アメリカ人大学教授が中東某国の首相暗殺計画に巻き込まれ謎の女性に翻弄されながら真相を追求しする姿を描く、製作、監督スタンリー・ドーネン、グレゴリー・ペック、ソフィア・ローレン共演によるサスペンス。 |
・グレゴリー・ペック / Gregory Peck / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:スタンリー・ドーネン
製作:スタンリー・ドーネン
原作:ゴードン・コトラー“The Cypher”
脚本
ジュリアン・ミッチェル
ピーター・ストーン
スタンリー・プライス
撮影:クリストファー・チャリス
編集:フレデリック・ウィルソン
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演
デヴィッド・ポロック教授:グレゴリー・ペック
ヤスミン・アジーア:ソフィア・ローレン
ネジム・ベシュラーヴィ:アラン・バデル
ユセフ・カシム:キーロン・ムーア
ハッサン・イエナ:カール・ドゥーリング
シルヴェスター・ペニントン・スローン少佐:ジョン・メリベール
ラギーブ教授:ジョージ・カラリス
ウェブスター:ダンカン・ラモント
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1966年製作 105分
公開
北米:1966年5月5日
日本:1966年8月19日
製作費 $4,800,000
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
ロンドン。
眼科医に扮したシルヴェスター・ペニントン・スローン退役少佐(ジョン・メリベール)は、診察に現れたラジーブ教授(ジョージ・カラリス)を殺害する。
スローンは、教授の眼鏡に隠された、象形文字が書かれた紙を確認する。
オックスフォード大学の古代言語学者である、アメリカ人デヴィッド・ポロック教授(グレゴリー・ペック)は、講義の場に現れたスローンに話しかけられる。
スローンは自分が退役軍人で、現在は、海運会社社長のネジム・ベシュラーヴィ(アラン・バデル)の秘書であることをポロックに伝える。
ベシュラーヴィが、ポラックとの面会を求めていることを伝えたスローンだったが、それを断られてしまう。
その後ポロックは、ジョギング中に強引に車に乗せられ、中東某国の首相ハッサン・イエナ(カール・ドゥーリング)が、その場にいたために驚く。 イエナは、同国の海運王ベシュラーヴィが接触するはずであり、何かを画策している心配があるため、ポロックにそれを探ってほしいことを伝える。 それを承諾したポロックは、ベシュラーヴィを訪ねて用件を聞き、象形文字の紙を見せられる。 ポロックは、それが紀元前2千年前のヒッタイト文字だと指摘し、高額報酬を提示されて、その解読を始める。 書斎で作業を始めたポロックの元に、魅力的な女性ヤスミン・アジーア(ソフィア・ローレン)が現れる。 屋敷の主だと言うヤスミンは、彼女に魅了されるポロックを探るような素振りを見せながら、現れたベシュラーヴィと共に部屋を出る。 食事の際、ポロックはヤスミンからメモを渡され、それにベシュラーヴィは気づく。 しかし、ポロックはそれをうまくかわして席を立ち、彼を追うようにヤスミンもその場を去る。 ベシュラーヴィは、同席していた銀行家から、イエナ首相が考える協定により、英米からの支援が決まれば、立場が不利になると言われる。 国が英米のタンカーを使うようになれば、ベシュラーヴィは危機に陥るはずなのだが、彼は、協定が結ばれることはないと答えて自信を見せる。 ヤスミンからポロックに渡されたものは、ラギーブ教授の転落死の記事の切り抜きと、彼女の部屋を教えるメモだった。 それをトイレに捨てたポロックは、入って来たスローンが、拳銃を所持していることに気づく。 ヤスミンの部屋に向かったポロックは、ラギーブ教授がベシュラーヴィに殺されたことを彼女から知らされる。 自分も殺される可能性があり、手を引くようヤスミンに言われたポロックは、解読が終われば用済みだと考える。 そこにベシュラーヴィが現れ、彼はポロックがその場に隠れていると察して、ヤスミンに、シャワーを浴びるよう指示する。 そこにスローンから電話があり、ポロックがいないことと、暗号の紙もないことをベシュラーヴィは知らされる。 その間にポロックは、暗号が濡れないようにキャンディの包紙に隠す。 ベシュラーヴィはスローンの失態を責めて、ヤスミンの執事を買収してポロックの居場所を聞く。 ポロックは、ヤスミンにハサミを突き付け部屋を出て、二人はその場を逃れる。 動物園に身を潜めた二人は、ベシュラーヴィの部下に追われる。 ポロックは男に襲いかかり格闘になり、危ういところでウェブスター警部(ダンカン・ラモント)に助けられる。 ウェブスターは、ベシュラーヴィのいる屋敷を監視していたことを二人に告げる。 そこに動物園の係員が現れるが、ウェブスターは彼を射殺してポロックとヤスミンに銃を向ける。 ヤスミンの味方だと言うウェブスターはポロックを殴り、彼を気絶させて車で移動する。 意識の戻ったポロックは、ヤスミンと親密そうなユセフ・カシム(キーロン・ムーア)に、暗号はどこかと聞かれる。 キャンディはポケットから出されていたのだが、ポロックは、屋敷に置いてきたと答える。 薬剤を注射されたポロックは、”キャンディ”と口にするのだが、ヤスミンらはそれに気づかず、ユセフは彼を車から突き落とす。 ユセフに屋敷に戻るよう言われたヤスミンは、彼が暗号を盗まれ憤慨していることをベシュラーヴィに伝える。 ヤスミンとベシュラーヴィは、お互いを牽制して探りを入れる。 何んとか大学の宿舎に戻ったポロックは、イエナからの連絡を受け、暗号を解読し内容を知らせるよう言われる。 そこに現れたヤスミンはポロックに責められ、仕方なくしたことで、ユセフのボスの将軍に、協力を拒めば、母と妹を殺すと脅されていることを伝える。 意識が朦朧とするポロックは、それを信ずるはずもなく、ヤスミンは、ベシュラーヴィが財力で、将軍は軍事力で国を乗っ取ろうとしていることを知らせる。 ヤスミンは、その鍵となるものが暗号だとポロックに伝え、協力を求められた彼はそれを信じる。 ポロックは、ユセフがまだ暗号に気づいていないことを知り、車に向かいそれがあることを確認する。 そこにユセフが現れ、ウェブスターがキャンディを一つ食べて持ち去る。 落ちていた包みを確認したヤスミンは、それが暗号ではないことを確かめる。 一連のことをユセフに知らせなかった彼女が、本当のことを言っていると確信したポロックは安心する。 ウェブスターを追った二人は、いくつかのキャンディの包みを確認するものの、暗号はなかった。 その時、ウェブスターは包みの暗号に気づき、ユセフではない相手に電話をする。 ウェブスターが、公衆電話にメモを残したことを確認した二人は、彼が、ベシュラーヴィと会おうとしていることを知る。 ヤスミンは、待ち合わせ場所が”アスコット競馬場”であることを確信する。 ベシュラーヴィと現場に現れたヤスミンは、ポロックを見つけて、ウェブスターが、スローンに暗号を渡すことを伝える。 二人の様子を窺っていたポロックは、それを妨害するが、スローンが、ウェブスターを誤って殺してしまう。 暗号はコースに落ちてしまい、ポロックは何んとかそれを手に入れる。 ポロックは、電車内で暗号を模写して現物を郵送するが、ホームで、自分が殺人の容疑者だと気づく。 イエナに助けを求めたポロックだったが、早急に暗号を解読しなけらばならないと指示されただけだった。 屋敷に戻ったベシュラーヴィは、ポロックがなぜ競馬場にいたかをヤスミンに尋ねて探りを入れる。 ラギーブ教授の家を訪ねたポロックは、妻に彼が殺されたことを伝え、暗号の模写を見せる。 暗号を見て破った妻は、無謀なことをしたことで命を落とした夫の亡骸の前で涙する。 暗号について尋ねるポラックが、ヤスミンを知っていることで、妻は、彼女には母や妹がいないことと、将軍が父親であることを伝える。 ヤスミンに会ったポロックは、暗号の内容を聞きたがる彼女に、それを解いたと言って適当な言葉を伝える。 電話ボックスを見つけたヤスミンは、そのことを相手に知らせる。 ヤスミンは、大使に電話したことを伝えて、ポロックに車から降りるよう指示する。 ポロックはヤスミンの車を追い、彼女がユセフに会おうとしていることを知る。 しかし、ヤスミンがユセフに命を奪われそうになったため、ポロックは彼女を助けようとする。 二人は命を狙われるが、ポロックは高圧電流を利用して、クレーンに乗ったユセフを感電死させる。 その場を逃れた二人だったが、ヤスミンは、ラギーブ教授夫妻がユセフの一味で、妻が嘘を言っているとポロックに伝える。 教授の妻が、自分が裏切ったことをユセフに伝え、更にに誘き出されたとヤスミンから聞いたポロックは、再び彼女を信じる。 ポロックは、暗号は解けていないことをヤスミンに伝え、二人はホテルに向かう。 徹夜で暗号を解いたポロックは、ヤスミンを起こしてその内容を教える。 暗号は象形文字ではなく、”マザーグース”を意味するものだった。 暗号の元の紙に、秘密が隠されていることが分かったポロックは、ヤスミンを連れて郵便局に向かう。 自分が送った封筒を受け取ったポロックは紙を調べて、雨降るウィンドでインクを消し、マイクロフィルムが隠されていることに気づく。 それには、”6月18日12時半 ベシュラーヴィがイエナを暗殺”と記されていて、ラギーブ教授は、それをユセフに渡したかったのだ。 場所は分からないものの、その日が当日だと気づいたポロックとヤスミンは、イエナが空港に到着したことを知る。 二人は、記者に扮して会見場に入ろうとするが、それを阻まれ、スローンは狙撃の準備を始める。 会場に押し入ったポロックは、狙撃寸前でイエナの命を救い、犯人がベシュラーヴィであることを知らせる。 しかし、イエナはその場で射殺されてしまい、ポロックは、それが別人だとヤスミンに言われる。 ヤスミンは、撃たれた男が自分をベシュラーヴィに会わせたと言う、ポロックの言葉を聞いて驚く。 男はベシュラーヴィに雇われた者で、ヤスミンは、自分がスパイであることをポラックに知らせ、彼は安心する。 イエナが到着した際の映像をチェックしたヤスミンは、彼が車の中で偽者と入れ替わったことに気づく。 スローンらが運ぶ箱がトラックに乗せられ、ポロックとヤスミンはそれに忍び込む。 二人はイエナを助け出して郊外に到着し、ベシュラーヴィは、箱を運ぶようスローンに指示する。 ベシュラーヴィは箱の異変に気づき、イエナが中にいないことを知り、彼らが逃亡したためにそれを追う。 麦畑に逃げ込んだ三人は、収穫機で襲われながらも、馬を奪いその場から逃走する。 ベシュラーヴィらはヘリコプターで彼らを追い、ヤスミンが落馬してしまう。 ヤスミンを助けて鉄橋に向かったポロックは、梯子をヘリのローターに落下させる。 ヘリコプターは制御不能になり墜落し、三人は危機を逃れる。 その後、親交を深めたポロックとヤスミンは、愛を確かめ合う。
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*(簡略ストー リー)
オックスフォード大学の古代言語学者アメリカ人のデヴィッド・ポロック教授は、中東某国の首相イエナに接触する。
イエナは、同国の海運王ベシュラーヴィの不穏な行動を探るようポロックに要請する。
承諾したポロックは、それより前に接触のあったベシュラーヴィを訪れ、ある象形文字の暗号解読を依頼される。
そこに、謎の女性ヤスミン・アジーアが現れ、ポロックは彼女の魅力に惹かれる。
その後ポロックは、ヤスミンに翻弄されながら、不可解な行動のベシュラーヴィに探り入れる。
暗号に重要な秘密が隠されていることを察したポロックは、ヤスミンと共にその場を逃れるのだが、彼らは、国家を揺るがす陰謀に巻き込まれていく・・・。
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ゴードン・コトラーの小説”The Cypher”を基に製作された作品。
若くして、ミュージカル映画で大成功を収めたスタンリー・ドーネンが、ミステリー・サスペンス「シャレード」(1963)で新境地を開拓し、それに続く作品ということで大いに話題になった。
オープニングのヘンリー・マンシーニの音楽から、「シャレード」を意識していることに加えて、キャラクターのイメージなども似ているために、大物のグレゴリー・ペックとソフィア・ローレンではあるが、ケーリー・グラントとオードリー・ヘプバーンと比較をするなと言われても無理な話だ。
サスペンスと言うよりもコメディに近い内容であり、グレゴリー・ペックは、ケーリー・グラント風の演技を披露して、柄でもない茶目っ気やユーモアで結構笑わせてくれる。
それが良いか悪いかは別として、いっその事、同じ配役で製作してくれれば・・・と思うほど、姉妹編とも言える雰囲気で終始する。
同年で映画出演がなくなる60歳を過ぎたケーリー・グラントには無理な話だったかもしれないが、ファンとしては、彼が演じていればと思ってしまう。
本人は亡くなってはいたものの、”クリスチャン・ディオール”の衣装を身にまといながら、謎の女を演ずるソフィア・ローレンは、まるで彫刻、美術品のような美しさで画面を占領する。
首相暗殺の陰謀を企む海運王を、雰囲気ある演技で演ずるアラン・バデル、その部下ジョン・メリベール、対抗組織のリーダー、キーロン・ムーア、首相役のカール・ドゥーリング、教授のジョージ・カラリス、海運王に手を貸すダンカン・ラモントなどが共演している。