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理想の結婚 An Ideal Husband (1999)

1895年に上演されたオスカー・ワイルドの戯曲”理想の夫”を基に製作された作品。
19世紀末のロンドンの社交界を舞台に”理想の夫”を求める女性達とそれを取り巻く男性達の思惑を描く、監督、脚本オリヴァー・パーカー、主演ケイト・ブランシェットジュリアン・ムーアミニー・ドライヴァールパート・エヴェレットジェレミー・ノーサム他共演のロマンチック・コメディ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ロマンチック・コメディ

ジュリアン・ムーア / Julianne Moore / Pinterest


スタッフ キャスト
監督:オリヴァー・パーカー

製作
バーナビー・トンプソン
ウリ・フルッツマン
ブルース・デイヴィ
脚本:オリヴァー・パーカー
原作:オスカー・ワイルド理想の夫
撮影:デヴィッド・ジョンソン
編集:ガイ・ベンスレー
音楽:チャーリー・モール

出演
ガートルード・チルターン:ケイト・ブランシェット
ローラ・チーヴリー夫人:ジュリアン・ムーア
メイベル・チルターン:ミニー・ドライヴァー
アーサー・ゴーリング卿:ルパート・エヴェレット
ロバート・チルターン:ジェレミー・ノーサム
フィップス:ピーター・ヴォーン
キャヴァーシャム卿:ジョン・ウッド
エドワード卿:サイモン・ラッセル・ビール
マークビー夫人:リンジー・ダンカン
アンハイム男爵:ジェローン・クラッベ
セシリー:ナンシー・キャロル
オスカー・ワイルド:マイケル・カルキン

イギリス 映画
配給 ミラマックス
1999年製作 97分
公開
イギリス:1999年4月16日
北米:1999年6月18日
日本:2000年2月19日
製作費 ₤6,350,000
北米興行収入 $18,542,970


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
1895年、ロンドン
国会議員のロバート・チルターン(ジェレミー・ノーサム)は、妻ガートルード(ケイト・ブランシェット)と共に、社交界が注目するパーティーを開催する。

ロバートの親友である貴族のアーサー・ゴーリング卿(ルパート・エヴェレット)は、ロバートの妹メイベル(ミニー・ドライヴァー)との結婚の決心ができないでいた。

マークビー夫人(リンジー・ダンカン)に同行していた、学友だったローラ・チーヴリー夫人(ジュリアン・ムーア)と話したガートルードは、ロバートと話をしたいが直ぐにウィーンに帰ると言われ、夜のパーティーで会う約束をする。
...全てを見る(結末あり)

その夜、マークビー夫人と共にチルターン邸に現れたローラは人々の注目を集め、ロバートは、彼女がウィーンの上流階級の顔で政治力もあることを知る。

メイベルと話していたローラは、マークビー夫人にロバートを紹介され、屋敷内を案内してもらう。

父キャヴァーシャム卿(ジョン・ウッド)から、乱れた生活を注意されたアーサーは、それを気にしない。

ローラにアーサーを紹介しようとしたロバートは、二人が知り合いだったために驚く。

歓迎しない雰囲気のアーサーに、一応、滞在先のホテルを教えたローラは、ロバートと書斎に向かい話をする。

アルゼンチン運河会社の計画について語るローラは、ロバートから、それがペテンだと言われるものの、多額の投資をしたことを伝える。

政府が大きく関与しているため、自分が下院に報告書を提出するつもりだと話すロバートは、よくない計画だと言うつもりだと伝え、ローラを失望させる。

自分のためにならないと言うローラは、ロバートからその理由を訊かれ、運河に対する国際的な価値を主張するよう求め、それを断る彼に、知られたくないはずの過去を暴露すると伝える。

築いた富と経歴の秘密を知っていると言うローラは、手紙もあるとロバートに伝えてパーティーに戻る。

その件はただの投機だったと言うロバートだったが、ローラは詐欺だと断言し、運河計画を公的に支援する約束をすれば手紙は返すと伝える。

それに応じようとしないロバートにこのスキャンダルをバラすと言いながら、ローラは新聞社社主のエドワード卿(サイモン・ラッセル・ビール)に声をかける。

エドワード卿から、出発前に大陸の話を聞きたいと言われたローラは、時間を空けておくと伝える。

自分の行いがあくどいと言われたローラは、これは人生のゲームだと伝えて、ロバートを動揺させる。

ロバートと何の話をしていたのかをガートルードから訊かれたローラは、馬車が来たことを知らせる彼にその場まで送ってもらい、考える時間が欲しいと言われる。

その様子を見つめるガートルードは、二人が気になる。

自分の人生に干渉する理由を尋ねたロバートは、ローラから運命だと言われる。

金はいくらでも払うと言われたローラは、過去を買うことはできないとロバートに伝えてその場を去る。

翌日、父キャヴァーシャム卿と話したアーサーは、結婚を急ぐようにと説教をされる。

エドワード卿とフェンシングを楽しんだロバートは、昨日ローラが訪れて、運河計画を記事にしてほしいと言われたことを知らされる。

自分のことは、議会で驚くべき演説をすると言っていたと知らされたロバートは、考えを変えたのかとエドワード卿から訊かれるものの、何も答えない。

オスカー・ワイルドマイケル・カルキン)の舞台を観劇していたガートルードは、運河計画の考えを変えたことを話すロバートに、ローラと関係を尋ね、答えようとしない彼に、恥ずべき秘密があるかを問う。

自分が知らないことは一つもないと言われたガートルードは、ロバートに信じていたと伝える。

ローラに手紙を書くことをガートルードから提案されたロバートは、直接会おうとするものの、それを制止される。

ホテルに戻りアーサーと話していたローラは、ロバートからの手紙を受け取り、アーサーは昔の話をするのを嫌がる。

ガートルードと愛し合った後、外出したロバートは、その場にいたアーサーと話しながら、アンハイム男爵(ジェローン・クラッベ)に情報を流し、大金を儲けさせたことを思い出す。

アンハイム男爵から11万ポンドを受け取ったことをアーサーに話したロバートは、金額が低いと言われるものの、そのおかげで議会に入ることができて満足していると伝える。

妻に隠し事はするなとロバートに忠告したアーサーは、この件をガートルードに話してほしいと頼まれる。

それを引き受けたアーサーは、翌日ガートルードに会い、例え話として、公人が自分の立場を危うくするような手紙を書いたとした場合の話をする。

遠回な話しかできないアーサーは、何かあった場合は自分の所に来れば力になるとしかガートルードに言えなかった。

ガートルードは、珍しく真剣なアーサーの態度に感心し、そこに現れたメイベルは、いつもと違う彼をからかう。

ローラからの返事を受け取ったロバートは、失望している内容を確認して、彼女がガートルードに会いに行くことを知り焦る。

マークビー夫人と共にチルターン邸を訪れたローラは、夫人が帰った後で、ガートルードから、二度とこの家に来ないでほしいこととロバートには会わないようにと言われる。

学生時代から自分を嫌っていたガートルードに、ロバートは自分の手中にあるため従わせるkととを要求したローラは、追い出されそうになる。

そこに現れたロバートは、何で手に入れた財産で買った屋敷であり、政府の機密情報を売った話を聞くようにと言いながら近づくローラを見つめる。

ガートルードから問い詰められたロバートは動揺し、ローラを追い出そうとするものの、最悪の事態はこれからで、期限は今夜の10時半だと言われる。

去ったローラが話したことが真実なのか訊かれたロバートは、ガートルードに謝罪することしかできず、屋敷から出て行くようにと言われてそれに従う。

その夜、訪ねて来た父キャヴァーシャム卿に対応していたアーサーは、現れたロバートから、例の話をガートルードに知られてしまったと言われる。

そこにガートルードからのメッセージが届き、訪ねたいという内容だったために、アーサーは、執事のフィリップ(ピーター・ヴォーン)に、訪ねて来た婦人を客間に通すようにと伝えて父と話す。

現れたローラを迎えたフィリップは、アーサーに言われた婦人が彼女だと思い客間に案内する。

フィリップから、アーサーが自分を待っていたと言われたローラは不思議に思いながら、その場にあったガートルードからのメッセージに気づく。

そこにガートルードが訪ねてきたため、対応したフィリップは、他の客には留守だと言うようアーサーから指示されていたため、そのように彼女に伝える。

メッセージを届けていたガートルードは、戸惑いながらその場を去る。

例によって結婚について説教されたアーサーは父を見送り、婦人が客間で待っていることをフィリップに確認して、待たせていたロバートと話す。

ロバートのガートルードへの愛を確認したアーサーは、それを隣の部屋にいるはずの彼女に聞かせるためにドアを少し開ける。

ガートルードの愛も変わらないと言うアーサーは、過去を悔いる気持ちが彼女に理解してもらえるはずだと伝える。

10時半に運河計画の討議が始まるため、決心をしたと言うロバートは、隣の部屋の物音に気づき、それを確かめようとする。

確かに人はいると言われたロバートは、その場にローラがいたために驚く。

二人を見ていないアーサーは、そこにいるのがガートルードだと思いながら、この件については彼女は潔白だとロバートに伝える。

ローラをずる賢くて不誠実な女だと言うロバートは、裏切ったアーサーを批判する。

戸惑うアーサーは、その場にローラがいたために驚き、ロバートから説明を求められても答えられない。

ローラから、3週間、婚約していた関係だったと言われたアーサーは、友情を踏みにじる最低の行為だとロバートから批判される。

ロバートはその場を去り、アーサーは、自分と結婚する朝に、例の”手紙”を渡すとローラから言われる。

愛は与えるものであり、互いにその力がないと言いながらローラに迫るアーサーは、手紙を奪うことができず、一人の男性を破滅させようとする強請りに愛は感じないと伝える。

展覧会でメイベルに会ったガートルードは、彼女がアーサーと一緒でないことを知り、ロバートのことを話す。

ロバートが運河計画についての自説を通したら手紙は渡すとアーサーに伝えたローラは、そうならなかった場合は結婚すると言われる。

メイベルから、一緒に下院に行ってほしいと言われたガートルードは、それに同意する。

その場に着いたアーサーは、メイベルがいないために下院に向かい、父キャヴァーシャム卿の隣の席に座る。

ガートルードとメイベル、そしてローラもその場で行われる討議を見守る。

発言したロバートガ、自分の考えが間違っていたことを認めて、運河計画を称賛したためにアーサーは動揺する。

しかい、ロバートは、得をするのは不正な投資家であり、運河計画自体は成功の見込みがないあくどい詐欺だと断言し、国の精神を危ういものにすることだと伝える。

過去の誤りがあっても、汚名返上の機会さえあれば未来を見据えて踏み出せると、ガートルードを見つめながら発言したロバートは、各議員から称賛される。

ローラから手紙を受け取ったアーサーは、ロバートからは話すことはないと言われる。

破滅を覚悟したロバートは、自分達は終わりだとガートルードに伝える。

その様子を見ていたローラは、”すぐに伺います”というガートルードのメッセージが、ロバートの元に明朝、届くことをアーサーに伝える。

ローラから話しかけられたガートルードは、素晴らしい夫を離さないようにと言われ、自分達、二人の問題ではないのかと尋ねるものの、何の答えも得られない。

メッセージのことでガートルードと話そうとしたアーサーは、今はだめだと言われる。

メイベルから結婚を祝うと言われたアーサーは、相手がローラだと思う彼女に、自分が見たもので気に入ったものはまだないと伝える。

美しさが見えなければ何も見えないのと同じだとアーサーに伝えたメイベルは、何も言うことがないと答える彼を見限る。

マークビー夫人に別れを告げるローラは、ロンドンが寂しくなると言われるものの、すぐに面白いことが始まると伝えてその場を去る。

ロバートは、ガートルードがアーサーに会うために送ったメッセージを確認する。

ローラから受け取った手紙をアーサーがガートルードに渡したため、メイベルの誤解は解ける。

手紙の内容を確認したガートルードは、ロバートと自分を救ってくれたと言ってアーサーに感謝する。

まだ問題があると伝えたアーサーはメッセージの件を話し、疑いを解くために正直にロバートに話すべきだとガートルードに伝える。

それはできないと伝えてアーサーに寄り添うガートルードだったが、そこにロバートが現れる。

ガートルードと親しげに話すアーサーにメッセージを渡したロバートは、それが自分宛だったと言われる。

宛名は自分だと言われたアーサーは、ロバートが屋敷に来ると思っていたと伝える。

その通りだと言うメイベルは、自分が届けたと伝え、アーサーと展覧会に行く予定だったたのだが、彼が現れなかったために、今朝、ロバートの元に届けたと話す。

メッセージの内容が真実か確かめたロバートは、なぜ直接、愛していると言わないのかをガートルードに問う。

愛しているからと言って抱きつくガートルードを信じたロバートは、どんな罰や辱めも受けると彼女に伝える。

何位でも立ち向かえると言うロバートに、辱めを受けることはないと伝えたガートルードは、アーサーから例の手紙を渡されて驚き喜ぶ夫の姿を見て安心する。

ロバートから感謝されたアーサーはメイベルと話し、プロポーズするのかと訊かれて、そうだと答える。

シュロの木の下で待っていると言われたアーサーは、その場に現れた父キャヴァーシャム卿から、ロバートに吉報があると言えわれる。

キャヴァーシャム卿から入閣を知らされたロバートは、それを辞退して政界から引退することを伝える。

驚くキャヴァーシャム卿から、ロバートを説得してほしいと言われたガートルードは、夫の決断を支持すると伝え、彼を誇りに思い尊敬する。

正気ではないと言いながら首相の元に向かおうとした父に、アーサーは、シュロの木の下で話してほしい人がいると伝える。

ガートルードと話したアーサーは、愛を失いたくなかったロバートが考えたことであり、既に十分に罰せられたので彼を辞めさせてはいけないと伝えてシュロの木の下に向かう。

メイベルと話していた父が望み薄だと言いながら去った後、アーサーは彼女の前に跪く。

プロポーズされたメイベルは、時間が必要だと考えて去ろうするアーサーに、承諾すべき理由を教えてほしいと言われる。

アーサーは、気持ちが分かっただけで十分だと言うガートルードが、ロバートから受け取った手紙を破る姿を見つめる。

二人が許し合い愛を確かめる様子を見ながらメイベルに愛を伝えたアーサーは、彼女も愛していてくれたことを知りキスする。

二組のカップルがキスする姿を見たキャヴァーシャム卿は、この屋敷はどうなっているのかと呟く。

入閣を受け入れたため、いつかは首相になれるとキャヴァーシャム卿から励まされたロバートは、アーサーから、メイベルの後見人として結婚の承諾を求められる。

それを認めないロバートから、ローラと婚約していたと言われたアーサーは、何も意見できない。

ガートルードは、昨夜、アーサーもローラを見て驚いたのだとロバートに伝え、彼が待っていいたのは別の女性だと話す。

ロバート宛だと言ったメッセージは自分がアーサー宛に書いたもので、嘘をついてしまったと伝えたガートルードは、心の重荷が下りる。

その後、アーサーとメイベルの結婚式は行われ、キャヴァーシャム卿は、理想の夫にならなければ相続させないと伝える。

そうは考えないメイベルは、アーサーが望むままでいいとキャヴァーシャム卿に伝える。

自分にふさわしい妻と結婚した男は、不幸せなだけだと父に伝えたアーサーは、薄情だと言われるものの、それを否定してメイベルにキスする。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
1895年、ロンドン
国会議員のロバート・チルターンの妻ガートルードは、ウィーンから一時帰国した学友ローラに再会する。
ロバートと話したローラは、現在の地位と財力を築いた過去の秘密を知っていると伝えて、投資したアルゼンチン運河計画の推進を求める。
議会では、詐欺に等しいその計画に反対する立場だったロバートはそれを拒むが、ローラから、証拠である手紙があると言われてる。
妹メイベルとの結婚に踏み切れず独身生活を謳歌している友人である貴族のアーサーにこの件を相談したロバートは、ガートルードにうまく話してほいと言って頼む。
男達を手玉に取るローラは、ガートルードとロバートに脅しとも言える圧力をかけ、アーサーも利用して自分の考えを押し通そうとするのだが・・・。
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オスカー・ワイルドの戯曲”理想の夫”を基に、脚本を兼ねるオリヴァー・パーカーの演出、豪華スター競演で描くロマンチック・コメディ。

原作となる戯曲が発表された1895年のロンドンの社交界が舞台の内容であり、主人公らが観劇する場面で、マイケル・カルキン演ずる原作者のオスカー・ワイルドも登場する。

有力政治家の弱みを握り利権を手に入れようとする、社交界の華でもある婦人の強かな行動に翻弄される姿が描かれた作品なのだが、イギリス映画独特の皮肉やユーモアを交えた展開で進行し、ラストは爽やかなムードで終わる快作に仕上がっている。

政治家や貴族を手玉に取る社交界の華ジュリアン・ムーアの変幻自在の演技と、独身生活から抜け出せない貴族を飄々と演ずるルパート・エヴェレットの演技が見どころの作品であり、二人は共に、ゴールデングローブ賞で主演賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。

当時を再現するセットや衣装も見事であり、チャーリー・モールの優雅で粋な音楽も印象に残る。

過去を暴かれ窮地に立つ国会議員の夫ジェレミー・ノーサムを支える妻を演じ、ファーストクレジットではあるものの、やや控えめな役柄のケイト・ブランシェット、なかなか求婚しないアーサー(ミニー・ドライヴァー)にしびれを切らすものの最後には結ばれるロバート(ジェレミー・ノーサム)の妹ミニー・ドライヴァー、アーサーの父ジョン・ウッド、執事ピーター・ヴォーン、新聞社社主のサイモン・ラッセル・ビール、ローラ(ジュリアン・ムーア)の友人リンジー・ダンカン、かつてロバートを利用して財を築いた男爵ジェローン・クラッベ、他ナンシー・キャロルなどが共演している。


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