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拳銃無宿 Angel and the Badman (1947)

その名を恐れられたガンマンがクエーカー教徒の一家に命を救われたことをきっかけにして銃を捨てる人生を選ぶまでを描く、監督、脚本ジェームズ・エドワード・グラント、製作、主演ジョン・ウェインゲイル・ラッセルハリー・ケリーブルース・キャボット他共演の西部劇。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


西部劇

ジョン・ウェイン / John Wayne 作品一覧
ジョン・ウェイン / John Wayne/Pinterest


スタッフ キャスト
監督:ジェームズ・エドワード・グラント
製作:ジョン・ウェイン
脚本:ジェームズ・エドワード・グラント
撮影:アーチー・J・スタウト
編集:ハリー・ケラー
音楽:リチャード・ヘイグマン

出演
クワート・エヴァス:ジョン・ウェイン
ペネロープ・ワース:ゲイル・ラッセル
ウィストフル・マクリントック連邦保安官:ハリー・ケリー
ラレド・スティーヴンス:ブルース・キャボット
ワース夫人:アイリーン・リッチ
ランディ・マッコール:リー・ディクソン
マングラム医師:トム・パワーズ
フレデリック・カーソン:ポール・ハースト
ブラッドリー:オーリン・ハウランド
トーマス・ワース:ジョン・ハロラン
ジョニー・ワース:スティーヴン・グラント
ライラ・ニール:ジョーン・バートン
ワード・ウィザーズ:クレイグ・ウッズ
ネルソン:マーシャル・リード
マウス・マー:ポール・フィックス
町の住人:ハンク・ウォーデン
ホンドー・ジェフリーズ:ルイ・ファウスト
ダンスホールの女主人:シモーナ・ボニフェイス

アメリカ 映画
配給 リパブリック・ピクチャーズ
1947年製作 100分
公開
北米:1947年2月15日
日本:1949年9月6日


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
ガンマンとして恐れられるクワート・エヴァス(ジョン・ウェイン)は、相手を銃撃して逃げる。

娘のペネロープ(ゲイル・ラッセル)と共に馬車で出掛けようとしていたクエーカー教徒の農夫トーマス・ワース(ジョン・ハロラン)は、落馬したクワートを助けようとする。

トーマスに銃を向けて馬を返せと伝えたクワートは、馬は限界であり、怪我をしているので家まで送ると言われる。

先に電報を打ちたいとトーマスに伝えたクワートは、馬車を近づけたペネロープと目を合わせる。

三人で町に向かったクワートは、電報局のブラッドリー(オーリン・ハウランド)から、終りだと言われて断られるものの、それを無視して電文をペネロープに代筆してもらう。
...全てを見る(結末あり)

土地登記所宛の電文は、クワートが三区画の登記を申請する内容だった。

クワートの名前を聞いたブラッドリーは驚いて態度を一変し、直ぐに電報を打つ。

傷を負い疲労困憊のクワートは、意識を失いながらペネロープを抱き寄せてキスしてしまう。

クワートに惹かれたペネロープは、ブラッドリーから、彼が何人も殺した有名なガンマンだということを知らされる。

トーマスと共にクワートを馬車に運んだブラッドリーは、人助けはやめて、この男とは関わらない方がいいとペネロープに忠告する。

三人を見送ったブラッドリーは、通りがかった住人(ハンク・ウォーデン)にクワートのことを話し、知り合いだと言って自慢する。

クワートを家に連れて行きマングラム医師(トム・パワーズ)に診せたトーマスは、うなされてじっとしていないために弾が摘出できないと言われる。

マングラムから、クワートが何かを探していると言われたトーマスは、それが拳銃だと気づく。

食事の支度をしている妻(アイリーン・リッチ)からクワートのことを訊かれ、錯乱していると答えたトーマスは、彼の銃の弾を抜き2階に持って行く。

トーマスが銃を握らせるとクワートは大人しくなり、マングラムは治療を始める。

ペネロープから、トーマスとの出会いのことを訊かれたワース夫人は、彼女がクワートに惹かれたことに気づく。

治療を終えて帰ろうとするマングラムは、クワートを追い出した方がいいと夫人に伝える。

うわ言を言いながら眠り続けるクワートの様子を見ていたペネロープは、彼が”ライラ”の他に何人もの女性と付き合っていたことなどを知る。

翌日、クワートが回復したことを確認したマングラムは、ワース夫人に再び忠告するが、思いやりの気持ちを忘れると酷い人生になると言われて諦める。

目覚めたクワートは人の気配を感じ、ペネロープに銃を向けてしまう。

クワートにここにいる理由などを話したペネロープは、母を呼び、食事の用意をしてもらう。

うわ言で女性のことを話していたとクワートに伝えたペネロープは、彼に妻はいないことを確認する。

食事をしたクワートは、クエーカー教徒のペネロープらが、他人からは傷けられないと信じていることを知る。

クワートを捜すラレド・スティーヴンス(ブルース・キャボット)は、友達だと皆に言い回っているブラッドリーを脅して痛めつけ、居場所を聞き出そうとする。

ベッドから起き上がれるようになったクワートは、ペネロープの弟ジョニー(スティーヴン・グラント)から、ラレドが自分を捜していることを知らされる。

惹かれ合うようになったクワートとペネロープは、一緒に旅に出る約束をする。

銃の弾が抜かれていることに気づいたクワートは、ラレドらが来たために焦り、仕方なくそのままの状況で彼らに会おうとする。

空の銃を手にしてラレドらを家に入れたクワートは、土地を横取りしたことについて話して売ってほしいと伝える。

金貨5000ドルを受け取ったクワートは、ラレドに2万ドルを要求し、残りは貸しということで合意して証書にサインする。

ラレドらはその場を去り、旅立つことにしたクワートは、遠慮するトーマスに金貨を渡し、世話になったのが3週間だったことを確認する。

去ろうとするクワートだったが、ペネロープに説得されて留まることにする。

翌日から仕事を手伝ったクワートは、隣接する農場主フレデリック・カーソン(ポール・ハースト)が、用水路の水を止めていることを知る。

ペネロープらがカーソンのためにも祈っっていることを知ったクワートは呆れてしまい、彼の農場に向かう。

現われたクワートを追い払おうとしたカーソンだったが、名前を聞いて驚き、彼の指示に従い用水路に水を流す。

突然、態度を変えたカーソンは、クワートと共にワース家に向かうことになる。

水が流れてきたためにジョニーは驚き、母とペネロープにそれを知らせて、トーマスも喜ぶ。

ワース夫妻に挨拶したカーソンは改心したと伝え、首のできものを気にする夫人から、手当てすると言われる。

ペネロープは、クワートが銃で脅さなかったことを知る。

首の手当てをしてもらいパイなどももらったカーソンは、ワース夫妻に感謝して、近所付き合いはいいものだと思う。

気分がいいとまで言って去るカーソンを見送るクワートは、不思議な気持ちになる。

その後、出掛けるペネロープから一緒に来てほしいと言われたクワートは、馬車の用意をする。

そこに連邦保安官のウィストフル・マクリントック(ハリー・ケリー)が現れ、ペネロープにクワートのことを尋ねる。

クワートがいることを確認したマクリントックは、彼が3週間前に現れ、その間に2日ほど留守にしなかったことを知る。

現われたクワートは、長身のガンマンが殺人を犯し、容姿が自分とそっくりだという情報が入ったと話すマクリントックから、ペネロープの話を信じると言われる。

ラレドとの対決のことを尋ねたマクリントックは、仲良くやっていると言うクワートに、生き残った者を吊るすと伝える。

名の知れたガンマンが農夫になり、再び無法者になったクワートの考えが理解できないマクリントックは、いずれ必ず肩をつけると伝える。

クワートには未来がないので惚れてはいけないとペネロープに伝えたマクリントックは、その場を去る。

ペネロープから、ラレドには近づかないようにと言われたクワートは、自分の方が早撃ちだと伝えるものの、彼女の考えに従う。

一家と共に馬車で出掛けたクワートは、かつての仲間ランディ・マッコール(リー・ディクソン)とすれ違ったために顔を隠す。

馬車の男がクワートだということを確認したランディは、ワース夫人に集会に誘われる。

クエーカーの集会に行くことを知ったクワートは驚き、ランディと別れて先を急ぐ。

集会場で、ペネロープに声をかける蹄鉄士のネルソン(マーシャル・リード)が気になるクワートは、彼女と水を汲みに行く。

現われたランディから、ラレドが計画する牛泥棒のことを知らされたクワートは、それの横取りに誘われるものの断る。

クワートがペネロープに惹かれていることに気づいたランディは、彼と共に集会に参加する。

牛泥棒のことを諦めないランディの話を聞いていたクワートは、聖書を渡してくれたトーマスから、カーソンの件で感謝される。

戸惑うクワートは、ペネロープに寄り添っていたネルソンと話し、彼女と結婚するようにと指示する。

聖書が気に入ったランディにそれを譲ったクワートは、彼と共にその場を去る。

牛の群れを襲ったラレドらだったが、クワートらに横取りされる。

町に向かったクワートは、酒場の歌手ライラ・ニール(ジョーン・バートン)との時間を楽しむことができない。

男たちに因縁をつけられクワートは喧嘩になり、ランディが加勢し大乱闘になる。

その後、ランディと共にライラとクリスティーンの部屋に向かったクワートは、彼女に聖書のことをからかわれたために苛立ち、その場を去る。

現われたクワートに、戻った理由を尋ねたペネロープは、辛い思いを伝えて、黙って去った彼を責める。

自分が去る時は君も一緒だと伝えて、ペネロープを抱きしめてキスしたクワートは、その場にマクリントックがいることに気づく。

クワートが何日か留守にしたかをペネロープに尋ねたマクリントックは、数日前に牛の群れが襲われ盗まれたことを伝える。

マクリントックは、馬を見ればわかると言うクワートに、長旅で疲れ切っているようだと伝える。

現場には行っていないと話すクワートから、ランディが証人だと言われたマクリントックは、その他はクリスティーンとライラだろうと伝える。

一応、納得したマクリントックは、必ず吊るすとクワートに伝えてその場を去る。

クワートがうわ言で名前を呼んでいたライラのことを気にするペネロープだったが、何も言わない彼に抱きしめられキスされる。

数日後、再び現れたマクリントックから、ペネロープに相応しい相手の話をされたクワートは考え込む。

ペネロープのベリー摘みに付き合い、拳銃を持参しようとしたクワートは、彼女の表情を見て銃を置き、馬車に乗って出発する。

ベリーや花を摘みながら先住民に殺された両親の話をしたクワートは、養父も殺され、様々な場所を転々としたとペネロープに伝えて彼女を抱き寄せる。

帰り道にラレドらに襲われたクワートは、追ってくる彼らから逃れようとして、崖から川に転落してしまう。

ペネロープを助けて身を潜めたクワートは、彼女を連れて家に戻る。

ペネロープを診たマングラムから、意識が戻るのを待つしかないと言われたクワートは、銃を手にして町に向かおうとする。

マングラムから、人を殺せばペネロープが傷つくと言われたクワートだったが、それを無視してその場を去る。

その直後に意識が回復したペネロープは、母の制止も聞かずにクワートを追おうとする。

マングラムはペネロープの熱が下がっていたために驚き、娘の望み通りにしてあげたいトーマスは、毛布を用意させる。

町に着いたクワートはブラッドリーを呼び寄せ、酒場にいるラレドとホンドーに伝言を伝えるよう指示する。

現われたブラッドリーから、クワートが待っていると言われたラレドとホンドーは驚き、通りに彼がいることを確認する。

マクリントックがいないことを知ったラレドは、ホンドーと共にクワートと対決しようとする。

酒場に近づくクワートは、馬車で現れたトーマスに呼び止められ、回復して母に寄り添われたペネロープが乗っていることを知る。

銃をペネロープに渡したクワートは、酒場から出てきたラレドから、彼女から離れ振り向くようにと言われる。

振り向いたクワートは撃たれそうになるが、マクリントックがラレドとホンドーを射殺する。

自分には、ある事件の犯人だった二人を殺す権利があると言うマクリントックは、お前が彼らを殺し、自分がお前を吊るすはずだったとクワートに伝える。

物事はうまくいかないと言うマクリントックは、必ず吊るすとクワートに伝える。

自分は農夫なので人違いだと伝えたクワートは、ペネロープを抱いて馬車に乗りその場を去る。

落ちていた銃を拾ったマクリントックは、ブラッドリーから、クワートの銃だと言われる。

クワートは足を洗ったのでもう必要ないと言うマクリントックは、ロープで壁に吊るすとブラッドリーに伝えて微笑む。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
ガンマンとして恐れられるクワート・エヴァスは、銃弾を受けたまま逃走して倒れ、クエーカー教徒の農夫トーマスに救われる。
クワートに惹かれたトーマスの娘ペネロープは、回復した彼が旅立つのを引き留めて、互いの愛を確かめる。
手に入れた土地のことで揉めている悪党のラレドに追われていたクワートは、その件を一応は解決させる。
その後クワートは、ペネロープとの生活を選ぶには銃を捨てる必要があるために苦悩する・・・。
_________

ハリウッドのスタートして絶頂期を迎えようとしていたジョン・ウェインが自ら製作して主演し、短編作家及び脚本家として活躍するジェームズ・エドワード・グラントが脚本を兼ねて監督した作品。

誰もが恐れるガンマンとして登場するジョン・ウェインは、命を助けられたクエーカー教徒との親交もあり、冒頭で発砲する以外は、拳銃を手にしても引き金は引かないという珍しい内容の西部劇。

そのため銃撃戦の場面などはほとんどないが、ロマンスの他、迫力満点の酒場の格闘や牛の暴走などはスケール感があり、娯楽作品として十分に楽しめる作品に仕上がっている。

西部劇ファンにはお馴染みの、リチャード・ヘイグマンの音楽も印象的だ。

個人的には、本作公開の7か月後に他界したハリー・ケリーの雰囲気ある演技に注目したい。
ジョン・フォードが、恩人ハリー・ケリーの死を悼んで偲び、翌年に製作した作品が「三人の名付親」(1948)である。
作品の冒頭、ジョン・フォードハリー・ケリーに捧げる言葉が表記され、彼のシルエットが登場する。
”To Harry Carey, Bright Star Of The Early Western Sky.”
(初期の西部劇の空に輝く星、ハリー・ケリーに捧ぐ。)

主演のジョン・ウェインは撮影当時40歳を手前であるが、既に貫禄十分で、その存在感は周囲を圧倒している。
製作も兼ねているので、やりたい放題的ではあるが、それがまた彼のイメージとも言える。

悪党である主人公と愛し合うようになり、クエーカー教徒であるために苦悩する女性を好演するゲイル・ラッセル、主人公を監視する連邦保安官ハリー・ケリー、主人公と敵対する悪党役である、ジョン・ウェインの盟友ブルース・キャボット、ヒロインの母親アイリーン・リッチ、主人公の仲間リー・ディクソン、主人公とヒロインを治療する医師のトム・パワーズ、水源を独り占めにしていたが、主人公とクエーカー教徒一家との出会いで改心する牧場主ポール・ハースト、主人公と友人であるかのように他人に語る電報局の局員オーリン・ハウランド、ヒロインの父親ジョン・ハロラン、その息子スティーヴン・グラント、主人公の愛人である酒場の歌手ジョーン・バートン、ヒロインに惹かれる蹄鉄士のマーシャル・リード、牛の群れの持ち主?(出演シーンはカット?)、ジョン・ウェイン作品の常連である盟友のポール・フィックス、町の住人ハンク・ウォーデン、ダンスホールの女主人シモーナ・ボニフェイス、他クレイグ・ウッズなどが共演している。


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