アフリカ系ギャングのボスで麻薬王となったフランク・ルーカスと組織壊滅を指揮する捜査官リッチー・ロバーツとの死闘を描く、監督リドリー・スコット、主演デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キウェテル・イジョフォー、キューバ・グッディングJr.、ジョシュ・ブローリン他共演の社会派ドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:リドリー・スコット
製作総指揮
スティーヴン・ザイリアン
マイケル・コスティガン
ブランコ・ラスティグ
ニコラス・ピレッジ
ジム・ウィテカー
原案:マーク・ジェイコブソン
脚本:スティーヴン・ザイリアン
撮影:ハリス・サヴィデス
編集:ピエトロ・スカリア
美術・装置
アーサー・マックス
ベス・A・ルビーノ
音楽:マルク・ストライテンフェルト
出演
デンゼル・ワシントン:フランク・ルーカス
ラッセル・クロウ:リッチー・ロバーツ
キウェテル・イジョフォー:ヒューイ・ルーカス
キューバ・グッディングJr.:ニッキー・バーンズ
ジョシュ・ブローリン:トルーポ
テッド・レヴィン:ルー・トバック
アーマンド・アサンテ:ドミニク・カッターノ
ライマリ・ナダル:エヴァ
ルビー・ディー:ルーカス夫人
カーラ・グギノ:ローリー・ロバーツ
ジョー・モートン:チャーリー・ウィリアムス
ジョン・オーティス:ハヴィー・リヴェラ
ロジャー・グーンヴァー・スミス:ネイト
ロジャー・バート:連邦弁護士
クラレンス・ウィリアムズ3世:エルワース”バンピー”ジョンソン
リック・ヤン:中国の将軍
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
2007年製作 158分
公開
北米:2007年11月2日
日本:2008年2月1日
製作費 $100,000,000
北米興行収入 $130,164,650
世界 $265,495,450
■ アカデミー賞 ■
第80回アカデミー賞
・ノミネート
助演女優(ルビー・ディー)
美術賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1968年ハーレム。
人々から慕われ、誰も彼のことをギャングと呼ばなかった大物”バンピー”ジョンソン(クラレンス・ウィリアムズ3世)がこの世を去り、葬儀にはニューヨーク州知事、市長ら角界の著名人が参列した。
15年以上、ボスに仕えた部下フランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、彼の死後、借りのある者からの取立てを誓う。
一方、離婚裁判中のニューアークの刑事リッチー・ロバーツ(ラッセル・クロウ)は、相棒のリヴェラ(ジョン・オーティス)との捜査中、警察へのワイロ100万ドルを見つけてしまう。
リヴェラは、その金を署に差し出すと大事になるとリッチーに忠告するが、彼は上司ルー・トバック(テッド・レヴィン)にそのワイロを報告する。
そして、リッチーとリヴェラは、当然のごとく同僚から白い目で見られるようになる。
ニューヨーク市警の刑事トルーポ(ジョシュ・ブローリン)ら汚職警官は、押収した麻薬を薄めて再びシンジケートに流すという、警察がその市場を牛耳る構図を作り上げていた。 バンピーの死後、秩序が乱れたハーレムで、彼の意思を継ぐフランクが次第に頭角を現してくる。 ベトナム戦争が泥沼化する中、兵士の1/3はヘロインを体験し、軍当局は大量の麻薬を押収していた。 それに目をつけたフランクは、バンコクに飛び軍下士官のネイト(ロジャー・グーンヴァー・スミス)の紹介で黄金の三角地帯に向かう。 中国人の将軍(リック・ヤン)に接触したフランクは、全財産を注ぎ込み、100キロものヘロインを手に入れる。 フランクは軍を巻き込み、大量のヘロインを軍輸送機でアメリカ本土に持ち込む手はずを整えて帰国する。 密輸された純度100%のヘロインは、”ブルーマジック”と名づけられ、フランクの手によってさばかれる。 リッチーは、警察官と法律学校通いの二重生活を続け、妻ローリー(カーラ・グギノ)に、息子の親権を奪われそうになっていた。 警官にも拘らずヤク中のリヴェラは、密売人の金を奪おうとして発砲してしまい、リッチーに助けを拒まれて逃走し、やがて、遺体で発見される。 リッチーは、上司トバックから特別麻薬取締局の指揮を任され、ワイロと関係しない警察官が集められる。 フランクは、麻薬の市場を独占し始めて巨万の富を手にし、故郷のノースカロライナから、母親(ルビー・ディー)や弟のヒューイ(キウェテル・イジョフォー)を呼び寄せ、大邸宅を提供する。 結局は、白人に利用されていただけのバンピーとは違い、フランクは、自分で”会社”を作り運営し、白人よりも良い品を安く売りさばくことを信念にしていた。 そして、正直さ、誠実さ、勤勉さを商売の基本と考えて、さらには、家族とルーツを忘れないことを、仕事を任せるヒューイ達に教え込む。 リッチーの指揮する、エセックス郡麻薬捜査班は誕生し、大物を釣るために行動を開始する。 純度の高い”ブルーマジック”は、注射器を使わずに吸い込むだけで効き、安価なため白人にも評判だということが分かり、リッチーは、それを売りさばく男の存在を突き止めようとする。 その頃フランクは、自分のナイトクラブでミス・プエルト・リコのエヴァ(ライマリ・ナダル)と出会い、一目で惹かれてしまう。 捜査が難航するリッチーはトバックから大金を預かり、売人に金をつかませる。 売人はマンハッタンに向かい、管轄外を承知でリッチーはそれを追う。 その金を奪ったニューヨーク市警のトルーポ達から、リッチーは金を取り戻すものの脅しをかけられる。 危ない仕事、だらしのない女性関係、親権争い中のリッチーの立場はますます不利になる。 密輸は順調に行われ、ビジネスは膨れ上がるが、浮かれるヒューイ達に、フランクは派手な振る舞いを禁ずる。 イタリア系マフィア、ルッケーゼ・ファミリーのボス、カッターノ(アーマンド・アサンテ)に接触したフランクは、彼にヘロインを卸す約束をする。 1971年3月8日。 目立つことを嫌うフランクの素顔は、殆ど謎のままだったが、エヴァのプレゼントの、派手な毛皮を着込んだ彼は、颯爽と会場に姿を現す。 その場に居合わせたリッチーの前に、マフィアの大物達と歓談する、初めて目にする”派手な男”(フランク)が目に留まる。 やがてフランクとエヴァは結婚式を挙げるが、その当日、彼はトルーポから強引にワイロを要求されてしまう。 フランクは、コートをボクシング会場に着ていったことを後悔して燃やしてしまう。 その後フランクは、大切な日を台無しにされ、侮辱された腹いせにトルーポに脅しをかける。 ハーレムを牛耳るニッキー・バーンズ(キューバ・グッディングJr.)が、”ブルーマジック”を薄めてさばいていることを知ったフランクは、ブランドを汚すニッキーを許さなかった。 フランクに捜査の的を絞ったリッチーは、身の危険を感じながらの日々を過ごしていた。 ローリーとの裁判にも出廷しなければならならないリッチーは、法廷でローリーに責められ、結局親権を放棄してしまう。 トルーポは執拗にフランクにワイロを要求し、何者かが彼とエヴァを銃撃する。 フランクを逮捕されると、ワイロ以外の金づるを失ってしまうトルーポは、リッチーに手を組むことを提案する。 しかし、リッチーは聞く耳を持たず、トルーポを追い返す。 ベトナム戦争が終結間近となり、身の危険も感じるフランクに焦りの色が見え始める。 フランクの手下を脅し、隠しマイクでヘロイン到着の情報を掴んだリッチーは、入国した米軍輸送機の捜査を始める。 輸送機から運び出された、兵士達の遺体まで調べ始めたリッチーだったが、連邦弁護士(ロジャー・バート)に噛み付かれ、押し問答になる。 一方、トルーポはフランクの屋敷に押し入り、隠されていた現金を奪う。 それを知ったフランクは復讐の準備を始めるが、悪事に手を染める息子を母親が戒める。 兵士の遺体の収容棺に目を付けたリッチーは、確かな証拠を掴み、ある団地がヘロイン精製の作業場だということを突き止める。 トバックの令状を受取り、団地に侵入したリッチーらは、一気に作業場に押し入り、現場を制圧してフランクの元に向かう。 フランクは逮捕起訴され、リッチーは検察側として法廷に立つが、二人の最終目的は、お互いを苦しめた汚職警官を捕まえることだった。 フランクの協力で、ニューヨーク市警麻薬捜査課の汚職の実態が次々と明らかになる。 それが大スキャンダルとなっていく中、トルーポは逮捕を恐れ自ら命を絶つ。 フランク・ルーカスは、麻薬流通の罪で70年の刑になり、2億5000万ドルの資産は押収される。 フランクとリッチーの協力で、ニューヨーク麻薬捜査局の捜査官の3/4が有罪になり、フランクの一族30人が刑務所行きとなる。 リッチー・ロバーツは弁護士となり、最初の依頼人はフランクだった。 フランクは、捜査への協力で15年の減刑となり、1991年に釈放された。
...全てを見る(結末あり)
ジョー・フレージャーとモハメド・アリが、”マジソン・スクエア・ガーデン”で対戦する”世紀の一戦”をフランクは観戦に行く。
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*(簡略ストー リー)
1968年ハーレム。
人々から慕われた大物”バンピー”ジョンソンが他界し、15年以上、彼に仕えた部下フランク・ルーカスは、ボスに借りのある者からの取立てを誓う。
一方、ニューアークの刑事リッチー・ロバーツは、捜査中に警察へのワイロ100万ドルを見つけ、上司トバックに報告し、当然のごとく、同僚から白い目で見られるようになる。
ニューヨーク市警の刑事トルーポら汚職警官は、押収した麻薬をシンジケートに流し、警察がその市場を支配するという構図を作り上げていた。
やがて、バンピーの死後、ハーレムの秩序が乱れ、フランクが次第に頭角を現す。
フランクは、ベトナム戦争で兵士から押収した大量のヘロインを、軍輸送機でアメリカ本土に持ち込むルートを作り上げる。
国内に入った純度100%のヘロインは、”ブルーマジック”と名づけられ、フランクの手によってさばかれ、彼は、イタリア系マフィアが牛耳っていた市場を手に入れる。
その頃リッチーは、上司トバックから、特別麻薬取締局の指揮を任され、ワイロに関係しない警察官が集められ、組織壊滅に向け動き出すのだが・・・。
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泥沼状態のベトナム戦争を利用した、独自の麻薬ルートを確立していく、アメリカの裏社会を生々しく描いた前半、ターゲットを絞れずに捜査を始める捜査官と、終盤(2時間16分後)まで二人が顔を合わすことがなく展開するストーリーは見応え十分。
精力的に話題作を発表し活躍を続けるリドリー・スコットが、デンゼル・ワシントンと、名コンビとなったラッセル・クロウという、アカデミー賞受賞者を起用した意欲作でもあるが、4度目のアカデミー賞ノミネートが確実視されながらも、残念ながらそれを果たせなかった。
参考:
リドリー・スコット・アカデミー賞ノミネート作品
・「テルマ&ルイーズ」(1991)
・「グラディエーター」(2000)
・「ブラックホーク・ダウン」(2001)
製作費に1億ドルをかけ、北米興行収入は約1億3000万ドル、全世界では約2億6600万ドルのヒットとなった。
第80回アカデミー賞では、助演女優(ルビー・ディー)と美術賞にノミネートされた。
デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ共に、実在の人物を演じ、かなり役に成りきっている感じだ。
デンゼル・ワシントンは、表情や仕草などだけで、観る者を引き付け唸らせてくれる、いつもながらの円熟の演技を見せてくれる。
だらしなく太った体と、情けない姿を見せながら、ラッセル・クロウも、人間味ある捜査官を好演し、また新鮮味もある。
物語を左右する、キーポイントとなるシーン、ジョー・フレージャーとモハメド・アリが、マジソン・スクエア・ガーデンで対戦した”世紀の一戦”ボクシング・ヘビー級タイトルマッチの再現を期待していたのだが、あまりにアッサリし過ぎたていたのが残念だ。
しかし、自分がこのような場面に興味があるための我がままで、ストーリーの役割としては十分のシーンだとも言える。
1960~1970年代の、ファッションや音楽などの時代の空気、さらにはハーレムの街並みセットなどは見事に当時を再現している。
「フレンチコネクション」(1971)の物語の、実際の事件を指す台詞が度々登場するが、映画の主人公ドイルのモデルになったエディ・イーガンが押収した麻薬を、汚職警官が持ち出そうとするシーンも本作に登場する。
本作中、軍輸送機を解体する場面は、「フレンチコネクション」で主人公達が、リンカーン・コンチネンタルをバラバラに解体し、執念で麻薬を見つける場面を彷彿させる。
また、ラッセル・クロウ扮するリッチーが、生活や女にだらしのないところなども、主人公ドイルに似ていて興味深い。
ドラマの中で、重要な登場人物だったはずの、ニッキー・バーンズ役のキューバ・グッディングJr.が、彼にしては、ややミスキャスト気味であったのが気になる。
どちらがギャングかわからないほど、威圧的な汚職警官ジョシュ・ブローリン、汚れた警察署内で、リッチーを支援する上司テッド・レヴィン、イタリア系マフィアのボス、アーマンド・アサンテ、フランクの美しい妻ライマリ・ナダル、息子の悪事を一喝するアカデミー助演賞にノミネートされたルビー・ディー、離婚訴訟中のリッチーの妻役カーラ・グギノ、リッチーのヤク中の相棒ジョン・オーティス、の弟キウェテル・イジョフォー、最近ゲイ役が続いていたロジャー・バートが、リッチーに詰め寄る政府の弁護士役でわずかに登場する。
劇場に足を運んだその日は、平日の夕方ということで、場内は貸切状態。
まるで、デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウに招待された気分だった。
意表をつくラストは、自分のために用意してくれてあった?と思えるくらい大満足!!
エンドロールの最後まで見逃さないように・・・。