アメリカの奴隷制廃止運動を推し進めるきっかけとなったアフリカ人奴隷の反乱”アミスタッド号事件”を描く、監督スティーヴン・スピルバーグ、出演モーガン・フリーマン、ナイジェル・ホーソーン、アンソニー・ホプキンス、ジャイモン・フンスー、マシュー・マコノヒー、ピート・ポスルスウェイト、ステラン・スカルスガルド、キウェテル・イジョフォー他共演の歴史ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:スティーヴン・スピルバーグ
製作
デビー・アレン
コリン・ウィルソン
製作総指揮
ウォルター・F・パークス
ローリー・マクドナルド
脚本:デイヴィッド・フランゾーニ
撮影:ヤヌス・カミンスキー
編集:マイケル・カーン
衣装デザイン:ルース・E・カーター
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演
セオドア・ジョッドソン:モーガン・フリーマン
マーティン・ヴァン・ビューレン:ナイジェル・ホーソーン
ジョン・クィンシー・アダムズ:アンソニー・ホプキンス
セングベ・ピエ/ジョセフ・シンケ:ジャイモン・フンスー
ロジャー・シャーマン・ボールドウィン:マシュー・マコノヒー
ウィリアム・H・ホラバード:ピート・ポスルスウェイト
ルイス・タパン:ステラン・スカルスガルド
ジョン・フォーサイス:デヴィッド・ペイマー
イザベラ2世:アンナ・パキン
カイ・ニャグア/ジェームズ・コヴィ:キウェテル・イジョフォー
ホセ・ルイス:ジーノ・シルヴァ
ペドロ・モンテス:ジョン・オーティス
ヤンバ:ラザーク・アドティ
アンドリュー・T・ジャトソン判事:アラン・リッチ
弁護人:ポール・ギルフォイル
フィッツジェラルド艦長:ピーター・ファース
コグリン判事:ジェレミー・ノーサム
ハモンド:ザンダー・バークレー
カルデロン大使:トーマス・ミリアン
ジョン・C・カルフーン議員:アーリス・ハワード
ジョシア・ウィラード・ギブスSr.:オースティン・ペンドルトン
トーマス・L・ゲドニー大尉:ラルフ・ブラウン
リチャード・W・ミード大尉:ダーレン・E・バロウズ
バルドメロ・エスパルテロ将軍:ペドロ・アルメンダリスJr.
宣教師:ケヴィン・J・オコナー
アメリカ 映画
配給 ドリームワークス
1997年製作 154分
公開
北米:1997年12月10日
日本:1998年2月28日
製作費 $36,000,000
北米興行収入 $44,229,440
世界 $60,000,000
■ アカデミー賞 ■
第70回アカデミー賞
・ノミネート
助演男優(アンソニー・ホプキンス)
撮影・衣装デザイン・音楽賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1839年6月28日、キューバ沖。
スペイン籍の商船”アミスタッド/La Amistad”に乗せられていた53人のアフリカ人のリーダー、セングベ・ピエ(ジャイモン・フンスー)床板の釘を抜き取り、それを使って鎖を外す。
同じ船底に閉じ込められていた同胞を解放したピエは、武器を手にして乗組員らに襲いかかる。
船長を殺したピエは、自分達を奴隷市場で買ったホセ・ルイス(ジーノ・シルヴァ)とペドロ・モンテス(ジョン・オーティス)は生かし、故郷のアフリカに向かわせる。
しかし、アフリカ人達を騙したルイスとモンテスは北上する。
ロングアイランド沖。
数週間が過ぎて食料と水が底を突き、陸を発見したピエらは、ボートで岸に向かい上陸する。
同時に、アミスタッドにアメリカ海軍”ワシントン”が接近し、ルイスとモンテスは助けを求める。 ピエは船に戻ろうとするが、ボートに乗った兵士に威嚇される。 海に飛び込んだピエは泳いで逃げるものの、捕えられてしまう。 コネチカット州、ニューヘイブン。 スペイン。 アメリカ大統領マーティン・ヴァン・ビューレン(ナイジェル・ホーソーン)は遊説先で、側近のハモンド(ザンダー・バークレー)からアミスタッド事件のことを知らされるが、関与することを拒む。 奴隷制廃止論者の実業家ルイス・タパン(ステラン・スカルスガルド)と、彼の資金で新聞を発行する黒人のセオドア・ジョッドソン(モーガン・フリーマン)は、拘留された黒人が西インド諸島周辺の人種でないと考え、彼らを救う方法を模索する。 言葉は通じず、何が起きているのか理解できないまま、ピエらは法廷に向かう。 アンドリュー・T・ジャトソン判事(アラン・リッチ)の下で開廷し、地方検事ウィリアム・H・ホラバード(ピート・ポスルスウェイト)は冒頭陳述で、海賊行為と殺人罪の容疑で囚人達を告発しようとする。 そこに現れたタパンは、人身保護令が優先することを伝える。 人身保護令は高等裁判所の承認が必要だとホラバードは反論し、弁護士の真似事をするタパンを非難する。 そこに国務長官のジョン・フォーサイス(デヴィッド・ペイマー)が現れ、大統領の代理として発言し、条令により奴隷の所有権はスペインにあると言うイザベラ女王の要求を伝える。 軍艦ワシントンの士官トーマス・L・ゲドニー大尉(ラルフ・ブラウン)とリチャード・W・ミード大尉(ダーレン・E・バロウズ)は、アミスタッドとその積荷の所有権を求める。 そこに、囚人達と船の真の所有権を主張する、ルイスとモンテスの弁護人(ポール・ギルフォイル)が現れる。 閉廷後、弁護士ロジャー・シャーマン・ボールドウィン(マシュー・マコノヒー)はタパンに声をかけ、不動産が専門だが、財産を持ち主に戻す所有権の問題である本件に適任だと言って自分を売り込む。 刑事弁護士が必要だと言うタパンはボールドウィンを相手にせず、ジョッドソンと共にその場を去る。 ワシントンD.C.。 奴隷制廃止には中立だと言うアダムズは、二人に説得されるもののそれを断る。 仕方なくボールドウィンの元に向かったタパンとジョッドソンは、奴隷でないことの証明と盗品の不法売買の、どちらでも勝訴できると言われる。 法律の解釈ではなく正義を追及する問題だとタパンに言われたボールドウィンは、現実論を話し弁護料を伝える。 言語学者ジョシア・ウィラード・ギブスSr.(オースティン・ペンドルトン)を伴い囚人達に会ったボールドウィンとジョッドソンだったが、話が全く通じない。 次の法廷でボールドウィンは、スペイン語が通じない囚人達がキューバ人でないことを証明しようとする。 家畜と同じなので言葉を教える必要がないと言うホラバードに続き、ルイスとモンテスの弁護人が、ハバナで奴隷を購入した際の領収書を提出する。 物的証拠をジャトソン判事から求められたボールドウィンは、囚人達がいるとだけ答える。 閉廷後ボールドウィンは、ジョッドソンからよくやっていると言われ、牢獄に連行されるピエが、自分に何かを訴えようとしていることに気づく。 ピエのことを”ジョセフ・シンケ”と呼び面会したボールドウィンは、手振り身振りで彼らがどこから来たかを尋ねる。 地面に地図を描き、アフリカから来たのではないかと尋ねたボールドウィンは、シンケが、遥か遠い場所から来たと伝えたいのだと理解する。 アミスタッドを調べる許可を得たボールドウィンとジョッドソンは、船内に入る。 ジョッドソンは、奴隷が船底に閉じ込められ、鎖でつながれていた悲惨な状況を知り動揺し、落ちていた牙を手にする。 そこでボールドウィンは、隠されていた積荷目録を見つける。 それがアミスタッドの物ではなく、ポルトガルの悪名高き奴隷船”テコラ”の積荷目録であることを法廷で語ったボールドウィンは、商売ができた理由は不法だったからだと語る。 囚人達はキューバからではなく、遠い国から連れてこられたと言いながら、ボールドウィンは目録をジャトソン判事に渡す。 閉廷後、その働きに満足するタパンとジョッドソンは、ボールドウィンに感謝する。 ボールドウィンは何者かに殴られるのだが、ジョッドソンにいい兆候だと言われる。 イザベラ女王は、奴隷制を廃止してはならないという親書をビューレン大統領に送る。 それに関心を示さない大統領だったが、本件が悪化すれば内戦勃発の恐れがあると言う、奴隷制度擁護派のジョン・C・カルフーン議員(アーリス・ハワード)の意見をフォーサイスから聞かされる。 フォーサイスは、対策として陪審員を罷免するか判事を更迭する方法があると大統領に伝える。 裁判官を交代させた大統領が、コグリン判事(ジェレミー・ノーサム)を任命して陪審員もいなくなったために、不利になったジョッドソンはアダムズの元に向い意見を求める。 アダムズは、囚人達をアフリカ人と証明しただけで、彼らがどんな人間で、またどのような人生を歩んできたのかをまるで理解していないとジョッドソンに伝える。 その後、ギブスからシエラレオネで使われるメンデ語を学んだジョッドソンとボールドウィンは、それが話せる者を探す。 ジョッドソンとボールドウィンは、イギリスの軍人でアフリカ生まれのジェームズ・コヴィ/カイ・ニャグア(キウェテル・イジョフォー)に出会う。 シンケと面会したボールドウィンは、コヴィに通訳を頼み、囚人達を救うための協力を求める。 状況が悪くなったことを説明するボールドウィンは、法廷で話しをしてほしいと言ってシンケを説得する。 それを断るシンケに、故郷では、たった一人でライオンを倒した勇者だと聞いたとボールドウィンは伝える。 村人が殺されたため、拾った石を投げたらそれがライオンに当たり、結局、殺したことになり、英雄のように称えられたのだが、運が良かっただけだとシンケは話す。 アミスタッドの反乱も指揮したことを話したボールドウィンは、勇気ではなく、家族の元に帰るためにしたことだとシンケに言われる。 アミスタッドの船底で拾った牙を渡されたシンケは、それが妻から受け取ったお守りだと伝え、ここに連れてこられるまでの話をしてほしいとボールドウィンに言われる。 故郷で捕えられたシンケは、フリータウンのロンボコでポルトガルの奴隷商人に売られ、奴隷船テコラに乗せられ、鎖につながれ移送された。 人間としての扱いを受けないまま船旅を続けたシンケらは、途中で多くの奴隷が殺される中、ハバナに着き、ルイスとモンテスに買い取られてアミスタッドに乗せられた。 そして、拘束を逃れたシンケは反乱の指揮を執り、アミスタッドを占拠したのだった。 それを法廷で話したシンケは、舵を取らせるためにルイスとモンテスを生かしたことを語る。 奴隷は借金の方に捕えられ働くということを理解するシンケに、それならば所有者が奴隷を殺すのは矛盾していると言うホラバードは、彼の語ったことは作り話としては面白かったと伝える。 アイボリーコースト(コートジボワール)沿岸の奴隷船摘発が任務であるイギリス海軍のフィッツジェラルド艦長(ピーター・ファース)に質問したボールドウィンは、その理由が、イギリス法では奴隷売買が禁止されているからだと知らされる。 シンケの言うように、イギリス領で拉致された黒人は多くいると答えたフィッツジェラルドは、ロンボコのような奴隷要塞は存在し、シンケが話したような報告が証拠となると付け加える。 テコラで大勢が殺されたと言うシンケの話に矛盾を感じるかとボールドウィンに聞かれたフィッツジェラルドは、奴隷船は摘発船に見つかると、証拠隠滅のために奴隷を海に捨てると答える。 それでは商売として成り立たないと言うホラバードに対し、儲かることをフィッツジェラルドは伝える。 テコラの積荷目録が、シンケの話を裏付ける証拠になると言うフィッツジェラルドは、日付を指定し、奴隷が50人減っていると話す。 食料不足のために、テコラの乗組員は50人の奴隷を海に捨てたということが、シンケの話と合致するとフィッツジェラルドは語る。 その項目が目録にないと言うホラバードだったが、当人達は真実を書くはずがないとフィッツジェラルドは答える。 想像力を働かせ過ぎではないかと言われたフィッツジェラルドは、それならば何を減らしたと考えるのかと、逆にホラバードに問いかける。 周囲の様子を観察し動揺するシンケは、”自分達に自由を与えろ”と叫びながら立ち上がり、制止されても止めようとすなかった。 牢獄に戻ったシンケは、同胞のヤンバ(ラザーク・アドティ)が、ある男から奪った本(聖書)を見て、その物語を理解していることを知る。 自分達より苦しんでいた者がいると言うヤンバは、人間は死ぬと魂が天に昇っていくのだとシンケに話す。 シンケは、自分達も死んだ後に、その場に行くと言うヤンバの穏やかな表情に気づく。 翌日の法廷でコグリン判事は、慎重に検討した結果、告発側の主張は否定し難いものであると語る。 ホラバード、イザベラ女王、駐米スペイン大使カルデロン(トーマス・ミリアン)などの主張は正当だと言うコグリンは、ルイスとモンテスは囚人達の出生地を誤解しているようであり、それは囚人の運命と判決を左右するという見解を述べる。 コグリンは、囚人達がアフリカ生まれだと思うと語り、イザベラ女王に所有権はないと判断し、ゲドニーとミード両士官の申し立ても無効とし、ルイスとモンテスの逮捕拘留を命ずる。 囚人達は解放され、アメリカ政府の費用により、アフリカに送り返すことをコグリンは伝える。 法廷内は騒然となり、ジョッドソン、ボールドウィン、タパン、そしてコヴィは喜びを噛みしめる。 シンケら囚人は歓喜し、告発人や所有権を訴えた者は納得できないまま退廷する。 晩餐会が開かれ、カルデロン大使は大統領に意見するが、司法の独立こそ自由を保障するものだと言われる。 その場に現れたカルフーン議員はカルデロンを紹介され、我が国の社会構造には奴隷制は不可欠で、廃止は国の存続にかかわると伝える。 その考えを、北部の者は非人道的だと言って見下すと、カルフーンは大統領の前で皮肉を言う。 貧しい南部が現状で奴隷を奪われれば、北部との関係がどうなるかとカルフーンは付け加える。 内戦を煽る法廷がどこにあるのか、それにより国が崩壊する姿を見たい大統領がいると思うかを、カルフーンはカルデロンに尋ねる。 更に、現大統領は例外らしいと言うカルフーンは、法廷と大統領が直面している問題は、アフリカ人の反乱ではなく、内戦の可能性だと女王に伝えてほしいとカルデロンに語る。 事態は悪化し、殉死によって世界が変わったキリスト教のこと話すタパンは、奴隷制に反対しながら、奴隷そのものに無関心な者の一人だとジョッドソンに非難される。 口を慎むようタパンに言われたジョッドソンは、何も答えずに牢獄に向かう。 最高裁の決断に従うしかなくなった状況をシンケに話すボールドウィンは、裁判のやり直しだと伝える。 納得できないシンケは興奮し、ボールドウィンは、必ずうまくいくとは言わなかったと話し説得する。 苛立つシンケは、この国の考えが理解できないと言って苦悩する。 アダムズに手紙を書いたボールドウィンは、再選を優先した大統領の考えで、裁定が最高裁に委ねられることになたために、協力を求める。 口を閉ざしてしまったシンケの元に向かったボールドウィンは、自分の仕事が減り脅迫されていることも伝える。 フォーサイスとハモンドらは、父親の功績とは比較にならない老人アダムズが、何もできないだろうとと考えていた。 裁判の準備を始めていたアダムズは、船を奪ったのはスペインでもアメリカの領海でもない場所であり、それでも条約が適用されるのかを、シンケが聞いているとコヴィに言われる。 管轄権を超えた条約だと言われたシンケは、法的にルイスとモンテスの所有物なら、条約との関係は、スペインとアメリカ間のものではないかと考え、それをコヴィがアダムズに尋ねる。 条約は、両国の国民に適用すると解釈すると答えたアダムズは、シンケの論点が的確であると考える。 その後も質問をし続けるシンケをオフィスに呼んだアダムズは、彼と直接話をして、戦いの相手をライオンに例え、それに挑もうとしていることを話す。 アダムズはシンケに敬意を表しながら、困難が待ち構えていることを伝える。 仲間がいると言うシンケは、それは先祖であり、彼らの力を借りると語る。 最高裁判所。 大統領府が出版する行政評論を手にしたアダムズは、人間が創造されて以来、従属関係が存在するという、自分の副大統領を務めたカルフーンらしき意見と大統領の考えを述べ、”自由”を求めるのは、人間の自然の行為だと語る。 それを奪われた者は、奪い返すために闘い家に戻ろうとすると言うアダムズは、シンケを起立させて、黒人というだけではなく、彼こそが真の英雄であり、白人ならば裁きも受けていないと語る。 シンケが白人で拘束から逃れ鎖を切って戦ったなら、”パトリック・ヘンリー”のような英雄になっていただろうと言うアダムズは、壁に掲げられた”独立宣言”の元に向かう。 南部の意見が正しいなら、独立宣言の内容をどう考えるかを問うアダムズは、行政評論を破ってしまう。 シンケから、絶望した際に祖先が現れて救われるという話を聞いたと言うアダムズは、父親ジョン・アダムズを含む建国の父の像に近づき、彼らのおかげで今の自分達があると語る。 恐れや偏見に立ち向かい自分に勝ち、正義を行う勇気のために戦うのなら内乱も辞さないという考えが、アメリカ独立戦争の最後の戦いの意味だったと話し、アダムズは着席する。 最高裁判所は、アメリカとスペイン間の条約は本件には適用されず、押収された船舶と積み荷は所有者に返却されるのだが、アフリカ人はそれに該当せず、自由な人間だと判断される。 囚人は拘束を解かれ、希望であれば故郷のアフリカに送り返すという裁定が下される。 鎖を外されたシンケは、アダムズと固い握手をして、ジョッドソンにお守りを渡す。 シンケはボールドウィンに感謝し、英語で”ありがとう、ボールドウィン”と伝える。 その後、ロンボコの奴隷砦はイギリス軍により陥落し、奴隷は解放され、フィッツジェラルド艦長はその場を砲撃する。 ヴァン・ビューレン大統領は落選し、ウィリアム・ハリソンが第9代大統領になった。 砲撃を見つめる船上のフィッツジェラルドは、法廷でフォーサイス国務長官が語ったように、シエラレオネの奴隷砦は存在しなかったと語る。 同胞とコヴィと共に船でアフリカに向かうシンケは、故郷を想う。 イザベラ女王は、この後も7代の大統領に本件に関して抗議した。 シンケはシエラレオネに帰国したが、内戦により、村と家族は消えていた。 家族は奴隷として売られたと考えられる。
...全てを見る(結末あり)
ピエらは再び鎖につながれ、上陸後に投獄される。
バルドメロ・エスパルテロ将軍(ペドロ・アルメンダリスJr.)は、女王イザベラ2世(アンナ・パキン)に問題が起きたことを知らせる。
元大統領である下院議員ジョン・クィンシー・アダムズ(アンソニー・ホプキンス)に会ったタパンとジョッドソンは、彼の協力を求める。
アダムズは、11歳のイザベラ女王の望む司法についての考えと、ヴァン・ビューレン大統領の考えが同じようだと前置きする。
*(簡略ストー リー)
1839年、キューバ沖。
スペイン籍の商船”アミスタッド”に乗せられていた53人のアフリカ人のリーダー、セングベ・ピエは、拘束を逃れて反乱を指揮し船を占拠する。
ピエらを買い取ったルイスとモンテスは生かされて、アフリカに向かうよう指示されるが、二人は進路を北に向けて、船はアメリカ東部ロングアイランド沖に到着する。
アメリカ海軍により捕えられ投獄されたピエらは、スペインのイザベラ女王やルイスらに所有権を求められる。
奴隷制廃止論者の実業家タパンと、彼の資金で新聞を発行する黒人のジョッドソンは、ピエをシンケと呼び、彼らを救うために、弁護士ボールドウィンを雇い正義のための闘いを始めるのだが・・・。
__________
スティーヴン・スピルバーグが設立した映画会社”ドリームワークス”の第一回製作、監督作品。
「シンドラーのリスト」(1993)で念願のアカデミー作品賞と監督賞を授賞したスティーヴン・スピルバーグが、同じ歴史的事実を扱った意欲作として注目された作品。
スティーヴン・スピルバーグは、監督次回作「プライベート・ライアン」(1998)でも事実を基にした物語を描き、二度目のアカデミー監督賞を受賞することになる。
奴隷制廃止運動を前進させることになった重要な事件”アミスタッド号事件”を題材に、法廷闘争を中心に、アメリカの正義の追及や自由のための戦いを描く、スティーヴン・スピルバーグの力強いメッセージが伝わる見応えある作品。
スピルバーグ作品としては、興行的に成功した作品ではなかった。
*
製作費 $36,000,000
北米興行収入 $44,229,441
世界 $60,000,000
第70回アカデミー賞では、助演男優(アンソニー・ホプキンス)、撮影、衣装デザイン、音楽賞にノミネートされた。
主演が誰かと言うのが明確にできない配役なのだが、奴隷として捕えられたアフリカ人のリーダーである、実在の人物セングベ・ピエ/ジョセフ・シンケを演ずるジャイモン・フンスーの好演が最も印象に残る。
奴隷制廃止論者の実業家ルイス・タパン(ステラン・スカルスガルド)の援助を受けて新聞を発行する黒人のモーガン・フリーマン、再選を優先して、本件に対し優柔不断に対応してしまう現職大統領マーティン・ヴァン・ビューレンのナイジェル・ホーソーン、本件を傍観していたが、正義と自由を求める闘いのためアフリカ人の弁護をする元大統領ジョン・クィンシー・アダムズのアンソニー・ホプキンス、アフリカ人の自由のために闘う弁護士ロジャー・シャーマン・ボールドウィンのマシュー・マコノヒー、検事ウィリアム・H・ホラバードのピート・ポスルスウェイト、国務長官・ジョン・フォーサイスのデヴィッド・ペイマー、スペイン女王イザベラ2世のアンナ・パキン、その側近バルドメロ・エスパルテロ将軍のペドロ・アルメンダリスJr.、奴隷の所有権を主張するジーノ・シルヴァとジョン・オーティス、キリスト教の考えを理解するアフリカ人ラザーク・アドティ、地方裁判所の判事アラン・リッチ、彼と交代する判事ジェレミー・ノーサム、アフリカ人の所有権を主張する海軍士官ラルフ・ブラウンとダーレン・E・バロウズ、その弁護人ポール・ギルフォイル、西アフリカのイギリス海軍奴隷船摘発船の船長ピーター・ファース、大統領の側近ザンダー・バークレー、駐米スペイン大使トーマス・ミリアン、奴隷制度擁護派議員ジョン・C・カルフーンのアーリス・ハワード、言語学者ジョシア・ウィラード・ギブスSr.のオースティン・ペンドルトン、宣教師のケヴィン・J・オコナーなどが共演している。