1872年に発表された、ジュール・ヴェルヌの小説”八十日間世界一周”を基に製作された映画「八十日間世界一周」(1956)のリメイク。 80日間で世界一周するという賭けをしたイギリス人発明家と助手の冒険の旅を描く、監督フランク・コラチ、主演ジャッキー・チェン、スティーブ・クーガン、セシル・ドゥ・フランス、ジム・ブロードベント他豪華スター競演のアクション・アドベンチャー・コメディ大作。 |
・アーノルド・シュワルツェネッガー / Arnold Schwarzenegger 作品一覧
■ スタッフ キャスト ■
監督:フランク・コラチ
製作
ビル・バダラート
ハル・リーバーマン
製作総指揮
フィリス・アリア
ジャッキー・チェン
ウィリー・チェン
アレックス・シュワルツ
ソロン・ソー
原作:ジュール・ヴェルヌ”八十日間世界一周”
脚本
デヴィッド・ティッチャー
デヴィッド・ベヌロ
デヴィッド・アンドリュー・ゴールドスタイン
撮影:フィル・メヒュー
編集:トム・ルイス
音楽
トレヴァー・ジョーンズ
デイヴィッド・A・スチュワート
出演
パスパルトゥー/ラウ・シン:ジャッキー・チェン
フィリアス・フォッグ:スティーブ・クーガン
モニーク・ラ・ロッシュ:セシル・ドゥ・フランス
ケルヴィン卿/ウィリアム・トムソン:ジム・ブロードベント
ホレイショ・ハーバート・キッチナー大佐:イアン・マクニース
ソールズベリー侯/ロバート・ガスコイン=セシル:デヴィッド・ライオール
セシル・ローズ:ロジャー・ハモンド
ヴィクトリア女王:キャシー・ベイツ
ハピ王子:アーノルド・シュワルツェネッガー
フィックス警部:ユエン・ブレムナー
サンフランシスコの浮浪者:ロブ・シュナイダー
巡査部長:ジョン・クリーズ
白眉道人:ダニエル・ウー
ファン将軍:カレン・モク
ウィルバー・ライト:オーウェン・ウィルソン
オービル・ライト:ルーク・ウィルソン
黄飛鴻:サモ・ハン・キンポー
蒸気船船長:マーク・アディ
殺し屋:謙吾
殺し屋:マギー・Q
気球担当者:リチャード・ブランソン
アメリカ 映画
配給 ブエナビスタ
2004年製作 119分
公開
北米:2004年6月16日
日本:2004年11月6日
製作費 $110,000,000
北米興行収入 $24,004,160
世界 $72,178,900
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
19世紀末、イングランド、ロンドン。
ある男(ジャッキー・チェン)がイングランド銀行を襲い、何かを奪って逃走する。
男は追ってきた警官から身を隠すために、発明家のフィリアス・フォッグ(スティーブ・クーガン)の屋敷にの木に登り身を隠す。
フォッグの助手が逃げ出したことを知り、木から落ちた男は、自分が新しい助手だと言って雇われる。
フランス人と中国人のハーフだと言う男は、フォッグの発明品の実験台になり、それが失敗してエンジンを背負ったまま街に飛び出してしまう。
男は助手を辞めようとするが、警察が近づいたため仕方なくフォッグに従うことになる。 ”王立協会:科学アカデミー”。 ケルヴィン卿は、そこに現れた中国人のファン将軍(カレン・モク)に、賄賂の仏像を取り戻さなければイングランドの支援はなくなると言って彼女を脅す。 名前をパスパルトゥーとした男は、フォッグに様々な発明品を見せられる。 パスパルトゥーは、中国の父親に手紙を書き、奪った翡翠の像を故郷の村に戻そうとする。 科学アカデミー。 その場にいたパスパルトゥーは、犯人はノルウェーの老人窃盗団だという噂を流す。 フォッグは、伝統ばかり重視する時代遅れなイングランド銀行が、襲われるのも当然だと言ってその体制を非難する。 犯人は既に国外に逃亡してパリに向かい、イスタンブールを経由して1か月後には中国に着くと、フォッグは自信をもって答える。 それを信じようとしないケルヴィン卿は、計算では80日で世界一周できると言うフォッグに対し、それを証明するよう迫る。 発明の時間が奪われると言ってそれを拒むフォッグだったが、ケルヴィン卿に臆病者だと非難される。 実現は可能だと豪語するフォッグに、1万ポンドの掛け金を提示したケルヴィン卿は、現金の代わりに自分の地位を要求される。 ケルヴィン卿は、80日間で世界一周できた場合は、自分の地位を渡すと伝えフォッグもそれを受けて立つ。 そしてフォッグは、80日後の正午にこの場に戻ることを宣言する。 屋敷に戻ったフォッグは自信を無くしてしまうが、パスパルトゥーに励まされて出発する。 フォッグは、蒸気自動車に乗り市民の声援を受けて意気揚々と屋敷を出るが、フィックス警部(ユエン・ブレムナー)に交通ルール違反を指摘される。 フィックスは蒸気パイプを握っていたため熱さで驚き、動き出した車に引きずられて事故を起こす。 フォッグとパスパルトゥーは、その騒ぎの隙に警察の馬車を奪い乗船する船に向かう。 その様子を見ていたケルヴィン卿は、悪徳警官フィックスの無能ぶりに呆れるが、彼にフォッグとパスパルトゥーの監視をさせるようキッチナーに命ずる。 フォン将軍は殺し屋を送り、パリでフォッグとラウ・シン(パスパルトゥー)を抹殺しようとする。 2日目、パリ。 フォッグはそこで、画家を目指すコート係のモニーク・ラ・ロッシュ(セシル・ドゥ・フランス)の絵を気に入る。 パスパルトゥーは現れた追手を倒し、彼らはモニークの案内でその場を逃れる。 モニークは、絵のアイデアを探す旅に出たいことをフォッグに伝え、同行したいと言い出す。 その時、パスパルトゥーが気球を見つけ、3人はそれを手に入れて出発する。 パスパルトゥーは、フォッグの鞄を地上の夫人が持っていたためその場に降りてそれを取り返す。 追手に襲われたパスパルトゥーはそれを逃れ、何とか気球に戻る。 モニークを途中で降ろそうとしたフォッグだったが、彼女は旅を続けると言って彼の意見を無視する。 その後、三人は汽車で移動し、フォッグはモニークの件で苛立ち席を立つ。 モニークは、追手の様子からパスパルトゥーが何かを隠していると察し、それを彼に尋ねる。 フォッグに知られたくない話しを始めるパスパルトゥーは、故郷の村から神聖な物である”翡翠の仏像”が盗まれたため、それを取り戻したことをモニークに話す。 像を見せられたモニークは、襲ってきた相手がファン将軍率いる”黒サソリ”だと知らせ、村を乗っ取ろうとする彼女らから故郷を守るために、フォッグの旅に同行するしかなかったことを伝える。 モニークは、秘密を守る代わりに自分も旅を続けられるよう、フォッグを説得してほしいとパスパルトゥーに頼む。 パスパルトゥーは、自分とモニークが遠い親戚であるとフォッグに伝え、今後も同行させてあげるべきだと意見する。 汽車を早く走らせたらそれを許すとモニークに約束したフォッグは、彼女が機関士に気に入られてその通りになったために、仕方なく動向を認める。 その後、汽車に乗っていたフィックスが、パスパルトゥーの仏像に気づいてしまう。 パスパルトゥーに追い払われたフィックスは、汽車の窓から落ちてしまう。 10日目、イスタンブール。 王子はモニークが気に入り第7夫人にすることを決めてしまい、フォッグとパスパルトゥーは去ることを許される。 フォッグとパスパルトゥーは、ロダンから贈られた王子の銅像を壊すと言って脅しモニークを助ける。 銅像を壊してしまったフォッグとパスパルトゥーは、モニークを連れてその場から逃亡する。 ロンドン。 アカデミーのメンバーであるソールズベリー侯(デヴィッド・ライオール)とセシル・ローズ(ロジャー・ハモンド)は、フォッグも共犯ではないかという考えをケルヴィン卿に伝え、彼らを必ず逮捕するようキッチナーは命ぜられる。 アーグラ。 パスパルトゥーは、その場にいたフィックスに捕えられそうになりながら殺し屋と戦う。 フォッグとモニークも、殺し屋(マギー・Q)に襲われるものの彼女を倒す。 パスパルトゥーは殺し屋を倒し、フォッグらはフィックスが犯人だと言ってその場を離れ、ヒマラヤを経由して中国に向かう。 41日目、ランジョウ村。 パスパルトゥーは、黄飛鴻(サモ・ハン・キンポー)に仏像を渡す。 ある家(パスパルトゥーの家)で歓迎されたフォッグは、そこがラウ・シン/パスパルトゥーの家で、仏像を盗んだのも彼だということを知らされてショックを受ける。 謝罪するラウ・シンとそれを知っていたモニークを許さないフォッグだったが、3人は現れた白眉道人(ダニエル・ウー)一味に捕えられてしまう。 ラウ・シンは白眉道人らと戦うことになり、現れた黄飛鴻が加勢する。 敵を追い払ったラウ・シンを含めた”テン・タイガース”のお蔭で村は救われる。 フォッグは、ラウ・シンにモニークをパリまで送るよう伝え、旅を続けたいと言う彼の申し出を断り独りで旅立つ。 61日目、サンフランシスコ。 物乞いを始めたフォッグは、浮浪者(ロブ・シュナイダー)に励まされ、モニークの絵を見て彼女を想う。 そこに、パスパルトゥーとモニークが現れ、旅の成功に向けて協力させてほしいと言われる。 ロンドン。 フォッグが戻れば支援はなくなるとケルヴィン卿に言われたファン将軍は、彼らの旅を途中で終わらせるため行動を開始する。 66日目、砂漠。 そこにライト兄弟(オーウェン・ウィルソン/ルーク・ウィルソン)が現れ、フォッグは、兄弟の飛行機を飛ばす構想を知って驚き、彼らに助けられていたパスパルトゥーを連れて東に向かう。 72日目、ニューヨーク。 妻がファンだという警官に騙されたフォッグらは、”自由の女神”の組み立て工房に連れて行かれ、ファン将軍と一団に襲われる。 船の出航が近づく中、格闘となったパスパルトゥーとファン将軍は、巨大な銘板の下敷きになる。 隙間ができていたためパスパルトゥーは助かり、モニークはファン将軍を叩きのめすものの、船は出航してしまう。 73日目、大西洋。 ロンドン。 船長(マーク・アディ)は、燃料の石炭がなくなったことをフォッグに伝える。 諦めかけたフォッグはカモメを見て閃き、船を壊して空飛ぶ装置を作る許可を船長から得る。 装置を完成させたフォッグは、惹かれ合うようになっていたモニークに寄り添う。 80日目、正午まで5時間54分。 ロンドン上空に到達したフォッグらは、高度を下げながら科学アカデミーに向かい、無事着陸して集まった市民に迎えられる。 ケルヴィン卿はフォッグらを逮捕するよう命じ、その時、正午の鐘が鳴る。 そこにフィックスが現れ、ケルヴィン卿の悪事を話し、モニークもファン将軍と組んだ陰謀を市民に知らせる。 ケルヴィン卿は、キッチナー、ソールズベリー侯、ローズらに今回の件を説明するよう促す。 自分達を役立たずと言うケルヴィン卿に対し、キッチナーらは彼を猛烈に非難する。 3人を相手にせず、権力を握っていることで全てが思い通りになると豪語したケルヴィン卿は、ヴィクトリア女王(キャシー・ベイツ)まで侮辱してしまう。 女王がその場にいることを知ったケルヴィン卿は態度を変えるものの、自分の悪事を追及されて逮捕される。 今回の発明を女王に称えられたフォッグだったが、賭けには負けたことで意気消沈する。 しかし、世界の旅、友人、恋人までできたことでフォッグは満足しようとする。 女王は、自分も賭けているため、それを成立させなけらばならないと言って、期限にはまだ24時間あることを伝える。 フォッグは日付変更線を通過したことに気づき、賭けに勝ったことを喜び思わず女王に抱き付いてしまう。 謝罪したフォッグは、賭けの報酬である科学大臣の地位を女王から与えられ、市民が歓喜する中、モニークとの愛を確かめる。
...全てを見る(結末あり)
協会長ケルヴィン卿/ウィリアム・トムソン(ジム・ブロードベント)は、イングランド銀行が襲われて翡翠の仏像が奪われたことを、スコットランドヤードのホレイショ・ハーバート・キッチナー大佐(イアン・マクニース)から知らされて激怒する。
ケルヴィン卿は、現れたフォッグを相手にしなかったが、そこに、イングランド銀行襲撃犯人が中国人だったという情報が流れる。
追手が自分達を狙っていることに気づいたパスパルトゥーは、フォッグを科学展示会場に誘う。
汽車を止めたハピ王子(アーノルド・シュワルツェネッガー)に祝宴に招かれたたフォッグらは、断ることができず宮殿に向かう。
フィックスの報告が届き、ケルヴィン卿は銀行を襲ったのがパスパルトゥーであることを知る。
インド。
ロンドンからの連絡を受けた警察は、フォッグらを指名手配してアーグラで捕えようとする。
汽車が止められたため下車して女装したフォッグらは、黒サソリの殺し屋(謙吾)に襲われる。
3人はパスパルトゥーの故郷に戻り、それを知らないフォッグは、盛大な歓迎を不思議に思う。
太平洋を渡ったフォッグは、女に騙され所持品を奪われてしまう。
ファン将軍は、仏像を取り戻すことより、ランジョウ村にある翡翠の鉱脈を奪うことをケルヴィン卿に提案する。
立ち往生していたフォッグは、助けを呼びに行って戻らないパスパルトゥーのことを心配する。
市民はフォッグを支持し、街は大変な騒ぎになる。
蒸気船で祖国を目指す3人だったが、フォッグの計算では予定日までに戻ることができない。
戻ったフィックスは、何も成果が上げられなかったため、ケルヴィン卿に窓から放り出される。
蒸気船から見事に発進したフォッグらはロンドンを目指す。
*(簡略ストー リー)
19世紀末、イングランド、ロンドン。
イングランド銀行を襲った中国人のラウ・シンは、パスパルトゥーと名前を変えて発明家フィリアス・フォッグの助手となる。
”王立協会:科学アカデミー”協会長ケルヴィン卿は、銀行襲撃により中国からの自分への賄賂”翡翠の像”を奪われたことを知り激怒する。
日頃からケルヴィン卿に相手にされないフォッグは、銀行襲撃犯は既に国外に逃亡していると指摘する。
フォッグは、それを信用しないケルヴィン卿に対し、80日間で世界を一周できると豪語し、会長の地位を賭けてパスパルトゥーと共に旅に出る。
パリで、ケルヴィン卿と組む黒サソリのファン将軍の手下に襲われたパスパルトゥーはそれを倒し、画家志望のモニークと知り合ったフォッグと共にトルコへと向かうのだが・・・。
__________
ジュール・ヴェルヌの原作を基にした冒険映画の名作「八十日間世界一周」(1956)の内容を継承しつつ、当時では表現できなかった最新映像などで製作された、製作費に1億1000万ドルを掛けた超大作。
奇抜なアイデアやユーモアも満載され、世界の旅を楽しめる画期的な作品としてアカデミー作品賞を受賞した旧作は、展開自体は面白味はあるものの作品の出来は賛否両論であり、評価はそれほど高くはなかった。
本作はというと、フランク・コラチの演出は単調で、経費を掛けている割にはスケール感もなく、期待の配役も今一だ。
興行収入に至っては、製作費を回収するどころか、北米で約2400万ドル、全世界でも約7200万ドルという、大赤字となってしまった作品。
主演はジャッキー・チェンということで、主人公と言える発明家を演ずるスティーブ・クーガンも悪くはないが、超大作を支えるその役をビッグ・ネームに演じさせて、ジャッキー・チェンはサポート役に徹した方が良かっただろう。
はっきり言って、主役か助演かが中途半端である。
戦いの場面も多くあるが、その内容は三流アクション映画のようにしか思えない。
旅に同行する画家志望のフランス人女性セシル・ドゥ・フランス、最も印象的な役柄ケルヴィン卿/ウィリアム・トムソンを熱演するジム・ブロードベント、彼の側近でホレイショ・ハーバート・キッチナー大佐役のイアン・マクニース、ソールズベリー侯/ロバート・ガスコイン=セシルのデヴィッド・ライオール、セシル・ローズのロジャー・ハモンド、ヴィクトリア女王のキャシー・ベイツ、トルコの王子アーノルド・シュワルツェネッガー、主人公らを監視する警部ユエン・ブレムナー、サンフランシスコの浮浪者ロブ・シュナイダー、ロンドンの巡査部長ジョン・クリーズ、白眉道人ダニエル・ウー、ファン将軍のカレン・モク、ライト兄弟のオーウェン・ウィルソンとルーク・ウィルソン、黄飛鴻のサモ・ハン・キンポー、蒸気船船長マーク・アディ、殺し屋の謙吾とマギー・Q、そして、ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソンが気球担当者役で一瞬登場する。