1972年、当時15歳のキャメロン・クロウ(製作、監督、脚本)が、実際に”ローリング・ストーン”誌のベン・フォン=トーレスに会いに行き記者として雇われた経験などを基にした作品。 神童と言われ厳しい母の躾に従っていた少年が音楽好きの姉に感化されてその世界に魅了されていく姿を描く、主演ビリー・クラダップ、フランシス・マクドーマンド、ケイト・ハドソン他共演の青春映画。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:キャメロン・クロウ
製作
キャメロン・クロウ
イアン・ブライス
脚本:キャメロン・クロウ
撮影:ジョン・トール
編集
サー・クライン
ジョー・ハットシング
音楽:ナンシー・ウィルソン
出演
ビリー・クラダップ:ラッセル・ハモンド
フランシス・マクドーマンド:エレイン・ミラー
ケイト・ハドソン:ペニー・レイン
パトリック・フュジット:ウィリアム・ミラー
ジェイソン・リー:ジェフ・ベイブ
フィリップ・シーモア・ホフマン:レスター・バングス
テリー・チェン:ベン・フォン=トーレス
ノア・テイラー:ディック・ロスウェル
ジミー・ファロン:デニス・ホープ
ズーイー・デシャネル:アニタ・ミラー
アンナ・パキン:ポレキシア・アフロディシア
ビジャー・フィリップス:エストレラ・スター
フェアルザ・バルク:サファイア
マイケル・アンガラノ:ウィリアム(11歳)
アメリカ 映画
配給
ドリームワークス(北米)
コロンビア・ピクチャーズ(世界)
2000年製作 122分(特別編162分)
公開
北米:2000年9月13日
日本:2001年3月17日
製作費 $60,000,000
北米興行収入 $32,522,350
世界 $47,383,690
■ アカデミー賞 ■
第73回アカデミー賞
・受賞
脚本賞
・ノミネート
助演女優(ケイト・ハドソン/フランシス・マクドーマンド)
編集賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1969年、サンディエゴ。
夫に先立たれていた大学教授エレイン・ミラー(フランシス・マクドーマンド)は、子供達が社会に毒されるのを嫌い、自分の物差しで子供の行動を規制し、年頃の娘アニタ(ズーイー・デシャネル)は不満を爆発させる。
成績優秀な息子ウィリアムは、同級生との体系の違いに疑問を持ち始め、自分が周りより2歳若い飛び級した11歳だと知らされショックを受ける。
アニタは18歳のある日、ベッドの下に、母エレインには理解できない音楽のレコードをウィリアムに残し、旅立って行く。
1973年。 ヘヴィメタルのロックバンド”ブラック・ サバス”のコンサートで、彼らに取材を申し込んだウィリアムは門前払いされる。 しかしウィリアムは、バンドを追う”グルーピー”のペニー・レイン(ケイト・ハドソン)、エストレラ(ビジャー・フィリップス)、ポレキシア・アフロディシア(アンナ・パキン)、サファイア(フェアルザ・バルク)らと出会う。 彼女らと楽屋に紛れ込もうとしたウィリアムは、再び締め出されてしまうが、その後に現れたバンド”スティルオォーター”のメンバーに気に入られ、ついに楽屋入りに成功する。 取材とコンサートを、楽屋裏で見たウィリアムは興奮し、ペニーとの再会を約束し帰宅する。 その後、ペニーに誘われて、ファンで賑わうバンドの滞在先に向かったウィリアムだったが、心惹かれるようになった彼女が、”スティルオォーター”のギタリスト、ラッセル・ハモンド(ビリー・クラダップ)と親しくなるために、自分をダシに使ったと仲間から言われてショックを受ける。 数日後、”ローリング・ストーン”誌のベン・フォン=トーレス(テリー・チェン)から記事の依頼を受けたウィリアムは、レスター・バングスに、”大手は利用するだけだ”と忠告を受けながらも記事を書くことを決める。 ウィリアムは、”スティルオォーター”のツアーに同行することを、条件付で母エレインから許可される。 しかし、バンドメンバーは、各バンドを酷評する”ローリング・ストーン”の記事を知っているので、ウィリアムを警戒する。 ウィリアムは母エレインとの連絡を怠り、ようやく電話していた傍らで、ペニーらの麻薬の話を母に聞かれてしまい、彼女はショックを受ける。 ウィリアムは、メンバー間のいざこざで怒ったラッセルと共に、あるパーティーに誘われる。 その場が気に入ってしまったラッセルは、バンドを辞めると言い出す。 仲間の元に戻ったラッセルは気を取り戻すが、ウィリアムは家に戻るタイミングを逸してしまうどころか、ポレキシア達と初体験してしまう。 その後、ウィリアムは”ローリング・ストーン”から記事の催促を受け、4000語の記事を至急書かなくてはならなくなってしまう。 ”スティルオォーター”は新マネージャー、デニス・ホープ(ジミー・ファロン)を迎え、ビッグになるために、バスから飛行機に乗り換えツアーを続ける。 ニューヨークに、本命の恋人がやって来るラッセルは、それをウィリアムに教える。 ウィリアムは、幻想に浸り本名さえ語らないペニーに目を覚ますよう忠告する。 そしてウィリアムは、ラッセルが、ペニーに対して本気でないことを口走ってしまう。 ニューヨークに着いた一行は、”ローリング・ストーン”の表紙を飾ることになるが、ラッセルの恋人が合流して、ペニーを邪魔者扱いする。 ショックを受けたペニーは、ホテルで睡眠薬を多量に飲み、介抱したウィリアムは彼女に愛を告白する。 翌日、ウィリアムは、回復したペニーと別れてツアーに戻るが、飛行機が雷雨で緊急着陸することになる。 恐怖に怯えたメンバーは罪を告白し始め、仕舞いには罵り合い、ペニーのことまで口にだす。 呆れ果てたウィリアムは、メンバーを人間のクズだと罵倒し、”スティルオォーター”を愛するペニーが自殺まで考えたことを知らせ、自分は彼女を愛していると声を荒げる。 無事に悪天候を切り抜けた一行は、サンフランシスコに到着し、ウィリアムはラッセルから”自由に書け”と言われ、メンバーに別れを告げる。 ”ローリング・ストーン”の編集社に向かったウィリアムは、一晩で記事を書き上げて気に入られるが、ラッセルをはじめ、メンバーは内容を否定し、記事は差し替えられることになってしまう。 スチュワーデスになっていた姉のアニタと、偶然出くわしたウィリアムは、家出同然で旅立った彼女と共に、母の待つ自宅に戻り、エレインは二人を温かく迎える。 マイアミでのコンサートの楽屋で、サファイアと再会したラッセルは、ペニーのことを聞き連絡を取り、彼女に謝罪して会いに行く。 ペニーが教えた住所はウィリアムの家で、ラッセルは、彼女が、もう一度、二人を引き合わせようとしたことを理解する。 ラッセルは、ウィリアムが書いた記事は事実だということを、”ローリング・ストーン”に伝えたと彼に知らせる。 そしてウィリアムは、ラッセルへのインタビューを始める。 ”スティルオォーター”はバス・ツアーに戻り活躍を始め、”ローリング・ストーン”の表紙を飾り、子供達を理解したエレインは、家族の幸せを取り戻す。 ペニーは、夢だったモロッコ行きを実現する。
15歳になったウィリアム(パトリック・フュジット)は、ロックン・ロール雑誌”クリーム”の編集長レスター・バングス(フィリップ・シーモア・ホフマン)と知り合い、”正直に、手厳しく”というアドバイスを受けて、記事を書くことを許可される。
...全てを見る(結末あり)
*(簡略ストー リー)
1973年、サンディエゴ。
大学教授の母エレイン・ミラーに行動を規制されて育った、成績優秀な15歳少年ウィリアムは、ロックン・ロール雑誌”クリーム”の編集長レスター・バングスと知り合い、記事を書くことを許可される。
ウィリアムは、早速、取材を始めるが、ロックバンドに門前払いされ、その場で、バンドを追うペニー・レインらと出会う。
その後ウィリアムは、バンドの”スティルオォーター”のメンバーに気に入られる。
ペニーに誘われ、バンドの滞在先に向かったウィリアムだったが、心惹かれるようになった彼女が、”スティルオォーター”のギタリスト、ラッセルと親しくなるために、自分を利用したことを知り、大きなショックを受ける。
数日後、”ローリング・ストーン”のベン・フォン=トーレスから、記事の依頼を受けたウィリアムは、バングスに、”大手は利用するだけだ”と忠告を受けながらも記事を書くことを決める。
そしてウィリアムは、ツアーに同行することを、条件付で母エレインから許可されるのだが・・・。
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興味を持つものの、全く異次元の世界に飛び込んだ少年が、酒や麻薬、女や人を利用する醜い大人の世界を目の当たりにしながら、ほろ苦い恋も経験して成長していく姿と、彼の純真さに心を動かされるバンド・メンバーとの交流を、エキサイティングに描いた秀作ドラマ。
弱々しい邦題は全く的外れで、繊細な人物描写やエネルギッシュな映像、ひ弱見える少年が、大人の心を捉える才能の持ち主であることなど、その逞しさが実によく伝わってくる痛快な作品でもある。
第73回アカデミー賞ではキャメロン・クロウが脚本賞を受賞して、助演女優賞にはケイト・ハドソンとフランシス・マクドーマンドが揃ってノミネートされた。
*他、編集賞もノミネート
興行的には、以外にも不振に終わった作品ではあるが、音楽映画としての評価は高く、架空のバンド”スティルオォーター”メンバーの言動なども含めて、1970年代初頭の雰囲気をよく出している。
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製作費 $60,000,000
北米興行収入 $32,522,350
世界 $47,383,690
音楽は、キャメロン・クロウの当時の妻である、”ハート”のナンシー・ウィルソンが担当しているところも注目だ。
大学教授であり、子供達を管理し過ぎる硬派の母親フランシス・マクドーマンドと、夢を見続ける愛すべきキャラクターのケイト・ハドソン、その対照的な演技も見所のひとつだ。
少年記者の出現で、人生観が変わるバンド・メンバー、ビリー・クラダップ、ませた子供という嫌味な感じのない”天才”記者のパトリック・フュジット、彼をサポートするジャーナリストのレスター・バングス役のフィリップ・シーモア・ホフマン、ベン・フォン=トーレスのテリー・チェン、好演するが、冒頭とクライマックスのみの出演が残念なズーイー・デシャネル、”グルーピー”の、今一影が薄い役柄であったアンナ・パキン、ビジャー・フィリップス、フェアルザ・バルク、11歳のウィリアム役でマイケル・アンガラノなどが共演している。