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三人の妻への手紙 A Letter to Three Wives (1949)

夫と駆け落ちするという友人からの手紙を受け取った三人の妻が不安と共にその理由を探る姿をユーモアを交えて描く、監督、脚本ジョセフ・L・マンキーウィッツジーン・クレインリンダ・ダーネルカーク・ダグラス、他共演による秀作ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(コメディ)


スタッフ キャスト ■
監督:ジョセフ・L・マンキーウィッツ

製作:ソル・C・シーゲル
原作:ジョン・クレンプナー
脚本
ジョセフ・L・マンキーウィッツ
ヴェラ・キャスパリー
撮影:アーサー・C・ミラー
編集:J・ワトソン・ウェッブJr.
音楽:アルフレッド・ニューマン

出演
デボラ・ビショップ:ジーン・クレイン
ローラ・メイ・ホリンズウェイ:リンダ・ダーネル
リタ・フィップス:アン・サザーン
ジョージ・フィップス:カーク・ダグラス
ポーター・ホリングスウェイ:ポール・ダグラス
ブラッド・ビショップ:ジェフリー・リン
アディ・ロス(声):セレステ・ホルム
セイディ・デュガン:セルマ・リッター
マンリー夫人:フローレンス・ベイツ
マンリー:ホバート・カヴァノー
ジョージアナ”ベイブ”フィニー:バーバラ・ローレンス
ルビー・フィニー:コニー・ギルクリスト
ジェンキンス夫人:メエ・マーシュ

アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
1949年製作 103分
公開
北米:1949年1月20日
日本:1950年5月


アカデミー賞 ■
第22回アカデミー賞

・受賞
監督・脚色賞
・ノミネート
作品賞


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
土曜の朝、ピクニックに行く予定のデボラ・ビショップ(ジーン・クレイン)は、夫ブラッド(ジェフリー・リン)と親友アディ・ロス/声(セレステ・ホルム)のことで嫉妬しながら家を出る。

デボラは、友人でラジオ作家のリタ・フィップス(アン・サザーン)の家に向かい、彼女の夫で高校教師のジョージ(カーク・ダグラス)に軽く挨拶する。

土曜日にも拘らず、ジョージが正装していたのが気になったデボラはリタを車に乗せる。

そして二人は、夫ブラッドに嫉妬した原因であるアディの話題になる。

遊覧船に乗るため、現場でローラ・メイ・ホリンズウェイ(リンダ・ダーネル)と待ち合わせたデボラとリタは、アディが町を去り来られないことを知る。

船に乗ろうとした三人は、彼女らの夫の誰かと駆け落ちするという、アディからの手紙を受け取る。
...全てを見る(結末あり)

一瞬、不安になった三人だったが、船の出る時間となり、公衆電話を見つめながら彼女達は出発する。

子供達のピクニックの世話をする目的で、船に乗り込んだ三人だったが、彼女らは夫とアディのことが気になり、心当たりを探ろうとする。
__________

そして、デボラは・・・
酷い髪型が気になり動揺するデボラは、ブラッドにジョージとリタを初めて紹介される。

田舎育ちで海軍出身のデボラは、自分の生い立ちなどに引け目を感じ、社交クラブに向かうことをためらってしまう。

リタに励まされ、仕方なくクラブに向かったデボラは、ローラ・メイの夫でデパートのオーナーのポーター(ポール・ダグラス)と同じテーブルで話し込む。

ポーターは、気品も財産もあるブラッドに見初められ、デボラは幸運だと語るのだが、彼とアディの関係を話し始める。

しかし、ジョージとリタが戻り、ブラッドとローラ・メイも加わったため、話題は変わってしまう。

そこに、デボラらのテーブルに、アディからシャンペンが届き再び彼女の話題になる。

三人の夫はそれぞれアディを褒め称え、彼女とデボラに乾杯する。

ブラッドはデボラをダンスに誘うが、ドレスの穴を隠していた花が取れてしまい、彼女は皆の前で恥をかいてしまう。

ショックを受けたデボラをリタが慰め、ホールに戻った二人だったが、デボラは、姿は見えないものの、ブラッドがアディと楽しそうに会話しているのを目撃してしまう・・・。
__________

川の畔の公園で子供達を遊ばせていたデボラらだったが、彼女がリタにジョージの正装が気になると語る。
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そして、リタは・・・
ラジオ局の幹部に気を使い、見栄を張ろうとするリタは、夫のジョージや飾り気にない家政婦セイディ・デュガン(セルマ・リッター)にまでそれを強要しようとする。

ジョージはそれを批判するが、リタの熱心さを一応理解し彼女に協力しようとする。

そこに、ジョージの誕生祝ということで、アディからプレゼントが届く。

単純にそれを喜ぶジョージだったが、リタは彼の誕生日を忘れていたため気落ちしてしまう。

ラジオ局のマンリー夫妻(ホバート・カヴァノー/フローレンス・ベイツ)とポーターとローラ・メイを迎え、3時間もの間、付き合ったジョージは、マンリー夫人が帰る際に噛み付いてしまう。

ジョージは、堰を切ったようにラジオの批判を始め、夫人は気分を害し、こんな環境では”新しい計画”も無理だと、リタに言って立ち去る。

ポーターのスポンサー契約が目的だと思っていたジョージは、薄給の高校教師である自分を、ラジオの世界に入れようとしたリタの計画に気づく。

教師を天職だと思い、プライドを持つジョージはそれに反発するが、リタはいつも彼の心にあるアディに嫉妬する。

ジョージはアディとのことを気にもせず、ラジオの世界に心を奪われた”妻リタ”を返してくれと言い放ち席を外す。
__________

その後、ローラ・メイは、夫ポーターが駆け落ちしたとしても、全てを手に入れたために一向に構わないことをリタに伝えるものの、それを冷静に考えてみることにする。
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そして、ローラ・メイは・・・
ローラ・メイは、電車が通過すると揺れる家に、母親ルビー・フィニー(コニー・ギルクリスト)と妹ジョージアナ(バーバラ・ローレンス)とで暮していた。

母親の友人セイディが来ていたある日、ポーターのデパートの販売員だったローラ・メイは、彼に誘われてレストランに向かう。

そこに現れたジョージが、リタやアディがいることをポーターに伝えると、彼は突然それを気にし始める。

その後、ドライブしたポーターはローラ・メイに迫るが、彼女は昇進の話を持ち出しただけで帰宅しようとする。

不満気なポーターだが、翌日も二人はデートして、彼は次第にローラ・メイのペースに巻き込まれていく。

ある夜、ポーターの屋敷に招かれたローラ・メイは、彼の前妻がアディだったということを知る。

ローラ・メイは、ポーターにストレートに結婚を迫るが、彼は自由な生活をしたいことを理由にそれを断る。

そしてポーターは、辞職するとまで言って屋敷を去ろうとするローラ・メイの虜になってしまう。

新しい年を迎え、独り家で過ごしていたローラ・メイの元にポーターが現れ、彼は抑えきれない気持ちを伝え彼女に結婚を申し込む。
__________

遊覧船を降り、夜の社交クラブでの再会を約束した三人は別れる。

リタは、ジョージが帰宅していることに気づき、スーツを着て出かけた理由を知り安心する。

デボラは、ブラッドが今夜は帰宅できないという、女性からのメッセージを渡され動揺する。

ローラ・メイは、帰りの遅いポーターを気にして、彼がもう戻ってこないかもしれないことを母ルビーに伝える。

そこにポーターが帰宅し、ローラ・メイは彼がアディと駆け落ちしたかと思ったことを伝える。

その後、二人は結婚生活のことで口論となるが、彼女は外出の準備を始める。

迎えに来たジョージとリタに、ブラッドがいないことを伝えたデボラは、気を使う二人と共にクラブに向かう。

ポーターから、ローラ・メイに対する嫌味を聞かされたデボラは、彼女がどれだけポーターを愛しているかを伝える。

ローラ・メイが、金だけが目当てだということを信じないポーターは、デボラの不安に気づかない。

デボラは帰宅しようとするが、ブラッドがアディと駆け落ちしたと聞かされたポーターは彼女を引き止める。

ポーターは、自分がアディと駆け落ちしたのだが、思い留まったことをデボラに伝え、安心した彼女は家に向かう。

自分の非を素直に認めたポーターは、ローラ・メイに全てを与え望み通りにすることを伝える。

ローラ・メイはポーターを理解し、駆け落ちの話を聞かなかったことにすると夫に語り、ジョージとリタは二人の様子を見て微笑みながら帰宅する。

そして、愛を確かめ合ったポーターとローラ・メイは、ダンスを踊る。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
デボラ、リタ、ローラ・メイの三人は、親友アディからの手紙を受け取る。
彼女らは、アディが自分達の夫の誰かと駆け落ちするということを知る。
子供達の引率で、遊覧船に乗りピクニックに出かけた三人は、それを夫に確認することも出来ないまま不安が募る。
三人は自分達の家庭を顧みて、夫がアディと駆け落ちする理由がありそうなこと考えながら帰宅する・・・。
__________

月刊誌”コスモポリタン”に掲載された、ジョン・クレンプナーの小説を基に製作された作品。

上流、中流、そして実業界の大物の三夫婦が、同じ社交グループで交流を深めている設定がなかなか興味深い。

それぞれの、不釣合いに見える夫婦が危機を感じる過程を、ジョセフ・L・マンキーウィッツ自身による脚本で巧みに描写する見事な演出は、小ぢんまりした作品にも拘らず見応え十分だ。

第22回アカデミー賞では、監督、脚色賞を受賞した。
・ノミネート
作品賞

戦後間もない時代の、アメリカ社会の豊かさに圧倒される雰囲気が漂う中、妻の稼ぎによる生活ではあるが、あまりにも洗練された高校教師カーク・ダグラスのキャラクターが気になり、その後の活躍でアクション・スターのイメージが強い彼が実に新鮮に思える。

田舎の出身ということを気にする富豪夫人のジーン・クレイン、上流階級のその夫ジェフリー・リン、デパートの売り子から、オーナー夫人となるリンダ・ダーネル、その夫役ポール・ダグラス、ラジオ作家アン・サザーン、夫カーク・ダグラス、ドラマのキーパーソンでありながら、声だけという贅沢な出演のアディ役、実力派セレステ・ホルム、ストーリーにアクセントを与え、いい味を出している家政婦セルマ・リッター、ラジオ局幹部フローレンス・ベイツ、その夫役ホバート・カヴァノー、ローラ・メイ(L・ダーネル)の妹役のバーバラ・ローレンス、母親コニー・ギルクリスト、そして、ジョン・フォード一家の名女優メエ・マーシュが、デボラ(J・クレイン)のドレスを繕う女性役で一瞬登場する。


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