23歳のアイラ・レヴィンが1953年に発表した同名小説の処女作を基に映画化された「赤い崖」(1956)のリメイク。 恵まれない境遇に育ちながら容姿端麗で才覚を持つ青年の恐ろしいまでの野望を描く、主演マット・ディロン、ショーン・ヤング、マックス・フォン・シドー、ダイアン・ラッド他共演、監督、脚本ジェームズ・ディアデンによるサスペンス・ミステリー。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ジェームズ・ディアデン
製作総指揮:エリック・フェルナー
製作:ロバート・ローレンス
原作:アイラ・レヴィン
脚本:ジェームズ・ディアデン
撮影:マイク・サウソン
編集:マイク・ブラッドセル
音楽:ハワード・ショア
出演
ジョナサン・コーリス/ジェイ・ファラデー:マット・ディロン
エレン/ドロシー・カールソン:ショーン・ヤング
ソール・カールソン:マックス・フォン・シドー
コーリス夫人:ダイアン・ラッド
ダン・コレッリ:ジェームズ・ルッソ
ジェイ・ファラデー:アダム・ホロヴィッツ
ミッキー:フレデリック・コーラー
トミー・ルッセル:ベン・ブラウダー
パトリシア・ファレン:マーサ・ゲーマン
アメリカ 映画
配給 ユニバーサル・ピクチャーズ
1991年製作 93分
公開
北米:1991年4月26日
日本:1991年9月
北米興行収入 $15,429,180
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1987年、フィラデルフィア。
ペンシルベニア大学学生ドロシー・カールソン(ショーン・ヤング)は、密かに愛し合っている恋人のジョナサン・コーリス(マット・ディロン)と共に、市庁舎に婚姻届を出しに行く。
昼休みで受付が閉まっていたため、二人は屋上に向かうが、ジョナサンはドロシーを転落死させてしまう。
ドロシーの遺書が発見され、彼女の父親で大企業を一代で築き上げたソール・カールソン(マックス・フォン・シドー)と双子の姉エレン(ショーン・ヤング)は、警察に呼ばれ事情聴取を受ける。
自殺と断定された、娘の死を信じられないカールソンとエレンは、ドロシーが妊娠していたことも知らされる。
数ヶ月後、ピッツバーグ。 ヒッチハイクで、ジェイ・ファラデー(アダム・ホロヴィッツ)の車に拾われたジョナサンはニューヨークに向かう。 半年後、フィラデルフィア。 ドロシーの遺品や状況からして、彼女が自殺したとは未だに思えないことをエレンはコレッリに伝えるが、彼はそれを否定する。 エレンは、ドロシーの学生時代の友人パトリシア・ファレン(マーサ・ゲーマン)から、妹が付き合っていた男子学生のトミー・ルッセル(ベン・ブラウダー)の情報を聞きだすのだが、ジョナサンはそれを目撃していた。 トミーに会ったエレンは、ドロシーとその後に付き合っていた男の顔に見覚えがある彼から、アルバムを見せてもらうことになる。 しかし、トミーは現れたジョナサンに殺害され、犯人に仕立て上げられる。 時間が経っても現れないトミーの部屋に向かったエレンは、首を吊っている彼を見つける。 現場に駆けつけたコレッリは、エレンが正しかったことを認める。 そして、自宅に戻ったエレンは、同棲している恋人ジェイ・ファラデー(マット・ディロン)に慰められる。 既にジョナサン(ジェイ)はエレンに近づき、ニューヨークでボランティアの仕事をする彼女と共に活動を続けて、カールソン家の財産を狙う計画を進めていた。 ジョナサンは、エレンに父カールソンを紹介されるが、彼のことを調べ上げていたため、堅物のカールソンの心も捉えることに成功する。 帰宅したジョナサンは、パトリシアがドロシーと付き合っていた男のことを思い出したという電話に出て、彼女の居場所を知る。 翌日、ホテルでパトリシアを絞殺したジョナサンは、彼女の遺体をバラバラに切断し運び出し川に捨てる。 そして、ジョナサンはエレンと結婚し、父カールソンにも祝福される。 カールソンの心を掴んでいたジョナサンは、工場拡大に伴い、アシスタントとして彼の右腕になるように誘われる。 父親と反りの合わないエレンは、それを良く思わずにいたが、そんな時、パトリシアが行方不明になっているということが分かり、彼女とジョナサンが刑事から質問を受ける。 その後、すれ違い生活が続くジョナサンとエレンの間には次第に亀裂が生じていく。 やがて、行方不明になっていたパトリシアの遺体が見つかり、ドロシーの殺害犯がトミーでないことを確信したエレンは、フィラデルフィアのコレッリの元に向かう。 エレンは、警察を辞め調査会社を開設していたコレッリに会い、トミーが犯人ではなく殺害され、パトリシアの死も偶然とは思えないことを伝え彼を納得させる。 髪の毛を、ドロシーと同じブロンドに染めたエレンは、ジョナサンとの外出先で、彼のペンシルベニア大学の同窓生だという学友に出くわす。 ジョナサンは、白を切るが明らかに動揺し、学友を罵り騒ぎを起こしてしまう。 その後、エレンはペンシルベニア大学の卒業アルバムを調べ、夫ジェイが”ジョナサン・コーリス”という男だということを知る。 ジョナサンの母親に連絡を取ったエレンは、彼は3年前に死亡したと言われてしまう。 コレッリに真犯人が分かったとメッセージを残し、その後もエレンは、その犯人ジョナサンとの生活を続ける。 ジョナサンの自宅を訪ねたエレンは、母親から彼が入水自殺したことを知らされる。 母親と別れた後、エレンはジョナサンの部屋に忍び込み、彼が自分達家族を調べていた資料と、ドロシーのライターを見つける。 そこにジョナサンが現れ、自分が思い描いていた野望を語り、エレンを殺そうとする。 エレンはナイフでジョナサンの肩を突き刺し、隙を見て家から逃げる。 エレンを追ったジョナサンは、子供の頃から、野望を達成するために眺めていた、”カールソン製銅”の貨物列車に轢かれ死亡する。
ジョナサンは大学を卒業後も定職につかづ、母(ダイアン・ラッド)の心配を余所に、彼女が誇れる人間になって見せると言い残し旅に出る。
...全てを見る(結末あり)
エレンは、妹ドロシーが転落死した市庁舎の屋上に、事件の担当刑事ダン・コレッリ(ジェームズ・ルッソ)を呼び出す。
*(簡略ストー リー)
貧しい家庭に育ったジョナサン・コーリスは、大富豪カールソンの財産を奪う野望を抱き、それを一歩ずつ実行に移そうとしていた。
苦学生のジョナサンは、カールソンの娘であるドロシーに近づき愛し合うが、彼女を妊娠させたために計画が崩れかける。
ドロシーを殺害して、姉エレンに接触したジョナサンは、彼女とも恋仲になり、そして結婚する。
その後ジョナサンは、ドロシーと付き合っていたことを知る周囲の人間を殺害していく。
その過程で、エレンは、自殺に見せかけた妹の死が、殺人だと確信するのだが・・・。
__________
やや思わせ振り過ぎると言うか、ジェームズ・ディアデンの、アルフレッド・ヒッチコックを意識した作風を、好むか否かで作品の価値が変わる。
因みに、「めまい」(1958)の”僧院の塔の上”の有名なシーンが、ヒロインがテレビを見るシーンで登場したりもする。
アイラ・レヴィンの原作を考えずに見た場合、百戦錬磨の兵であるはずの大富豪が、犯人の謀略を知りつつ、彼を自分の懐に誘い込むような展開も期待してしまったのだが・・・。
また、国内でも有数な富豪にしては、邸宅内のセットなどが雑然として小ぢんまりし過ぎているようなところも気になる。
脚本も監督のジェームズ・ディアデン自身が手がけ、音楽はハワード・ショアが担当している。
恐ろしい手段で、自分の思い描く野望を果たそうとする青年を、マット・ディロンが熱演している。
悪人の顔と善人の場合とで、あまり表情が変わらないところなど、いかにも知能犯らしい雰囲気を良く出している。
早々に殺されてしまう描写がショッキングな、二役を演ずるショーン・ヤング、大富豪としての貫禄を見せ、作品に重みを加えているだけに、もう少しドラマチックに物語に絡むことを期待してしまったマックス・フォン・シドー、主人公の母ダイアン・ラッド、事件担当刑事のジェームズ・ルッソ、主人公を車で拾う若者のアダム・ホロヴィッツ、殺害される学友のベン・ブラウダー、マーサ・ゲーマン、救済センターに保護される少年役フレデリック・コーラーなどが共演している。