長年寄り添い幸福に暮らしてきた初老の夫婦の平凡な生活と2人の元に集う人々の孤独や寂しさなどを描く、監督マイク・リー、主演レスリー・マンヴィル、ジム・ブロードベント、ルース・シーン、イメルダ・スタウントン他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイク・リー
製作総指揮
ゲイル・イーガン
テッサ・ロス
製作:ジョージナ・ロウ
脚本:マイク・リー
撮影:ディック・ポープ
編集:ジョン・グレゴリー
音楽:ゲイリー・ヤーション
出演
メアリー:レスリー・マンヴィル
トム・ヘップル:ジム・ブロードベント
ジェリー・ヘップル:ルース・シーン
ケン:ピーター・ワイト
ジョー・ヘップル:オリヴァー・モルトマン
ロニー・ヘップル:デイビッド・ブラッドリー
ケイティ:カリーナ・フェルナンデス
カール・ヘップル:マーティン・サヴェッジ
タニア:ミシェル・オースティン
ジャック:フィリップ・デイヴィス
トムの同僚:スチュワート・マッカリー
ジャネット:イメルダ・スタウントン
イギリス 映画
配給
フォーカス・フィーチャーズ
Film4
2010年製作 129分
公開
イギリス:2010年11月5日
北米:2010年12月29日
日本:2011年11月5日
製作費 £8,000,000
北米興行収入 $3,205,240
世界 $19,722,770
■ アカデミー賞 ■
第83回アカデミー賞
・ノミネート
脚本賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
春
ロンドン。
不眠症で悩むジャネット(イメルダ・スタウントン)は、医師タニア(ミシェル・オースティン)の診察を受けて、精神的な悩みを、カウンセリングで解決することを勧められる。
地質学者トム・ヘップル(ジム・ブロードベント)と妻ジェリーは、長年連れ添った初老の夫婦だった。
医療カウンセラーのジェリーは、訪れたジャネットのカウンセリングを始める。
気難しいジャネットは、積極的に話をしようとしないが、ジェリーは翌週のカウンセリングも勧める。
同僚の独身女性メアリー(レスリー・マンヴィル)に付き合ったジェリーは、彼女の男運の悪さなどをパブで聞かされ、後日、彼女を食事に誘い帰宅する。 数日後。 自暴自棄気味のメアリーを、トムとジェリーは優しく見守り理解しようとする。 翌朝、帰ろうとしたメアリーは、昔からよく知る、二人の息子で弁護士のジョー(オリヴァー・モルトマン)と出くわし、軽い挨拶をしてその場を去る。 その後は、家族で菜園の畑仕事をしていたが、トムとジェリーは、30歳を過ぎて未だ結婚の予定のなさそうな息子の将来を案ずる。 夏 ある日、トムの学友ケン(ピーター・ワイト)が訪ねて来るが、暴飲暴食でヘビースモーカーの彼は、歳をとってしまい今風のパブには行けず、休暇を過ごす相手もいないことなどを嘆き、亡くなった友人のことを想い涙する。 翌日、トムとケンは、友人ジャック(フィリップ・デイヴィス)やジョーと共にゴルフを楽しみ、その後、メアリーも招待してバーベキュー・パーティーが開かれる。 その場には、タニヤや生まれた子供もいて、ケンは、独身同士でメアリーと話をしようとする。 ケンに興味のないメアリーは、購入した車で来たにも拘らず、ワインを何杯も飲み始める。 メアリーは、過食症気味のケンの肥満体を遠めに見ながら、かつての彼を想いジェリーにそれを語る。 その後、ジョーを捉まえて話を始めたメアリーは、結婚を考えていない様子の彼に、自分が何度か男性関係に失敗したことなどを振り返って聞かせる。 ジョーとケンを、車で送っていくことなったメアリーは、目的地でジョーを降ろし、駅に着いたところで、ケンに愛を告白されるが、彼女はそれを拒む。 秋 菜園から戻ったトムとジェリーは、ジョーが恋人ケイティ(カリーナ・フェルナンデス)を連れて来ていたので驚いてしまう。 作業療法士だという気さくなケイティと、食事をしながら会話を楽しんだ一家は、午後からは、メアリーを迎えることになる。 メアリーは、ジョーがいたことを喜ぶが、少なからず彼に心を寄せていたにも拘らず、ケイティの存在を知り気分を害してしまう。 その後メアリーは、車を壊されたことなど、家族にとっては退屈な話をした挙句に、”叔母”呼ばわりされてしまう。 ジョーとケイティが帰った後、メアリーは明らかに動揺し、彼が早まった行動をしているような言い方で、ジェリーにそれを語る。 トムとジェリーは、メアリーの態度を気にするものの、息子達の将来を考え冷静にそれを見守ろうとする。 冬 トムは、妻を亡くした兄ロニー(デイビッド・ブラッドリー)の家を家族で訪ね、葬儀に参列する。 それが終わる頃、ロニーの息子カール(マーティン・サヴェッジ)がようやく現われ、彼は自分を待たなかったことで、家族に不満をぶつける。 ロニーの家に戻ったトムらは、家に寄り付かないカールの話などをした後、数人の参列者を招き入れる。 その後、カールが現われて家族と口論になり、客は席を立ち、どう対処すればよいのか迷うロニーをトムは抱きしめる。 トムはロニーに、ロンドンの自宅に滞在することを提案して、ロニーはそれに同意する。 母親の死に際にも会えなかったカールは、悪態をつき出て行ってしまい、トムらはロニーの身支度をして家に向かう。 ある日、トムとジェリーが菜園に行っている間に、落ち着きのない様子のメアリーが現われ、留守番をしていたロニーが対応する。 ロニーはメアリーを警戒するが、家の中の様子を知っている、ジェリーの友人だと言うメアリーを信用して家の中に招き入れる。 お茶を入れて、ロニーに話しかけるメアリーは、後でジョーがケイティと現われることや、ロニーが、自分のことを、家族から何も聞いていないと知りショックを受ける。 二人は、噛み合わない話を淡々と続け、やがてトムとジェリーが帰宅する。 メアリーに失望していたジェリーは、職場でも彼女を避けていたため、彼女が連絡もせずに、ジョーとケイティが訪れる日に限って現われたことをよく思わない。 しかし、苦悩するメアリーの気持を知ったジェリーは、自分ではなく、専門家の相談相手を探すよう、彼女に助言する。 暫くすると、ジョーとケイティが現われ、家族は会話を弾ませながら食事をする。 ロニーは、それには加わらずに話を興味深く聞いていたが、メアリーは、友人ではあるが、家族の一員でないことを理解する。
...全てを見る(結末あり)
トムとジェリーを尋ねたメアリーは、いつものように酔って愚痴をこぼし始め、結局は泊まっていくことになる。
*(簡略ストー リー)
地質学者のトム・ヘップルと妻ジェリーは、平凡ではあるが幸福な毎日を送る初老の夫婦だった。
2人の悩みと言えば、30歳を過ぎても結婚を考えていない、弁護士の息子ジョーのことくらいであった。
医療カウンセラーのジェリーは、親友でもある同僚のメアリーを度々家に招いていた。
メアリーは、自分の男運の悪さなどを悲観し、自暴自棄気味に酒の力を借りて気を紛らしていた。
そんなメアリーを理解しつつ、温かく見守るトムとジェリーだった。
そんな時、前触れもなくジョーが恋人のケイティを連れて現われ、それを知った、少なからず彼に心を寄せていたメアリーは気分を害してしまう。
その様子を見たトムとジェリーは、明らかに動揺するメアリーの態度に困惑してしまう・・・。
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中流家庭の、平凡ではあるが充実した毎日を送る家族と、彼らに関りながら、自らの力で孤独から逃れられない人々の人生の悲哀を、名匠マイク・リーが切実に描いた秀作ドラマであり、実に味わい深い作品だ。
物語の中心人物は初老の夫婦なのだが、その孤独感から、彼らを家族同等の存在に考えてしまう、哀れなまでに不安定な独身女性を演ずる、レスリー・マンヴィルの渾身の演技は素晴らしい。
彼女の演技は、世界の映画祭などで高く評価されて絶賛された。
第83回アカデミー賞では、マイク・リーが、脚本賞にノミネートされた。
温厚で柔和な地質学者ジム・ブロードベント、その妻で、カウンセラーらしく何事も冷静に判断する思慮深い女性ルース・シーン、その息子オリヴァー・モルトマン、その恋人カリーナ・フェルナンデス、トム(J・ブロードベント)の兄デイビッド・ブラッドリー、その息子マーティン・サヴェッジ、トムの友人ピーター・ワイト、フィリップ・デイヴィス、医師ミシェル・オースティン、冒頭にカウンセリングを受ける女性イメルダ・スタウントン、トムの同僚スチュワート・マッカリーなどが競演している。