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家族の波紋 Archipelago (2010)

別荘で優雅に休暇を楽しむ親子に秘められた家族の溝を描く、監督、脚本ジョアンナ・ホッグ、主演トム・ヒドルストンケイト・フェイリディア・レオナルドクリストファー・W・ベイカー他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:ジョアンナ・ホッグ

製作:ゲイル・グイリフィス
脚本:ジョアンナ・ホッグ
撮影:エド・ラザフォード
編集:ヘレン・ル・フェブレ

出演
エドワード・ライトン:トム・ヒドルストン
パトリシア・ライトン:ケイト・フェイ
シンシア・ライトン:リディア・レオナルド
ローズ:エイミー・ロイド
クリストファー:クリストファー・W・ベイカー

イギリス 映画
配給 Curzon Artificial Eye
2010年製作 114分
公開
イギリス:2011年3月4日
北米:2014年6月27日
日本:未公開
製作費 £500,000
北米興行収入 $7,790
世界 $499,390


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
イングランドシリー諸島
青年エドワード・ライトン(トム・ヒドルストン)は、”セーファーセックス”により”AIDS”感染を減少させるボランティア活動のために、11か月の間アフリカに滞在する予定だった。

母パトリシア(ケイト・フェイ)は、エドワードが旅立つまでの間、別荘で過ごすことにして、娘のシンシア(リディア・レオナルド)と共に息子の到着を待つ。

ヘリコプターで島に着いたエドワードは、パトリシアとシンシアに歓迎されて別荘に向かい、屋根裏を自分の部屋にする。

父が現れない中、初日を家族と楽しく過ごしたエドワードは静かに眠る。

翌日、”ノーサンプトンシャー”から来て準備をしてくれた料理人のローズ(エイミー・ロイド)に感謝したエドワードは、シンシアから、使用人に気を遣いすぎることはないと言われる。
...全てを見る(結末あり)

夕食となり、自分達のように仕事をするべきだとシンシアから言われ、今回の旅の件で意見されたエドワードは、心穏やかでない心境でベッドに入る。

翌日、島のロッジに滞在中の画家で、パトリシアとシンシアに絵の指導をしているクリストファー(クリストファー・W・ベイカー)を歓迎したエドワードらは、彼との会話を楽しむ。

翌朝、ローズと話していたエドワードは、ピクニックに行くはずのパトリシアが、寝不足なのでやめると言っていることをシンシアから知らされる。

シンシアは、大袈裟にしなければ気も変わるかもしれないと考え、パトリシアの様子を見てきてほしいと言われたエドワードは、母の部屋に向かう。

パトリシアは行く気になり、クリストファーも現れ、エドワードとシンシア、そしてローズも同行してピクニックに出かける。

海岸に近い場所まで歩いて行った5人は、その場でランチにする。

エドワードは、自分がアフリカで行いたい地道な活動のことを皆に話す。

スケッチを始めたクリストファーは、夫のウィルが絵のことを理解してくれているかなどを尋ねながら、パトリシアと話をする。

家に戻ったパトリシアはウィルからの電話に出て、楽しく過ごしていると伝える。

翌日、エドワードは、崖の上で絵を描くクリストファーの元に向かう。

夕食用のロブスターを漁師から仕入れたローズは、雄と雌の見分け方を教わる。

ロブスターを別荘に持ち帰ったローズは、調理をしながら、料理学校のことなどをエドワードと話す。

友達がいない様子のローズを食事に誘おうとしたエドワードだったが、料理人と親しくし過ぎることをよく思わないシンシアとパトリシアから反対される。

エドワードに説得されたパトリシアとシンシアは、ローズを誘う彼を見て気まずい思いをする。

翌朝、朝食を取りながらローズと話したエドワードは、カーレーサーだった彼女の父親が事故死したことを知る。

クリストファーとローズを誘いレストランに出かけたエドワードらは、テーブルに着いて食事を注文する。

ホロホロ鳥の肉が生焼けだったことを気にしたシンシアはウエイトレスを呼び、代わりのものを注文してシェフと話そうとする。

現れたシェフに、長時間待たせた上に肉が生だったことを伝えたシンシアは、チキンと違い半生で出していると言われる。

冷たくて完全に生だったと言われたシェフは、代わりを出そうとするが、別の者を頼んだと伝えたシンシアはもういいと伝える。

シンシアは、シェフから丁寧に謝罪される。

気分を害したエドワードは席を立ち、外に出て落ち着こうとする。

別荘に戻り父親に電話をしたシンシアは、早く来てほしいと言いながら、問題はないと伝えてパトリシアと代わる。

ウィルと話したパトリシアは、状況がよくないことを知らせて、早く来てほしいと伝える。

苦しむシンシアは、ベッドで涙する。

翌朝、シリアルで簡単な朝食を済ませながらローズと話したエドワードは、起きてこないシンシアの様子を見に行く。

紅茶を持ってきたと言って去ろうとするエドワードは、シンシアをサイクリングに誘うものの、起きたばかりの彼女に断られ、後で決めてほしいと伝える。

パトリシアとも話したエドワードは、遅れたために父が激怒した夢の話をして、その後、独りで自転車に乗る。

隣人がキジを届けてくれことを喜ぶローズは、料理人だと言って挨拶し、家族は散歩に出かけたことを伝える。

羽の抜き方や調理方法を教わったローズは、料理の下ごしらえを始める。

別荘に戻ったパトリシアとシンシアは、クリストファーから絵の指導を受ける。

休息したパトリシアは、家族のいないクリストファーの人生観などを聞き、自分にとっては子供のいない生活は考えられないと伝える。

ランチの前のひと時もどことなく気まずい思いで過ごしたエドワードらは、ローズが調理したキジで食事を楽しむ。

恋人のクロエの話になったエドワードは、旅立つ前日の1日だけ彼女と過ごすことを伝え、ここに来てくれなかったことを残念に思う。

家族の休暇なので来るべきではないとシンシアから言われたエドワードは反論し、クロエは家族同然で、自分の人生にとって大切な人だと伝える。

シンシアから、家族ではないし、愛情を感じて1年半付き合っているだけだと言われたエドワードは、11か月も離れるのにそれが無意味なのかと問う。

そんなに離れられるなら、大切な人ではないと言われたエドワードは、それは女性の視点だとシンシアに伝える。

シンシアのあまりにもひどい言い方が理解できないエドワードは、アフリカに行くことが、いいことかどうなのか迷う。

散弾銃の弾を噛んでしまったシンシアは苛立ち、席を立ってしまい、パトリシアは娘の態度をクリストファーに謝罪し、様子を見てきてほしいとエドワードに伝える。

強い風が吹く中、エドワードは家の外に出てシンシアを捜す。

戻ってきたシンシアは自分の部屋に向かい、話しかけるパトリシアにわめき散らす。

エドワードのばかげた話を聞くために、自分を黙らせようとするパトリシアを痛烈に非難するシンシアは、自分のことも気遣ってほしいと伝え、二人は言い争いになる。

クリストファーは何もすることができず、部屋で母娘の罵り合う声を聞くローズも心を痛める。

翌日、ウィルからの電話を受けたパトリシアは、これ以上、耐えられないことを伝える。

絵を描いているクリストファーの元に向かい話をしたエドワードは、自分が間違っていると言って、描いてみようかと思うと話す。

大切なのは何をするかではなく強い信念を持てるかだと、エドワードはクリストファーから助言される。

強い信念があれば人も説得できると言うクリストファーは、やがて人は信じてくれると伝える。

自信がないと言うエドワードの深刻さを理解したクリストファーは、強くなるようにと伝えて彼を励ます。

別荘に戻ったエドワードは部屋に閉じこもってしまい、様子を見に来たクリストファーと話そうとしない。

落ち着いたエドワードはキッチンに向かい、料理をするローズの姿を見守っていた。

夕食の準備ができたために、エドワードは二階に向かい、指人形を使ってシンシアに謝罪し、食事のことを知らせる。

エドワードとシンシアは食事を始めるが、ウィルに電話したパトリシアは、自分一人に家族を任せる夫を非難する。

興奮しながら食卓に着いたパトリシアを、シンシアとエドワードは気遣う。

家族が旅立つ日を前にローズは、持参した調理器具とキッチンを片づけて別荘を去る。

翌朝、ローズの置手紙を見たエドワードはショックを受ける。

散歩に出たエドワードは、クリストファーの向かう場所に向かい、スケッチする彼と話をする。

かつて、精神的に弱いことを指摘されて美術学校に行かなかったクリストファーだったが、描きたい気持ちは人一倍あり、意志は固かったことをエドワードに伝える。

強くなるというのは自分の道を進むことだと話すクリストファーは、はっきりしていなくても、焦らず心の中にあるものを信じるようにとエドワードに助言する。

その後クリストファーは、海岸を見つめながらパトリシアに絵の指導をする。

パトリシアと共に別荘に向かったクリストファーは、シンシアとエドワードとの別れを惜しむ。

勇気づけられたとエドワードから言われたクリストファーは、手紙を書くと伝えて、家族に別れを告げてその場を去る。

パトリシアは、旅立つエドワードに手紙を書くことを約束する。

その後、エドワードは居間の壁に以前のように絵を飾り、パトリシアは荷造りを始める。

清掃員が到着し、エドワードと家族は家を空けるために出発する。

ヘリコプターに乗ったエドワード、パトリシア、シンシアは、島を離れる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
イングランドシリー諸島
青年エドワード・ライトンは、”AIDS”感染を減少させるボランティア活動のために、11か月の間アフリカに滞在する予定だった。
母パトリシアは、エドワードが旅立つまでの間、別荘で過ごすことにして、娘のシンシアと共に到着した息子を歓迎する。
家族で楽しい時を過ごす三人だったが、料理人のローズと親しくし過ぎるエドワードを、パトリシアとシンシアは気にする。
自分達に尽くしてくれるローズを使用人としか見ない母と姉の考えを理解できないエドワードは悩み始める。
そんなエドワードの心の拠り所は、パトリシアとシンシアに絵を教える画家のクリストファーだった。
信念をもって生きることが何よりも大切だとクリストファーから助言されたエドワードだったが、家族の溝は深まるばかりだった・・・。
__________

脚本家でもあるイギリス人監督ジョアンナ・ホッグの作品で、一見、何不自由ない生活を送る裕福な家族に隠された、修復できない溝を切実に描くドラマ。
ジョアンナ・ホッグは本作の脚本も担当している。

翌年、「マイティ・ソー」(2011)のロキ役に抜擢され、世界的なスターとなる主演のトム・ヒドルストンにとっては、2007年に公開された”Unrelated”に続くジョアンナ・ホッグ作品で、二人は2013年の”Exhibition”でも組んでいる。

やや優柔不断的な息子を愛する母親、わがままに思える弟と母の考えを理解できない姉、優雅な別荘の休暇を楽しむ家族に秘められた深い溝を女性の視点から描く、脚本も担当するジョアンナ・ホッグの演出手腕が見どころの作品。

友人として家族の溝の修復に手を貸す存在ではなく、強い信念を持ち信じれば、人生の道は必ず開けると言って常に主人公に助言する、実際に画家でもあるクリストファー・W・ベイカーの、人の心の奥底を見つめる深い話と穏やかな演技が印象に残る。

主演のトム・ヒドルストンは、人生を見つめ直すためにアフリカにボランティア活動に向かう準備を整えながら、心を休めるはずの家族との日々で、結局は苦悩することになる青年を好演している。

現れない夫に子供達を押し付けられたような被害者意識を持ちながら過ごす母親ケイト・フェイ、その娘で、弟や母の考えを理解できないリディア・レオナルド、使用人の立場で、家族の争う姿を見て苦しみ憤りも感じる料理人のエイミー・ロイド、母娘に絵の指導をして、主人公に生き方を語り助言する画家のクリストファー・W・ベイカーなどが共演している。


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