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オール・ザ・キングスメン All the King’s Men (2006)

1946年に発表された、ロバート・ペン・ウォーレンピューリッツァー賞受賞作”All the King’s Men”を基に製作された「オール・ザ・キングスメン」(1949)のリメイク。
監督、脚本スティーヴン・ザイリアン、主演ショーン・ペンジュード・ロウケイト・ウィンスレットキャッシー・ベイカージャッキー・アール・ヘイリージェームズ・ガンドルフィーニマーク・ラファロパトリシア・クラークソンアンソニー・ホプキンス他共演の社会派ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(社会派)

ショーン・ペン / Sean Penn / Pinterest


スタッフ キャスト ■
監督:スティーヴン・ザイリアン
製作:マイク・メダヴォイ
原作:ロバート・ペン・ウォーレンAll the King’s Men
脚本:スティーヴン・ザイリアン
撮影:パヴェル・エデルマン
編集:ウェイン・ワーマン
音楽:ジェームズ・ホーナー

出演
ショーン・ペン:ウィリー・スターク
ジュード・ロウ:ジャック・バーデン
ケイト・ウィンスレット:アン・スタントン
キャッシー・ベイカー:バーデン夫人
ジャッキー・アール・ヘイリー:ロデリック”シュガー・ボーイ”エリス
ジェームズ・ガンドルフィーニ:タイニー・ダフィ
マーク・ラファロ:アダム・スタントン
パトリシア・クラークソン:セイディ・バーク
アンソニー・ホプキンス:サミュエル・アーウィン判事
タリア・バルサム:ルーシー・スターク
ケヴィン・ダン:アレックス
トム・マッカーシー:編集長

アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2006年製作 128分
公開
北米:2006年9月22日
日本:2007年4月7日
制作費 $55,000,000
北米興行収入 $7,221,460
世界 $9,450,900


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
1954年、ルイジアナ州。
州知事のウィリー・スターク(ショーン・ペン)は、側近のジャック・バーデン(ジュード・ロウ)と、ボディガードのロデリック”シュガー・ボーイ”エリス(ジャッキー・アール・ヘイリー)の運転する車で、サミュエル・アーウィン判事(アンソニー・ホプキンス)の屋敷に向かい、彼を脅そうと考える。

5年前、ニューオーリンズ
メーソン市に住む、郡の出納官であるスタークは、学友アレックス(ケヴィン・ダン)の紹介で、記者ジャックと政治リーダーのタイニー・ダフィ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)と顔を合わせる。

その後ジャックは、スタークと知り合いということで、編集長(トム・マッカーシー)に、メーソンの汚職政治家についての取材するよう命ぜられる。
...全てを見る(結末あり)

ジャックは、小学校の校舎建設入札の不正についての取材を始める。

スタークは、教師の妻ルーシー(タリア・バルサム)と息子がいて、妻の影響で酒も飲まずに、薄給の彼は、掃除用品を売り歩くバイトまでしていた。

ルーシーと共にジャックに再会した実直なスタークは、校舎建設入札の不正で役人を厳しく批判し、人々にそれを訴えるものの、理解を得られない現実を語る。

スタークは、信念を貫けば、必ず人々が自分の話を聞き入れてくれる日がやってくると信じていた。

そして、スタークが心配していた小学校校舎の欠陥工事で、児童3名が亡くなるという惨事が起きてしまう。

ジャックは、スタークについての記事を発表して、彼の知名度は上がり、次期市長の声も聞かれるようになる。

やがて、そのスタークに目を付け、市長選に興味を示さないダフィが、彼を州知事選に立候補させてしまう。

しかし、スタークは対立候補の票を割るために、利用されたにすぎなかった。

選挙公報官セイディ・バーク (パトリシア・クラークソン)は、選挙戦を傍観するというジャックから、その内幕を説明され、スタークが、単に利用されて生贄となったことを知る。

キャンペーンに同行するジャックはセイディと共に、利用されていることをスタークに気づかせる。

飲めない酒を飲み気を失ったスタークを、セイディは哀れむ。

原稿を棒読みする演説スタイルを、一新するようジャックに助言されていたスタークは、ダフィに原稿を渡して自分の意見を正直に語る。

壇上で演説を聞く、自分を担ぎ出したダフィの魂胆まで暴露するスタークの言葉は、貧しい人々の心を捉えてジャックの記事も彼を援護となる。

編集長は、ジャックの記事が社の方針と異なっていることを指摘して不満を伝える。

ジャックは新聞社を辞めてしまうが、選挙はスタークの大勝利に終わる。

しかし、上流階級のジャックの母(キャッシー・ベイカー)ら、彼の周囲の者や、企業、富裕層はスタークには票を入れずに、 彼の打ち出した公約を自分達への挑戦と受けとめる。

スタークは、身の危険を感じたため、ボディーガードのシュガー・ボーイを雇い入れていた。

ダフィを副知事に、セイディも引き続き側近としていたスタークは、ジャックをアドバイザーとして呼び寄せる。

母親の知人で、自分の名付親でもあるアーウィン判事を訪ねたジャックは、スタークが、弾劾される危険性を指摘し、自分が彼の手下のように皮肉を言われる。

5年が過ぎ、スタークの権力は絶大となり、かつて彼が追求した、不正やスキャンダルに、自らが手を染めてしまっていた。

その後アーウィン判事が、スタークの疑惑の調査を指示する声明を出す。

スタークは、ジャックとシュガー・ボーイを伴いアーウィンの元に向かい、今では飲むようになった酒を口にしながら、”知事の弾劾に賛成の意思”という、彼の意見記事に目を通す。

スタークは判事を脅し、スキャンダルを暴こうと、徹底的に調べ上げるようジャックに指示する。

ジャックは、判事の過去を探るが、サバナの富豪令嬢”メイベル”と結婚した彼に、やましいことは見つからず、スタークはそれに納得しない。

仕方なくジャックは、自分の周辺に何かが隠されているかを考え、幼馴染である元州知事の娘、アン・スタントン(ケイト・ウィンスレット)の元を訪ねる。

自分達ほど裕福でなかったはずの判事に、金の面で何かなかったかをアンに尋ねたジャックは、スタークに指示を受けていることを彼女に非難される。

ジャックは、”メイベル”の線を詳しく探るためサバナに向い、当時のことを知っている者達に会い、判事が派手な生活をするために、妻の遺産を使い果たし、それ以上に現金を欲しがっていたことを知る。

その情報をジャックから知らされたスタークは、過激な発言で敵対勢力を攻撃して民衆を味方に付ける。

スタークは、アンの兄アダム(マーク・ラファロ)に、新病院の院長就任を要請する役を、彼の旧友ジャックに任せる。

スタントンの家名をスタークが利用したいことは明白だったが、彼はそれを否定しない。

ジャックはアダムを訪ねるものの、理想主義者の彼は、スタークの金と脅しの手口に乗らないことを伝えて要請を断る。

その頃スタークは、大学の奨学金に州の予算を出すことでアンとは接触していた。

ジャックは電力会社の株主になり、会社の内容を調べて判事が便宜を図り、ワイロを受取った証拠を掴む。

アンに会ったジャックは、もう一度、兄アダムを説得するよう促されるが、彼は、最初から院長を引き受ける気でいた。

アダムにはプライドがあったために、即答を避けたのだったのだが、アン自信もそれを望んでいるという、彼女の言葉と気持の変化が、ジャックは気になる。

ジャックは、スタークと関係を持っていたセイディに呼ばれ、憤慨する彼女から、スタークがアンと寝た見返りとして、アダムが院長になったことを知らされる。

初恋の幼馴染み、今でも思いを寄せるアンの行為に、ジャックは言葉を失い愕然とする。

アンのアパートの道向かいで、彼女の帰宅する姿を見ていたジャックは、初めて愛し合おうとして未来を予測し、それを思い止まった時のことを想い出す。

スタークは、その後のアーウィン判事の情報をジャックに尋ねるが、何もないことを知らされ、弾劾を恐れて苛立ち声を荒げる。

ジャックは、アーウィンから支持を得るために、知っていることを全て利用しろとスタークに命ぜられる。

アーウィンの元に向ったジャックは、彼に知事側につくよう説得するが断わられ、スキャンダルの証拠を渡す。

しかしアーウィンは、それが法的に何の証拠にもならいと言って言葉を返す。

ジャックは、尚も考え直すかを問い、翌日、その答えを聞きに来ると言って立ち去る。

アーウィンはその夜、自殺し、ジャックは自分が彼を殺したと言って母親から罵られ、アーウィンが父親だったことを知らされる。

ジャックは、アーウィンが、父親としてどんなに自分を想っていたかを知り、自分のしたことを後悔する。

ようやくジャックの気持が落ち着いた頃、彼の元を訪れたアンは、兄アダムがスタークに利用されたことを自分のせいだと言って責めていると伝える。

病院が不正の隠れ蓑だと知ったアダムが、刑務所行きを恐れていることをジャックは知らされるが、彼は救いを求めるアンを突き放す。

しかし、アダムが何をするか分からない現状を知り、彼のアパートを訪ねたジャックとアンだったが、アダムは行方をくらましてしまう。

そして、知事弾劾が否決された議事堂に現れたアダムは、議員や記者、そしてジャックの目の前で、スタークを銃撃し、シュガーがアダムを射殺する。

アダムとアンら、上流階級の社会への不適合が世間で話題になり、シュガー・ボーイは英雄となる。

知事暗殺後にダフィが新知事となり、スタークの葬儀には、多くの人々が参列する。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
1949年、ルイジアナ州。
上流階級出身の記者ジャック・バーデンは、汚職に立ち向かう郡の出納官ウィリー・スタークに出会い、彼の正義感溢れる行動を記事にする。
スタークの知名度は一気に上がり、やがて、州の役人ダフィは彼に目を付けて、州知事選に立候補させてしまう。
しかし、実はスタークは、対立候補者の票を割るために、利用されたにすぎなかった。
見かねたジャックは、真相を暴露してスタークに助言し、やがて、彼の演説は貧しい人々の心を捉え選挙に勝利する。
しかし、企業や富裕層はスタークを歓迎せず、身の危険を感じた彼はボディーガードのシュガーを雇う。
5年が過ぎ、スタークの権力は絶大となり、大統領候補にまで名前が上がるのだが、かつて、彼が追求した不正やスキャンダルに、自らが手を染めてしまう・・・。
__________

明らかに1949年の同名作品のリメイクだと思うのだが、監督スティーヴン・ザイリアンはそれを否定している。
しかし、原作を忠実に描いたと言っているわりには、時代背景が原作とは違う、1950年代の設定になっている。

残念ながら、ロバート・ロッセン制作、監督、脚本による、旧作に比べるとやや物足りない作品と言える。

激しく移り変わる主人公の言動と、温厚な雰囲気な元記者として主人公の側近となり、その目からそれを追っていくことで、スティーヴン・ザイリアンは、ドラマにメリハリをつけている。

しかし、見応えがあるのは、主人公が知事になるまでで、ケイト・ウィンスレットと兄役のマーク・ラファロが重要な役となる後半に大きな期待をかけるものの、今一盛り上がりに欠ける。

実力派が揃うオールスターキャストでありながら作品は酷評され、アメリカ国内及び世界興行も大失敗に終わった。

製作費 $55,000,000
北米興行収入 $7,221,460
世界 $9,450,900

主演のショーン・ペンジュード・ロウの、対照的な人物像描写は悪くはないし、両者共に個性を生かして熱演はしている。

アンソニー・ホプキンスケイト・ウィンスレットは、特に後半から終盤にかけてインパクトのある役柄で存在感を発揮している。

ジャッキー・アール・ヘイリーの、寡黙なボディーガード(殺し屋)と、主人公の右腕的存在のパトリシア・クラークソン、ジャック(J・ロウ)の母親役のキャッシー・ベイカー主人公を知事に持ち上げるものの、その後、操られる副知事ジェームズ・ガンドルフィーニ、主人公に利用され、絶望して暗殺を実行する医師マーク・ラファロ、主人公の妻で、マーチン・バルサムの娘タリア・バルサム、主人公の学友ケヴィン・ダン、新聞社編集長のトム・マッカーシーなどが共演している。


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