プロ・ボクシング元世界ヘビー級チャンピオンであるモハメド・アリの生き様を描く、製作、監督、脚本マイケル・マン、主演ウィル・スミス、ジェイミー・フォックス、ジョン・ヴォイト、マリオ・ヴァン・ピーブルズ他共演のヒューマン・ドラマ。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:マイケル・マン
製作
ジョン・ピーターズ
ジェームズ・ラシター
ポール・アルダージ
マイケル・マン
A・キットマン・ホー
製作総指揮
ハワード・ビンガム
グレアム・キング
脚本
マイケル・マン
エリック・ロス
スティーヴン・J・ライヴェル
クリストファー・ウィルキンソン
撮影:エマニュエル・ルベツキ
編集
ウィリアム・ゴールデンバーグ
スティーヴン・E・リヴキン
リンジー・クリングマン
音楽
ピーター・バーク
リサ・ジェラルド
出演
カシアス・マーセラス・クレイJr./カシアスX/モハメド・アリ:ウィル・スミス
ドリュー・ブンディーニ・ブラウン:ジェイミー・フォックス
ハワード・コーセル:ジョン・ヴォイト
マルコムX:マリオ・ヴァン・ピーブルズ
アンジェロ・ダンディ:ロン・シルヴァー
ハワード・ビンガム:ジェフリー・ライト
ドン・キング:ミケルティ・ウィリアムソン
ソンジ・ロイ:ジェイダ・ピンケット=スミス
ベリンダ・アリ:ノーナ・ゲイ
ヴェロニカ・ポルシェ:マイケル・ミッシェル
チョーンシー・エスクリッジ:ジョー・モートン
シャビル・ハーバート・モハメッド:バリー・シャバカ・ヘンリー
カシアス・マーセラス・クレイSr.:ジャンカルロ・エスポジート
師イライジャ・モハメッド:アルバート・ホール
ジョー・スマイリー:レオン・ロビンソン
マーティン・ルーサー・キングJr.:レヴァー・バートン
ロバート・リスプサイト:デヴィッド・キュービット
ソニー・リストン:マイケル・ベント
ジョー・フレージャー:ジェームズ・トニー
ジョージ・フォアマン:チャールズ・シャッフォード
ブラッドレー:ブルース・マッギル
モブツ・セセ・セコ:マリック・ボウェンズ
サム・クック:デヴィッド・エリオット
ジョー・スマイリー:テッド・レヴィン
ルイス・サリア:ローレンス・メイソン
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
2001年製作 156分
公開
北米:2001年12月25日
日本:2002年5月25日
製作費 $107,000,000
北米興行収入 $58,183,970
世界 $87,713,830
■ アカデミー賞 ■
第74回アカデミー賞
・ノミネート
主演男優賞(ウィル・スミス)
助演男優賞(ジョン・ヴォイト)
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1964年。
ローマ・オリンピック(1960年)、ボクシング競技ライトヘビー級で金メダルを獲得したカシアス・マーセラス・クレイJr.(ウィル・スミス)は、プロ転向後に戦績を重ね、WBA・WBC統一世界ヘビー級王者ソニー・リストン(マイケル・ベント)と対戦することになる。
クレイは、マルコムX(マリオ・ヴァン・ピーブルズ)の言葉に心を動かされ、黒人イスラム教団体”ネイション・オブ・イスラム”に入信していた。
トレイナーのアンジェロ・ダンディ(ロン・シルヴァー)やアシスタント・トレイナーのドリュー・ブンディーニ・ブラウン(ジェイミー・フォックス)と共に、クレイはトレーニングを続ける。
計量会場でクレイは、対戦相手である王者ソニー・リストンを挑発して罵り、スポーツ・ジャーナリストでキャスターでもあるハワード・コーセル(ジョン・ヴォイト)などの質問に答える。 2月25日、マイアミビーチ。 そしてゴングは鳴り、クレイは早々にリストンの右ストレートを腹部に受ける。 リストンのパンチをかわして健闘する挑戦者のクレイは、スピードを生かしてパンチを連打し相手の顔面を捉える。 その後リストンは反撃し、両者は激しい打ち合いとなる。 リストンは防戦となり、7ラウンドのゴングが鳴ってもコーナーから立ち上がらずクレイのTKOとなり、新チャンピオンが誕生する。 マルコムXと共にニューヨークに向かったクレイはファンから歓迎を受け、白人がつけた名を捨て”カシアスX”とすることを記者に伝える。 カシアスXは、ナイジェリアに講演旅行に行くというマルコムXに誘われ、同行することに同意する。 ”ネイション・オブ・イスラム”の師イライジャ・モハメッド(アルバート・ホール)から聖職停止処分を受けていたマルコムXは、教団と和解するかは帰国してから考えるとカシアスXに伝える。 師イライジャに呼ばれたカシアスXは、特別な名前”モハメド・アリ”を授けられる。 アリは改名することを父カシアス(ジャンカルロ・エスポジート)に伝えるが、理解してもらえなかった。 教団のジョー(レオン・ロビンソン)から連絡を受けたマルコムXは、カシアスXが師イライジャから”モハメド・アリ”という名を授けられたことを知らされる。 ジョーは、アリをアフリカに同行させる許可を与えず、停職処分が無期限に延期されたことをマルコムXに伝える。 当局は、ナイジェリアに滞在するマルコムXを監視し、アリは、師イライジャの息子シャビル・ハーバート(バリー・シャバカ・ヘンリー)と共にアフリカに向かう。 現地でマルコムXと出くわしたアリは、師イライジャと和解しない理由を尋ね、彼から答えを聞かずにその場を去る。 カクテル・ウエイトレスのソンジ・ロイ(ジェイダ・ピンケット=スミス)と知り合ったアリは、彼女をイスラム教に改宗させて結婚しようとする。 それをハーバートに反対されたアリは、写真家のハワード・ビンガム(ジェフリー・ライト)からも焦らない方がいいと忠告される。 当局のジョー・スマイリー(テッド・レヴィン)は教団のジョーに接触して、マルコムXを野放しにしていることが危険だと伝え、アリも同じだと警告する。 アリの妻ソンジは、全てイスラムの教えに従う生活に不満を訴えるようになる。 1965年2月21日、マンハッタン、ワシントンハイツ。 車を運転中だったアリは、その事件を知り涙する。 5月25日、メイン州、ルイストン。 全てを手にしたアリだったが、友マルコムXの死について考える日々が続き、妻ソンジとは離婚することになる。 その後アリは、言動で暴動が起きる可能性があり、目をつけられていることに警戒するようコーセルから忠告され、また、徴兵拒否が大きな問題となる。 アリは、あくまでも徴兵を拒否して逮捕され、懲役と罰金を覚悟し弁護士チョーンシー・エスクリッジ(ジョー・モートン)と共に闘うことを決断する。 発言がアメリカの戦争を否定すると捉えられ、状況が悪化する一方のアリは試合を組むこともできず、タイトル剥奪、ライセンスの取り消しの危機にさらされる。 アーニー・テレルとの王座統一戦の計量会場で、アリは”クレイ”と呼ばれて相手に徴発される。 1967年2月6日、ヒューストン。 しかし、アリは有罪となり、試合が組めない状況となる。 その間アリは、ベリンダ(ノーナ・ゲイ)と知り合い、イスラム教受け入れる彼女と8月に結婚するが、控訴した彼は財政的に苦しくなる。 1968年4月4日。 その頃、ジョー・フレージャー(ジェームズ・トニー)がチャンピオンとなり、アリは彼の相手が自分だけだと考える。 妻ベリンダは、試合をする場合は教団と手を切ることを、アリに約束させようとする。 破産したというアリのテレビでの発言を聞いていた師イライジャは、彼のイスラム教徒としての活動を禁止させる。 ブンディーニが酒に溺れヤクに手を出しチャンピオン・ベルトまで売ってしまったため、アリは彼と手を切る。 コーセルの元に向かい彼の番組に出演したアリは、どんなに高額なファイトマネーを提示されてもフレージャーとは試合をしないと言い放つ。 アメリカ政府と戦っているからだと理由を述べるアリは、フレージャーと戦ったとしても自分が圧倒的に有利だが、実現不可能だと嘆く。 フィラデルフィア。 次の試合後に対戦相手として指名することを約束したフレージャーは、生活などについてアリを気遣う。 ジムに戻ったブンディーニは立ち直ったことをアリに伝え、共に戦いたい意思を示しトレーナーに復帰できる。 1970年12月7日、ニューヨーク。 試合後、教団の活動禁止解除を伝えに来たハーバートに、自分を見捨てたことで不満をぶつけたアリだったが、彼にフレージャー戦のプロモートを任せる。 それに反対していたベリンダは、アリの考えに失望する。 その後アリは、徴兵に関する最高裁の判決で、自分が無罪になったことをコーセルから知らされ、それを家族や仲間達に伝える。 1971年3月8日、ニューヨーク、マジソン・スクエア・ガーデン。 フレージャーとのリターンマッチは契約段階まで進むが、彼がジョージ・フォアマン(チャールズ・シャッフォード)に敗れてしまう。 ドン・キング(ミケルティ・ウィリアムソン)のプロモートによるフォアマンとアリの対戦”ランブル・イン・ザ・ジャングル”が組まれ、試合会場はザイール(現コンゴ)のキンシャサに決まる。 ザイール。 同行していたベリンダは、教団以上に金に執着するドン・キングを批判するが、彼らのお蔭で今の自分があるとアリは反論する。 命の危険も感じているベリンダの言葉は支えにならず、アリは、娘が病気のため一時帰国したいという彼女にも心無い言葉しか返さない。 記者会見でフォアマンを批判するアリは、体力の衰えを指摘するコーセルの質問も問題にしない。 ところが、フォアマンがスパーリング中に怪我をしたため試合は延期となり、ドン・キングは、彼が帰国しない手を考えるようアリに協力を要請する。 試合延期の記者会見の席でアリは、アンジェロを侮辱したドン・キングを罵り黙らせる。 主役気取りのドン・キングを非難したアリは、勝つのは自分だと宣言する。 そんな時アリは、ドン・キングの興行に同行していたヴェロニカ・ポルシェ(マイケル・ミッシェル)と出会い、愛し合う中になる。 戻ったベリンダは浮気についてアリを問い詰めるが、彼は戦いに勝つことしか頭になかった。 1974年10月30日、20th of May Stadium。 試合は始まり、アリは、いつものようなフットワークが使えずに苦戦する。 仕方なくロープを背にして相手に打たせる作戦に出たアリは、フォアマンが疲れるのを待つ。 8ラウンド、アリはチャンスを待ち一気に攻めて連打を浴びせ、フォアマンはダウンする。 フォアマンは立ち上がることができず、アリはノックアウト勝ちしてタイトルを奪い返す。 直後の雷雨の中、アリは興奮する観客に向かい、両手を高々と掲げその声援に応える。 モハメド・アリとベリンダは1976年に離婚し、彼はヴェロニカ・ポルシェと1977年に再婚した。
...全てを見る(結末あり)
世界タイトルマッチを前に、クレイに気を使い距離を置いていたマルコムXが控室に現れ、二人は試合前の祈りを捧げる。
オードゥボン舞踊場でスピーチを始めたマルコムXは、会場内で起きた騒ぎを鎮めようとした直後、銃弾に倒れ死亡する。
ソニー・リストンとのリターンマッチに挑んだアリは、1ラウンドでノックアウト勝ちする。
試合はアリのワンサイドで、彼は自分の名前を言えと叫びながらテレルにパンチを浴びせて勝利する。
マーティン・ルーサー・キングJr.(レヴァー・バートン)が暗殺され、各地では暴動が起きる
フレージャーに会ったアリは、自分を倒さない限り真のチャンピオンでないことを伝えて対戦を提案する。
3年7か月のブランク後、復帰したアリは、オスカー・ボナベナとのノンタイトル戦を行い、最終ラウンドまでもつれるもののTKO勝ちする。
アリとフレージャー、無敗同士の”世紀の対決”は始まり、試合は判定に持ち込まれフレージャーが勝利する。
現地に着いたアリは民衆の歓迎に驚き、また、貧しい人々の多くが自分の勝利を願っていることを知る。
大観衆の前に姿を現したアリはリングに上がり、遅れてフォアマンも登場する。
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*(簡略ストー リー)
1964年、ボクシングのアマチュア・チャンピオンからプロに転向し世界タイトルに挑戦したカシアス・マーセラス・クレイJr.は、王者ソニー・リストンを破り見事にタイトルを手にする。
イスラム教徒であったクレイは、カシアスXと改名し教団の師イライジャから特別な名前”モハメド・アリ”を授けられる。
友マルコムXが銃弾に倒れ、ショックを受けながらリストンとの再戦に勝利したアリだったが、徴兵制を拒否してしまう。
逮捕されたアリは、数年のブランクを覚悟しながらあくまで徴兵を拒否し、強大な権力アメリカ政府と戦うことになるのだが・・・。
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最高の才能と実力を備えたボクサーではあったが、その激しく派手な言動が問題視もされたモハメド・アリの人物像を掘り下げて描く、マイケル・マンの骨太の演出が見所の作品。
偉大なるアメリカ国民として絶大なる人気を誇る、20世紀を代表する人物としてのモハメド・アリの存在が大き過ぎるために、映画で登場する出来事は多くの人が知る周知の事実なので、単にその確認的に捉えられた感じは否めない。
その証拠に、スポーツ映画としては破格の1億ドルを超す製作費をかけた超大作だったが、北米興行収入は約5800万ドル、全世界でも約8800万ドルに留まり商業的には大失敗に終わった作品。
第74回アカデミー賞では、主演男優賞(ウィル・スミス)と助演男優賞(ジョン・ヴォイト)にノミネートされ。
体重を増やし主人公を熱演するウィル・スミスだが、彼を”モハメド・アリ”であると言い聞かせながら観ているとやや疲れてしまう。
その主人公モハメド・アリと、皮肉を言い合うスポーツ・ジャーナリストのハワード・コーセルとの友情に近い不思議な関係は興味深く、本人とは分からないメイクで好演するジョン・ヴォイトの怪演は光る。
こちらも面白いキャラクターで、アル中、ジャンキー気味で発言が笑わせるアシスタント・トレーナー、ドリュー・ブンディーニ・ブラウンを演ずるジェイミー・フォックス、マルコムXのマリオ・ヴァン・ピーブルズ、主人公のトレイナー、アンジェロ・ダンディのロン・シルヴァー、写真家ハワード・ビンガムのジェフリー・ライト、ドン・キングのミケルティ・ウィリアムソン、ウィル・スミス夫人である、主人公の最初の妻ソンジ・ロイのジェイダ・ピンケット=スミス、2番目の妻ベリンダのノーナ・ゲイ、3番目の妻になるヴェロニカ・ポルシェのマイケル・ミッシェル、主人公の弁護士ジョー・モートン、教団”ネイション・オブ・イスラム”のシャビル・ハーバート・モハメッドのバリー・シャバカ・ヘンリー、主人公の父親カシアス・マーセラス・クレイSr.のジャンカルロ・エスポジート、教団の師イライジャ・モハメッドのアルバート・ホール、教団のレオン・ロビンソン、マーティン・ルーサー・キングJr.のレヴァー・バートン、スポーツ・ジャーナリスト、ロバート・リスプサイトのデヴィッド・キュービット、ソニー・リストンのマイケル・ベント、ジョー・フレージャーのジェームズ・トニー、ジョージ・フォアマンのチャールズ・シャッフォード、銀行家ブルース・マッギル、ザイール大統領モブツ・セセ・セコのマリック・ボウェンズ、歌手サム・クックのデヴィッド・エリオット、当局の局員テッド・レヴィンなどが共演している。