悪と神の道を別々に歩んだ友人同士の絆を描く、監督マイケル・カーティス、主演ジェームズ・キャグニー、パット・オブライエン、ハンフリー・ボガート、アン・シェリダン、ジョージ・バンクロフト他共演の犯罪ドラマ。 |
・ハンフリー・ボガート / Humphrey Bogart / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・カーティス
製作:サミュエル・ビショフ
原作:”Angels with Dirty Faces by”ローランド・ブラウン
脚本
ジョン・ウェクスリー
ウォーレン・ダフ
撮影:ソル・ポリト
編集:オーウェン・マークス
音楽:マックス・スタイナー
出演
ウィリアム”ロッキー”サリヴァン:ジェームズ・キャグニー
ジェリー・コノリー神父:パット・オブライエン
ジム・フレイジャー:ハンフリー・ボガート
ローリー・マーティン:アン・シェリダン
マック・キーファー:ジョージ・バンクロフト
ソーピー:ビリー・ハロップ(デッドエンド・キッズ)
スウィング:ボビー・ジョーダン(デッドエンド・キッズ)
ビム:レオ・ゴーシー(デッドエンド・キッズ)
ペイスティ:ガブリエル・デル(デッドエンド・キッズ)
クラブ:ハンツ・ホール(デッドエンド・キッズ)
ハンキー:バーナード・パンズリー(デッドエンド・キッズ)
マクマン巡査:エモリー・パーネル
ブラッキー:エイドリアン・モリス
アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1938年製作 97分
公開
北米:1938年11月26日
日本:1939年11月16日
■ アカデミー賞 ■
第11回アカデミー賞
・ノミネート
監督
主演男優(ジェームズ・キャグニー)
原案賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1920年。
少年ウィリアム”ロッキー”サリヴァンは、不良仲間で親友のジェリー・コノリーと共に、クラスメイトのローリー・マーティンをからかう。
気の強いローリーは、その場を去るロッキーに必ず仕返しすると伝える。
その後、貨物列車から万年筆を盗んだロッキーとジェリーは、警官に見つかり逃亡する。
ジェリーは逃げられるものの捕まったロッキーは、少年鑑別所に入れられる。
面会に来たジェリーは、ロッキーのことを心配して自首しようとするものの、自分より早く走れただけなので気にすることはない、今後はヘマをするなと言われただけだった。
その後も悪事を繰り返し、刑期を務めたロッキーは成長する。
犯罪を犯すロッキー(ジェームズ・キャグニー)は裏社会の顔となり、爆破強盗での服役中には、仲間の弁護士ジム・フレージャー(ハンフリー・ボガート)に10万ドルのことは任せる。
釈放されたロッキーは街に戻って教会に向かい、神父になったジェリー(パット・オブライエン)と15年ぶりに再会する。
昔を懐かしく思い話をしたロッキーは、子供の不良化問題を考えるジェリーから、下宿を紹介される。
部屋に案内してくれた女性(アン・シェリダン)から、見覚えがあると言われたロッキーは、ジェリーの紹介だと伝える。 相手がロッキーであることに気づいたローリーは、15年前の仕返しをしてその場を去る。 ロッキーは、そんなローリーが気に入る。 クラブに向かいフレイジャーに会ったロッキーは、金の件や今後のことなどを話し、街を仕切っているマック・キーファー(ジョージ・バンクロフト)の下で働いていることを知る。 縄張りを仕切らせる約束を守ることをフレイジャーに要求するロッキーは、現れたキーファーを紹介され、仕事の世話をしてもらえることになる。 フレイジャーは、キーファーと共に部屋を出たロッキーを始末するよう、部下のスティーヴに指示する。 不良少年のソーピー(ビリー・ハロップ)、スウィング(ボビー・ジョーダン)、ビム(レオ・ゴーシー)は、身なりのいいロッキーに目をつけて財布を盗む。 財布がないことに気づいたロッキーは、かつてジェリーらとたむろしていた場所に向かう。 ペイスティ(ガブリエル・デル)、クラブ(ハンツ・ホール)、ハンキー(バーナード・パンズリー)ら仲間がいる隠れ家に戻ったソーピーらは、財布の中の大金を見せる。 その場に現れたロッキーは銃を持っていることを装い、リーダーのソーピーを脅して金を取り戻す。 壁に刻まれたイニシャルを見せられ、相手がロッキー・サリヴァンだったことを知ったソーピーらは驚く。 英雄的存在のロッキーに財布を返したソーピーは、仲間たちを紹介する。 ロッキーは、ソーピーらに金を渡して食べ物を買いに行かせ、彼らを部屋に連れて行き教育しようとする。 そこにジェリーが現れ、ロッキーは、彼も不良仲間だったことを少年たちに教える。 顔なじみのジェリーから、バスケットボールの試合だと言われた少年たちは、それに興味を示さないものの、ロッキーと賭けをして体育館に向かう。 ロッキーを監視しているスティーヴからの報告を受けたフレイジャーは、殺し屋を向かわせることを伝える。 少年たちとジェリーと共に体育館に向かったロッキーは、その場にいたローリーに話しかけるものの相手にされない。 ジェリーが審判をする試合は始まるが、ソーピーらはルールを守ろうとしない。 見かねたロッキーが審判を代わり、まともな試合になる。 その様子を見ていたジェリーは、ローリーからロッキーの危険性を指摘されるものの、心配していなかった。 再び反則を繰り返すソーピーらを注意しルールに従わせたロッキーは、試合には負けたものの、次は勝ちたいと考える少年たちのことをジェリーに任せる。 ジェリーは、反則しないことを条件に試合を組むことを約束する。 ローリーと下宿に帰るロッキーは、彼女の夫がチンピラに絡まれて、4年前に殺されたことを知る。 尾行に気づいたロッキーは、下宿の前の男たちを警戒し、ローリーを別の建物に向かわせる。 ロッキーがドラッグストアに入ったため、殺し屋のブラッキー(エイドリアン・モリス)は、邪魔者を追い払うようスティーヴに指示して店に向かわせる。 ブラッキーは、ロッキーを電話ボックスに誘き出して殺しよう手下に指示し、電話をかけさせる。 電話を受けたロッキーは罠だと気づき、スティーヴに銃を向けて電話ボックに入れる。 ブラッキーは射殺され、騒ぎになった隙にロッキーは逃げる。 警察が駆け付け、店に向かったローリーは、殺されたのがロッキーでないことを確認する。 ブラッキーからロッキーを始末したという報告を受けたフレイジャーは、アパートに向かう。 駐車場でフレイジャーを待ち伏せしたロッキーは、彼に銃を向けて部屋に向かい、10万ドルを要求する。 2000ドルしかないと言われたロッキーは、各銀行の預金額などを確認し、帳簿や買収した者のリストなどを奪い、フレイジャーにキーファーに電話するよう指示する。 キーファーと話したロッキーはフレイジャーと電話を代わり、翌朝10万ドルを用意することを伝えるよう指示する。 翌日、フレイジャーを人質にとったロッキーはキーファーに会い、金を受け取りその場を去る。 フレイジャーを見捨てるわけにはいかないキーファーは、ロッキーに手を出さなかったが、息のかかったバック警部に電話をする。 ロッキーが弁護士を誘拐したことを伝えバックに伝えたキーファーは、警察を利用して方をつけさせようとする。 下宿に戻ったロッキーは警官が来たことに気づき、ソーピーに現金などを預けて隠れ家に向かわせる。 現われた警官に部屋を調べられるものの、何も見つからなかったロッキーは、取り調べのために連行され、誘拐の件は白を切る。 戻ったフレイジャーは、キーファーからロッキーを警察に引き渡したことを知らされ、悪事が暴かれる証拠となる情報も奪われたと言って、余計なことをした彼を非難する。 焦るキーファーはバック警部に連絡して勘違いだったと伝え、ロッキーを釈放させる。 誘拐事件は新聞記事となって報道され、隠れ家に現れたロッキーは、預けたものを守ったソーピーに大金を渡し、皆で分けるようにと伝える。 下宿に戻ったロッキーは残りの金をベッドに隠し、現れたジェリーと記事のことなどを話す。 ソーピーたちが、試合がある体育館に現れないことをロッキーに伝えたジェリーは、何も問題ないと言われるものの、札束の帯が落ちていることに気づく。 ロッキーの様子を見に来たローリーから、ソーピーたちがプールバーにいることを知らされたジェリーは、彼らが手に入れた金のことを考えながらその場に向かう。 派手に金を使うソーピーに、どこで稼いだか尋ねたジェリーは、いつかは刑務所行きになると言って、皆を体育館に連れて行こうとする。 誰も行く気がないために諦めたジェリーは、その場を去る。 その後ロッキーは、心通わせるようになったローリーを誘いクラブに向かう。 キーファーとフレイジャーに会い話をしたロッキーは、奪った情報は保険にすると言って、分け前を要求して納得させる。 ローリーとダンスをしたロッキーは、今の仕事は辞めてここでは働けば、週に100ドル払うことを伝える。 その後、教会に1万ドルの寄付金が届けられ、札束の帯に見覚えがあったため、ジェリーはロッキーの金だと考える。 それをロッキーに返したジェリーは、知らない金だと言われるものの、それを認めた彼に、汚れた金は使えないと伝える。 金持ちのギャングに憧れ崇拝する子供たちに悪影響を与えると言うジェリーは、誘拐事件の真相を暴く考えをロッキーに伝える。 自分に遠慮はいらないと言うロッキーに、子供たちに金を渡し崇拝させるのはやめてほしいと伝えたジェリーは、現金を置いてその場を去る。 各新聞社を尋ねて協力を求めたジェリーは、支援者を見つけて裏社会の実情を暴こうとする。 それがきっかけとなり、他社もフレイジャーらの取材を始める。 ロッキーを愛するローリーはジェリーの行動を批判するものの、6歳の時から一緒に育ち共に悪事をした彼のためなら何でもすると言われ、子供たちを彼のようにしたくないという考えを聞き納得する。 市政の汚職に関する聴聞会が開かれることになり、ジェリーは、悪徳政治家と悪人を社会から排除する必要があることをラジオで訴える。 警察がロッキーを突然、釈放し、キーファーが彼に10万ドルを払った理由を追及するジェリーは、その回答を求める考えを話す。 それを聴いていたロッキーは、ジェリーを殺そうとするキーファーに、手を出すなと警告してその場を去ろうとする。 部屋から出たように見せかけたロッキーは、ジェリーを捕らえ書類を取り戻す考えを、フレイジャーがキーファーに伝える話を聞く。 キーファーとフレイジャーを殺したロッキーはその場から逃れ、追っ手を何人か射殺し、駆け付けた警官に催涙弾を投げ込まれる。 説得に来たジェリーから、自首する以外は助かる道はないと言われたロッキーは、彼に銃を向けて外に出る。 ジェリーを殴ったロッキーは逃亡するものの、警官に追われて捕らえられる。 ロッキーの拳銃には、弾が入っていなかった。 その後、起訴されたロッキーは有罪となり、死刑が確定する。 ロッキーの行動を見守るソーピーらは、英雄らしく死ぬと言う彼の考えを信じる。 電気椅子での処刑が近づき、面会に来たジェリーと話したロッキーは、子供たちのためを思うなら、最期の瞬間に泣きわめき、臆病者になってほしいと言われるものの納得できない。 子供たちにとっては英雄であるため、軽蔑させたいと言われたロッキーは、臆病者になり誇りを捨てることはできないとジェリーに伝える。 時間となり、処刑場に向かうロッキーは、付き添うジェリーに再び頼まれるものの、それを拒む。 ジェリーに別れを告げて電気椅子に向かったロッキーは、命乞いをして抵抗する。 祈りを捧げていたジェリーは天を仰ぎ、処刑されたロッキーのことを想い涙する。 臆病者の最後という記事を読むものの、それを信じないソーピーらは、現われたジェリーに真実を尋ねる。 記事の通り臆病者だったと答えたジェリーは、自分より早く走れなかった少年のために祈ろうと言って、少年たちを連れて教会に向かう。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
少年時代から悪事を繰り返し長い刑期を過ごしたウィリアム”ロッキー”サリヴァンは、かつて不良仲間だった幼馴染で神父になったジェリーと再会する。
少年の不良化問題を考えるジェリーは、自分が面倒を見るソーピーら不良少年の教育に、ロッキーが手を貸してくれることを嬉しく思う。
弁護士のフレイジャーに10万ドルを預けたあったロッキーは、彼に会ってそれを要求し、ギャングの大物キーファーを紹介される。
ビジネスを拡大していたフレイジャーは、邪魔者となったロッキーを始末しようと考えるのだが・・・。
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犯罪者と神の道を別々に歩んだ、友人同士の絆を描く犯罪ドラマ。
単なる悪党が成り上がる物語ではなく、富を握る犯罪者を崇拝する少年たちに正しい道を歩ませようと考え困難に立ち向かう神父と、悪事の限りを尽くす人生を送る幼馴染との友情と絆を描く深い内容に仕上がっている。
裏社会のすべてを知り尽くす雰囲気の主人公のジェームズ・キャグニーが、かつての自分たちを思い出し面倒を見る少年たちとの絡みが実に興味深く描かれている。
少年たちを演ずるのは、ニューヨーク出身の若手俳優グループ”デッドエンド・キッズ”であり、生き生きとした演技が印象に残る。
上記のように、社会問題をテーマにした重厚な内容に加え、マイケル・カーティスのシャープな演出は冴え渡り、強烈な個性でスクリーンを占領する、主人公を演ずるジェームズ・キャグニーの魅力を満喫できる、見応えある作品。
ジェームズ・キャグニーとは同い年であり共演作も多い、私生活でも親友同士のパット・オブライエンは、誰よりも主人公を知る幼馴染として、少年の不良化問題に取り組む実直な紳士を見事に演じている。
第11回アカデミー賞では、監督、主演男優(ジェームズ・キャグニー)、原案賞にノミネートされた。
今後、ハリウッドを代表する大スターとなるハンフリー・ボガートが、主人公を騙す弁護士として登場し、それなりにインパクトはあるが、本作では、流石の彼もジェームズ・キャグニーの個性に圧倒され、単なる”共演者”にしか見えないところも注目だ。
子供時代には反発し合うものの、主人公と愛し合うようになるアン・シェリダン、ギャングの大物ジョージ・バンクロフト、主人公が面倒を見る不良少年グループのビリー・ハロップ、ボビー・ジョーダン、レオ・ゴーシー、、ガブリエル・デル、ハンツ・ホール、バーナード・パンズリー(以上”デッドエンド・キッズ”)、巡査のエモリー・パーネル、主人公の命を狙う殺し屋エイドリアン・モリスなどが共演している。