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シリアスマン A Serious Man (2009)

製作、監督、脚本、編集コーエン兄弟によるコメディ・ドラマの快心作。
平凡な大学教授の人生崩壊劇をシニカルに描く、主演マイケル・スタールバーグリチャード・カインドアダム・アーキン他共演のブラック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)

コーエン兄弟 / Joel Coen, Ethan Coen 作品一覧


スタッフ キャスト ■
監督

ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
製作総指揮
ティム・ビーヴァン
エリック・フェルナー
ロバート・グラフ
製作
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
脚本
ジョエル・コーエン
イーサン・コーエン
撮影:ロジャー・ディーキンス
編集:ロデリック・ジェインズ
音楽:カーター・バーウェル

出演
ローレンス”ラリー”ゴプニック:マイケル・スタールバーグ
アーサー・ゴプニック:リチャード・カインド
ドン・ミルグラム:アダム・アーキン
サイ・エイブルマン:フレッド・メラメッド
ジュディス・ゴプニック:サリ・レニック
ダニー・ゴプニック:アーロン・ウルフ
サラ・ゴプニック:ジェシカ・マクマナス
ヴィヴィアン・サムスキー:エイミー・ランデッカー
トライトル・グロシュコヴァー:フィヴァッシュ・フィンケル
ヴェルヴェル:アレン・ルイス・リックマン
ドーラ:イェリーナ・シュミュレンソン
スコット・ギンズラー/ラビ:サイモン・ヘルバーグ
ソロモン・シュルツ:マイケル・ラーナー
ナフナー/ラビ:ジョージ・ワイナー
クライヴ・パーク:デヴィッド・カン
クライヴの父:スティーヴン・パーク
マーシャク/ラビ:アラン・マンデル

アメリカ 映画
配給 フォーカス・フィーチャーズ
2009年製作 105分
公開
北米:2009年10月2日
日本:2011年2月26日
製作費 $7,000,000
北米興行収入 $9,042,800
世界 $31,430,330


アカデミー賞 ■
第82回アカデミー賞
・ノミネート
作品・脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
20世紀初頭、ポーランドシュテットル
帰宅したユダヤ人のヴェルヴェル(アレン・ルイス・リックマン)は、妻のドーラ(イェリーナ・シュミュレンソン)に、知り合いのトライトル・グロシュコヴァー(フィヴァッシュ・フィンケル)に偶然、出くわした話しをする。

しかしドーラは、グロシュコヴァーが3年前に亡くなっているのを知っていたため、悪霊と話した自分達は呪われたことをヴェルヴェルに伝える。

その時、入り口のドアを叩く音がして、ヴェルヴェルは、温かいスープでもと言って、グロシュコヴァーを家に招いたことを伝え、彼を家に招き入れる。

ヴェルヴェルに話したことを、グロシュコヴァーに笑われたドーラは、彼の胸にアイスピックを突き刺してしまう。
...全てを見る(結末あり)

グロシュコヴァーは、ヴェルヴェルに手を貸してやったのに恩知らずだと言って、よろけながら表に出て行く。

ヴェルヴェルは、自分達が殺人者となり身の破滅だと嘆くのだが、ドーラは、悪霊を退治しただけだと、何食わぬ顔で言い返す。
__________

1967年、ミネソタ州。
大学で物理学を教える平凡なユダヤ人ローレンス”ラリー”ゴプニック(マイケル・スタールバーグ)は、郊外の住宅地に家族と共に暮らしていた。

ヘブライ学校に通うラリーの息子ダニー(アーロン・ウルフ)は、クラスメイトからマリファナを買い、払う予定の20ドルを携帯ラジオに隠したまま教師に見つかり、それを没収されてしまう。

ある日、帰宅したラリーは、妻ジュディス(サリ・レニック)から、離婚したいと一方的に言われ戸惑ってしまう。

ジュディスは、ラリーの友人である妻を亡くして間もないサイ・エイブルマン(フレッド・メラメッド)と親密になったというのだ。

翌日ラリーは、落第寸前の韓国人学生クライヴ・パーク(デヴィッド・カン)が、前日に賄賂を置いていったことを問い詰めるが、 彼は証拠がないと言い張る。

帰宅したラリーは、ジュディスに弁護士を雇うよう急かされ、ダニーに20ドルを取られた娘サラ(ジェシカ・マクマナス)は苛立ち、居候している変わり者の伯父アーサー(リチャード・カインド)がバスルームから出てこないと愚痴を聞かされる。

その後ラリーは、何食わぬ顔で、訪ねてきたサイと簡単な会話を交わし、彼に抱き寄せられてしまう。

ダニーに、テレビのアンテナを直して欲しいと言われ、屋根に上ったラリーは、隣人のヴィヴィアン・サムスキー(エイミー・ランデッカー)が、全裸で日光浴をしているのを目撃して驚き、強い陽射しを受けて目がくらんで倒れてしまう。

ある夜ラリーは、同じ部屋で寝ているアーサーが、とてつもない理論を書きとめたノートを見つける。

翌日ラリーは、終身在籍委員会に自分のことを報告する投書があったことを同僚から知らされ、それを賄賂の件だと思い込み焦る。

サイとジュディスとで話し合うことになったラリーは、二人から家を出て行くように言われてしまう。

仕方なくモーテルに引っ越す準備をしていたラリーは、賄賂を渡された学生クライヴの父親(スティーヴン・パーク)から、名誉毀損で訴えると言われ戸惑う。

悩んだラリーは、ラビのナフナー師(ジョージ・ワイナー)に相談してみることを勧められる。

● 最初のラビ

ナフナー師が不在だったため、ラリーに対応した若い下位のラビ、スコット・ギンズラー(サイモン・ヘルバーグ)は、意味不明な神の存在論を語るだけだった。

その後、離婚弁護人のドン・ミルグラム(アダム・アーキン)を訪ねたラリーは、生活苦になったために、時給制だという弁護料が払えるかを心配する。

ある朝、出勤途中にクライヴを見かけたラリーは、それに気をとられて追突事故を起こしてしまう。

その後、ダニーからの電話を受けたラリーが家に帰ると、ジュディスがサイの事故死で取り乱していた。

● 2番目のラビ

ジュディスに、サイの葬儀代の支払いを頼まれたラリーは、出費が嵩み窮地に立たされている現状を、ナフナー師に語る。

ナフナー師に助言を求めるラリーだったが、彼はある歯科医の珍妙な話をするだけで、何の手助けにもならない。

サイのシヴァの期間中に、当局の者らしき男性が現れて、アーサーが、 州法で禁じられているギャンブルをしたことに対して警告して帰っていく。

数学が得意なアーサーは、ポーカーで稼いだ金をダニーに渡していたため、姉のサラは、それを何に使うか分からないとヒステリックになる。

ダニーはそれに対抗し、サラが貯めた金で鼻の整形手術をする気だと話したために、ラリーは許可しないとわめき散らす。

ドンのオフィスを訪ねたラリーは、ジュディスに預金を全て下ろされたことを伝える。

そして、何もかもうまくいかずに絶望寸前のラリーは、ドンの前で涙してしまう。

ナフナー師に相談したかなど、ラリーに問質したドンは、同じラビのマーシャク師(アラン・マンデル)に会うことを彼に勧める。

マーシャク師と会えそうもないラリーは、思い切って、気になる存在だった隣人のヴィヴィアンの家を訪ねる。

ヴィヴィアンにマリファナを勧められたラリーは、若いラビのギンズラー師の言っていたことが正しいと考える。

その後ラリーは、売春容疑で逮捕されたアーサーが、男を買ったことを知り愕然とする。

再びドンを訪ねたラリーは、アーサーの弁護士を紹介してもらい、隣人と揉めている、境界線の担当の弁護士ソロモン・シュルツ(マイケル・ラーナー)がそこに現れるが、彼は心臓麻痺を起こし倒れてしまう。

大学に向かったラリーは、クライヴの賄賂に手を出そうか悩み、終身在職の件が、来週に分かるということを聞き気を揉む。

そんなラリーは、ヴィヴィアンとマリファナを吸って愛し合う。

● マーシャク

人生の危機を救ってもらおうとしたラリーだったが、秘書にそれを伝えるだけでマーシャク師に会うことはできなかった。

その夜、アーサーも自分の人生に絶望して取り乱してしまい、ラリーは、クライヴの賄賂を渡し、彼をカナダに向かわせる。

しかしアーサーは、狩をしていた、ユダヤ人嫌いの隣人に射殺されてしまい、ラリーも撃たれそうになったところで彼は目が覚める。

それが夢だと分かったラリーは、ダニーの”バル・ミツヴァー”の日を迎える。

ラリーは、この日ばかりはジュディスと共に息子の姿を見て喜びを噛みしめる。

サイが自分を尊敬していたと、ラリーはジュディスから聞き、彼がそのことを大学の委員会に何度も投書していたことも知らされる。

ダニーは、マリファナを吸いもうろうとしながらも無事に儀式を終える。

その後、マーシャク師に呼ばれたダニーは、学校で没収されたラジオを返してもらい、師から”いい子であるように”と言葉をかけられる。

週明け、ラリーは弁護料3000ドルを請求されたため、仕方なくクライヴの成績評価を書き換える。

その時、ラリーは、検診を受けていた医師から、その結果を知らせたいとの連絡を受ける。

学校で授業を受けていたダニーは、竜巻の発生で避難することになり、戻ってきたマリファナ代20ドルをクラスメイトに渡そうとする。

しかし、巨大な竜巻が迫ってくる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ユダヤ人の大学教授ラリー・ゴプニックは、郊外の住宅地で、妻ジュディスと娘サラ、息子ダニーと共に、平凡な暮らしをしていた。
そんなラリーは、落第寸前の学生から賄賂を渡されて戸惑い、帰宅後、ジュディスから離婚を迫られてしまう。
ラリーは、ジュディスが親密になった相手が、親友で妻を亡くして間もないサイだと知って驚いてしまう。
その後ラリーは、賄賂の学生を追求するが白を切られ、大学の終身在籍委員会には、自分についての投書が寄せられていることを知り焦ってしまう。
更に、ジュディスとサイに家を出るよう言われ、ラリーは仕方なく居候している兄のアーサーとモーテル住まいを始める。
その上ラリーは、賄賂の学生の親からは名誉毀損で訴えると言われ、ユダヤ人嫌いの隣人との、土地の境界線でも揉め始める。
問題が山積みとなったラリーは、窮地にされてしまい、救いを求めラビに相談してみることにするのだが・・・。
__________

見方によっては、道理に合わないように思える”不条理”を描くコーエン兄弟の快心作。

独特の非現実的なユーモアを貫きながら、危機を乗り越えるきっかけを掴んだ主人公、ついに、人生の終わりを迎えるかもしれないと予感させるラストが怖い。

コーエン兄弟の出身地であるミネソタが舞台で、ドラマの主人公と同じく、兄弟の父親は大学教授でもあり、二人が暮らしていた環境をモデルにしている。

拡大公開はされなかったため、北米での興行成績は約900万ドルだったが、わずか700万ドルで製作されたにも拘らず、全世界では約3100万ドルの興収を記録した。

各方面からも高く評価され、第82回アカデミー賞では、作品、脚本賞にノミネートされた。

音楽のカーター・バーウェル、撮影のロジャー・ディーキンスなど、スタッフもコーエン兄弟作品でお馴染みの面々。

突如として起きる、不幸の渦に巻き込まれる平凡な大学教授マイケル・スタールバーグ、その兄で風変わりではあるが、天才的な数学の才能の持ち主のリチャード・カインドアラン・アーキンの息子で、離婚弁護士のアダム・アーキン、主人公の妻サリ・レニック、彼女と親密になる友人フレッド・メラメッド、主人公の息子アーロン・ウルフ、娘ジェシカ・マクマナス、魅力的な隣人エイミー・ランデッカー、冒頭で悪霊にとり憑かれたと思い込む夫婦アレン・ルイス・リックマンとイェリーナ・シュミュレンソン、彼女に胸を刺されてしまう男性フィヴァッシュ・フィンケル、弁護士マイケル・ラーナー、主人公の救い主になることのないラビサイモン・ヘルバーグジョージ・ワイナー、アラン・マンデル 、落第寸前のため、主人公に賄賂を渡す学生デヴィッド・カン、その父親スティーヴン・パークなどが共演している。


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