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地獄の黙示録 Apocalypse Now (1979)

1899年に発表された、ジョゼフ・コンラッドの中編小説”闇の奥”を基に、舞台をベトナム戦争に置き換えて製作された作品。
ベトナム戦争末期、カンボジアに潜み神と崇められながら軍を指揮するアメリカ軍大佐殺害を命じられた将校の見た狂気の現実を描く、製作、監督、脚本、音楽フランシス・フォード・コッポラ、主演マーロン・ブランドロバート・デュヴァルマーティン・シーン他共演の戦争ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(戦争)

マーロン・ブランド / Marlon Brando / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:フランシス・フォード・コッポラ

製作:フランシス・フォード・コッポラ
原作:ジョゼフ・コンラッド闇の奥
脚本
ジョン・ミリアス

フランシス・フォード・コッポラ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
編集
リチャード・マークス

リサ・フラックマン
ジェラルド・B・グリーンバーグ

ウォルター・マーチ
美術・装置
ディーン・タヴォウラリス

アンジェロ・P・グラハム
ジョージ・R・ネルソン
音楽
カーマイン・コッポラ

フランシス・フォード・コッポラ

出演
ウォルター・E・カーツ大佐:マーロン・ブランド

ビル・キルゴア中佐:ロバート・デュヴァル
ベンジャミン・L・ウィラード大尉:マーティン・シーン
ジェイ“シェフ”ニックス:フレデリック・フォレスト
ランス・B・ジョンソン:サム・ボトムズ
タイロン“クリーン”ミラー:ローレンス・フィッシュバーン(ラリー・フィッシュバーン)
ジョージ“チーフ”フィリップス:アルバート・ホール

ルーカス大佐:ハリソン・フォード
コーマン中将:G・D・スプラドリン
アメリカ人カメラマン:デニス・ホッパー
ジェリー:ジェリー・ジースマー
リチャード・M・コルビー大尉:スコット・グレン
配給係の軍曹:トム・メイソン
キャリー・フォスター/プレイメイト・オブ・ザ・イヤー:シンシア・ウッド

プレイメイト/ミス・5月:コリーン・キャンプ
ヘリコプター・パイロット:R・リー・アーメイ
テレビ・クルー:フランシス・フォード・コッポラ
テレビ・カメラマン:ヴィットリオ・ストラーロ
エキストラ:チャーリー・シーン

ジョニー:ジェリー・ロス
ローチ:ハーブ・ライス
負傷兵:ロン・マックイーン

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ
1979年製作 153分
公開
北米:1979年8月15日
日本:1980年2月23日
製作費 $31,500,000
北米興行収入 $83,471,510


アカデミー賞 ■
第52回アカデミー賞
・受賞
撮影・録音賞
・ノミネート
作品・監督
助演男優(ロバート・デュヴァル
脚色・美術・編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
ベトナム戦争下、サイゴン
アメリカ陸軍特殊作戦コマンドのベンジャミン・L・ウィラード大尉(マーティン・シーン)は、妻と離婚後に戦地に復帰し、ホテルで空虚な日々を送っていた。

情報司令部への出頭を命ぜられたウィラードは、司令官のコーマン中将(G・D・スプラドリン)と副官ルーカス大佐(ハリソン・フォード)の元に向かう。

ルーカスに、CIAの作戦に参加したことがあるかを聞かれたウィラードはそれを否定し、ジェリー(ジェリー・ジースマー)という男を交えて食事を始める。

ウィラードは、特殊部隊の作戦将校ウォルター・E・カーツ大佐(マーロン・ブランド)についての説明と傍受した彼のテープの声を聴く。

カーツは、カンボジアに潜入して現地の軍隊を指揮し、神と崇められているということであり、それを軍側は不健全だと判断した。
...全てを見る(結末あり)

ベトナム人スパイの殺害を命じたカーツは、殺人罪で逮捕状がでていた。

コーマンはカーツが正気を失ったと語り、河川哨戒艇でヌン川を上り、彼を殺害するようウィラードに命ずる。

ウィラードは、ジョージ“チーフ”フィリップス(アルバート・ホール)、ランス・B・ジョンソン(サム・ボトムズ)、ジェイ“シェフ”ニックス(フレデリック・フォレスト)、タイロン“クリーン”ミラー(ローレンス・フィッシュバーン)と共に哨戒艇でヌン川に向かう。

若い隊員やその編成を気にしながら、ウィラードは、戦地での殺人罪適用や超エリートのカーツの殺害などに疑問を感じつつ彼の経歴を更に調べる。

空挺部隊に合流したウィラードは、指揮官のビル・キルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)に命令書を見せて、ヌン川までの護衛を依頼する。

キルゴアは、命令を受けていないと答え、検討することだけをウィラードに伝える。

ウィラードに同行したランスが、プロのサーファーだと知っていたキルゴアは、その話に夢中になる。

翌朝、キルゴアはウィラードらをヘリコプターに乗せて出撃し、目標地点でワーグナーの“ワルキューレの騎行”を流して攻撃を開始する。

いい波を確認したキルゴアは、着陸して部下に波に乗るよう命ずる。

危険だと指摘する部下の言葉を無視するキルゴアは、戦闘機によるナパーム弾攻撃で、敵が一掃されることを伝える。

ナパーム弾が投下され、キルゴアは、朝のこの匂いが最高であることをウィラードに伝える。

その場に運ばれた哨戒艇で川を上り始めたウィラードは、カーツとキルゴアのどこが違うのかを考える。

食料を確保するため船を離れたウィラードらは、トラに遭遇したため慌てて引き返す。

ベトナムでなぜカーツが変わってしまったのか、ウィラードは資料を読み進めるがそれを理解できない。

補給部で燃料を確保したウィラードらは、その場で行われるプレイメイトのショーを楽しむ。

プレイメイト・オブ・ザ・イヤーのキャリー・フォスター(シンシア・ウッド)やテリー(コリーン・キャンプ)が登場するが、興奮した兵士がステージに上がってしまい、彼女らはヘリで早々に引き上げる。

出発したウィラードは、目的地がカンボジアであることをチーフに伝え、その場に着き自分を降ろして引き返すよう指示する。

チーフは、ウィラードの意見を聞かずにある船を調べるために近づき、シェフがそれに乗り込む。

何かが動いたため、クリーンが機関銃で現地人を撃ってしまう。

動いたのは子犬で、チーフは重傷の女を病院に運ぼうとするがウィラードは彼女を射殺する。

ウィラードは、任務を優先するよう船は止めるなと言ったはずだとチーフに伝える。

アメリカ軍の最後の拠点ド・ラン橋に着いたウィラードは、その場に届けられた手紙と資料を受け取り、チーフに待機するよう伝えて船を降りる。

指揮官がいないことを知ったウィラードは、船に戻り先に進む。

ウィラードは、数か月前に同じ任務に就いたリチャード・M・コルビー大尉(スコット・グレン)が、カーツと行動を共にしているらしういという情報を得る。

その後、岸からの攻撃を受けた船は反撃するが、クリーンが撃たれて死亡する。

暫くして、船は弓矢で攻撃され、チーフが槍を受けて死亡する。

混乱するシェフは、協力する代わりに最終目的地まで船で行くことをウィラードに伝える。

カーツの王国に到着したウィラードは、その場にいたアメリカ人カメラマン(デニス・ホッパー)からカーツのことを聞き、コルビーがいることを確認する。

一旦、船に戻ったウィラードは、ランスと偵察に行くことをシェフに伝え、戻らない場合は空爆を要請するよう指示する。

捕えられてカーツの元に連れて行かれたウィラードは、殺害に来た目的を聞かれるが、機密事項だと言って答えない。

ウィラードのような男が来ることを予想していたカーツは、殺し屋でも軍人でもない単なる使いだと彼のことを語る。

ウィラードは、カメラマンのカーツを神と崇める言動を気にする。

その夜、拘束されていたウィラードは、現れたカーツからシェフの生首を渡されて驚く。

拘束を解かれたウィラードは、監視もされずに自由だったが、なぜか逃げる気にならなかった。

一人間である家族を持つ兵士が、戦闘になると暴虐的な行為をためらわずに実行する、その強さを知ったカーツは、それを指揮すればこの戦争を終わらせると考えたことをウィラードに話す。

真の精鋭とは、モラルを持ちながら、感情を殺して殺戮の本能を発揮できる、理性的判断も行使しない人間だとカーツは言い切る。

その判断が敗北をもたらすと、カーツは付け加える。

カーツは、自分の考えを息子が理解できるかが問題であり、自分が殺される運命なら、誰かが全てを伝えてほしいと語る。

ウィラードは、裏切り者としてでない、軍人としての誇りをもって死にたいとカーツがかんがえていると判断し、彼に襲い掛かる。

瀕死のカーツは、”恐怖・・・恐怖・・・”と呟きながら息絶える。

水牛を生贄にする儀式を行っていた者達は、ウィラードが現れたため武器を捨てる。

カーツの資料を持ったウィラードは、ランスの手を引いて船に戻り、そしてその場を離れる。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
ベトナム戦争下、サイゴン
アメリカ陸軍特殊作戦コマンドのウィラード大尉は、カンボジアに潜入して現地の軍隊を指揮し、神と崇められているという特殊部隊の作戦将校ウォルター・E・カーツ大佐の殺害を命ぜられる。
ウィラードは、数名の兵士と共に河川哨戒艇で川を上るため、合流した空挺部隊キルゴア中佐に護衛を要請する。
川を上り始めたウィラードは、超エリートであるカーツが、なぜベトナムで考えを変えてしまったのか、それが理解できないまま目的地に向かうのだが・・・。
__________

1970年代に若くして大きな成功を収めたフランシス・フォード・コッポラが、私財を投じて製作した作品で、先の見えない戦争の狂気の実態、アメリカ人が思う戦争から受けた影響などを描いた問題作。

撮影は1976年の3月から始まり、約3年半後の公開まで製作には困難を極めた。

公開当時から賛否両論ある作品で、戦争に対する政府への批判的メッセージが多く見られる中で、残虐性など排除しない映像にも拘らず、”美しさ”さえ感じさせる描写などが印象的だ。
撮影を担当したヴィットリオ・ストラーロの功績が大きい。

製作に苦労した作品は製作費の3150万ドルを大きく上回る、北米興行収入約8400万ドルのヒットとなった。

第52回アカデミー賞では、撮影、録音賞を受賞した。
・ノミネート
作品・監督
助演男優(ロバート・デュヴァル
脚色・美術・編集賞

また、ゴールデングローブ賞で監督賞フランシス・フォード・コッポラ、助演男優賞ロバート・デュヴァル、作曲賞カーマイン・コッポラが受賞、第32回カンヌ国際映画祭パルム・ドール、国際映画批評家連盟賞をフランシス・フォード・コッポラが受賞した。

2000年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

写真以外では、上映開始後、約115分のところでようやく登場する、圧倒的な存在感で画面を支配する雰囲気のあるカーツ大佐役のマーロン・ブランドは、異様な人物を強調するため、殆ど顔の全体が映らない工夫がされている。

アメリカの戦争に対するいい加減さを強調するような人物を、出番は少ないが熱演する空挺部隊指揮官ロバート・デュヴァル、主人公と言える、苦悩しながらカーツ大佐殺害の任務を実行する将校を好演するマーティン・シーン、彼を護衛する兵士フレデリック・フォレストサム・ボトムズローレンス・フィッシュバーン(撮影当時15~16歳というのが信じられない)、アルバート・ホール、主人公に命令を下す司令官(G・D・スプラドリン)の副官ハリソン・フォード、カーツの王国に滞在するカメラマン、デニス・ホッパー、主人公に命令を下す工作員と思える謎の男ジェリー・ジースマー、カーツ大佐と行動を共にする将校スコット・グレン、プレイメイトのシンシア・ウッドコリーン・キャンプ、ヘリコプター・パイロットのR・リー・アーメイ、テレビのクルーでフランシス・フォード・コッポラヴィットリオ・ストラーロ、そしてチャーリー・シーンがエキストラ出演している。


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