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巴里のアメリカ人 An American in Paris (1951)

パリへの思いをこめたジョージ・ガーシュウィン作曲の同名曲をメインに、多くの名曲を随所に使いそれまでのミュージカルの常識を覆す斬新なモダン・バレエなどを取り入れたハリウッド映画史上に残るミュージカルの金字塔。
製作アーサー・フリード、監督ヴィンセント・ミネリ、振付、主演ジーン・ケリーレスリー・キャロンオスカー・レヴァントニナ・フォックジョルジュ・ゲタリー共演。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ミュージカル

ジーン・ケリー / Gene Kelly / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:ヴィンセント・ミネリ
製作:アーサー・フリード

脚本:アラン・ジェイ・ラーナー
撮影
アルフレッド・ギルクス

ジョン・アルトン(バレエ)
編集:エイロリアン・フェイザン

美術・装置
セドリック・ギボンズ
E・プレストン・エイムズ
エドウィン・B・ウィリス
F・キーオー・グレーソン
衣装デザイン
オリー=ケリー

ウォルター・プランケット
アイリーン・シャラフ
音楽
ソウル・チャップリン
ジョニー・グリーン

作曲:ジョージ・ガーシュウィン
作詞:アイラ・ガーシュウィン

振付:ジーン・ケリー

出演
ジェリー・マリガン:ジーン・ケリー
リズ・ブーヴィエ:レスリー・キャロン
アダム・クック:オスカー・レヴァント
ミロ・ロバーツ:ニナ・フォック
アンリ・ボーレル:ジョルジュ・ゲタリー
トミー・ボールドウィン:ハイデン・ローク

アメリカ 映画
配給 MGM
1951年製作 113分
公開
北米:1951年10月4日
日本:1952年5月17日
製作費 $2,723,903
北米興行収入 $4,500,000


アカデミー賞 ■
第24回アカデミー賞
・受賞
作品・脚本・撮影(カラー)・作曲(ミュージカル)・美術(カラー)・衣装デザイン賞(カラー)
・ノミネート
監督・編集賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
第二次世界大戦後、ヨーロッパに駐留していたアメリカ兵ジェリー・モリガン(ジーン・ケリー)は、画家として成功することを夢見てパリに残り暮らしていた。

安アパートに住むジェリーは、上の階の、リサイタルを開いたこともない売れない、ピアニスト、アダム・クック(オスカー・レヴァント)と親交を深めていた。

アダムの友人アンリ・ボーレル(ジョルジュ・ゲタリー)は、ステージ歌手として大成功している、気立てのよい青年だった。

アンリは、香水店で働く若い恋人リズ・ブーヴィエ(レスリー・キャロン)をアダムに自慢する。

アパートの階下のカフェで、ジェリーはアダムにアンリを紹介され、意気投合する。
...全てを見る(結末あり)

アダムのピアノ伴奏で、アンリと共に歌い踊り、楽しい一時を過ごしたジェリーは仕事に向かう。

いつものように、モンマルトルで自分の絵を広げていたジェリーは、無神経に絵を批評する、苦労知らずの留学生を追い払う。

そこに、アメリカ人富豪婦人ミロ・ロバーツ(ニナ・フォック)が現れ、いきなり、ジェリーの絵の中の2作を100ドルで買おうとする。

持ち合わせがなかったミロは、待たせていた高級車でジェリーをホテルに連れて行く。

ミロはジェリーに支払いを済ませ、夜のパーティーに彼を招待して、運転手にアパートまで車で送らせる。

アパートの近所の子供達は、ジェリーが高級車で帰ってきたのを見て驚く。

そして、子供達の人気者であるジェリーは、彼らに英語を教えながら踊り始める。

その夜、ミロのパーティーに出向いたジェリーは、彼女が自分だけを誘ったことに憤慨し、絵の代金を返して立ち去ろうとする。

ジェリーの作品と才能に惹かれ、彼のことを援助したいことを正直に語ったミロを理解し、ジュエリーは彼女と共にカフェに食事に向かう。

ジェリーはそこで、ある若い女性(リズ)に心を奪われてしまい、ミロはそれを気にする。

新聞社のトミー・ボールドウィン(ハイデン・ローク)と出くわしたミロは、彼から、若い芸術家に入れ込むのを、そろそろ卒業するよう忠告される。

ジェリーはリズを強引にダンスに誘い、迷惑に思われながらも、彼女から勤め先の電話番号を聞きだしてしまう。

ミロはジェリーの行動に気分を害し、店を出て夢み心地の彼と仲違いしてしまう。

翌日、早速リズに電話をしたジェリーだったが、彼女に電話を切られて意気消沈する。

そこに、何食わぬ顔でミロが現れ、個展のスポンサーとして名乗り出る。

絵が目的か単なるお遊びか、疑問に思うジェリーだった。

その後ジェリーは、リズの店に押しかけて彼女を熱心に口説き、その晩のデートを約束する。

アンリとの食事でジェリーの約束に遅れたリズだったが、セーヌのほとりで過ごす一時の間に、彼女はジェリーに惹かれていく。

アンリの舞台が始るのを思い出したリズは、ジェリーとの再会を約束して劇場に急ぐ。

見事なステージを披露したアンリには、アメリカ興行の話が持ち上がる。

そしてリズは、アンリから、結婚してアメリカ・ツアーに同行して欲しいと言われて動揺する。

アンリの新曲を頼まれているアダムは、ジェリーとミロのことを案じながら、自分が単独でコンサートを開くことを思い描く。

ミロは、ジェリーにアトリエを提供し、3ヵ月後に個展を開くことを決めたために、彼はそのための絵を描き始める。

ジェリーとリズは交際を続けるが、お互いが会うとき以外の私生活には干渉しない約束をする。

相変わらず、ジェリーとミロとのことを心配するアダムだったが、ジェリーが、”リズ・ブーヴィエ”とのことで悩んでいると聞き驚いてしまう。

そこにアンリが現れ、結婚してアメリカ・ツアーに行くことを彼から聞いたアダムは、目の前に同じ女性を愛した男達がいることに慌てふためく。

更に、アンリはジェリーの恋の悩みを聞き入れ、相手がリズとも知らずにアドバイスを始めてしまう。

ジェリーは、有頂天でリズの元に向かい彼女に愛を告げるが、彼女はアンリと結婚することを知らせる。

リズは戦争中、レジスタンスの両親に代わり、アンリに匿ってもらっていた義理があったのだ。

失意のジェリーは、ミロを誘い美術学校のニュイー・イヤーズ・イヴのパーティーに向かう。

ジェリーとミロは、そこでアンリとリズに出くわし、二人が翌日アメリカに旅立つのを知る。

騒ぐ気分でなくなったジェリーは、リズを愛していることをミロに告げる。

ジェリーとリズはバルコニーで別れの言葉を交わし、そしてリズはアンリと共に去っていく。

ジェリーは一人、リズを思いバルコニーにたたずむ。

しかし、二人の話をバルコニーの影で聞いていたアンリは、リズの気持ちを察して身を引き、彼女をジェリーの元へと送る。

そして、ジェリーとリズは愛を確かめ、固く抱き合う。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
第二次世界大戦後、ヨーロッパに駐留していたアメリカ兵ジェリー・モリガンは、画家として成功することを夢見てパリに滞在していた。
ジェリーは、同じアパートに住む、売れないピアニストのアダムと親交を深めていた。
ジェリーは、ステージ歌手として成功し、香水店で働く恋人リズとの幸せを手にしている、アダムの友人アンリを紹介される。
その後、いつものようにモンマルトルで絵を広げていたジェリーは、アメリカ人富豪婦人ミロに絵を気に入られ、パーティーに招待される。
しかし、ジェリーは、ミロが自分を誘っていることに気づき、絵の代金を返して立ち去ろうとする。
ミロは、ジェリーの作品と才能に惹かれ、援助したいことを正直に伝え、彼もそれを理解する。
その後ジェリーは、ミロと共に向かったカフェで、ある若い女性リズに心を奪われてしまう・・・。
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抑えた色彩デザインの背景、また美術セットとダンスが、スクリーンの中で効果的に一体化する、斬新なヴィンセント・ミネリの演出は、まるで芸術作品のような素晴らしさだ。

市民の抵抗により、東京やベルリンのような戦争での破壊を免れた、パリ市内のロケも実に美しい。

1993年、アメリカ議会図書館が、国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。

第24回アカデミー賞では、作品賞をはじめ8部門にノミネートされ、作品、脚本、撮影(カラー)、作曲(ミュージカル)、美術(カラー)、衣装デザイン賞(カラー)の6部門を受賞した。
・ノミネート
監督・編集賞
*製作者のアーサー・フリードアーヴィング・タルバーグ賞を、ジーン・ケリーが名誉賞を、それぞれ長年の功績を称えられて受賞した。

本作において贈られたわけではないが、多大な功績によりアカデミー名誉賞を受賞し、振付を担当したジーン・ケリーの、見事なダンスは秀逸だ。

特に、画家である主人公が、デュフィルノワールユトリロロートレック等の名画をバックにして、悲しく物思いにふける、ラストの17分弱の幻想シーンのバレエは圧巻だ。

バレリーナとしての公演中にジーン・ケリーに見出されたレスリー・キャロンの、バレエをふんだんに取り入れた、しなやかなダンスも美しい。

ジョージ・ガーシュウィンの親友で、にがむしを噛み潰したような表情も印象的な、オスカー・レヴァントの怪演も光る。

売れないピアニストのレヴァントが、一人で何役もこなす成功を思い描くシーンは実に楽しい。
彼の親友であった、ジョージ・ガーシュウィンへの敬意も込めているとも言える。

十戒」(1956)でエジプト王女、「スパルタカス」(1960)ではローマ貴族を演じ貴婦人役がよく似合う、まだ20代とは思えない大人の魅力を感じさせるニナ・フォックのパトロンぶりや、気のいいステージ歌手ジョルジュ・ゲタリーの爽やかな演技も注目だ。


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