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サウンド・オブ・サンダー A Sound of Thunder (2005)

SF作家の巨匠レイ・ブラッドベリの原作を基に製作された作品。
タイムトラベル技術が引き起こす人類滅亡の危機を描く、監督ピーター・ハイアムズ、主演エドワード・バーンズキャサリン・マコーマックベン・キングズレー他共演のSFスリラー。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


SF


スタッフ キャスト
監督:ピーター・ハイアムズ

製作
ハワード・ボールドウィン
カレン・ボールドウィン
モシュ・ディアマント
アンドリュー・スティーヴンス
製作総指揮
エリー・サマハ
ロマーナ・シサローヴァ
ジョン・ハーディ
リック・ナサンソン
イエルク・ヴェスターカンプ
ウィリアム・J・イマーマン
ブレック・アイズナー
原作:レイ・ブラッドベリA Sound of Thunder
脚本
トーマス・ディーン・ドネリー
ジョシュア・オッペンハイマー
グレッグ・ポイリアー
撮影:ピーター・ハイアムズ
編集:シルヴィ・ランドラ
音楽:ニック・グレニー=スミス

出演
トラヴィス・ライヤー博士:エドワード・バーンズ
ソニア・ランド博士:キャサリン・マコーマック
チャールズ・ハットン:ベン・キングズレー
ジェニー・クレイス:ジェミマ・ルーパー
マーカス・ペイン:デヴィッド・オイェロウォ
ルーカス医師:ヴィルフリート・ホーホルディンガー
クレイ・デリス:アウグスト・ツィルナー
クリスチャン・ミドルトン:コーリイ・ジョンソン
テッド・エックルズ:ウィリアム・アームストロング
アリシア・ウォーレンベック:ハイケ・マカチュ
ジョン・ウォーレンベック:アーミン・ローデ

アメリカ/イギリス/ドイツ/チェコ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
2005年製作 103分
公開
北米:2005年9月2日
日本:2006年3月25日
製作費 $80,000,000
北米興行収入 $1,891,820
世界 $11,665,470


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
2055年。
人類はタイムトラベルを可能にする技術を開発し、シカゴの企業”タイム・サファリ”は、タイムマシン”TAMI”で6500万年前の白亜紀ツアーを開始する。

”タイム・サファリ”社長チャールズ・ハットン(ベン・キングズレー)は、ツアーの成功を喜び、参加者の大富豪ジョン・ウォーレンベック(アーミン・ローデ)と妻のアリシア(ハイケ・マカチュ)を満足させる。

パーティーに参加しないツアーのチームリーダー、トラヴィス・ライヤー博士(エドワード・バーンズ)は、大切な顧客の接待をするのも仕事だとハットンに言われる。

顧客にツアーの経験の価値を説明していたライヤーは、タイムトラベルに反対しながら乱入してきた科学者ソニア・ランド博士(キャサリン・マコーマック)の態度を気にする。

ランドを追ったライヤーは、地球が滅亡すると言う彼女から、自分がTAMIの開発者だと言われる。
...全てを見る(結末あり)

TAMIの特許所有者でないランドに話を聞いたライヤーは、金儲けだけを考えるハットンに権利を奪われたことを知らされる。

ランドの話を理解したライヤーは、絶滅した動物を復元しようとしている研究について説明する。

絶滅したライオンを復元して見せたライヤーは、未来を変えてしまう可能性のある危険なツアーは、タイムトラベル監督局により厳しく監視されていることを条件に、許可を出したとランドに伝える。

ハットンの目的は金だと言い切るランドは、自分の考えを変える気はなかった。

その頃、クリスチャン・ミドルトン(コーリイ・ジョンソン)とテッド・エックルズ(ウィリアム・アームストロング)は、ツアーへの参加を決める。

ハットンは、ツアーの撮影担当ジェニー・クレイス(ジェミマ・ルーパー)、エンジニアのマーカス・ペイン(デヴィッド・オイェロウォ)、医師のルーカス(ヴィルフリート・ホーホルディンガー)、そしてライヤーをミドルトンとエックルズに紹介する。

ライヤーとルーカスは、武器のや過去のものを持ち帰らず変化させないというツアーのルールを、ミドルトンとエックルズに説明する。

ツアーは始り、ライアーらは監督局のクレイ・デリス(アウグスト・ツィルナー)を伴い白亜紀に向かう。

予定通りアロサウルスが現れるが、ライヤーの液体窒素銃が作動しない。

ライヤーとジェニーがおとりになる間に、ペインが銃を直す。

ペインから銃を渡されたライアンはアロサウルスを倒し、危険な真似をしたジェニーに注意する。

ライヤーらはポータルに戻ろうとするが、通路には足跡が残っていた。

現在に戻ったミドルトンは死にかけたことで憤慨し、ハットンを非難する。

貴重な体験をすることができたはずだと言って、ハットンはミドルトンとエックルズを納得させる。

その後、11月にも拘らず暖かい日が続き、異常な出来事が起きていることを気にしながら、ライヤーは次のツアーに向かう。

白亜紀に到着したライヤーらは、アロサウルスが死んでいることに気づき、その後起きる予定だった火山が噴火する。

ライヤーらは何んとか現代に戻り、時間が5分ずれていたことの原因をTAMIに訊くが、計算通りに過去に到着したと言われる。

今回の問題を重要視するデリスは、監督局による閉鎖命令をハットンらに伝え、TAMIのシステムはダウンする。

植物が巨大化する現象が起き、各種の植物を育てていたランドは、アパートの住人から非難を浴びる。

ランドを訪ねたライヤーは、過去を変えてしまった可能性を語りながら、時間の波を体験する。

その直後に女性の叫び声が聞こえ、昆虫に襲われた女性がランドの部屋の入り口で倒れる。

大量の昆虫から逃れようとしたライヤーとランドはその場から飛び降り、生えていた木により助かる。

6500年分の変化が現代で起きると指摘するランドは、防ぐ方法をライヤーに訊かれて、あるはずだと答える。

もう一度、過去に戻るしかないとライヤーとランドに言われたデリスは、それを許可する気にはなれなかったが、ハットンに説得される。

単独で過去に向かったライヤーは、時間の波が来ることに気づき現代に戻る。

街は植物に覆われて停電してしまい、時間の波を突き抜けて過去に向かうのは無理だとランドは考える。

前回のツアーの映像をチェックしたライヤーらは、置き忘れてきたものがないことを確認する。

戻って来た際の質量が1.3グラム増えていることにペインが気づくが、バイオフィルターがあるために、何か持ち帰るのは不可能だとランドが指摘する。

しかし、コスト削減でバイオフィルターを止めていたことをハットンが話し、その件をライヤーから訊かれたデリスは知っていたことを否定する。

ランドの指示で何を持ち帰ったかを調べたライヤーは、見逃すはずがないデリアが薄給だったため、ハットンから賄賂を受け取っていたのだろうと話す。

エックルズが何か持ち帰ったのではないかと考えるライヤーらに、変化が起きる前の過去、つまり6500万年の1年前に戻り波紋を飛び越える方法をランドが説明する。

不確実であり数十秒しか滞在できない方法だったが、それに頼るしかないライヤーらは、エックルズに会いに行く。

進化した生物などがいると考えたライヤーらは、警戒しながら建物を出て巨大な足跡を見つける。

ペインが蔓の棘に刺されてしまい、ルーカスが何かに襲われて連れ去られる。

それを追ったライヤーは、ヒヒとトカゲが合体したような生物を倒す。

ルーカスは助かり、大量の生物が現れたため、動けなくなったペインが残りライヤーらを逃がす。

ペインは、家族のことを考えながら生物に殺される。

辛い立場のライヤーだったが、過去を戻せばペインは帰って来ると皆に伝えてエックルズの家に急ぐが、ランドはその考えには問題もあると語る。

生存者の居住区域に着いたライヤーらはエックルズに会い、過去から何かを持ち帰ったかを尋ねる。

ジェニーがその場に何もないことを確認し、ライヤーらはミドルトンに会うために、彼が滞在しているはずの会社に向かおうとして、エックルズから車を提供される。

現場に着いたライヤーは、ジェニーとルーカスに車を見張るよう指示して、ランドと共にミドルトンを捜す。

蔓の棘に刺され、その毒で精神的に不安定なミドルトンは、興奮して自殺してしまう。

ライヤーとランドは、ミドルトンの靴の底に蝶が張り付いていることに気づく。

車に戻ったライヤーとランドは、ミドルトンが蝶を踏んだことが原因だとジェニーとルーカスに伝えてその場を離れるが、コウモリ型の生物に襲われる。

ルーカスが連れ去られ、時間の波により車は横転してタイム・サファリのビルに突っ込む。

ハットンが死んでいることを確認したライヤーらは、その場の機材を運んで粒子加速器がある大学に向かおうとする。

デリスが隠れていることに気づいたライヤーだったが、天井に無数のヒヒ型生物が眠っていることを知らされる。

ライヤーらはその場を去り、デリスは残ろうとするが、目覚めた生物に殺される。

地下鉄を通り脱線している車両に入ったライヤーらは、地下水が流れ出してきたために外に出られなくなる。

排気口から出られるはずだと言うライヤーは、水中を泳いでそれを探そうとする。

しかし、ジェニーが窓を突き破ったウツボ型の生物に襲われ、車両は浸水してしまい、ライヤーはランドを逃がす。

生物を撃とうとしたライヤーは銃が作動せず、ナイフで相手を倒そうとするものの、生物は彼の体に巻き付く。

ライヤーは意識を失うが、生物は天井が崩落して押しつぶされる。

ランドがライヤーを助けて、排気口から脱出した二人は大学に向う。

ヒヒ型生物が迫る中、発電機を動かしてシステムを作動させ、TAMIに話しかけたランドは、時間の波が来る寸前でライヤーを過去に送る。

白亜紀に着いたライヤーは、アロサウルスに襲われそうなジェニーに、自分の姿を撮らせる。

ハットンがフィルターを止めたために大事件が起きるとジェニーに伝えたライヤーは、戻ったらそのディスクを自分に渡すよう指示する。

ミドルトンが蝶を踏むのを阻止したライヤーは姿を消し、ジェニーは未来に戻る間際に、バイオフィルターを止めたことはバレているとデリスに伝えて、目の前を舞う蝶を見つめる。

ライヤーらは現代に戻り、ハットンに歓迎される。

ジェニーに呼ばれたライヤーは、過去で撮影した映像ディスクを渡される。

過去で、もう一人の自分に撮影するようにと言われたとジェニーから知らされたライヤーは、それを見てランドの元に向かう。

仕事を辞めると言うライヤーは、警告したことが全て現実になるとランドに伝えてディスクを渡す。

納得してそれを受け取ったランドは、ライヤーと話し合おうとする。


解説 評価 感想
*(簡略ストー リー)
2055年、シカゴ
タイムマシン”TAMI”を開発した”タイム・サファリ”の社長ハットンは、タイムトラベルをビジネスにして6500万年前の”白亜紀”に向かうツアーに成功する。
しかし、その開発者である科学者ランドは、タイムトラベルにより人類が滅亡すると警告する。
ランドの言葉を気にしたツアー・ガイドを兼ねる科学者トラヴィス・ライヤー博士は、地球環境が変化したことを知る。
ツアーに参加した者が、過去から何かを持ち帰ったかその時代に影響を与えた結果、地球の歴史は変わってしまったのだった。
それを調べようとしたライヤーはランドに協力を求め、原因を突き止めるため過去に行くことを考える。
しかし、時間の波によりそれが不可能であることが分かり、ツアー客を調べようとするが、ライヤーらは、進化の過程で生れた狂暴な生物や植物に襲われてしまう・・・。
__________

1952年に雑誌”Collier’s”に掲載され、1953年発表された”The Golden Apples of the Sun”の中のレイ・ブラッドベリによるSF短編小説”A Sound of Thunder”を基に製作された作品。

SF作家の巨匠レイ・ブラッドベリの、映像化が難しいとされていた原作を基に製作されたSFスリラーの超大作。

アメリカ、イギリスドイツなど、国際色豊かなスタッフ・キャストによる大作で、過去に変化を与えてしまったことにより、進化の過程で変異した生物などが登場するSFX映像なども注目された。

カプリコン・1」(1977)や「2010」(1984)など、サスペンス映画において定評のあるピーター・ハイアムズの演出ということも大いに期待されたが、内容はやや単調で深みもなく、彼にしては平凡な作品に終わってしまったのは残念だ。

タイムトラベルがテーマであるSF作品なので、それほど深く追及する気もないが、荒唐無稽な内容とご都合主義が気になり、現代感覚ばかりが目立ち、レイ・ブラッドベリの原作を生かし切れていない。

登場する変異生植物などの造形も新鮮味がなく、映像的にも迫力に欠ける。

製作費に8000万ドルをかけた大作ではあるが、北米では全くの不評で、興行成績はわずか190万ドル、全世界でも約1200万ドルという、惨憺たる結果に終わってしまった。

タイムトラベル・ツアーのガイドも務める科学者を熱演するエドワード・バーンズ、タイムマシンの開発者で、タイムトラベルが人類を滅亡させると言って警告する科学者キャサリン・マコーマック、タイムトラベル・ツアーをビジネスにする企業の社長役で、彼らしくない軽い役柄が気になるベン・キングズレー、彼の部下でツアーの撮影担当ジェミマ・ルーパー、エンジニアのデヴィッド・オイェロウォ、医師のヴィルフリート・ホーホルディンガー、タイムトラベル監督局の役人アウグスト・ツィルナー、事件の原因を作るツアー客コーリイ・ジョンソン、同じくウィリアム・アームストロング、別のツアー客で大富豪のアーミン・ローデハイケ・マカチュなどが共演している。


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