実在の女性射撃名手”アニー・オークレイ”を主人公ににして1946年に上演されたアーヴィング・バーリン作詞、作曲による大ヒットミュージカル”Annie Get Your Gun”の映画化。 製作アーサー・フリード、監督ジョージ・シドニー、主演ベティ・ハットン、ハワード・キール、ルイス・カルハーン、エドワード・アーノルド、キーナン・ウィン他共演のミュージカル。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジョージ・シドニー
製作:アーサー・フリード
原作
”Annie Get Your Gun”
ドロシー・フィールド
ハーバート・フィールズ
脚本:シドニー・シェルダン
撮影:チャールズ・ロッシャー
編集:ジェームズ・E・ニューカム
美術・装置
セドリック・ギボンズ
ポール・グロッシー
エドウィン・B・ウィリス
リチャード・ペファール
音楽
アーヴィング・バーリン
ロジャー・イーデンス
アドルフ・ドイッチ
出演
アニー・オークレイ:ベティ・ハットン
フランク・バトラー:ハワード・キール
ウィリアム・F・コーディ大佐/バッファロー・ビル:ルイス・カルハーン
ポーニー・ビル:エドワード・アーノルド
チャーリー・ダベンポート:キーナン・ウィン
シッティング・ブル:J・キャロル・ネイシュ
ドリー・テイト:ベネイ・ヴェヌータ
フォスター・ウィルソン:クリントン・スンドバーグ
ヴィクトリア女王:エブリン・ベレスフォード
インディアン・ブレイブ:ジョン・ウォー・イーグル
リトルホース:チーフ・ヤウラチー
アメリカ 映画
配給 MGM
1950年製作 107分
公開
北米:1950年7月17日
日本:1951年10月5日
製作費 $3,734,000
北米興行収入 $7,756,000
■ アカデミー賞 ■
第23回アカデミー賞
・受賞
ミュージカル音楽賞
・ノミネート
撮影(カラー)・編集・美術賞(カラー)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
オハイオ州。
バッファロー・ビル/ウィリアム・F・コーディ大佐(ルイス・カルハーン)の”ワイルド・ウェスト・ショー”一座が専用列車で到着し、マネージャーのチャーリー・ダベンポート(キーナン・ウィン)は、射撃の名手フランク・バトラー(ハワード・キール)を紹介し、バッファロー・ビルが登場する。
ウィルソン・ハウス。
自分のホテルで、勝手に一座の宣伝を始められたフォスター・ウィルソン(クリントン・スンドバーグ)は憤慨し、チャーリーを非難する。
到着したフランクは、指名した者が射撃で自分に勝ったら100ドル渡すとウィルソンに提案するものの、話を聞こうともしない彼から宿泊を拒否される。
仕方なくチャーリーは、町に戻ることにする。
猟をしていたアニー・オークレイ(ベティ・ハットン)は、座員のドリー・テイト(ベネイ・ヴェヌータ)の鳥の帽子飾りを撃つものの、それが偽物だと知りドリーに返す。 一座はその場を去り、妹三人と弟ジェイクをウィルソンに紹介したアニーは、狩りをして暮らしていることを話し、20羽の鳥を注文される。 歌がうまいアニーが気に入ったウィルソンは、彼女が射撃の名手だと知り、フランクと勝負させようとする。 そこに現れたフランクに銃を馬鹿にされたアニーだったが、彼に一目惚れしてしまう。 アニーが射撃で勝負することを知ったフランクは、相手が自分だということは話さず、彼女から理想の女性について訊かれる。 フランクが自分とは違うタイプの女性のこと話して去ったために、アニーは、銃では男を捕まえられないと考え悔しい思いをする。 ショーは始まり、フランクを紹介したバッファロー・ビルは、射撃の対決をするのがウィルソンが連れて来たのが女のアニーだったために驚く。 集まった人々に笑われたアニーは、バッファロー・ビルの許可を得て対決することになるが、相手がフランクだと知り動揺する。 勝負は始まり、自分と互角、それ以上のアニーの射撃の腕に驚いたフランクは外してしまう。 バッファロー・ビルはアニーを勝利者として称え、不満だったフランクは、一応、負けを認める。 アニーが気に入ったバッファロー・ビルとチャーリーは彼女をスカウトすることを考えるが、フランクはそれに反対する。 二人に説得されたフランクは、話を聞いていたアニーから、そばにいられるなら助手でも何でもすると言われる。 アニーは、バッファロー・ビルとチャーリー、そしてフランクから、ショー・ビジネスの素晴らしさを知らされる。 妹や弟と共に巡業で各地を回ったアニーは、次第に女性らしくなる。 字が読めないアニーは、フランクには知られないようにして、弟ジェイクと共に本を読んで勉強する。 現われたフランクに、チャーリーからもらった自分の新聞記事の切り抜きを見せたアニーは、読んでほしいと言われる。 あなたの声が好きと言ってフランクにそれを読んでもらったアニーは、自分が将来、有望だという内容だったために喜ぶ。 フランクから、看板に自分の名前が載り、いつかは助手にすると言われたアニーは、体験したことがない恋について教えてもらい、彼と語り合う。 次の巡業地で客の入りが悪いことをチャーリーと話したバッファロー・ビルは、ライバルのポーニー・ビル(エドワード・アーノルド)の一座が興行していることを知る。 目玉となる出しものを考えたチャーリーは、アニーをおだてて、彼女が考えている新しい技をショーに使おうとする。 フランクに遠慮するアニーは、彼の気を引くためにもやるべきだと言われてその気になる。 これでポーニーの客を奪えるとチャーリーに伝えたバッファロー・ビルは、現れたポーニーから、先住民のシッティング・ブル(J・キャロル・ネイシュ)を紹介される。 バッファロー・ビルは、アニーに興味を持つポーニーらをショーに招待する。 居留地のことで大統領に会ったことをチャーリーに伝えたシッティング・ブルは、土地に作物は育たず石油が毎日5万バレルも出ている話をする。 それを聞いて驚いたチャーリーだったが、シッティング・ブルから、ショー・ビジネスに投資はしないと言われる。 アニーの看板が立派だったために苛立つフランクは、まるで主役だとチャーリーに不満をもらし、バッファロー・ビルに抗議しに行く。 看板を見て驚き喜ぶアニーは、フランクに見せたいとチャーリーに話ながら、ショー・ビジネスの素晴らしさを実感する。 現われたフランクが看板が気に入らない様子だったために、アニーは秘密の技のことは話さない。 アニーに惹かれていたフランクは責める気はなく、ショーを成功させると言って彼女にキスする。 ワイルド・ウェスト・ショーは始まり、バッファロー・ビルに紹介されたアニーは見事な射撃の技を披露し、その様子を見たフランクは驚く。 バッファロー・ビルとチャーリーに不満を訴えるフランクだったが、アニーは彼が喜んでくれると思っていた。 アニーが気に入ったシッティング・ブルは、彼女を娘にすると言いだし、それが条件でショーに投資すると言われたバッファロー・ビルとチャーリーは喜ぶ。 その夜、シッティング・ブルの娘になるアニーのために、盛大な儀式が行われる。 儀式を終えたアニーは、フランクがポーニーの一座に加わることを知り悲しむ。 ヨーロッパ公演に出発するアニーは、妹や弟たちに別れを告げる。 フランクが見送りに来ないことを気にするアニーだったが、世界一の射撃手になることを誓い船に乗り込む。 パリ、ローマ、ベルリンでの御前公演を終え、各地で勲章を授与されたアニーは、ロンドンに到着する。 ヴィクトリア女王(エブリン・ベレスフォード)を迎えた公演が始まり、アニーはそこでも勲章を授与される。 チャーリーから、今回の公演がまったく儲からないことを知らされたバッファロー・ビルは、金のことよりも、フランクのことで元気がないアニーが気になる。 バッファロー・ビルから帰国してもいいと言われたアニーは喜ぶが、牛を運ぶ貨物船で帰ることを不思議に思い、今回の興行で、一座は稼げなかったことを知る。 ニューヨークに着いたアニーは、フランクらしき男がボートで近づいてきたことを知るが、それはポーニー一座の使いだった。 ポーニーからの手紙を受け取り、文字を覚えたアニーに読んでもらったバッファロー・ビルは、自分たちのために歓迎会を開催してくれることを知る。 資金力のあるポーニーと組むことで、今後も巡業を続けられると言うシッティング・ブルのアイデアを聞いたバッファロー・ビルは、それに賛成する。 そうすればフランクと一緒にいられると言って喜ぶアニーは、これでようやく結婚できると考えながら、彼のことを想い涙する。 ホテル・ブレヴォート。 到着したバッファロー・ビルとチャーリーを歓迎したポーニーは、一緒に組むことで話が決まるものの、互いが借金を抱えていることを知り驚く。 シッティング・ブルと共に現れたアニーは、ドレスを飾る無数の勲章のことなどを上流階級の女性達と話す。 組む話は撤回だと言って帰ろうとするバッファロー・ビルだったが、シッティング・ブルが、アニーとフランクのために一緒にショーをやるなら資金は工面すると皆に伝える。 シッティング・ブルから勲章を売ると言われたアニーはそれを拒むが、フランクとショーも一緒で結婚もできなるために、それを承知する。 アニーに勲章を渡そうとしたフランクは、ショールで隠されていた彼女の勲章を見て驚く。 フランクが世界一の射撃の名手だと刻まれた勲章だったために、アニーは自分の方が上だと言って憤慨する。 チャーリーに対決の準備をさせたアニーは、フランクといがみ合う。 翌日、二人の射撃対決は始まり、シッティング・ブルは、アニーが勝てばフランクを失うとチャーリーに伝えて、彼女の銃に細工をする。 すべての勲章を賭けたアニーは射撃を始めるが、連続して外してしまい、銃を替えても同じだった。 焦るアニーはフランクの銃を借りて命中するようになり、彼も対抗する。 シッティング・ブルから、銃で勝っても男は捕まらないという考えを思い出すようにと言われたアニーは、細工した銃を渡されて射撃に失敗する。
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実は資金難だったポーニーは、バッファロー・ビルと組んで巡業を続ける考えをフランクに話す。
*(簡略ストー リー)
オハイオ州。
バッファロー・ビル/ウィリアム・F・コーディ大佐の”ワイルド・ウェスト・ショー”一座の花形射撃手フランク・バトラーに一目惚れした田舎娘アニー・オークレイは、射撃の腕を見込まれて一座に加わる。
実力を発揮したアニーはフランクとの愛も深まるのだが、バッファロー・ビルは、彼女を中心にショーを行うことも考える。
それを知ったフランクは、ライバルのポーニー・ビル一座に加わってしまう。
フランクは去り一座の看板スターとなったアニーは、ヨーロッパ各地での公演も成功させるのだが・・・。
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実在の女性射撃名手”アニー・オークレイ”を主人公に1946年に発表された、ドロシー・フィールドとハーバート・フィールズの著書”Annie Get Your Gun”を基にした、アーヴィング・バーリン作詞、作曲による大ヒット同名ミュージカルの映画化。
MGMミュージカル最盛期の代表作であり、主演は、その時代を支えた看板スターのジュディ・ガーランドだったが、撮影中に彼女の精神状態が悪化し降板した。
小柄ながら、画面全体からエネルギーを感じさせる、弾けるような溌溂とした演技で、主人公のアニー・オークレイを熱演するベティ・ハットンを見ていると、大スターではあったが、当時、数年前から精神的に問題があったジュディ・ガーランドには、とても演じられる役ではなかったと思える。
後に夫婦となるアニー・オークレイとフランク・バトラーの恋物語は単純明快であり、当時のMGM及びアメリカの国力を感じさせるスケール感とテクニカラーの美しい映像、アーヴィング・バーリンの素晴らしい楽曲には圧倒される。
第23回アカデミー賞ではミュージカル音楽賞を受賞し、撮影(カラー)、編集、美術賞(カラー)にノミネートされた。
2年前のイギリス映画”The Small Voice”でデビューを果たし、ハリウッドに招かれた本作で存在感を示し、その後のミュージカル映画の代表的スターとなる、フランク・バトラーを豪快に演ずるハワード・キール、興行主ウィリアム・F・コーディ大佐/バッファロー・ビルのルイス・カルハーン、彼のライバルである興行主のエドワード・アーノルド、バッファロー・ビル一座のマネージャー、キーナン・ウィン、アニーが気に入り”義父”となる先住民シッティング・ブルのJ・キャロル・ネイシュ、座員のベネイ・ヴェヌータ、冒頭で一座の宿泊を拒むホテルの支配人クリントン・スンドバーグ、ヴィクトリア女王のエブリン・ベレスフォード、先住民のジョン・ウォー・イーグルとチーフ・ヤウラチーなどが共演している。