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アリスの恋 Alice Doesn’t Live Here Anymore (1974)

夫に先立たれ希望を抱き息子と旅に出た女性が様々な出来事や出会いで幸福を掴むまでを描く、監督マーティン・スコセッシ、主演エレン・バースティンクリス・クリストファーソンダイアン・ラッドジョディ・フォスターハーヴェイ・カイテル他共演のドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ


スタッフ キャスト ■
監督:マーティン・スコセッシ
製作
デヴィッド・サスキンド

オードリー・マース
脚本:ロバート・ゲッチェル
撮影:ケント・L・ウェイクフォード

編集:マルシア・ルーカス
音楽:リチャード・ラサール

出演
エレン・バースティン:アリス・ハイアット
クリス・クリストファーソン:デヴィッド
アルフレッド・ルッター:トミー・ハイアット
ダイアン・ラッド:フロ
ジョディ・フォスター:オードリー
ハーヴェイ・カイテル:ベン
ヴァレリー・カーティン:ヴェラ
レリア・ゴルドーニ:ベア
ビリー・グリーン・ブッシュ:ドナルド・ハイアット

アメリカ 映画
配給 ワーナー・ブラザーズ
1974年製作 112分
公開
北米:1974年12月9日
日本:1975年11月15日
製作費 $1,800,000
北米興行収入 $18,600,000


アカデミー賞 ■
第47回アカデミー賞
・受賞
主演女優賞(エレン・バースティン
・ノミネート
助演女優(ダイアン・ラッド
脚本賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
子供の時から歌が好きだったアリス・ハイアット(エレン・バースティン)の、気性の荒い夫ドナルド(ビリー・グリーン・ブッシュ)との生活は、満たされたものではなかった。

ある日アリスは、突然のドナルドの事故死を知らされ、今ではそれほど愛が深かったわけでもないが、ショックを受ける。

葬式で有り金を使い果たしてしまったアリスは、一人息子のトミー(アルフレッド・ルッター)を連れて、故郷モントレーに帰ることにする。

アリスは、モントレーに向かう途中、歌手として歌い稼ぎながら旅をすることにする。
...全てを見る(結末あり)

しかし、自分の生活や夢を理解しない、まだ11歳の現実的なトミーに、アリスは、ついつい当り散らしてしまう。

ニューメキシコアルバカーキの酒場を回り、仕事を探したアリスは、門前払いされるばかりで、自分が惨めになるが、ある酒場のオーナーが、彼女を気の毒に思い雇い入れる。

そんな、歌手の仕事も慣れてきたアリスに、ベン(ハーヴェイ・カイテル)という若い男が付きまとうようになる。

35歳のアリスは、27歳になったばかりのベンを警戒しながら、やがて二人は愛し合うようになる。

しかし、ベンの妻がアリスの元に現れ、それを知った彼が暴れ回り、アリスを脅迫し始める。

アリスは恐怖に怯え、町を離れアリゾナトゥーソンに向かう。

トゥーソンには歌手の仕事がなかったため、アリスは仕方なくレストランのウエイトレスになる。

アリスは、古株のフロ(ダイアン・ラッド)に手荒い洗礼を受け、要領は悪いが人のいいヴェラ(ヴァレリー・カーティン)らと共に、ウエイトレスの仕事に励むことになる。

そんな時アリスは、デヴィッド(クリス・クリストファーソン)という男性に優しく声をかけられ、度々、誘いを受ける。

トミーは、ギター教室で、オードリー(ジョディ・フォスター)という風変わりな少女と知り合いになっていた。

デヴィッドにも可愛がられたトミーは、アリスと共に彼の牧場に招かれ、楽しい時を過ごすようになる。

ある日、アリスは、仕事中にフロが客の前で吐いた汚い言葉に驚くのだが、それをきっかけに、彼女と心を通わせるようになる。

その後、アリスは戸惑いながらも、素朴で包容力のあるデヴィッドと付き合い始める。

そんな時、わがままを言い出したトミーを、躾のためだと殴ったデヴィッドを、アリスは非難する。

デヴィッドも他の男と同じかと思い始めたアリスは、再び旅立つべきか迷う。

苛立つアリスはトミーをしかりつけ、それに反発した彼は、オードリーの家で酒を飲み、彼女と楽器店でギターの絃を盗んだことも分かる。

人生や子育てに不安を感じ、アリスは絶望しかけるが、フロに洗いざらい悩みや不満をぶつけて気が晴れる。

レストランに現れたデヴィッドはアリスに謝罪する。

アリスはフロに後押しされて、デヴィッドの言葉を聞き入れようとしない。

しかしアリスは、それなら自分をモントレーに送り届けるという、デヴィッドの優しい言葉に幸せを感じる。

そしてアリスは、トミーと共に、この地でデヴィッドと暮らす決心をする。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
子供の時から歌が好きだったアリス・ハイアットは、突然の夫の事故死を知らされ、今では愛は深くなかったものの、ショックを受ける。
葬式を済ませたアリスは、息子トミーと共に、故郷モントレーに帰ることにする。
旅の途中アリスは、歌手として稼ごうとするのだが、トミーは、生活や自分の夢を理解せず、仕事も見つからない。
そんなアリスは、ある酒場で、彼女を気の毒に思ったオーナーに雇われ、やがてベンという若者と親密な関係になる。
しかし、妻がいたベンが暴力的になり、アリスを脅迫し始めたため、彼女はその町を離れる。
トゥーソンに着いたアリスは、歌手の仕事がなかったために、仕方なくレストランのウエイトレスになる。
アリスは、口の悪い、古株のフロらと共に仕事に励み、やがて牧場主のデヴィッドと知り合うのだが・・・。
__________

子供の時に描いた夢は消え、平凡な日々に喜びを見出せない主婦が、生活のためとはいえ、仕方なく踏み出した厳しい現実の世界への旅が、結局は幸せの架け橋となるという、希望を抱かせてくれる物語。

第47回アカデミー賞では、エレン・バースティンが主演賞を受賞し、助演のダイアン・ラッドと脚本賞にもノミネートされた。

遅咲きの実力派、前年「エクソシスト」(1973)でアカデミー主演賞候補にもなったエレン・バースティンが、男運の悪い、人生に絶望しかけるシングル・マザーを見事に演じ、アカデミー主演賞を受賞し、名実ともにハリウッドの演技派女優として認められた作品。

彼女は現在、本作で共演もしているハーヴェイ・カイテルアル・パチーノと共に、ニューヨークアクターズ・スタジオの学長を務めている。

また、マーティン・スコセッシが、日本に初登場した作品でもあり、まだ30歳前半の彼の才能は次回作「タクシードライバー」(1976)で証明されることになる。

歌手であり、映画界でも活躍し始めたクリス・クリストファーソンの、野性味と知性も感じる牧場主役も、彼の素朴な雰囲気に合っている。

11歳なのに現実的過ぎて、母親を悩ませる、主人公の息子アルフレッド・ルッター、口が悪く攻撃的だが辛い女心を理解する、人間味溢れる主人公の同僚ダイアン・ラッド、男の子のような半不良少女で、今観るとやはり妙に印象に残るジョディ・フォスター、アリスに言い寄る暴力的な男、こちらも出番は少ないがインパクトのある演技を見せるハーヴェイ・カイテルなど、ハリウッドを代表するスターの、若かりし日の姿も注目だ。


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