”ウィリアム・シェイクスピア”別人説をテーマに王室の権力争いも絡めて描く、製作、監督ローランド・エメリッヒ、主演リス・エヴァンス、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、デヴィッド・シューリス他共演の歴史ミステリー。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ローランド・エメリッヒ
製作
ローランド・エメリッヒ
ラリー・J・フランコ
ロバート・ルジャー
製作総指揮
フォルカー・エンゲル
ジョン・オーロフ
マーク・ワイガート
脚本:ジョン・オーロフ
撮影:アンナ・フェルスター
編集:ピーター・R・アダム
衣装デザイン:リジー・クリストル
音楽
トーマス・ワンカー
ハラルド・クローサー
出演
第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア:リス・エヴァンス
エリザベス1世:ヴァネッサ・レッドグレイヴ
オックスフォード伯エドワード(若年期):ジェイミー・キャンベル・バウアー
ウィリアム・セシル:デヴィッド・シューリス
初代ソールズベリー伯ロバート・セシル:エドワード・ホッグ
エリザベス1世(若年期):ジョエリー・リチャードソン
サウサンプトン伯ヘンリー・リズリー:ゼイヴィア・サミュエル
ベンジャミン・ジョンソン:セバスチャン・アルメスト
ウィリアム・シェイクスピア:レイフ・スポール
トマス・デッカー:ロバート・エムズ
トマス・ナッシュ:トニー・ウェイ
クリストファー・マーロウ:トリスタン・グラヴェル
エセックス伯ロバート・デヴァルー:サム・リード
アン・ド・ヴィア:ヘレン・バクセンデイル
ヘンリー・コンデル:マーク・ライランス
語り手:デレク・ジャコビ
イギリス/ドイツ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2011年製作 130分
公開
イギリス:2011年10月28日
ドイツ:2011年11月4日
北米:2011年10月28日
日本:2012年12月22日
製作費 $30,000,000
北米興行収入 $4,463,290
世界 $15,395,090
■ アカデミー賞 ■
第84回アカデミー賞
・ノミネート
衣装デザイン賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
劇場”Anonymous”に到着した語り手(デレク・ジャコビ)は、開幕寸前に舞台に上がり、”ウィリアム・シェイクスピア”についての説明を始める。
シェイクスピアについては、自筆の原稿が見つかっていないことから彼の経歴についてなどを語り、その謎に迫る物語の幕が開く・・・。
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16世紀末、ロンドン。
劇作家で詩人のベンジャミン・ジョンソン(セバスチャン・アルメスト)は、捕えられロンドン塔に連行される。
女王エリザベス1世(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の宰相で初代ソールズベリー伯ロバート・セシル(エドワード・ホッグ)は、オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア(リス・エヴァンス)から渡された戯曲についてをジョンソンに問い、彼を痛めつける。
5年前。 ジョンソンの芝居が上演されていたが、内容が扇動的だと判断されて、ロバートの父で宰相のウィリアム・セシル(デヴィッド・シューリス)の命令で中止させられる。 喜劇だと言って扇動の意図などないと答えるジョンソンだったが連行されてしまう。 エセックス伯ロバート・デヴァルー(サム・リード)の屋敷に向かったエドワードは、ジョンソンの芝居が大衆に人気があることから、その影響力を考える。 セシルがスコットランド王ジェームズを国王にするという噂を聞いたエセックス伯は、チューダー朝を引き継ぐため自らがそれに相応しいと断言して、サウサンプトン伯と結託して行動を起こそうとする。 エドワードは、それが単なる噂であり、内乱を招く危険を伴う行為だと、あくまでもチューダー朝の者に従うというサウサンプトン伯に忠告する。 その後、エセックス伯とサウサンプトン伯は女王に接近して、セシルの息子ロバート・セシル(エドワード・ホッグ)はそれを警戒する。 ジョンソンを釈放させたエドワードは、自分の全ての戯曲を渡すことを伝えて、上演するよう彼に命ずる。 ウィリアム・セシルは、エドワードが王を選ぼうとしていることを息子ロバートに伝え、エセックス伯が女王の私生児だと知らせる。 かつて、父を亡くしたエドワード(ジェイミー・キャンベル・バウアー)は、セシルの監督下で各国語などを学び生活をした。 セシルは、エセックス伯を女王から遠ざけるために、彼をアイルランド遠征に向かわせ、代理にロバートを枢機院に入れることに成功する。 詩を愛するエドワードの創作意欲を懸念するセシルは、原稿を盗みに来た者を殺してしまった彼に、それを認める見返りとして娘のアンとの結婚を迫る。 エドワードは、セシルに財産を奪われる可能性も考えながら、それを仕方なく受け入れて、女王(ジョエリー・リチャードソン)に見守られアンとの結婚式を挙げる。 作者不明のまま、”ヘンリー五世”が上演され、民衆はその内容に歓喜する。 その場にいたエドワードは、アイルランドに向かうことになったエセックス伯に同行することを、サウサンプトン伯から告げられる。 劇場では、役者であるウィリアム・シェイクスピア(レイフ・スポール)が、原稿を持って舞台に現れ、自分が作者であることを伝え観客に感謝する。 激怒したエドワードは、シェイクスピアには自分の名を伏せたかをジョンソンに確認する。 エドワードは、恋愛悲劇”ロミオとジュリエット”の原稿をジョンソンに渡して下がらせる。 妻アン(ヘレン・バクセンデイル)に、経済的に破たんしているにも拘らず、戯曲を書き続けていることを批判されたエドワードは、正気でないという彼女の言葉に反論しない。 ”ロミオとジュリエット”は上演され、エドワードは、結婚した身でありながら、若き日に関係を持った女王との日々を想い起す。 続いて”十二夜”、”ジュリアス・シーザー”、”マクベス”、”ハムレット”が上演され、明らかに”ウィリアム・セシル”と思われる登場人物が舞台上で殺され、その内容を人々は絶賛する。 単なる役者だったウィリアム・シェイクスピア”は、その作者だということで時の人となる。 劇作家クリストファー・マーロウ(トリスタン・グラヴェル)は、芝居の内容についてを通報し、それがロバートに伝わる。 ロバートは、それを父ウィリアムに伝えて、シェイクスピアを逮捕するべきだと意見する。 ウィリアムは、民衆に人気のシェイクスピアを葬るのは危険だと答える。 エセックス伯の出生の秘密を気にしているスコットランド国王ジェームズに、彼がアイルランドからは戻らないだろうという手紙を書くようウィリアムはロバートに指示し、加えてエドワードを始末することが必要だと語る。 女王は、懐妊したことをセシルに知らせるが、エドワードと暮らすことは許されないと言う彼は、女王を静養に向かわせて、生まれた子供は由緒ある家庭に預けることを提案する。 エドワードは、姿を消した女王の居場所を義父のセシルから聞き出そうとするが、それを拒まれ、妻アンの元に戻るよう指示される。 ジョンソンは、シェイクスピアがまともに読み書きもできないないことで疑うマーロウから、戯曲の作者が誰であるか探られていた。 アイルランド。 その頃、殺害されたマーロウが路地で発見される。 エドワードも命を狙わえれ、傷つけられながらも相手を倒す。 シェイクスピアは、エドワードの使用人がジョンソンに原稿を渡すのを目撃する。 エドワードの屋敷を訪れたシェイクスピアは、戯曲の作者を公表すると脅して現金を要求し、それを受取る。 女王が、自分の子を身篭り出産することをエドワードは知らされる。 侍女がエドワードと関係して妊娠したことを知った女王は、彼を捕える。 セシルは、解放する条件として、女王と宮廷に近づかないようにとエドワードに伝える。 エドワードはそれに従い、女王の子の名前をセシルから聞き出そうとする。 この件は公言しないようセシルに脅されたエドワードは、子供が男の子と言うことだけを知る。 ウィリアム・セシルは亡くなり、女王は、エセックス伯を呼び戻すようロバート・セシルに命ずる。 貴族の紋章まで手に入れて自慢する、シェイクスピアに憤慨したジョンソンは、仲間達の前で詩を書いてみるようにと彼に迫る。 女王の元に戻ったエセックス伯は、セシルを信じる彼女に全てを奪われる。 エドワードは、エセックス伯の窮地を救うために、言葉で女王を納得させ、民衆を蜂起させてセシルを追放しようと考える。 ”リチャード三世”を書き終えたエセックス伯は、原稿をシェイクスピアに渡して、彼の名で詩集”ヴィーナスとアドニス”を発表する。 その詩集を読んだ女王は、かつての愛を想い起して、セシルに子供は誰かを問い、それがサウサンプトン伯であることを知り、エドワードを宮廷に呼ぶことを決める。 グローブ座。 シェイクスピアも共同所有者である劇場で、新作の上演を断られたジョンソンは、”リチャード三世”で、セシルが笑い者にされることを密告し、それが本人に伝わる。 舞台初演当日。 エドワードは宮廷に到着し、事件が起きることを察していたセシルは、既に準備を整えていた。 ジョンソンは、エドワードの使用人が劇場の人々を扇動して、その場を離れる姿を確認し、迎え撃ちされてしまうことを恐れる。 橋は封鎖され、暴徒化した民衆に兵は容赦なく銃弾を浴びせる。 民衆が現れないため、エセックス伯とサウサンプトン伯は焦り宮廷に向かう。 二人は攻撃を受け、セシルは、王位を奪いに来た二人から逃れるよう女王に指示する。 エセックス伯とサウサンプトン伯は投降し、エドワードは、その様子を見て愕然とする。 エドワードの前に現れたセシルは、エセックス伯が処刑されることを伝え、彼を含め、女王には何人もの私生児がいたことを伝える。 更にセシルは、女王の最初の子がエドワードであることを伝え、父ウィリアムが、彼の子を国王にしたかったことも知らせる。 女王が、我が子と愛し合ったと知っていたとは思えないことをセシルは付け加え、政治的無能と財産管理能力のなさを指摘されたエドワードは、言葉なくその場を立ち去る。 エセックス伯の処刑は執行され、サウサンプトン伯の処刑も迫り、エドワードは女王の元に向かう。 エドワードは、女王への反逆ではなく狙いはセシルだったことを伝え、自分達の息子サウサンプトン伯を救うよう訴える。 女王は、サウサンプトン伯が、その事実を知ることがないのを確認してエドワードの要求を受け入れる。 エドワードは、詩や戯曲に自分の名を記さぬことを女王に指示されてその場を去る。 1603年3月24日。 1603年7月25日。 死を前にしたエドワードに呼ばれたジョンソンは、一度も口にしなかった、彼の作品についての評価を聞かれる。 ジョンソンは、エドワードの作品を絶賛し、シェイクスピアの秘密は決して明かさぬよう約束させられる。 エドワードは、書き終えた”リア王”の原稿を渡して、全ての作品をセシル一族から守り、後に出版してほしいことをジョンソンに伝える。 ジョンソンは通報したことを悔やむものの、自分の言葉を裏切ることはないと信ずるエドワードに、全てを託される。 原稿を手にして去ろうとするジョンソンは、アンに追い払われそうになるが、エドワードと共に生きられたことを誇りに思うことを伝える。 セシルに拷問を受けるジョンソンは、持ち出した原稿は焼き払ったと答える。 ジョンソンの言葉を信じたセシルは、エドワードより優れたものを書き、彼の記憶を消し去るよう命ずる。 それは不可能なことだとジョンソンは答えてその場を去る。 火事で焼失したグローブ座の焼け跡で、ジョンソンは、無事だったエドワードの原稿を見つける。 国王ジェームズは、宮廷で上演されたシェイクスピアの劇を気に入り、同様に芝居を好むはずだとセシルに問い、彼はそれに同意する。 語り手は、
エドワードは、サウサンプトン伯ヘンリー・リズリー(ゼイヴィア・サミュエル)と共に劇場の席に着く。
...全てを見る(結末あり)
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エセックス伯は、暗殺の危機をサウサンプトン伯に救われる。
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新築された劇場では、”リチャード三世”初演の準備が進められていた。
劇場は民衆で溢れて上演は始り、”セシル”の登場で場内は騒めく。
王位継承者にジェームズを認めないまま、エリザベス1世はこの世を去る。
ジェームズ1世は、イングランド国王として戴冠し、セシルの思惑は現実となる。
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その後ロバート・セシルが、演劇の人気を防ぐことはできず、ウィリアム・シェイクスピアは、芝居小屋ではなく故郷のストラトフォード・アポン・エイヴォンで余生を過ごし、ベンジャミン・ジョンソンは望みを叶え高名な劇作家として”桂冠詩人”となり、1623年には”ウィリアム・シェイクスピア”の戯曲集に献辞を書いたことを伝え、詩人達の物語は終わりのないことを語り、舞台を締めくくる。
*(簡略ストー リー)
女王エリザベス1世の宰相ウィリアム・セシルは、大衆を扇動するとして、演劇を否定する政策をとっていた。
オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアは、劇作家ベンジャミン・ジョンソンの芝居に民衆が歓喜することに注目し、投獄された彼を解放させて呼び寄せる。
エドワードは、自分の書いた戯曲を作者を公表せずに上演するようジョンソンに指示する。
ところが、役者ウィリアム・シェイクスピアがそれに目をつけ、自分の作品であることを公表して大衆の支持を得る。
その頃、王位継承権をめぐり、スコットランド王ジェームズを国王にするという目的で、セシルが行動を開始する。
セシルは、女王の私生児と噂されるエセックス伯をアイルランドへ遠征させて抹殺を企む。
その頃エドワードは、自分が戯曲を書いたことを知ったシェイクスピアから脅され、現金を要求される・・・。
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ウィリアム・シェイクスピアの戯曲が、他の者によって書かれたという大胆な仮説に驚く暇もなく、王室の権力争いに関係する陰謀や、女王の隠された愛などを絡めた複雑な展開が続くものの、非常に解り易くまとめられた作品。
大筋では歴史的事実がそのまま描かれているが、シェイクスピア他人説をはじめ、細部ではかなり脚色された内容になっている。
イギリスを代表する実力派スターの共演も見ものだ。
シェイクスピアを題材にした、他の作品と見間違うようなシーンが多くあり気になるが、大規模なアクション大作を得意とするローランド・エメリッヒの、違った演出が楽しめる一作として見応えある作品には仕上がっている。
第84回アカデミー賞では、衣装デザイン賞にノミネートされた。
第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア役のリス・エヴァンス、その若年期のジェイミー・キャンベル・バウアー、女王エリザベス1世のヴァネッサ・レッドグレイヴ、その若年期で彼女の実娘のジョエリー・リチャードソン、劇作家のベンジャミン・ジョンソンを好演するセバスチャン・アルメスト、ウィリアム・セシル役のデヴィッド・シューリス、その息子で初代ソールズベリー伯ロバート・セシルのエドワード・ホッグ、ウィリアム・シェイクスピア役のレイフ・スポール、劇作家のトマス・デッカーのロバート・エムズ、役者トニー・ウェイのトマス・ナッシュ、劇作家クリストファー・マーロウのトリスタン・グラヴェル、サウサンプトン伯ヘンリー・リズリー役のゼイヴィア・サミュエル、エセックス伯ロバート・デヴァルーのサム・リード、エドワード・ド・ヴィアの妻アン・ド・ヴィアのヘレン・バクセンデイル、役者ヘンリー・コンデルのマーク・ライランス、そして語り手は名優デレク・ジャコビが務める。