイクだと知ったバックリーは余裕を見せて、黒人比率の多い裁判地を移そうとする彼らの考えを阻止するために、予備審問の準備を始める。

裁判を担当するオマー・ヌース判事(パトリック・マクグーハン)に手を回し、ウィルバンクスには酒を1ケース送るよう、バックリーは部下に指示する。

ウィルバンクスに会ったジェイクは、正当防衛は無理なので心神喪失の線で攻めることを提案される。

資格を剥奪されたため、二度と法廷には近づかないつもりのウィルバンクスに、ジェイクは、能力は失われていないと伝えて協力を求める。

ビリーの葬儀の最中、友人のウィンストン(ティム・パラティ)とティム・ナンレー(ジョン・ディール)と話したフレディは、カール・リーに制裁を加えるために”KKK”の力を借りることを考える。

その夜、今後のことを考えながらカーラとハンナと共に自分がインタビューを受けるニュースを見ていたジェイクは、何者かからの電話で脅迫される。

翌日、報道陣からマイクを向けられたバックリーは、被告に死刑の求刑を求めることを伝えて法廷に向かい、ジェイクに声をかける。

着席したヌース判事はカール・リーに罪状認否を求め、心神喪失による無罪を主張する被告とジェイクに、公判の日取りと必要書類を提出するよう伝える。

検事側の医師の診断を求めたバックリーは許可され、保釈申請には反対する。

保釈申請していなかったジェイクは、バックリーを牽制しながら申請するものの、判事は、殺人事件の保釈は認めないのが自分の方針だと二人に伝える。

裁判地変更の申請をしたジェイクはそれも却下されるが、この地で公正な裁判はできないと伝える。

傍聴していたエレンは、ジェイクとバックリーが判事に呼ばれている間に資料をジェイクの席に置く。

その資料を参考にして、裁判地変更申請を不当に却下されるものの、最高裁で差し戻し裁定が下った判例を判事に伝えたジェイクは、申請書類を提出するようにと言われる。

閉廷後、ジェイクはエレンのとった行動に驚く。

バックリーは、精神科医ウェールバート・ロードヒーバー(アンソニー・ヒールド)に連絡を取り、弁護側の精神科医の過去の汚点を洗い出すよう部下に指示する。

弁護料の手付金を全額払えないカール・リーは、家族を養わなければならないと言って、材木工場もクビになったことをジェイクに伝える。

事務所から出て来たジェイクに挨拶したエレンは、カール・リーの裁判のアシスタントにしてほしいと伝える。

ACLU/自由人権協会の訴訟書類作成に関わり大学の成績もトップ5%だと言うエレンは、有名な弁護士の父親が裕福なので無報酬でいいとジェイクに伝えるものの断られる。

報復殺人で無罪になった判例のデータベースを渡されたジェイクは、エレンから、それを見れば考え直してくれるはずだと言われる。

ある場所に目隠されて連れて行かれたフレディは、州の”KKK”のリーダーであるスタンプ・シソン(カートウッド・スミス)を紹介される。

協力を約束してもらったフレディは、カール・リーを殺したいことをシソンに伝え、仲間を集めて郡の支部を発足するよう指示される。

ウォールズと共に留置場を出たカール・リーは、ドウェインが入院する病院に向かい、右脚を切断した彼に謝罪する。

フレディは、ウィンストン、ティム、そして保安官補のウィリー・ヘイスティング(マーク・W・ジョンソン)を仲間に引き入れる。

義父母から危険な裁判だと言われたジェイクは、被告は娘を犯され殺されかけたと言って、ハンナだったらと考えると手は引けないと伝える。

回復したトーニャと子供達を伴い教会に現れたグウェンに気づいたオリー・エイジー牧師(トーマス・メルディス)は、彼女らを歓迎する。

訪ねて来たアイザイア・ストリート牧師(ジョー・セネカ)から、NAACP/黒人地位向上協会の代表を紹介されたエイジーは、白人のジェイクではなく別の弁護士を立てることを提案される。

裁判を支援するための募金も必要だと話すストリートは、それなりの報酬を出すとエイジーに伝える。

フレディら4人のための儀式が行われ、シソンは彼らの入会を歓迎する。

”ミッキー・マウス”からだという不審な電話を受けたカーラは、家から出ろと警告される。

ハンナの叫び声に驚いたカーラは、庭で燃えている十字架に気づき避難する。

帰宅したジェイクは、駆け付けたウォールズ保安官から、ヘイスティングが近くにいたので助かったと言われる。

KKK”の仕業をだと考えるカーラの意見を否定したジェイクは、怯える彼女から責められる。

カール・リーが事務所に来て話したことをウォールズに通報しなかったとカーラに伝えたジェイクは、連絡をしていればこんなことにはならなかったと言われる。

ハンナが心配して起きたため、ジェイクは彼女を落ち着かせる。

子供達と共にカール・リーと面会したグウェンは、トーニャは元気になったものの、子供が産めない体になってしまったことを伝える。

教会で募金を募ってくれていることを知ったカール・リーは、その件を気にする。

事務所の経費が払えないエセルは苛立ち、今回の事件以外の仕事が手につかないジェイクを批判する。

家にまで嫌がらせの電話があると言うエセルは、2度、心臓発作の経験がある夫のバドのことが心配だとジェイクに伝える。

拘置所に呼ばれたジェイクは、カール・リーと共に、ストリート牧師、エイジー牧師、そして彼らが連れて来たラインフェルド弁護士に会う。

カール・リーの要請で来たことを知ったジェイクは、ストリートから、影響が大きい今回の事件で無罪を勝ち取れば、小学校での差別廃止と黒人地位向上につながると言われる。

訴訟費用を気にするカール・リーは、ラインフェルドの報酬が7000ドルだと確認し、払えるわけがないと言うジェイクに対し、ストリートは、5000ドルはNAACPが募金で集めたと伝える。

地域の教会からも2000ドル援助されると言うエイジーは、カール・リーから、家族を助けるための金なら、自分の弁護士に払っていいはずだと言われる。

ジェイクから、NAACPが献金詐欺をしたと言われたカール・リーは、それを否定するストリートとエイジーに、金を妻に渡さなければ嘘つきの詐欺師と言いふらすと伝える。

妻に小切手を渡すことをエイジーに要請するジェイクに弁護を頼むことを、カール・リーはストリートに伝える。

ジェイクへの小切手も届けることを約束させたカール・リーは、その場を去る。

留置場に戻ったカール・リーは、ジェイクに仕組んだことを見破られ、いいチームだと言われるものの、喜んでいられる心境ではなかった。

ダイナーでジェイクからハリーを紹介されたエレンは、殺人事件であ心神喪失を主張した例は1%で、勝敗は弁護側の精神科医の腕にかかっていると伝える。

ハリーはエレンが気にいるが、ジェイクは、貢献してくれるものの、彼女の協力を拒む。

エレンはその場を去り、ジェイクは、ハリーに協力を求めるものの断られる。

腕にミッキー・マウスのタトゥーがある男は、ジェイクの家に電話して死人がでると警告する。

鞄を家の床下に隠そうとする男を捕えたジェイクとウォールズは、中の爆弾を確認する。

男が爆破を解除しないために爆弾を手にしたジェイクは、それを放り投げるものの、ただの花火だった。

ハンナを連れたカーラは両親の家に向かうことになり、この件から手を引けないと言うジェイクは、カール・リーは自分だけが頼りだとカーラに伝える。

すべてうまくいく、心配しなくてもいいと伝えて約束したジェイクは、カーラから、守れない約束はやめてほしいと言われる。

ヌース判事の屋敷に呼ばれたジェイクは、裁判地変更申請を却下され、最高裁判事も裁定を支持し、控訴も無理だと言われる。

将来有望な身で経歴に汚点を残すことになると言うヌースは、被告と交渉して罪を認め、傷害致死で懲役20年の刑で手をうつことを提案する。

ウィルバンクスに会ったジェイクは、精神科医のウィラード・ティレル”W.T”バス(M・エメット・ウォルシュ)を紹介されるものの、彼もアルコール依存症だった。

その夜、エセルとバドは、マスクをした暴漢に襲えわれ、次は誰かが死ぬとジェイクに伝えるようにと言われて脅される。

ウィルバンクスと飲んで事務所で眠ってしまったジェイクは、翌日、エレンに起こされてランチに誘われ、黒人地区のダイナーに向かう。

ジェイクは、自分は賛成する死刑に反対する意見を変えるつもりがないエレンが、気分を害して店を出たために後を追う。

興奮し過ぎたことを謝罪したエレンは、政治論は納得できないが、情熱はカール・リーに必要だと言うジェイクからアシスタントを任されることになる。

バドのことを知ったジェイクは病院に向かい、エセルの気持ちを察する。

公判を前に街は闘いのムードとなり、事務所に現れたウィルバンクスはジェイクに迎えられ、ハリーにからかわれてエレンから挨拶される。

ミーティングを始めようとしたジェイクは、ウィルバンクスに頼まれて酒を買いに行こうとするエレンを制止する。

ジェイクとバックリーを呼んだヌース判事は、候補者の中から陪審員を選び12人は隔離状態となる。

シソンをリーダーとする”KKK”が街に現れ、カール・リーを支持する黒人達と乱闘になる。

黒人の青年が投げた火炎瓶により、シソンは火だるまとなる。

騒ぎに気づいたジェイクは法廷から外に向かい、足を傷つけながらウォールズを助ける。

ジェイクの傷の手当てをするエレンは、検事側の精神科医のマイナス材料を探すようにと指示される。

シソンが死んだことを知ったフレディは、このまま引き下がる気はなかった。

エレンと食事をしたジェイクは、カール・リーの心神喪失が話題になり、犯行前に自分に話したと言って、内心それを望んでしまったことを伝える。

娘のことを思うと、獣のような相手を殺すのは当然だと考えてしまった自分は共犯者だと言うジェイクは、裁判は自分自身の無罪を勝ち取る闘いだと話す。

エレンをモーテルに送ったジェイクは、一瞬求め合うものの、戸締りをするようにと伝えてその場を去る。

フレディらは様々な場所に火を放ち、ジェイクの家も燃やされる。

帰宅したジェイクは、愛犬のマックスがいるはずだと言って家に入ろうとするが、ウォールズに制止される。

翌朝、全焼した家でマックスを捜すジェイクは、現れたハリーからカーラの元に向かうようにと言われる。

3時間後の裁判は判事が延期を認め、NAACPが喜んで受け継ぐと言われたジェイクだったが、諦める気はなかった。

戻ってきたマックスが無事だったことを確認したジェイクは、2時間後の事務所でのミーティングに出席するようハリーに伝える。

軍が警戒する中、騒然とする裁判所の前では、カール・リー擁護派と”KKK”が一触即発状態だった。

裁判が始まり、証人であるビリーの母コーラ・メイを尋問したバックリーは、息子のフレディと共に事件を目撃したと言われる。

死亡当時23歳のビリーが、その人生の中で何人の子供を誘拐したかをコーラ・メイに問うジェイクだったが、バックリーが異議を申し立てて認められる。

発言を撤回したジェイクは、ビリーが生涯に少女を暴行した人数をコーラ・メイに問い、休廷したヌース判事はジェイクを判事室に呼ぶ。

法廷は再開し、ウォールズを尋問したバックリーは、犯行に使われた凶器の機関銃を手にしながら、カール・リーの指紋が検出されたことを確認し、証拠としての登録を求める。

殺害された二人の少女暴行事件について、ビリーとピートが犯行を認める供述書にサインしたことをウォールズに確認したジェイクだったが、バックリーは本件とは無関係だと言って異議を申し立ててる。

注意する判事は、二人の若者の殺害事件を裁く裁判であり、従わなければ法廷侮辱罪に処すとジェイクに伝える。

納得したジェイクだったが、ウォールズは二人が供述書にサインしたことを伝え、判事は発言を無視するよう陪審員に指示して閉廷する。

亡くなったバドの葬儀を済ませたエセルは、ウィルバンクスとジェイクと話をする。

責任はないが起きてしまったことだと言うエセルは、周囲を巻き込み、犠牲を考えず使命に突き進んだことを勇気と言えるのか疑問であり、裁判に勝っても負け戦だとジェイクに伝える。

検事側の精神科医をつぶす方法が見つからないエレンは苛立ち、ハリーは、汚い手を使うことを提案する。

行動を共にする陪審員達は、食事の最中、意見をまとめたい考えの陪審長から、被告の有罪か否かを問われる。

4人が迷い7人が有罪、無罪は一人だったために、陪審長は、”黒人”は有罪で死刑だと皆に伝える。

新聞記者を装い検事側の精神科医ロードヒーバーに会いに行ったエレンは、出廷のため彼が不在だということを確認する。

待つと言ってロードヒーバーの部屋の番号を聞き出したエレンは、出直すことにしてその場を去る。

証人として呼んだドウェインを尋問したバックリーは、事件現場で撃たれた際の状況を尋ねる。

エレンは、ロードヒーバーのオフィスの窓から内部に侵入する。

流れ弾が膝に当たり右脚を切断したと話すドウェインは、仕事のことを訊かれて、ある程度はできると答える。

銃を撃った男の顔が分かるか訊かれたドウェインは、見なかったと答えるものの、カール・リーが、自分を撃ったことを謝罪しに現れたと伝える。

カール・リーが撃ったと認めたことを確認したバックリーは、質問を終わる。

質問はないと伝えたジェイクは、自分が有罪だと思うかドウェインに尋ねるよう、カール・リーから指示される。

被告が意図的に撃ったと思うかドウェインに尋ねたジェイクは、ハッキリ尋ねろとカール・リーから合図され、刑に処すべきかを問う。

それを否定するドウェインは、カール・リーに恨みもなく、自分も同じことをしたと思うと伝え、幼い娘を犯した男達を殺した彼を責める気はないと答える。

少女強姦事件への意見は本件とは無関係だと言って異議を申し立てたバックリーだったが、ジェイクは、ドウェインには、意見を述べる特別な資格があると伝えて、判事の許可を得る。

自分にも娘がいると言うドウェインは、娘がレイプされたらカール・リーと同じことをすると伝えるものの、バックリーが再び異議を申し立てる。

有罪評決は不当だと思うかと尋ねたジェイクだったが、判事は答えることを許さない。

それを無視したドウェインは、カール・リーは英雄であり、釈放するべきだと言って叫ぶ。

判事は、騒然となった法廷内を鎮める。

証人である刑務所病院の精神科部長のロードヒーバーを尋問したバックリーは、彼が被告の精神鑑定をしたことを確認する。

情報を入手したエレンは裁判所に向かうが、ウィンストンが彼女を監視していた。

鑑定結果を伝えるロードヒーバーは、犯行当時の被告はあらゆる面で完全に正常だったと話し、バックリーは、弁護側の心神喪失の主張と矛盾することを確認して質問を終わる。

エレンが現れて情報を得たジェイクは、ロードヒーバーに雇い主を問い、ミシシッピ政府だと答えた彼に、11年、勤務した間に何件の心神喪失事件で証言したかを問う。

46回目だと答えるロードヒーバーは、その中で被告を心神喪失と診断した件数を訊かれる。

過去をすべて思い出すのは無理だと言って異議を申し立てたバックリーだったが、それを却下される。

記憶にないと答えるロードヒーバーに、1件もないために覚えていないのではないのかと尋ねるジェイクは、即座には答えられないと言われる。

1985年の”ダン・ベイカー事件”のことを尋ねるジェイクの質問に異議を申し立てたバックリーだったが、却下される。

二人を殺害した被告を正常だと診断し、異論を唱えた精神科医が診断をやり直し、被告は結局、病院に送られたと言うジェイクは、彼が入院する刑務所病院の精神科部長がロードヒーバーであることを確認する。

ロードヒーバーの話が正しければ、正常な人間を10年間も異常者として入院させていることになると伝えたジェイクは、質問を終わる。

閉廷後、裁判所を離れるジェイクを狙撃したフレディだったが、弾丸は警備隊員に当たる。

全身マヒになる可能性がある隊員のことを考えるジェイクは、動揺するエレンから自分を引き止めたいか訊かれ、そうしたいと伝えてモーテルに帰るよう指示する。

街道でヘイスティングに止められたエレンは、ウィンストンらに拉致され、”KKK”のメンバーが集まる場所に連れて行かれて拘束される。

フレディに脅されたエレンは、このままここで死ぬだろうと言われて痛めつけられ放置される。

翌日、怯えるエレンを助けたティム(ミッキー・マウスのタトゥーの男)は、彼女を街に連れて行く。

精神科医のバスを証人として呼んだジェイクは、エレンが現れないことを気にする。

娘の事件によるショックで一時的に現実感覚がマヒしたようだと話すバスは、ジェイクから、計算された被告の行為は正気の証拠だというロードヒーバーの意見についての見解を尋ねて、計算が巧みな精神分裂症患者の例はいくらでもあると伝える。

犯行当時の被告は行動を認識できない状況で、善悪の判断ができず行動の結果も理解不能であり、法的には心神喪失状態だと話すバスの言葉を、ジェイクは再度確認して質問を終える。

尋問したバックリーは、重罪犯罪を犯したことがないと言うバスに、1960年10月17日に法廷強姦罪で有罪判決を受けたのではないかと尋ねる。

異議を申し立てたジェイクは、バスは被告ではないと伝えるものの、バックリーから、証人の信用性の問題だと言われる。

質問を続けることを許可されたバックリーは、犯罪は犯していないと言うバスに対し、1960年のダラス警察の資料を手にしながら、本人が法廷強姦罪を認めていると伝える。

答えを迫られたバスは有罪判決を受けたことを認め、ジェイクは尋問せずに休廷となる。

バスを推薦したウィルバンクスを責めるジェイクは、自分も知らなかったと言われる。

自信を無くして戸惑うジェイクに、誇りを持ち正義のために法廷に戻り務めを果たせと伝えたウィルバンクスは、彼を励ます。

法廷に誘われたウィルバンクスだったが、二度と入らないと言って、自分を越えるようにとジェイクに伝える。

カール・リーを尋問したジェイクは、事件を起こした際の状況を尋ね、自分から離れて自分を見ているようだったと言われる。

尋問したバックリーは、殺した二人にはどんな刑が妥当だったかを問い、その挑発に乗ったカール・リーは、ジェイクが制止したにも拘らず、”死刑が妥当であり地獄に落ちろ”と叫んでしまう。

バックリーは質問を終え、明日から最終弁論に入ると伝えた判事は閉廷する。

エレンが襲われたことを知ったハリーは、それをジェイクに伝える。

手当てを受けて入院したエレンを見舞ったジェイクは、自分のせいだと言って謝罪する。

法廷のことを訊かれたジェイクは、バスには前科があり、カール・リーはバックリーの罠にはまったことをエレンに伝える。

裁判のせいで多くの犠牲者がでたことを考えると、代償が大き過ぎると伝えたジェイクは、エレンから、まだ公判の途中であり最終弁論が残っていると言われる。

心に見える事件の姿を陪審員にも見せるようにと言われたジェイクは、自分自身を信じるようにと励まされる。

勝敗に拘わらず自分達は最高のチームだと伝えたジェイクは、そうなれたと言いながら、キスしたいのか尋ねる彼女に、見破られたと伝えただけでその場を去る。

再び陪審員の考えを聞いた陪審長は、全員が有罪であることを確認する。

事務所にいたジェイクは、一人で戻ってきたカーラから、犯人の二人が、ハンナをトーニャと同じ目に遭わせた時のことを考え、正義を求めて闘っていることが理解できたと言われる。

カーラを抱きしめたジェイクは、君を失うかと思ったと伝える。

カール・リーに会ったジェイクは、自分達の負けを認めて取引するしかないことを伝える。

第二級殺人罪を認めれば終身刑で済むだろうと言われたカール・リーは、全員白人の陪審員と同じ目で自分を見ているとジェイクに伝える。

ジェイク自身が陪審員の一人なら、どう説得されたら無罪にするかをジェイクに問うカール・リーは、それで互いに救われると考える。

翌日、被告が仕返しの制裁を認めたことを強調しながら陪審員に話したバックリーは、娘のことは同情するが、許されない行為だと言って、カール・リーの有罪を求めて発言を終える。

陪審員に語り掛けるジェイクは、若輩者で失敗もすると話しながら、ウィルバンクスが法廷に現われたことに気づく。

法律家は、言葉だけで真実を伝えるのではなく、それを追い命を懸けるべきだと言うジェイクは、恩師の教えだと話す。

バスは恥ずべき嘘つきと言えるのか・・・彼が強姦した相手である17歳の少女は、その後、彼の妻となり子供を産み現在も仲睦まじく暮らしていることを考えると、バスの証言の真実性はどう判断していいなのかと、ジェイクは陪審員に問う。

真実を求めるのは自分達の頭、または心なのか、法の下では誰もが平等であり、南部でも黒人は公平な裁判を受けられるのか・・・。

法の目は人の目であり、平等の目を持たない限り公平な裁判はなく、正義は差別を映す鏡に過ぎないと話すジェイクは、その日が来るまでどのようにして真実を見定めるのか考える。

自分達の目は度々、偏見に毒されるものの、心が感じるものは純粋であると話すジェイクは、物語を語るので目を閉じて心で受け止めてほしいと陪審員に伝える。

女の子が買い物の帰りに二人の男に襲われ、強姦されて傷ついた彼女は、子供が産めない体になる。

男達は少女にビール缶を投げつけて、骨に達するまで肌は避け、尿もかけられた。

吊るし首になるものの、枝が細かったために少女は地面に落ち、男達は彼女を車の荷台に放り込み、橋に向かい投げ捨てた。

その少女の姿が見えるかを問うジェイクは、”彼女は白人だった・・・”と話し、発言を終える。

カール・リーは無罪となり、裁判所の前で判決を待っていた人々は歓声を上げる。

それを知ったエレンは安堵する。

カール・リーから感謝されたジェイクは、自分は悪人のはずだと伝えてその場を去る。

ウォールズは、フレディとウィンストン、そして部下のヘイスティングを逮捕する。

バックリーは、ジェイクの健闘を称えて裁判所を去る。

グウェンと共に報道陣に囲まれたカール・リーは、駆け寄ってきたトーニャを抱きしめる。

その後、カール・リーにパーティーに招かれたジェイクは、カーラとハンナと共にヘイリーの家に向かう。

グウェンはハンナにトーニャを紹介し、二人は握手する。

ジェイクとカール・リーは、何も語らずも互いの気持ちを理解する。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
ミシシッピ州、キャントン
人種差別主義者で犯罪歴のある若者ピートとビリーは、黒人労働者カール・リーの10歳の娘を強姦し、二人は逮捕される。
一命は取り留めるものの、体も心も傷つけられた娘の姿を見て悲しむカール・リーは、復讐を果たすためにピートとビリーを裁判所で射殺してしまう。
事件前にカール・リーから相談を受けていた地元の若手弁護士ジェイク・タイラー・ブリガンスは、彼の弁護を引き受けることになる。
黒人に協力するジェイクは保守的な白人達の反感を買い、家族や周囲の人々を巻き込む脅迫に遭いながらも、正義を貫く闘いに挑むのだが・・・。
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ジョン・グリシャムのデビュー作である”A Time to Kill”を基に、話題作を手掛けていたジョエル・シュマッカーの演出、そして豪華スター競演による法廷ドラマ。

その後のハリウッドを支える若手スター他の共演は注目で、公開当時も話題になった作品だが、彼らの実力が確かだったなことなどを考えながら今観ると改めてそれが実感できる。

北米興行収入は1億ドルを超え、全世界では約1億5200万ドルのヒットとなった。

ジョン・グリシャムの原作に加え、アキヴァ・ゴールズマンの脚本ということで期待された作品なのだが、人種問題を扱った同じような内容は多々あるために新鮮味はなく、深いテーマへの突っ込みがやや浅いようにも思える。

撮影当時まだ25歳だった初主演作のマシュー・マコノヒーは、期待の若手スターとして注目されていただけあり、正義のために闘う有能な弁護士を熱演している。

娘を強姦した犯人に制裁を加え、裁きを受けることになる労働者を演ずるサミュエル・L・ジャクソンは、既にキャリアを重ねていただけあり、物語のキーマンである男性を好演し、ゴールデングローブ賞の助演賞にノミネートされた。

娯楽と話題性を重視し、「スピード」(1994)でブレイクしたサンドラ・ブロックを添え物のように起用したキャスティングも疑問で、主人公に惹かれそうになる法学生である彼女の存在は邪魔にも思える。

あらゆる手段を使い被告を有罪にしようとする主席地方検事のケヴィン・スペイシー、主人公の法律事務所の事務員ブレンダ・フリッカー、法曹界から追放され酒に溺れる身でありながら、教え子である主人公を支えるドナルド・サザーランド、主人公の友人である弁護士のオリヴァー・プラット、正義感のある法の番人、保安官のチャールズ・S・ダットン、主人公の妻アシュレイ・ジャッド、被告や主人公を脅す強姦犯人の兄キーファー・サザーランド、その母ベス・グラント、判事のパトリック・マクグーハン、少女を強姦する犯人のニッキー・カットダグ・ハッチソン、”KKK”のリーダー、カートウッド・スミス、被告に撃たれるものの恨むことなく彼を英雄視する保安官補のクリス・クーパー、”KKK”のメンバーである保安官補のマーク・W・ジョンソン、主人公の娘アレクサンドラ・カイル、検事側の証人である精神科医アンソニー・ヒールド、牧師のトーマス・メルディス、看護師のオクタビア・スペンサー、弁護側の精神科医M・エメット・ウォルシュ、事件を人権問題に利用する牧師のジョー・セネカ、”KKK”のメンバーであるが主人公らに度々、警告するジョン・ディール、”KKK”のメンバー、ティム・パラティ、強姦される被告の娘トーニャ・スチュワート、その母親レイヴァン・ラリーモア・ケリーなどが共演している。


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