人助けのために殺人を慈善と思い込む叔母姉妹に翻弄される作家と家族が巻き起こす騒動を描く、製作、監督フランク・キャプラ、主演ケイリー・グラント、ジョセフィン・ハル、ジーン・アデーア、レイモンド・マッセイ、ピーター・ローレ、プリシラ・レイン、ジャック・カーソン、エドワード・エヴァレット・ホートン他共演のブラック・コメディ。 |
・コメディ
・ケイリー・グラント / Cary Grant / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランク・キャプラ
製作:フランク・キャプラ
原作:ジョセフ・ケッセルリング”毒薬と老嬢”(戯曲)
脚本
ジュリアス・J・エプスタイン
フィリップ・G・エプスタイン
撮影:ソル・ポリト
編集:ダニエル・マンデル
音楽:マックス・スタイナー
出演
モーティマー・ブルースター:ケイリー・グラント
アビー・ブルースター:ジョセフィン・ハル
マーサ・ブルースター:ジーン・アデーア
ジョナサン・ブルースター:レイモンド・マッセイ
ハーマン・アインスタイン博士:ピーター・ローレ
エレイン・ハーバー・ブルースター:プリシラ・レイン
“テディ・ルーズベルト”ブルースター:ジョン・アレグザンダー
パトリック・オハラ巡査:ジャック・カーソン
サンダース巡査:ジョン・リッジリー
ブロフィー巡査部長:エドワード・マクナマラ
ルーニー警部:ジェームズ・グリースン
ウィザースプーン:エドワード・エヴァレット・ホートン
ハーパー牧師:グラント・ミッチェル
カルマン判事:ヴォーン・グレイザー
ギルクリス医師:チェスター・クルート
ギブス:エドワード・マクウェイド
タクシー運転手:ギャリー・オーウェン
新聞記者:チャールズ・レイン
新聞記者:ハンク・マン
役所の婚姻係:スペンサー・チャーターズ
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1944年製作 118分
公開
北米:1944年9月23日
日本:1948年9月28日
製作費 $1,120,175
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ニューヨーク、ハロウィン。
演劇評論家である作家のモーティマー・ブルースター(ケイリー・グラント)は、恋人のエレイン・ハーバー(プリシラ・レイン)と共に婚姻届けをするために順番を待つ。
新聞記者の二人(チャールズ・レイン/ハンク・マン)に気づかれたモーティマーは、結婚を否定する男として世間に知られていたため、トラブルを避けようとしてその場から逃げる。
エレインに結婚できないと伝えたモーティマーだったが、考えを変えて再び受付の列に並ぶ。
ブルックリン。
裕福な人々が暮らす住宅街の巡回を担当するブロフィー巡査部長(エドワード・マクナマラ)と新人のパトリック・オハラ巡査(ジャック・カーソン)は、ブルースター姉妹の屋敷の近所を見回る。
資産家であるにも拘らず、姉妹が部屋を貸していることを不思議に思うオハラは、ブロフィーから、姉妹のマーサとアビー(ジーン・アデーア/ジョセフィン・ハル)が、慈善家である心優しい女性だという話を聞く。 実は、少々気が触れている姉妹は、恵まれない老人を家に呼び寄せ、彼らのためを思い、ワインに毒を入れて殺害していたのだった。 隣りの教会の牧師でエレインの父であるハーパー(グラント・ミッチェル)と話していたアビーは、結婚を否定する内容の本を書くようなモーティマーと娘を結婚させるのは疑問だと言われて戸惑う。 自分を”セオドア・ルーズベルト”と思い込んでいる甥のテディ(ジョン・アレグザンダー)のピアノの演奏を聴きながら話をするアビーは、モーティマーが必ずエレインを幸せにするとハーパーに伝える。 訪ねて来たブロフィーからオハラを紹介されたアビーは、約束していた恵まれない子供に渡すための玩具を渡そうとする。 オハラは、”突撃!”と叫びながら二階の部屋に向かうテディを見て戸惑い、ラッパを吹いて脅かした彼をブロフィーが注意する。 ブロフィーは、テディが夜中にラッパを吹いて近所の人々を怖がらせていることをオハラに話す。 テディが自分をセオドア・ルーズベルトだと思い込んでいることを知ったオハラは、一応、納得する。 そこにマーサが戻り、ブロフィーは彼女にオハラを紹介する。 玩具を受け取ったブロフィーとオハラは、テディに敬礼し、姉妹に感謝してその場を去る。 姉妹は、叫びながら階段を駆け上がるテディが”米西戦争”の”サン・フアンの丘の戦い”の場だと思っていることをハーパーに伝える。 モーティマーがテディを療養所に入れる手続きをしていることをハーパーに話す姉妹は、教会に戻る彼を見送る。 アビーは、テディに”パナマ運河”を掘るようにと指示し、死体が増えたことに気づき喜ぶマーサに、1人で済ませて窓際の席の下に隠してあることを伝える。 それを確認しようとした二人は、窓から顔を出したエレインと共に戻ってきたモーティマーに気づき、二人が結婚したと考える。 タクシーの運転手(ギャリー・オーウェン)を待たせたある二人は、モーティマーは叔母たちに、エレインは父に報告して、ハネムーンでナイアガラの滝に向かうつもりだった。 叔母たちに結婚のことを知らせて祝福されたモーティマーは、地下で運河を掘ると言うテディと話をする。 受刑者である兄ジョナサン(レイモンド・マッセイ)の子供時代の写真をアビーから見せられ、気分が滅入ったモーティマーは、窓際の席の死体に気づく。 動揺するモーティマーはテディが殺したと思い、テディを直ぐに療養所に入れると叔母たちに伝える。 その必要はなく、地下室に入るとテディは話を聞かないと言われたモーティマーは、彼が人を殺したことを叔母たちに知らせる。 死体のことを知っているアビーは、テディは関係ないので死んだ紳士のことは忘れてほしいとモーティマーに伝える。 驚いたモーティマーは、老人アダム・ホスキンスをアビーが毒入りのワインで殺し、ハーパー牧師が現れたために窓際の席に隠したことを知る。 エレインの準備ができた合図の口笛が聴こえるものの、それどころではないモーティマーは、死体はテディが掘った穴に埋めることと、今回が初めてではなく12人目だと知り驚く。 冷静になり叔母たちから話を聞いたモーティマーは、孤独で気の毒な老人のためを思い殺し、テディが埋めて葬式もしてあげることを知る。 祖父の実験室にあったヒ素とストリキニーネ、そして青酸カリをワインに入れることを知ったモーティマーは、精神異常者だと皆が知っているテディの犯行にするため、カルマン判事(ヴォーン・グレイザー)に電話をしようとする。 そこにエレインが現れ、モーティマーは、今日は出発できないと言って彼女を帰してしまう。 カルマン判事に電話をしたモーティマーは、戻ってきたエレインが窓際に座っていたために焦り、彼女を追い出す。 判事と話したモーティマーは、テディを療養所に入れるために必要な署名を求める。 そこに部屋を借りたいと言う老人ギブス(エドワード・マクウェイド)が現れ、歓迎したアビーとマーサは、彼には家族がいないことを知る。 喜んだ二人はワインを出し、部屋を見たいと言うギブスにグラスを渡す。 療養所との電話がつながるのを待つモーティマーは、テーブルにあったワインを飲もうとするが、叔母たちに制止される。 ワインを飲もうとするギブスに気づいたモーティマーは、叫び声をあげて、彼を驚かせて追い出してしまう。 叔母たちに、よくない行いをしようとしていると伝えたモーティマーは、電話がつながった療養所の院長ウィザースプーン(エドワード・エヴァレット・ホートン)と話す。 テディを預ける話をしたモーティマーは、書類を揃えて連絡することを伝える。 判事の元に向かうことを叔母たちに伝えたモーティマーは、何もしないことを二人に約束させて出かける。 待っていたタクシーの運転手は、慌てて出てきたモーティマーのためにタクシーを拾う。 モーティマーが帰るのを待つことにしたアビーとマーサは、二人の男性が訪ねて来たために警戒する。 傷だらけの顔をした異様な雰囲気の一人から、甥のジョナサンだと言われても信じることができない姉妹は、家族しか知らない話をする彼が本人だと認める。 同伴した形成外科医のアインシュタイン博士(ピーター・ローレ)に顔の手術をしてもらったと伝えたジョナサンは、マーサから”ボリス・カーロフ”に似ていると言われたために気分を害する。 手術をしたことでジョナサンに恨まれたアインシュタインは話題を変え、彼が家族について話していたと姉妹に伝え、二人を安心させる。 姉妹はキッチンに向かい、車にスピナルゾの死体を隠していたアインシュタインは心配になる。 ジョナサンから、今度は普通の顔にするようにと言われたアインシュタインは、その方法を考える。 カルマン判事に署名してもらったモーティマーは、叔母たちに会いに来ると言う彼に、孤独という言葉とワインは禁止だと伝えてその場を去る。 二階から下りてきたテディは、アインシュタインを部下の将軍だと思い、運河を掘るために地下室に向かう。 屋敷に泊まるつもりのジョナサンは、それを拒むアビーに言い寄り、祖父の実験室を手術に使わせてもらうと伝える。 アインシュタインに呼ばれ地下室に向かったジョナサンは、テディが掘っている穴が死体のサイズだということを知り、好都合だと考える。 ジョナサンは、叔母たちを寝かせて車を庭に移動し、死体を窓から入れようとする。 穴を掘り終えたテディに、また高熱病患者が死んだと伝えたアビーは、彼に死体を地下に運ばせようとする。 国家秘密だと言われたテディは、大統領としての責任を感じ、部屋を暗くしたら死体を運ぶようにという叔母の指示に従う。 ホスキンスを知らないマーサに死体を見せようとしたアビーは、窓からジョナサンが現れたために驚き、荷物を運び入れた彼を二階の部屋に向かわせる。 電気を消したアビーも二階に向かい、テディはホスキンスの死体を地下室に運ぶ。 灯りが消えている中、下りてきたジョナサンとアインシュタインは、スピナルゾの死体を窓から運び込み席に隠す。 そこにエレインが現れ、ジョナサンにモーティマーの妻だと伝える。 アインシュタインが灯りを点け、二人を知らないエレインは不審に思う。 落ちていたスピナルゾの靴を拾ったジョナサンは、エレインにアインシュタインを紹介し、自分の話をモーティマーから聞いている彼女が車を見たことを知る。 エレインを帰そうとしたジョナサンは、彼女が死体を見た可能性があるために追求しようとする。 地下室から出てきたテディに、自分が誰か説明してほしいと頼んだエレインだったが、彼は、妹のアリスだと言って、叫びながら自分の部屋に向かう。 アインシュタインに灯りを消させたジョナサンは、抵抗するエレインを地下室に連れて行かせる。 騒ぎに気づいた喪服を着た叔母たちに、コソ泥を捕えたと伝えたジョナサンは、部屋に戻るよう二人に指示する。 訪ねて来た者に対応しようとした叔母たちに、地下室から脱出したエレインが助けを求める。 戻ってきたモーティマーはエレインの相手にしていられず、テディの部屋に向かおうとするものの、ジョナサンに気づく。 ジョナサンを追い払おうとしたモーティマーは、それを拒む彼を指示に従わせて、エレインに何をしているのか尋ねる。 大変な目に遭ったと言うエレインの話も聞かずに、ウィザースプーンに電話をしたモーティマーは、テディを迎えに来てほしいと伝えるものの、医師の署名がないことに気づく。 エレインを呼び止めようとしたモーティマーは、彼女が家に帰ってしまったために、今後のことを考える。 死体を確認したモーティマーは、入れ替わってしまっていたために驚き、それをアビーに知らせる。 ホスキンスでない死体は詐欺師だと言うアビーは、葬式をする気になれない。 出て行くのを止めると言うジョナサンと言い合いになったモーティマーは、マーサに死体を見せようとするアビーを制止する。 ジョナサンも慌てたために、彼が死体を入れ替えたと考えたモーティマーは、マーサに死体を見せるよう指示し、アビーには謝罪する。 ジョナサンは医者と冷たい友達と共に出て行くと叔母に話すモーティマーは、それに従えば何も追及しないと彼に伝える。 電話をかけようとするモーティマーを脅したジョナサンは、警官のオハラが見回りに来たために警戒する。 モーティマーから挨拶されたオハラは、兄ジョナサンが帰るまで居てほしいと言う彼が、有名な演劇評論家だと気づく。 オハラから自分も戯曲を書くと言われたモーティマーは、興味を持ち協力するフリをして、彼とキッチンで話をしようとする。 モーティマーから、出て行かなければ死体のことをオハラに話すと言われたジョナサンは納得できない。 アインシュタインに、モーティマーと決着をつけるので出て行く気はないと伝えたジョナサンは、死体は海に捨てる考えを話す。 叔母の遺産を相続すれば大金持ちになれるので、モーティマーが邪魔だと言うジョナサンは、今後を心配するアインシュタインの話を聞こうとしない。 その後、地下室で別の死体を見つけたアインシュタインは、それをジョナサンに伝える。 居間の様子を見に行ったモーティマーは、死体がそのままであることを確認し、ジョナサンから、オハラに話せば地下の老人の死体の件を知らせると言う彼に脅される。 オハラに何も話せないモーティマーは、別の場所で話をする約束をして彼を帰す。 医師の署名をもらうために出かけるモーティマーは、戻るまでに消えろとジョナサンに伝えてその場を去る。 葬式を始めようとしたアビーとマーサは、死体を地下室に運ぼうとするジョナサンが、ホスキンスのことを知っていたために驚く。 アビーから、地下の死体はモーティマーの友人ではなく自分の知り合いだと言われたジョナサンは、12体もの死体が埋められていることを知る。 自分たちの行為は殺人ではなく慈善だと話すアビーとマーサは、スピナルゾの死体は持ち帰ってほしいとジョナサンに伝える。 アインシュタインは、善良な姉妹とジョナサンが同じ人数を殺したことを知り、思わず笑ってしまう。 ジョナサンは、あと一人殺せば勝てると叔母たちに伝える。 ギルクリス医師(チェスター・クルート)を連れて屋敷に戻ったモーティマーは、テディと話しをさせてエレインの元に向かう。 エレインとの愛を確かめたモーティマーだったが、ブルースターの先祖に異常者がいたことを話し、結婚できないと伝えるものの、昔の話だと言う彼女は気にしない。 テディと話をしたギルクリスは、彼の精神異常を認めることをモーティマーに伝え、その話を聞いていたエレインは呆れて窓を閉めてしまう。 モーティマーは、地下に二人を埋めようとするジョナサンの行為に憤慨する叔母たちが、警察に行こうとすることを知り二人を制止する。 モーティマーが戻ったことを知ったジョナサンは、アインシュタインと共に彼を殺そうとする。 テディと話したモーティマーは、彼に署名させようとする。 アインシュタインから逃げるようにと言われたモーティマーは、テディから書類を受け取る。 地下室から出てきたジョナサンは、椅子に座りながら話をするモーティマーをカーテンのヒモで縛り、アインシュタインと共に彼を拘束する。 ジョナサンからモーティマーの手術を始めると言われたアインシュタインは、酒が切れてしまい動揺する。 ワインがあったことを思いだしたアインシュタインは、ジョナサンにもグラスを渡してそれを飲もうとする。 その時、テディがラッパを吹き、驚いたジョナサンとアインシュタインがグラスを落としたために、モーティマーは悔しがる。 ジョナサンは手術を始めようとするものの、そこにオハラが現れ、ラッパの件でテディと話しをしようとする。 拘束されているモーティマーに気づいたオハラは、アインシュタインから劇の説明のためだと言われ、自分が考えた戯曲と同じ状況だったために不満に思う。 猿轡をかませられていたために話せないモーティマーは、そのままの状態でオハラの物語を聞くことになる。 モーティマーは、ナイフを手にしてオハラに迫るジョナサンに気づくが、アインシュタインが背後から彼を殴り倒す。 そこにブロフィーとサンダース巡査(ジョン・リッジリー)が現れ、逃亡中だったジョナサンは逮捕されることを覚悟する。 開き直ったジョナサンは、優しい老女だと思っている叔母たちが殺した死体が、地下室に13体あるとブロフィーに話してしまう。 モーティマーは、拘束されたままブロフィーと話をしようとする。 ジョナサンとオハラが揉めて格闘になった隙に、拘束を逃れたモーティマーは、騒ぎには関わろうとしない。 そこに連絡を受けたルーニー警部(ジェームズ・グリースン)が現れ、ブロフィーらから事情を聞く。 ジョナサンの顔を確認したルーニーは、逃亡中である”ボリス・カーロフ”似の終身犯だと気づいていないブロフィーらに呆れる。 ルーニーは、13体の死体が地下室にあるというブロフィーの話を信じることなく、モーティマーと劇の話をしていたオハラを停職処分にする。 そこに現れた大統領だというテディから、死体の話は本当だと言われたルーニーは、彼がラッパの男だと知り納得する。 尋問するジョナサンをキッチンに運ばせたルーニーは、階段にいたモーティマーに気づく。 モーティマーから、テディを療養所に入れるための書類を見せられたルーニーは、”セオドア・ルーズベルト”で署名してあることに気づき、それを伝える。 到着したウィザースプーンは、その場でモーティマーらを待っていたタクシーの運転手に、帰りに送ってほしいと伝えて屋敷に向かう。 苦労してテディに署名をさせることができたモーティマーは、ウィザースプーンを歓迎する。 テディのことが心配なモーティマーは、療養所の出来事を劇作にしているウィザースプーンから原稿を見せられる。 ルーニーをテディと間違えたウィザースプーンは謝罪し、彼から必要書類を渡される。 テディはウィザースプーンを”ウィリアム・タフト”だと思い、荷物を取りに叫びながら部屋に向かう。 テディと別れたくない叔母たちは、ルーニーからそうはいかないと言われ、自分たちも一緒に行くことを考える。 いい話だと考えたモーティマーは、ウィザースプーンに叔母たちの入所も頼むものの承知してもらえない。 引き揚げようとしたルーニーは、アビーから、本当に13体の死体があると言われて驚く。 そのことを訊かれそうになったモーティマーは、ラッパを吹いて叫びながら二階に向かい、地下室だけでなく天井裏には何百体もあるとルーニーに伝える。 12体は自分たちのものだが、スピナルゾの死体は置いておきたくないと言う、アビーとマーサの話が理解できず混乱するルーニーは、意味不明な言動のモーティマーも正気とは思えない。 老女二人も入所させる必要があるとウィザースプーンに伝えたルーニーは、モーティマーから、二人の署名があれば入れると言われて納得する。 アビーとマーサは、ウィザースプーンに促されて署名をする。 その様子を見ていたエレインは、外の入り口から地下室に向かう。 医師の署名が必要だったためにモーティマーは、出て行こうとしたアインシュタインを呼び止めて署名をしてもらう。 ジョナサンの尋問を終えたルーニーは、署に報告して共犯者の特徴を聞く。 ルーニーは、それと一致するアインシュタインが目の前にいても疑うことなく、感謝して握手する。 気づかれずに済んだアインシュタインは、その場を去る。 モーティマーにも署名してもらったウィザースプーンは、二階のテディの部屋に向かう。 アビーとマーサから、署名を調べられる可能性を訊かれたモーティマーは、母がこの屋敷のコックだったことを知らされる。 母を気に入った兄が彼女と結婚したと叔母から知らされたモーティマーは、父も貨物船のコックだったと言われ、自分がブルースター家の血を引いていないことが分かる。 エレインにそれを知らせようとしたモーティマーは、地下室から現れた彼女が死体のことを話そうとしたので、ルーニーらに聞かれないようするために彼女にキスする。 モーティマーは、キスしたままエレインを連れ出し、ルーニーは、アビーとマーサから二人がハネムーンに出かけたことを知らされる。 待たされていたタクシーの運転手は、ナイアガラの滝に行くと言うモーティマーから、タクシーを呼ぶよう指示される。 モーティマーは、ブルースターと話しかける運転手に、自分は貨物船のコックの息子だと伝える。 ”突撃”と叫びながら、モーティマーはエレインを担いで彼女の家に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
ニューヨーク、ブルックリン、ハロウィン。
演劇評論家である作家のモーティマー・ブルースターは、エレインと結婚する。
高級住宅街に住む叔母姉妹のアビーとマーサの屋敷に向かったモーティマーは、隣りの教会の娘であるエレインとハネムーンの準備をする。
少々気が触れていたアビーとマーサは、気の毒な老人を家に招き、彼らのためを思い毒殺していたのだった。
姉妹は、自分を”セオドア・ルーズベルト”だと思い込んでいる甥のテディに、死体を地下室に埋めさせていた。
死体に気づいたモーティマーは驚き、精神異常者のテディが殺したと思い、彼を療養所に入れる手続きを始めるのだが、そこに犯罪者の兄ジョナサンが現れる・・・。
__________
1941年に上演された、ジョセフ・ケッセルリングの戯曲を基にした舞台劇”毒薬と老嬢”の映画化。
ボブ・ホープの主演が叶わなかったためにケイリー・グラントが配役され、”ボリス・カーロフ”に似ていると設定の”ジョナサン・ブルースター”役は、舞台でその役を演じたボリス・カーロフ自身が演ずる話があったものの実現せず、彼の名前だけが映画の中で使用されることが許可さたという経緯がある。
叔母姉妹の殺人を知った主人公の慌てぶりを含めて、異常者一家で起きる奇妙な騒動をシニカルに描く、慌ただしいことこの上ないブラック・コメディに仕上がっている。
様々な登場人物の個性を活かし、人間味あふれる物語に仕上げるフランク・キャプラの職人芸が光る、実に愉快な作品だ。
主人公を演ずるケイリー・グラントは、オーバーアクション気味ではあるものの、表情豊かな熱演ぶりは圧巻だ。
自分たちの殺人を慈善と考える、とぼけた雰囲気で主人公の叔母姉妹を好演するジョセフィン・ハルとジーン・アデーア、整形手術による異様な雰囲気で登場する、犯罪者である主人公の兄を怪演するレイモンド・マッセイ、彼と手を組む形成外科医のピーター・ローレ、主人公の妻になるものの、夫の異常な行動に翻弄されるプリシラ・レイン、主人公の兄で自分を”セオドア・ルーズベルト”だと思い込んでいるジョン・アレグザンダー、主人公一家に関わる新人の警官ジャック・カーソン、その上司エドワード・マクナマラ、二人の上司である警部ジェームズ・グリースン、その部下ジョン・リッジリー、精神科医療施設の院長エドワード・エヴァレット・ホートン、老姉妹の屋敷に隣接する教会の牧師でヒロインの父親グラント・ミッチェル、判事のヴォーン・グレイザー、医師のチェスター・クルート、屋敷の部屋を借りに来る老人エドワード・マクウェイド、冒頭からラストまで屋敷の前で待たされるタクシー運転手のギャリー・オーウェン、主人公を取材しようとする新聞記者のチャールズ・レインとハンク・マン、役所の婚姻係スペンサー・チャーターズなどが共演している。