イングランドの奴隷貿易廃止に半生を捧げたウィリアム・ウィルバーフォースと協力者の闘いを描く、製作テレンス・マリック、監督マイケル・アプテッド、主演アン・グリフィズ、ロモーラ・ガライ、ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・ガンボン、アルバート・フィニー、キアラン・ハインズ他共演のドラマ。 |
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■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・アプテッド
製作総指揮
ジーニー・キム
ジェームズ・クレイトン
ダンカン・リード
製作
エドワード・R・プレスマン
テレンス・マリック
パトリシア・ヒートン
デヴィッド・ハント
ケン・ウェールズ
脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:レミ・アデファラシン
編集:リック・シャイン
音楽:デイヴィッド・アーノルド
出演
ウィリアム・ウィルバーフォース:ヨアン・グリフィズ
バーバラ・スプーナー:ロモーラ・ガライ
ウィリアム・ピット:ベネディクト・カンバーバッチ
チャールズ・ジェームズ・フォックス卿:マイケル・ガンボン
バナスター・タールトン:キアラン・ハインズ
クラレンス公:トビー・ジョーンズ
ジョン・ニュートン:アルバート・フィニー
ジェームズ・スティーブン:スティーブン・キャンベル・ムーア
ヘンリー・ダンダス卿:ビル・パターソン
ヘンリー・ソーントン:ニコラス・ファーレル
トマス・クラークソン:ルーファス・シーウェル
オラウダ・エクィアノ:ユッスー・ンドゥール
アメリカ/イギリス 映画
配給 Roadside Attractions
2000年製作 117分
公開
北米:2007年2月23日
イギリス:2007年3月23日
日本:2011年3月5日
製作費 $29,000,000
北米興行収入 $21,208,360
世界 $27,213,390
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1797年、イングランド、バース。
心身ともに病んでいる、奴隷貿易廃止論者である政治家ウィリアム・ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)は、いとこのヘンリー・ソーントン(ニコラス・ファーレル)の邸宅で静養を始める。
ソーントンと妻は、ウィリアムとバーバラ・スプーナー(ロモーラ・ガライ)を無理矢理に結び付けようとしたため、二人は気分を害してしまう。
15年前。
ウィリアムは、同じくトーリー党の、友人である若き政治家ウィリアム・ピット(ベネディクト・カンバーバッチ)に、世の中を変えてみせると言って首相になる決意を告げられる。
ピットの側近として、協力を要請されたウィリアムは、屋敷である集会を開き、トマス・クラークソン(ルーファス・シーウェル)や元奴隷のオラウダ・エクィアノ(ユッスー・ンドゥール)の話から、奴隷貿易の実態を知る。
かつて、奴隷船の船長をしていた聖公会の聖職者ジョン・ニュートン(アルバート・フィニー)を訪ねたウィリアムは、彼に意見を求め、使命を果たせと助言される。 現在。 ギクシャクしながらも、バーバラとの親交を徐々に深めたウィリアムは、エクィアノの著書が評判になったことや、嘆願書の署名が300万人集まった、かつての活動の話などをする。 しかし、世界中に奴隷船が存在している現状に怒りを露にするウィリアムは、そんな自分を受け入れるバーバラに癒される。 東インド会社の船着場に向かったウィリアムは、エクィアノに奴隷船内を案内され、その過酷な状況を把握する。 議会で奴隷貿易について論じ始めたウィリアムは、元軍人のバナスター・タールトン(キアラン・ハインズ)から、国益に反する発言だと痛烈に非難される。 当然のごとく、議会でウィリアムに賛同する者は殆どいなかったが、敵対していたホイッグ党のチャールズ・ジェームズ・フォックス卿(マイケル・ガンボン)が、彼の集会に参加する。 ウィリアムと首相になっていたピットは、フォックスの加入をチャンスと見て、港町出身の議員の協力で、他議員に奴隷船の実態を知らせたり、過酷な状況の証拠を集める。 その後、ウィリアムはエクィアノに自伝を発表させて、それが反響を呼び2ヶ月で5万冊が売れる。 しかし、農園主や船主は、ウィリアムらを反乱分子と呼び誹謗中傷が絶えなかった。 ウィリアムは、一般市民の声として39万人が署名した嘆願書を議会で公開し、その場でフォックスに署名させる。 クラレンス公(トビー・ジョーンズ)は、それを阻止することが出来ず、猛烈に抗議するタールトンとウィリアムは言い合いになるが、書名を検分するために休会となる。 その後、影響力のある、奴隷貿易廃止派だったヘンリー・ダンダス卿(ビル・パターソン)が、タールトンに買収されて、早急に廃止することには賛成できないことを表明する。 王に仕える身という基本理念があるウィリアムは、完璧な自由を勝ち取らねば意味がないと言うトマスから、フランスで起きようとしている革命を見習うべきだと助言される。 それに対し賛同しきれないウィリアムに失望したトマスは、独りフランスに向かう。 そんな時ウィリアムは、無理が祟り体調を崩し、革命が成功すればフランスが攻めてくることを恐れるピットに、その場合の騒ぎの扇動者になりかねないとまで言われてしまう。 ウィリアムは、その後の結末を含め、全てを受け入れてくれたバーバラとの結婚を決意し、二人は盛大な結婚式を挙げる。 再び立ち上がる気になったウィリアムは、式に招待していたピットにそれを告げて、彼に励まされる。 ニュートンを訪ねたウィリアムは、罪の意識から、奴隷船についての自伝を発表しようとする彼から、涙ながらに励まされる。 ウィリアムはロンドンに向かい、トマスや弁護士ジェームズ・スティーブン(スティーブン・キャンベル・ムーア)らも呼び戻して活動を再開する。 今回は、失敗が許されないというスティーブンの考えで、アメリカの国旗を掲げているフランスの輸送船を、拿捕の対象にするという法案を通させようとする。 タールトンは、それが奴隷貿易廃止論者の陰謀だと気づくものの反論は受け入れられず、賛成派議員を集めて回るのだが、ウィリアムは既に手を打ってあった。 2年後。 1807年2月23日。 ニュートンやバーバラらが見守る中、ウィリアムの20年間に渡る戦いに、人々から惜しみない拍手が贈られる。 クラレンス公も、タールトンに”ノブレス・オブリージュ”と語り、平民の美徳を称え、彼と共に起立して拍手する。 静まった議会で、フォックスはウィリアムを称えて、再び場内は大きな拍手に包まれる。 ウィリアム・ウィルバーフォースは、その後も、教育、医療、刑務所の改革を進め、よりよい世界作りに従事した。 ウィルバーフォースは1833年に亡くなるまで、奴隷解放活動を続けた。 彼の遺体は、ウエストミンスター寺院で、ウィリアム・ピットの隣に埋葬された。
...全てを見る(結末あり)
アヘンチンキに頼る日々を送るウィリアムは、奴隷の悪夢でうなされ、ソーントンに後進に道を譲るよう言われる。
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子供も産まれたウィリアムは、病に倒れ死を目前にするピットに、奴隷貿易廃止法案は必ず通ると励まされる。
そして、法案は反対16名に対し賛成283名で可決され、奴隷貿易廃止法案の通過が宣言される。
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*(簡略ストー リー)
奴隷貿易の実態を知った若き政治家ウィリアム・ウィルバーフォースは、同じく首相を目指すウィリアム・ピットの協力者となりながら奴隷貿易廃止活動を始める。
ウィリアムは、それが国益に反すると叩かれながらも、同志と共に地道な活動を続けるものの、結局はそれが失敗に終わる。
心身ともに病んでしまったウィリアムは療養を
始め、いとこソーントンに無理矢理に紹介されたバーバラ・スプーナーとの親交で、意外にも彼は癒されることになる。
その後、バーバラとの結婚を機に、活動を始めたウィリアムは、失敗が許されない中で、同志と共に再び立ち上がる・・・。
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ドラマにも登場する、名優アルバート・フィニーにより重厚に演じられた、元奴隷船船長ジョン・ニュートン作詞の”アメイジング・グレイス”がタイトルになっている。
(作曲者は不詳)
敬虔なクリスチャンとして育ったニュートンが、自分の行いを後悔して神に祈った、心の内を歌った余りにも有名な曲が、本作のテーマとして、ベテラン監督マイケル・アプテッドの骨太の演出と共に、全編を貫く力強いメッセージとなっている。
尚、奴隷貿易廃止法案通過の際、議会で主人公ウィリアム・ウィルバーフォースを称える同僚議員のチャールズ・ジェームズ・フォックス卿は、実際はその5ヶ月前に亡くなっていた。
ドラマ冒頭で衰弱し、アヘンチンキに頼る病弱の状態で登場するウィルバーフォースは、その後は、強い意志と信念に支えられたのか73歳まで活動を続けた。
その主人公を迫真の演技で演ずるヨアン・グリフィズ、彼の長所も短所も受け入れて支える妻となるバーバラ・スプーナーのロモーラ・ガライ、主人公の友人でもある、若き首相ウィリアム・ピットのベネディクト・カンバーバッチ、奴隷賛成派から反対派に転じて大きな力となるチャールズ・ジェームズ・フォックス卿のマイケル・ガンボン、実力派らしく賛成派のリーダー格として存在感ある演技を見せるバナスター・タールトンのキアラン・ハインズ、後の国王ウィリアム4世・クラレンス公のトビー・ジョーンズ、元奴隷船船長で聖職者ジョン・ニュートンのアルバート・フィニー、反対派の弁護士ジェームズ・スティーブンのスティーブン・キャンベル・ムーア、同じくトマス・クラークソンのルーファス・シーウェル、反対派ではあるが賛成派を擁するヘンリー・ダンダス卿のビル・パターソン、主人公のいとこヘンリー・ソーントン役のニコラス・ファーレル、元奴隷のオラウダ・エクィアノのユッスー・ンドゥール等、イギリスを代表する役者の競演も注目だ。