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アメリカン・ハニー American Honey (2016)

アメリカ中西部を旅する雑誌販売員グループの一員となった恵まれない環境で育った少女の体験を描く、監督、脚本アンドレア・アーノルド、主演サッシャ・レインシャイア・ラブーフライリー・キーオアリエル・ホームズウィル・パットン他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト
監督:アンドレア・アーノルド
製作:ラース・クヌードセン
脚本:アンドレア・アーノルド
撮影:ロビー・ライアン
編集:ジョー・ビニー

出演
スター:サッシャ・レイン
ジェイク:シャイア・ラブーフ
クリスタル:ライリー・キーオ
ペイガン:アリエル・ホームズ
コーリー:マッコール・ロンバルディ
テンガロンハットを被った車の後部座席の男:ウィル・パットン
ローラ:ローラ・カーク

イギリス/アメリカ 映画
配給
A24
フォーカス・フィーチャーズ
2016年製作 163分
公開
イギリス:2016年10月14日
北米:2016年9月30日
日本:年月日 未公開
製作費 $3,500,000
北米興行収入 $663,250
世界 $1,818,080


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
オクラホマ州、マスコーギー
ティーンエイジャーの少女スター(サッシャ・レイン)は、二人の子供ケルシーとルービンの面倒を見ていた。

ゴミ箱をあさり食料を手に入れてスターは、ヒッチハイクをして家に帰ろうとする。

バンに乗り”Kmart”に買い物に来た若者の集団の中の一人ジェイク(シャイア・ラブーフ)にアイコンタクトをしたスターは、レジの付近で騒ぎ始めた彼が落した携帯電話を拾う。

警備員に追い出されたジェイクに携帯電話を渡したスターは、お礼だと言われてキスされ、カンザスに向かう彼に一緒に来ないかと誘われる。

雑誌の訪問販売の仕事を手伝ってほしいと言われたスターは、日に300ドルは稼げることを知るが、ジェイクの容姿などが気になり信じることができない。
...全てを見る(結末あり)

仲間達と去るジェイクは、明日の朝”モーテル6”に来るようにとスターに伝えてその場を去る。

家に戻ったスターは、ケルシーとルービンの父親ネイサンに食事の支度をする。

ネイサンから性的暴行を受けているスターは、そんな生活に嫌気がさし、ケルシーとルービンを連れて、二人の母親ミスティがいる酒場に向かう。

仕事が決まったとミスティに伝えたスターは、子供達の面倒を見てほしいと伝えるものの、無理だと言われる。

トイレに行くと言ってその場を出たスターは、”モーテル6”の駐車場で一夜を明かす。

翌朝、ジェイクから自分に惹かれたのではないかと言われたスターは、グループのリーダーであるクリスタル(ライリー・キーオ)に質問され、年齢が18歳だということなどを話す。

愉快なコーリー(マッコール・ロンバルディ)らと共に出発したスターは、音楽やマリファナ、そして酒を飲み楽しみながら旅を続ける。

皆に出身地を訊いたスターは、様々な場所でクリスタルに拾われたことを知る。

自己紹介する皆の出身地を知ったスターは、”スター・ウォーズ”のファンで”ダース・ベイダー”にハマっているペイガン(アリエル・ホームズ)と話をする。

スターは、ジェイクがカリフォルニアベーカーズフィールド出身で、何でも売りさばける才能があり、クリスタルの側近だということを知る。

カンザスシティに着いたスターはジェイクから資料を渡され、チームの規則を明日までに覚えるようにと言われ、仕事の道具が入ったバインダーを受け取る。

契約書にサインして明朝7時半までにクリスタルに渡すようにとスターに伝えたジェイクは、厳しい彼女も慣れればいい人だと言って、”STAR”と書かれたライターをプレゼントする。

翌朝、寝過ごしてしまったスターはクリスタルの部屋に向かい、時間を守らなかったことを注意されるものの、最初だったので許される。

契約書を受け取ったスターは、取り分は売り上げの20%で現金なら25%、残りは経費とし徴収し、ジェイクを教育係にすると言われる。

当座の食事代にと現金をスターに渡したクリスタルは、必ず返すと言う彼女に、最初の給料から引くと伝える。

ミーティングを始めたクリスタルは、裕福な地域を回るので交渉は楽だと伝え、皆は気合を入れて出発する。

豪邸が立ち並ぶ区域で、ジェイクは組む相手を決めて仲間達を降ろす。

ジェイクと組むことになったスターは、彼が用心のために拳銃を持っていたために驚く。

ある家を訪ねたジェイクは、対応してくれた住人のローラ(ローラ・カーク)に妹だと言ってスターを紹介し、大学のコミュニケーション力を競う大会で回っているため、水をもらいたいと伝える。

雑誌の購読客を集めポイントをためれば10万ポイントで1年分の学費になるとローラに伝えたジェイクは、雑誌は読まないと言う彼女に、恵まれない若者の夢に対する応援の気持ちを求める。

誕生日を祝うローラの娘と友人達の姿を見ながら、ジェイクの嘘を聞いていられなくなったスターは口を出し、妹ではないと言って彼を罵る。

ローラから言葉遣いを注意されたスターは口答えし、ジェイクは、母が自殺したために彼女が精神的に不安定だと伝える。

不愉快になったローラは二人に悪魔のようだと伝え、悪魔はあなたの娘だと言い返したスターはその場を去る。

ローラは、服のまま水を浴びて踊っている娘達を叱る。

追ってきたジェイクを非難するスターだったが、説得を諦めた彼から、プレゼントを渡すのをやめると言われる。

その場から去るジェイクを追ったスターはプレゼントを欲しがり、ローラの家から盗んだ指輪を渡される。

勧誘には失敗したジェイクだったが、ローラに侮辱された自分を庇ってくれたスターに感謝する。

その日の仕事を終えてモーテルに戻ったジェイクらは、売り上げをクリスタルに渡す。

翌日も何軒か訪問を続けたジェイクは、笑いながら逃げるスターを追い、キスしてしまう。

その夜、クリスタルに呼ばれたスターは、トップの販売員のジェイクが、ここ数日ほとんど稼げていない理由を訊かれる。

スターから自分の研修中だからだと言われたクリスタルは、今までは新人の研修中でもジェイクは稼げたと伝える。

原因は自分だと言われたスターは、やり方に納得できないと伝える。

奥にいたジェイクを呼んだクリスタルは、どんなやり方が気に入らないのかをスターに問う。

嘘をつくことなどと言われたため、セールストークだと伝えたクリスタルは、稼ぐ気はある様子のスターを自分なら躾けられると考えるジェイクに任せることにする。

稼いでくれなければ経費が出ないと言うクリスタルは、これからジェイクとすることがあるとスターに伝える。

翌日、移動中に携帯電話を借りてミスティに電話をしたスターは、ケルシーとルービンが気になったのでかけたというメッセージを残す。

次の住宅街でジェイクの一人でやれる伝えたスターは、テンガロンハットを被った三人の男性のオープンカーを止める。

車に乗せてもらったスターは、後部座席の男性(ウィル・パットン)から話しかけられ、雑誌を売っていることを伝える。

これからバーベキューをするので、一緒に来れば雑誌を買うと約束した男性の言葉を信じたスターは、金は有り余っていると言う彼らに付いて行く。

プール付きの豪邸に着いたスターはテラスに案内され、強いので勧められないと言われながらも”メスカル”を飲む。

酒瓶に入っている虫を食べてみたいと言うスターは、それを食べたら雑誌5冊を現金で買うことを約束してもらう。

三人がテーブルに出した360ドルを受け取るために、酒と共に虫を飲み込んだスターは、現金を手に入れる。

そこに現れたジェイクは、三人銃を向けてプールに入るよう指示し、車を奪ってその場から逃げる。

スターが400ドル近く稼いだと知ったジェイクは、身体を触られたか尋ね、それを否定する彼女から売り上げ伝票を見せられる。

捜しに来てくれたことを嬉しく思うスターは、車を停めたジェイクと愛し合う。

車を捨ててモーテルに戻ったジェイクは、”負け犬ナイト”が行われていることに気づく。

かなり苛立っているクリスタルを説得すると言うジェイクは、スターから金と伝票を受け取る。

ジェイクは、チーム内の恋愛は禁止されているので、愛し合あったことは黙っているようにとスターに伝える。

スターから自分とクリスタルのことを訊かれたジェイクは何も答えず、クリスタルに現金と伝票を渡す。

売り上げの悪い二人が殴り合いを始め、スターは、勝ったコーリーにキスする。

翌朝、出発の準備をするスターは、クリスタルから、稼げなければ放り出すと言われ、隣の席に座るジェイクに裏切られたことを知るものの、何も語らなかった。

スターは、ジェイクからもらった指輪を、プレゼントだと言ってペイガンに渡してしまう。

ドライブインで仕事を始めたスターは、あるトラック・ドライバーに雑誌の購読を勧め、話を聞いてもらえる。

出発しなくてはならないと言われたスターはトラックに同乗し、ドライバーの家族の写真などを見ながら夢を訊かれる。

家が欲しいと答えたスターは、ドライバーに2冊購読してもらえることになり、感謝して車を降りる。

仲間達の元に戻り旅を続けたスターらは、一軒家に宿泊することになる。

ジェイクと話したスターは指輪のことを訊かれ、ペイガンにあげたと答える。

求められたスターは、ジェイクと愛し合う。

スターから夢を訊かれたジェイクは、初めて訊かれたと言って、集めているものがあり、秘密なので今度教えると伝える。

その夜、ジェイクを起こしたスターは、秘密を見せてほしいと伝え、彼が訪問先で盗んだものを見せられ、夢を買うための元手だと言われる。

家を買い森の中で暮らしたいと言うジェイクは、それでは足りないとスターに伝える。

翌朝、ミーティングを始めたクリスタルは、石油の町であるここに住むリッチな者達の同情を買うため、貧しい若者を演ずるよう皆に指示する。

町でジェイクらを降ろしたクリスタルは、スター達を油田に連れて行く。

車を降りたスターは男達から商売女かと訊かれるが、販売員だと答える。

興味がない男達は仕事場に向かい、スターは、三人の男に声をかけて現場を見たいと伝えて、トラックに乗せてもらう。

雑誌を売ろうとするスターは、一人から、今夜、付き合えば500ドル出すと言われ、1000ドルならいいと伝える。

その夜、男と会いある場所に向かい、指示通りにしたスターは、1000ドルを受け取り家に戻る。

ジェイクから、車で送ってきた男と寝たのかと訊かれたスターはそれを否定し、一緒に暮らすために稼いだと伝える。

納得できないジェイクは、自分もクリスタルと寝ていると言われて憤慨し、バイクで走り去ってしまい、その様子をクリスタルが見ていた。

翌日、ジェイクが姿を消したまま出発したスターらは、次の町のモーテルに着く。

クリスタルの部屋に呼ばれたスターは、ジェイクには女の子を勧誘したら100ドルのボーナスを与えていると言われる。

ジェイクは全員と寝ているので、自分は特別だとは思わない方がいいと言われたスターは、前の町で稼いだのかと訊かれる。

稼いだが伝票がないと言われたクリスタルは、現金があればいいと伝えて、1000ドルの一部を受け取る。

その場にビリーとフランクがいることを知ったスターは、クリスタルから行っていいと言われる。

サウスダコタ州。
翌日、自分の故郷であるラピッドシティに着いたクリスタルは、貧しい町なので、苦労している若者は共感してもらえると皆に伝える。

ある家を訪問したスターは、三人の子供達に迎えられ、寝ていると言う母親がドラッグに溺れていることなどを知る。

ドラッグで死んだ母親や自分の育った生活環境を思い出したスターは、買い物をしてその家の子供達に食料品を渡す。

集合場所に向かったスターはジェイクが戻ったことを知り、何も話さずに車に乗り込む。

移動した仲間達は湖畔で焚火をしながら楽しみ、スターはジェイクからカメを渡される。

カメを湖に放したスターは、それを追って水に入る。

水に潜ったスターは、暫くして水面に上がり夜空を見つめる。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
オクラホマ州、マスコーギー
ティーンエイジャーの少女スターは、二人の子供ケルシーとルービンの面倒を見ていた。
買い物をしていた若者グループの一人ジェイクに惹かれたスターは、彼から、雑誌販売員の仕事に誘われる。
その場では返事をしなかったスターは、ケルシーとルービンの父親から性的虐待を受けていることや生活環境に嫌気がさし、旅立つ決心をしてジェイクの元に向かう。
グループのリーダー、クリスタルと仲間達と共に出発したスターは、旅を続けながら雑誌の訪問販売をするうちに様々な体験をする・・・。
__________

「フィッシュ・タンク」(2009)や「嵐が丘」(2011)なんどで世界的な評価を受けるアンドレア・アーノルドの脚本を兼ねた監督作品。

アメリカ社会の様々な階級の人々の生活環境などが、ドクメンタリーのように描かれた作品。

夢や希望の実現に向けて突き進んでいるように見える反面、常に絶望感をが漂う、社会が抱える問題を象徴しているようなグループの若者達の行動を描く、アンドレア・アーノルドの鋭い視点が伝わる映像に注目したい。

第69回カンヌ国際映画祭、コンペティション部門でパルムドールにノミネートされ、アンドレア・アーノルドが審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した。

主演のサッシャ・レインは、家族もなく他人の子供の世話をしつつ、その親に虐待されているという悲惨な生活環境の中、ささやかな夢を求めて旅立ち健気に生きる少女を好演している。

主人公を利用しながらも彼女に惹かれれる販売員グループの一員を雰囲気ある演技で演ずるシャイア・ラブーフ、グループを仕切るリーダーのライリー・キーオエルビス・プレスリーの孫)、グループの一員で”ダース・ベイダー”にハマっているアリエル・ホームズ、同じくマッコール・ロンバルディ、主人公が出合うテンガロンハットを被った男性ウィル・パットン、裕福な家庭の主婦ローラ・カークなどが共演している。


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