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天国への階段 A Matter of Life and Death (1946)

マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガー製作、監督、脚本による、ファンタジー・ドラマの傑作。
戦死して天国に向かうはずだったパイロットの愛と生命を求める姿を描く、主演デヴィッド・ニーヴンキム・ハンターロジャー・リヴセイ他共演のファンタジー・ロマンス。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ファンタジー


スタッフ キャスト ■
監督
マイケル・パウエル

エメリック・プレスバーガー
製作
マイケル・パウエル

エメリック・プレスバーガー
脚本
マイケル・パウエル

エメリック・プレスバーガー
撮影:ジャック・カーディフ
編集:レジナルド・ミルズ
音楽:アラン・グレイ

出演
ピーター・デヴィッド・カーター:デヴィッド・ニーヴン

ジューン:キム・ハンター
フランク・リーヴス医師:ロジャー・リヴセイ
ボブ・トラブショウ:ロバート・クート
天使:キャスリーン・バイロン
コンダクター71:マリウス・ゴーリング
エイブラハム・ファーラン:レイモンド・マッセイ
記録官長:ジョアン・モード
裁判長/外科医:エイブラハム・ソファー
イギリス人パイロット:リチャード・アッテンボロー
アメリカ人パイロット:ボナー・コリアーノ

イギリス 映画
配給
Eagle-Lion Films(イギリス)
ユニバーサル・ピクチャーズ(北米)
1946年製作 104分
公開
イギリス:1946年11月1日
北米:1946年12月25日
日本:1950年5月27日
製作費 £320,000
北米興行収入 £650,000


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1945年5月2日、第二次大戦下。
イギリス空軍パイロットのピーター・デヴィッド・カーター少佐(デヴィッド・ニーヴン)は、ドイツ爆撃の任務を終えて帰還途中、無線連絡を入れる。

アメリカ人の交信オペレーター、ジューン(キム・ハンター)は、機体が大きく破損し戦死した無線士ボブ・トラブショウ(ロバート・クート)以外は脱出したことをピーターから知らされる。

ピーターは、母と妹に愛していたというメッセージを、電報で送ってほしいとジューンに伝える。

パラシュートがないので飛び降りると言うピーターは、ジューンが美人であるかを確認して恋人がいるかを問う。

ジューンはピーターが理想の男性だと伝え、彼も愛していると答える。

住所を聞いたピーターは、死んだら幽霊になって訪ねると言って、彼女との会話だけが最後の救いだと語り死を覚悟する。
...全てを見る(結末あり)

ジューンに別れを告げたピーターは、ボブに直ぐに会えると語りかけながら機体から飛び降りる。

その後、ピーターは海岸に打ち上げられる。

天国。
その場に到着したイギリス人パイロット(リチャード・アッテンボロー)やアメリカ人パイロット(ボナー・コリアーノ)は、天使(キャスリーン・バイロン)の元で手続きをする。

天使はボブに近づき、待つ人物が現れないため、何かの間違いでないかを問う。

ボブは、現れるはずのピーターを待っていたのだが、諦めて手続きをする。

目覚めたピーターは、自分が天国に着いたと思い込み、付近にいた少年に、どこに行けばいいのかを尋ねる。

飛行場かと聞かれた瞬間、上空を爆撃機が通過し、ピーターは、ここが現実の世界かと考える。

この場の地名を聞いたピーターは、ジューンが住んでいる場所だと気づき、海岸線を自転車で走る人物に気づく。

その場から見える建物に住むアメリカ人かもしれないと言う少年の言葉で、ピーターはそれがジューンだと確信する。

自転車に乗っていた女性に近づいたピーターは、ジューンであるかを確かめる。

ジューンもピーターだと気づき、驚きながら、二人はその瞬間に愛を確信してキスする。

天国。
フランス革命で斬首刑になった貴族コンダクター71(マリウス・ゴーリング)は、送り状に従いピーターを迎えに行ったものの、霧の中で彼を見失ったことを記録官長(ジョアン・モード)に伝える。

コンダクター71は、ピーターを連れてくるよう指示され地上に向かう。

ピーターの前に現れたコンダクター71は時間を止め、ボブの伝言を伝える。

コンダクター71は、霧の中で見失ったピーターを天国に連れて行き、適応させるための訓練を受けさせることを伝える。

それを断ることはできないと言うコンダクター71は、待っていればジューンも来ることを知らせるが、彼女は97歳まで生きる予定だった。

ピーターは、コンダクター71の失態で恋をしたので、自分は悪くないと言い張る。

抗告すると言われたコンダクター71は、時間を与えることでピーターを納得させて姿を消す。

時間は動き始め、使者が現れ、霧により行く予定が狂ったことなどをジューンに伝えたピーターは混乱し、彼女はその話が理解できない。

友人でもある村医者フランク・リーヴス(ロジャー・リヴセイ)を訪ねたジューンは、幻覚と頭痛に悩むピーターを診察してもらおうとする。

ジューンと過ごしていたピーターに会ったリーヴスは、頭痛についてを尋ね、その場で簡単な診断をして幻覚のことを聞く。

天国からの使者が来た際に、強烈なオニオンフライのような匂いがしたことや、その使者がまた現れるというピーターの話を聞いたリーヴスは二人を家に誘う。

リーヴスの家で、ピーターが眠っている間に診断の結果を聞いたジューンは、彼が正常であることを知る。

ピーターが抗告したという裁判に勝つために、協力することをリーヴスはジューンに約束し、二人はピンポンの続きを楽しむ。

その時、時間が止まり、例の匂いを感じたピーターは目覚める。

現れたコンダクター71に驚くピーターは、抗告の許可が出たことを知らされ、準備に3日間が与えられる。

コンダクター71は、検察官が、”アメリカ独立戦争”勃発時にイギリス軍に撃たれて死んだエイブラハム・ファーラン(レイモンド・マッセイ)であることを知らせる。

ピーターは、イギリス人を憎み恋も嫌うファーランに勝ちたいのなら、優秀な弁護人を探すようコンダクター71に言われる。

時は動き始め、ピーターが鳴らしたベルに気づいたジューンとリーヴスは、使者が現れたことを彼から知らされる。

二人は混乱するピーターを介抱し、ジューンは、抗告が認められたと言う彼を励ます。

弁護人しだいだと言うピーターに、リーヴスは自分が現実の世界の弁護人であり、全てを信じると伝える。

軍病院に向かったリーヴスは、2年前に軽い脳震盪を起こして臭覚を伴う幻覚を見る、癒着性クモ膜炎患者の手術をしたいことを軍医に伝える。

今夜の裁判で運命が決まるため、その前に手術したいと言ってリーヴスは力説する。

コンダクター71と弁護士を誰にするかを考えながら、天国に連れて行かれる悪夢を見たピーターはジューンに起こされる。

救急車を待つリーヴスは、凡人がいいと言うピーターに、ボブを弁護人の候補にするよう伝える。

ピーターは寄り添うジューンに、弁護人はボブではダメだと言って、それをリーヴスに伝えるよう指示する。

嵐の中、バイクで救急車を迎えに行ったリーヴスは、その救急車に衝突しそうになり事故を起こして死亡する。

救急車で運ばれるピーターは、リーヴスが先に行ったことをジューンから知らされる。

病院に着き手術室に運ばれたピーターは、麻酔をかけられて意識を失う。

天国。
コンダクター71は、現れたリーヴスに彼の部屋から借りてきた本を返す。(”アレクサンドル・アレヒン”の”チェス名局選”)

リーヴスは、記録官長からピーターの弁護人に指名される。

ボブを証人としてピーターに会うよう指示されたリーヴスは、コンダクター71と共に地上に向かう。

時は止まり、手術中のピーターは、現れたリーヴスが弁護人だということを確認する。

ジューンにキスしたピーターは、彼女の涙が愛の証拠になると言い、コンダクター71がそれをバラの花びらで採取する。

天国。
裁判は始まり、裁判長(エイブラハム・ソファー)は、ピーターの抗告が許可されたことを伝え、検察官ファーランと弁護人リーヴスを呼ぶ。

ファーランは、死亡する予定だったピーターが手落ちにより生存期間が延び、その間にアメリカ人女性と恋に落ちたことについての責任の所在を追及する。

アメリカ人とイギリス人の恋など偽りであると言うファーランに、リーヴスは反論する。

その頃、地上では、リーヴスは保障していたのだが、ピーターの手術は難航していた。

陪審員がいずれもイギリスと戦った当事国から選ばれたことを知ったリーヴスは、アメリカ市民の陪審員への変更を求める。

ファーランが異議ないことを確認した裁判長は、陪審員の交替を命ずる。

バラの花にピーターを愛した者がいる証拠があると語るリーヴスは、被告の生存許可の評決を求める。

陪審員は、被告と相手の女性に釈明の機会を与えることを裁判長に求め、法廷は休廷となる。

裁判長以下関係者は地上に向かい、法廷はその場に移される。

ピーターへの質問が始まり、ファーランは、彼の生きたいと言うその理由であるジューンに対する愛を確かめる。

ファーランは、次の証人としてジューンを指名し、彼女のピーターに対する愛も確かめ、身代りになり命を捧げてもいいかを問う。

ピーターはジューンを渡すつもりはなく、罠だと言って激しく反発する。

ファーランは、二人の愛は本物であることは認め、リーヴスは、ジューンが来ればピーターは助かると語る。

当然ピーターは納得できないが、ジューンはそれに従おうとする。

ピーターは抵抗できなくなり、ジューンは彼に別れを告げて天国に向かう。

ところが、宇宙では法律が全てを支配すると言ったファーランの言葉を否定したリーヴスは、地上では愛の力が全てであることを語る。

ジューンはピーターの元に戻り、裁判長は、天は愛のため、愛は天のためにあると語り、陪審員の評決を求める。

陪審員は無罪を伝え、コンダクター71やボブも喜ぶ。

裁判長はピーターの記録を訂正し、リーヴスとファーランに確認させる。

そして地上では、外科医(エイブラハム・ソファー)によるピーターの手術は成功する。

コンダクター71は、大事な物だと言ってピーターに本を返す。(リーヴスの本)

ジューンは、ピーターの上着のポケットに入っていた”アレクサンドル・アレヒン”の”チェス名局選”に気づく。

ピーターはリーヴスの名を呼びながら目覚め、目の前のジューンに笑顔を見せて勝訴したことを伝える。

ジューンは知っていると答え、ピーターに寄り添う。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1945年5月2日、第二次大戦下。
イギリス空軍パイロットのピーター・デヴィッド・カーター少佐は、敵地爆撃を終えて帰還途中、破損した機体から交信連絡をする。
アメリカ人オペレーターのジューンは、ピーターを励ましながら互いに愛を感じる。
その後、ピーターは機体から脱出し海岸に打ち上げられる。
天国では、ピーターの部下で戦死した無線士ボブが彼を待っていたのだが、ピーターが現れないため諦める。
目覚めたピーターは、自分が死んでいないことに気づき、偶然にもジューンと再会し、その瞬間に愛を確かめる。
二人は平穏な時間を過ごすのだが、そこに、天国の使者コンダクター71が現れ、自分の失態でピーターを連れて行けなかったことを伝える。
ピーターはジューンとの愛を諦められず、自分に落ち度がないことを主張し、抗告することをコンダクター71に伝える。
その後、ジューンに頼まれ、使者や幻覚を見たというピーターを診察した村医者リーヴスは、彼を信じて協力を約束するのだが・・・。
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まず、本作が撮影されてのが、第二次大戦終結直後であることに注目したい。

物語が始まる日時1945年5月2日は、当時のドイツの首都ベルリンソ連軍に占領された日であり、撮影はその4か月後から始まっている。

その混乱期の中で、これだけの作品を制作できたこと自体が驚きだ。

主題は”愛”にあるものの、マイケル・パウエルエメリック・プレスバーガーは、生と死に直面しながら生きる主人公と、現実社会と愛の力を丹念に描きながら、争い合うことの虚しさなどを理解させようとしている。

現実は美しいカラー、非現実から天の世界の出来事はモノクロで描く映像技法や特殊撮影、人の生命力や意思を感じさせるアップによる効果なども素晴らしい。
そして、圧巻とも言える天に向かう階段を映し出す、ハリウッド映画さながらのスケール感のあるセットなどは、当時を考えると信じ難いほどだ。

生死の界で手に入れた愛の力により、延命を許されるパイロットを熱演するデヴィッド・ニーヴン、主人公を支える交信オペレーターで、美しい瞳とその表情が非常に印象的なキム・ハンター、主人公を信じて協力する村医者ロジャー・リヴセイ、主人公の部下である無線士ロバート・クート、記録官である天使のキャスリーン・バイロン、ユーモアを兼ね備えた強烈なキャラクターである天国の使者マリウス・ゴーリング、検察官レイモンド・マッセイ、天国の記録官長ジョアン・モード、裁判長と外科医を演ずるエイブラハム・ソファー、そして、戦死したパイロット役で若き日のリチャード・アッテンボロー、同じくボナー・コリアーノらが共演している。


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