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アナザー・カントリー Another Country (1984)

1981年に初演された、ジュリアン・ミッチェルの舞台劇”Another Country”を基に製作された作品。
1930年代のパブリック・スクール”イートン・カレッジ”を舞台に、特権階級意識に溺れる同性愛者の少年と周囲の学生の関係を描く、監督マレク・カニエフスカ、主演ルパート・エヴェレットコリン・ファースケイリー・エルウィス他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:マレク・カニエフスカ

製作:アラン・マーシャル
製作総指揮
ロバート・フォックス

ジュリアン・シーモア
原作:ジュリアン・ミッチェルAnother Country
脚本:ジュリアン・ミッチェル

撮影:ピーター・ビジウ
編集:ジェリー・ハンブリング
音楽:マイケル・ストーレイ

出演
ガイ・ベネット:ルパート・エヴェレット
トミー・ジャド:コリン・ファース
ジェームズ・ハーコート:ケイリー・エルウィス
バークレイ:マイケル・ジェン
デラヘイ:ロバート・アディ

ドナルド・デヴェニッシュ:ルパート・ウェインライト
ファウラー:トリスタン・オリヴァー
ジム・メンジーズ:フレデリック・アレクサンダー

ジュリー・スコフィールド:ベッツィー・ブラントリー
イモジェン・ベネット:アンナ・マッセイ

イギリス 映画
配給
20世紀FOX(イギリス)
Orion Classics(アメリカ)
1984年製作 90分
公開
イギリス:1984年6月
北米:1984年6月29日
日本:1985年8月1日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1983年、モスクワ
祖国イギリスを裏切ったスパイである老人のガイ・ベネット(ルパート・エヴェレット)は、アメリカ人ジャーナリストのジュリー・スコフィールド(ベッツィー・ブラントリー)のインタヴューを受ける。

仲間のスパイの名を出すことを拒んだベネットは、軽蔑する祖国の体制を話そうとする。

スコフィールドは、ベネットのような特権階級が、何を軽蔑するのか理解できないことを伝えるが、1930年代のイギリスを知らないからだとベネットは答える。

1930年代、パブリック・スクール”イートン・カレッジ”。
スクールの代表”ゴッド”になることを望んでいるベネットは、自分の特権階級意識を軽蔑する、共産主義者のトミー・ジャド(コリン・ファース)をなぜか憎めなかった。

そんなベネットは、別の寮のジェームズ・ハーコート(ケイリー・エルウィス)に惹かれてしまう。
...全てを見る(結末あり)

ある日、同性愛の現場を教師に目撃された生徒が自殺し、ジャドは学校を憎む。

事態を重く見る”ゴッド”のバークレイ(マイケル・ジェン)とデラヘイ(ロバート・アディ)は、風紀が乱れ切っていることを幹事のファウラー(トリスタン・オリヴァー)から指摘され、責任を追及される。

”悪事”の浄化を提案するファウラーは、来季の寮長ジム・メンジーズ(フレデリック・アレクサンダー)にもそれを徹底させようとする。

ファウラーらは抑圧的統制を始め、デラヘイは、行動に注意するようベネットに忠告する。

ハーコートへの思いを抑えることができないベネットは、彼を食事に誘うためにメモを渡す。

再婚する母イモジェン(アンナ・マッセイ)に、自分達が共産主義者か同性愛者だと思われていることを話したベネットは、自殺者のことについて意見され、気をつけるようにと言われる。

母の結婚相手の軍士官から、学校をやめて世間を見ることを勧められたベネットは、軍隊で殺し方を学ぶのもいいと皮肉を言って、イモジェンを困らせる。

息子のためを思って助言していることを理解するよう注意したイモジェンだったが、今、学校をやめたら代表になれないとベネットに言われる。

そのために苦労しているとベネットから言われたイモジェンは納得する。

数日後、ハーコートと食事をしたベネットは、緊張しながら記念日だと言って楽しい時を過ごす。

各寮の幹事は集まり、今回の件を例外的な問題だと印象付けるため、同様な事件を起こさないようにすることが話し合われる。

母イモジェンが好きだったベネットは、両親が愛し合っている最中に父親が心臓発作を起こして死亡し、その姿を見てしまったため、それ以来、母とは気まずい時もあることをハーコートに話す。

夜になり、コーハートと別れて寮に戻ったベネットは、眠れないために本を読んでいたジャドに見つかってしまう。

恋をしたことを話したベネットは、今までとは違う純愛だと伝えるが、相手のハーコートとは上手くいかないだろうとジャドに言われる。

翌日、バークレイは、呼び出したメンジーズの代わりにファウラーを寮長にすることを伝える。

ファウラーが寮長になるのを阻止するには、幹事になりたがらないジャドを説得するしかないメンジーズは、彼を説得しようとする。

寮長がファウラーになることを歓迎しないジャドだったが、支配階級や体制を批判するジャドはそれを断る。

その後メンジーズは、下級生の前でハーコートにのぼせるベネットを注意する。

ドナルド・デヴェニッシュ(ルパート・ウェインライト)が、自殺事件の影響で退校するため、ファウラーが寮長になってしまうことをメンジーズはベネットに伝える。

それを阻止するために協力を求められたベネットは、ジャドを説得するようメンジーズに指示される。

ベネットと話したジャドは、自分の主義を変える気がないため、幹事になることを断る。

ソ連を文明国家にするために努力していると言うジャドは、人の気配を感じてベネット共に身を隠す。

現れたバークレイに見つかったジャドは、今回の件はもううんざりだと言って、伝統教育の押しつけを批判する彼の話を聞く。

特権を失いたくないはずだと言われたバークレイは納得して、散歩をするために窓から抜け出す。

追い詰められた精神状態のバークレイを気にするベネットは、多くを望み過ぎていると指摘してその場を去ろうとするジャドに、ファウラーと戦うことを伝える。

幹事の件を検討する気になったジャドに、翌日の軍事教練でトラブルを起こしたら引き受けるかと尋ねたベネットは、その代わりに自分の身を滅ぼしかねないと言われる。

寮を抜け出したベネットは、現れたハーコートに寄り添う。

翌日、軍事教練のために軍服姿で紋章をつけたファウラーは、全員を整列させる。

服装が乱れていたことを責められたベネットは、鞭打たれることになる。

代表のバークレイとデラヘイと話したいとベネットに言われたため、ファウラーは席を外す。

ベネットは、ファウラーに鞭打たせたら、自分と関係を持った者の名前を舎監にバラすとバークレイとデラヘイに伝える。

デラヘイは憤慨するが、ゲームだと言って二人を納得させる。

その夜もハーコートに会ったベネットは、翌朝、寝過ごしてしまう。

朝の入浴をチェックするファウラーの態度を、ベネットは気にしない。

デヴェニッシュと話したメンジーズだったが、幹事をやるために学校に残る気はないと言われる。

ジャドが幹事を受ける気になったことを喜んだベネットは、ハーコートへのメモを下級生に渡して届けさせる。

それを目撃ていたファウラーは、下級生からメモを奪う。

メンジーズと話したジャドは、幹事を受けることを伝える。

そこに現れたファウラーは、メモをメンジーズに見せて、ベネットを陥れることを考える。

再びメンジーズと話したデヴェニッシは、ベネットの代わりに代表になれるのなら学校に残る考えを伝える。

幹事会に呼ばれたベネットは、代表のデラヘイに鞭打たれ、彼と握手して退席する。

部屋に戻ったベネットは、なぜ例の脅しを使わなかったのかとジャドに聞かれ、舎監のところに行けばハーコートの名前が出て、二人とも放校になると答える。

一生、女性を愛さず、自分だけが同性愛を認めればいいと言うベネットは、気の迷いだとジャドに指摘される。

ジャドのマルクス主義への傾倒も、共産主義者としての感情の表れだとベネットは答える。

言い方が悪かったと謝罪するジャドに、平等を追求しながら、恋愛を語ると差別するのはファウラーらと同じだと考えるベネットは、同性愛についてじっくり考えていればいいと伝える。

散歩に出かけようとした二人は、出くわしたメンジーズから、その場にいたデヴェニッシュが学校に残ることを知らされる。

代表はデヴェニッシュにするとメンジーズから言われたベネットは、ショックを受けてその場を去る。

共産主義者と変態を排除する気かとジャドに言われたメンジーズは、議論は止めて来季に向けて仲良くやろうと伝える。

ジャドに慰められたベネットだったが、絶望する彼は、他のことをしていると見せかけて、周囲を騙してみせると言って復讐を誓う。

軽率な言動が招いた結果だとジャドに言われたベネットは、それが自分にとっての最高のカモフラージュだと伝える。

共産主義も悪くないと思えるようになったベネットは、絶対的な正義だとジャドに言われる。
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スペイン内乱で、ジャドがファシストに殺されたことをスコフィールドに話したベネットは、帰国する考えがあるかを聞かれ、それを否定する。

会いたい人はいるかと問われたベネットは、いないと答え、クリケットがしたいとだけ伝える。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1983年、モスクワ
祖国イギリスを裏切ったスパイである老人のガイ・ベネットは、アメリカ人ジャーナリストのインタヴューを受け、軽蔑する祖国の体制を語り始める。
1930年代、パブリック・スクール”イートン・カレッジ”で学ぶベネットは、自分の特権階級意識を軽蔑する共産主義者のジャドをなぜか憎めなかった。
そんなベネットは、別の寮のハーコートに惹かれてしまう。
スクールの代表者”ゴッド”になることが望みのベネットは、言動に注意するようジャドらに忠告されるものの、ハーコートへの思いを抑えることができない・・・。
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1930年代が舞台という時代背景がポイントで、ファシズムが台頭しようとしている時期の、階級社会の象徴のようなパブリック・スクール”イートン・カレッジ”内で起きる”権力闘争”と、そこで学ぶ共産主義に傾倒する学生の考え方を深く描く内容になっている。

後年、ハリウッドでも活躍することになる、撮影当時、弱冠30歳のマレク・カニエフスカの長編デビュー作であり、美少年を揃えたキャストや同性愛を描く内容も話題となった。

初演の舞台(1981年)のオリジナル・キャストは主人公ガイ・ベネットはルパート・エヴェレットであり、1982年にはケネス・ブラナーがトミー・ジャッドを演じ、同年ダニエル・デイ=ルイスが主人公を引き継ぎ、1983年にコリン・ファースが主人公他を演じ、マイルズ・リチャードソンがファウラーを演じた。

その後、イギリスを代表する男優となる、ルパート・エヴェレットコリン・ファース(両者とも長編映画デビュー作)らが、期待の若手スターとして注目された作品でもある。

二人は、特権階級志向の同性愛者と共産主義者という対照的な役柄ながら、友情で結ばれる少年を好演し、その演技は高く評価された。

主人公が惹かれる別の寮生ケイリー・エルウィス、寮代表のマイケル・ジェン、ロバート・アディ、トリスタン・オリヴァー、幹事のルパート・ウェインライトフレデリック・アレクサンダー、トリスタン・オリヴァー、年老いた主人公にインタヴューするジャーナリストのベッツィー・ブラントリー、主人公の母親アンナ・マッセイレイモンド・マッセイの娘)などが共演し、また、ダイアナ元皇太子妃の弟チャールズ・スペンサー第9代スペンサー伯爵)が学生役のエキストラで出演している。


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