”千夜一夜物語”を基に製作された作品。 義弟に王位を狙われたカリフと二人が争う美女との関係を描く、製作ウォルター・ウェンジャー、監督ジョン・ロウリンズ、主演ジョン・ホール、マリア・モンテス、サブー、リーフ・エリクソン、ビリー・ギルバート他共演のアドベンチャー・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョン・ロウリンズ
製作:ウォルター・ウェンジャー
原作:マイケル・ホーガン
脚本:マイケル・ホーガン
撮影
ミルトン・R・クラスナー
W・ハワード・グリーン
ウィリアム・V・スコール
編集:フィリップ・カーン
美術・装置
アレクサンダー・ゴリツェン
ジャック・オターソン
ラッセル・A・ガウスマン
アイラ・S・ウェッブ
音楽:フランク・スキナー
出演
ハラウン・アル・ラシッド:ジョン・ホール
シェラザード:マリア・モンテス
アリ・ベン・アリ:サブー
カマール:リーフ・エリクソン
アーマッド:ビリー・ギルバート
ナダン:エドガー・バリア
伍長:リチャード・レイン
衛兵隊長:ターハン・ベイ
アラジン:ジョン・クゥオーレン
シンドバッド:シンプ・ハワード
ヴァルダ:ウィリアム”ウィー・ウィリー”デイヴィス
ハキーム:トーマス・ゴメス
シェラザードの付き人:ジェニ・ル・ゴン
宦官:ロバート・グリーグ
宦官:チャールズ・コールマン
ハレムの衛兵:エモリー・パーネル
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1942年製作 87分
公開
北米:1942年12月25日
日本:1950年3月19日
製作費 $904,770
■ アカデミー賞 ■
第15回アカデミー賞
・ノミネート
音楽(ドラマ)・録音・美術(カラー)・撮影賞(カラー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ペルシャ。
ハレムでは、カリフの世嗣ハラウン・アル・ラシッド(ジョン・ホール)が、義弟である残酷で情欲的なカマールと敵対していたことが語られる。
バグダッドの踊り子シェラザード(マリア・モンテス)は富と権力を望み、カマールの恋心に付け込み、王位に就けば結婚することを彼に伝えた。
それを本気にしたカマールは兄ハラウンに反逆して捕らえられ、処罰を受けた・・・。
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処罰に耐えるカマールがシェラザードの愛を手に入れるために王位を狙ったことを、ハラウンは大宰相のナダン(エドガー・バリア)から知らされる。
カマールが捕らえられ苛立つシェラザードは、サーカス団の団長アーマッド(ビリー・ギルバート)に急かされても、舞台に上がろうとしない。
十分に苦しんだカマールに水を与えたハラウンは、賊に襲われてその場から逃げる。
ナダンはカマールを解放する。
曲芸師の少年アリ・ベン・アリ(サブー)を客に紹介したアーマッドは、芸を始めさせる。 男(ハラウン)が弓を受けたのを目撃したアリは驚き、舞台からその場に向かう。 倒れているの男が王家の指輪をしていたためにハラウンだと気づいたアリは、死んだ男が瓦礫の下敷きになり、顔がつぶれていることを確認する。 死んだ男に指輪をはめたアリは、シェラザードを呼びハラウンの手当てをしてもらう。 見覚えがある男性が目覚め、誰かのことを話しているのが気になるシェラザードは、正体を明かさないアリから、カマールの手下の仕業だと知らされる。 カマールが解放されたことが人々に知らされ、シェラザードを捜すアーマッドは、戻って来た彼女の身を心配する。 逃げる気のないシェラザードは、アリから、カマールが捜しに来るので王妃になるチャンスがあると言われて納得する。 怪我人が自分のことを話す可能性があると言うアリの言葉を信じたシェラザードは、彼も連れて行くことにする。 アーマッドは、アラジン(ジョン・クゥオーレン)やシンドバッド(シンプ・ハワード)ら団員たちと共にその場から引き揚げる。 ハラウンの死体を確認したカマールは、指輪を外してはめる。 シェラザードを迎えに行った衛兵隊長(ターハン・ベイ)から、彼女がサーカス団と共に姿を消したという報告を受けたカマールは、必ず見つけ出すようにと命ずる。 目覚めたハラウンは、カマールが捜しているので髭を剃ったと言うアリから、シェラザードが看病したことを知らされる。 アーマッドはハラウンを厄介者扱いするものの、恩は必ず返すと言われたために納得するしかなかった。 ハラウンは、自分の身分を知り忠誠を誓うアリを友人と考える。 アーマッドやシェラザードは自分の正体を知らないと言われたハラウンは、彼女に感謝して話をする。 シェラザードに惹かれたハラウンは、彼女の目的がカマールの愛ではなく権力だけだと知る。 シェラザードは、カマールが王位を継承し、ハラウンは死体で見つかったことをアーマッドから知らされる。 その話を聞き動揺するアリだったが、ハラウンから、今は自分が死んだと思われた方が都合がいいと言われて納得する。 アーマッドは、娘のように思ってきたシェラザードと共に、カマールが王位についたことを喜ぶ。 シェラザードは、迎えに来た衛兵隊長を歓迎し、王宮に向かおうとする。 ところが、衛兵隊長はシェラザードら団員を奴隷商人ハキーム(トーマス・ゴメス)に売ってしまう。 衛兵隊長の裏切りを知ったカマールは、彼を拷問して共謀者を聞き出そうとする。 それを任されたナダンは、自分の指示通りに、シェラザードらを奴隷商人ハキームに売った衛兵隊長を殺す。 市場で売られるシェラザードに、希望を捨てるなと伝えたハラウンは、怪力の巨漢ヴァルダ(ウィリアム”ウィー・ウィリー”デイヴィス)の拘束を解こうとする。 シェラザードがベールを取ろうといないために戸惑うハキームだったが、破格の1000ディナールを提示する者が現れる。 ヴァルダの鎖を解いたハラウンは、アリに疫病に罹った演技をさせ、その場から脱出してシェラザードを追う。 エルサマラの砂丘に向かうことをアリに伝えたハラウンは、シェラザードを買った男(ナダン)に襲い掛かり、彼女と共に馬で逃げる。 逃げてきたアリらと砂丘で合流したハラウンとシェラザードは、川沿いの村に向かい鍛冶屋で鎖を外す。 そこにカマールが現れ、シェラザードを見つけて連れて行く。 それに同行するハラウンらは砂漠の町に着き、カマールはナダンらに迎えられる。 カマールから祝宴の準備をするよう指示されたナダンは、シェラザードが、見つめていた男(ハラウン)に惹かれていることに気づく。 ナダンが自分の正体にも気づいたことをアリから知らされたハラウンは、彼と話し合おうとするが、人々に正体を明かし支持を得る方が先決だと助言される。 ナダンに呼ばれたハラウンは、シェラザードへの愛を見抜かれるものの、彼女はカマールのものだと言ってそれを否定する。 ハレムに忍び込んだアリは、女性たちにからかわれながらシェラザードの元に向かう。 シェラザードと話したアリは、ハラウンの愛は真実であり約束は守ると言っていたことを伝える。 ナダンが連れて来たハラウンへの愛を訊かれたシェラザードは、戸惑いながら奴隷市場で偶然に会っただけだと伝える。 しかし、シェラザードのハラウンへの愛を確信したナダンは、彼女から何でもすると言われ、カマールを殺害するための毒入りの指輪を渡し協力を求める。 踊りの最中にカマールのワインに毒を入れれば、ハラウンを釈放して国境に案内すると言われたシェラザードは、王位を狙う彼の考えを知る。 釈放したハラウンが旅立つ様子をシェラザードに確認させたナダンは、部下にハラウンを殺すよう指示する。 アリからハラウンの正体を知らされたアーマッドは、彼を助けようとする。 川沿いの村に向かったアーマッドらは、鍛冶屋に扮してハラウンを連れてくる兵士を待つ。 鍛冶屋に扮して兵士を迎えたアラジンは、アーマッドを女に変装させるために、ヴァルダに彼の髭を剃らせる。 女に扮したアーマッドは兵士たちをおびき寄せ、全員を叩きのめしてハラウンを解放する。 アリから、自分が殺されると言われたハラウンは、シェラザードがカマールのワインに毒を入れることを知る。 川を渡り兵士を連れてくるようアリに指示したハラウンは、忠誠を誓うアーマッドらと共に砂漠の町に戻る。 祝宴は始まり、シェラザードはカマールの前で踊り、ワインに毒を入れる。 ワインを手にしたカマールは、それを飲もうとするシェラザードに杯を渡す。 それを制止したハラウンは、シェラザードを救い馬に乗り逃げようとするものの、捕らえられてしまう。 カマールはハラウンが生きていたことを知り、シェラザードは、正体を隠していた理由をハラウンに尋ねる。 愛を確かめるためだと言うハラウンは、カマールと決着をつけることになり剣を交える。 アーマッドらはテントに火を放ち、兵士を連れたアリが到着する。 ハラウンを傷つけて止めを刺そうとしたカマールだったが、ナダンの剣を背中に受けて息絶える。 アーマッドは、ハラウンに近づくナダンに襲い掛かる。 逃げようとしたナダンは、ヴァルダが放った槍を受ける。 シェラザードに寄り添うハラウンは、アーマッドや兵士らに王として称えられ、炎に包まれるナダンの姿を見つめる。
...全てを見る(結末あり)
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*(簡略ストー リー)
バグダッド。
カリフの世嗣ハラウン・アル・ラシッドは、義弟カマールに王位を狙われて逃亡する。
サーカス団の曲芸師の少年アリに救われたハラウンは、美しい踊り子のシェラザードの看病で回復する。
王妃になることを夢見ていたシェラザードは、カマールに接近していたが、ハラウンの正体を知らないまま彼に惹かれてしまう。
王位についたカマールはシェラザードを捜し、ハラウンは、アリやサーカス団の団長アーマッドの協力を得て対抗策を考えるのだが・・・。
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1930年代中盤まで編集技師としても活躍していた、ジョン・ロウリンズの監督作品。
”千夜一夜物語”を基に製作された作品であり、イスラム帝国のカリフ、ハラウン・アル・ラシッドと義弟カマールとの権力争いをテーマにしたアドベンチャー・アクション。
王位を狙う陰謀に加え、千夜一夜物語の主要キャラクター、主人公と”シェラザード”との恋などが描かれている。
また、サーカス団の団員で、お馴染みのキャラクター”アラジン”や”シンドバッド”などが登場するのも注目だ。
当時の様子を再現したセットや砂漠のロケなども美しく、活劇としても十分に楽しめる作品に仕上がっている。
第15回アカデミー賞では、音楽(ドラマ)、録音、美術(カラー)、撮影賞(カラー)にノミネートされた。
主人公はハラウン・アル・ラシッドを演ずるジョン・ホールなのだが、彼と恋仲になるシェラザード役のマリア・モンテスの美しさが印象に残る。
マリア・モンテスは、翌1943年にジャン=ピエール・オーモンと結婚し、1946年に二人の間に生まれたのがティナ・オーモン。
主人公に協力するサーカス団の曲芸師の少年サブー、王位を狙う主人公の義弟リーフ・エリクソン、サーカス団の団長を愉快に演ずるビリー・ギルバート、王位を狙う陰謀を企てる大宰相のエドガー・バリア、王宮兵士の伍長リチャード・レイン、衛兵隊長のターハン・ベイ、サーカス団の団員アラジンのジョン・クゥオーレン、シンドバッドのシンプ・ハワード、怪力の巨漢ウィリアム”ウィー・ウィリー”デイヴィス、奴隷商人トーマス・ゴメス、シェラザードの付き人ジェニ・ル・ゴン、宦官のロバート・グリーグとチャールズ・コールマン、ハレムの衛兵エモリー・パーネルなどが共演している。