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波も涙も暖かい A Hole in the Head (1959)

1957年にブロードウェイで上演された、アーノルド・シュルマンの戯曲”The Heart Is a Forgotten Hotel”の映画化。
妻に先立たれた破産寸前のホテル経営者が息子と共に夢を追い続けて新たな人生を掴むまでを描く、製作、監督フランク・キャプラ、主演フランク・シナトラエドワード・G・ロビンソンエリノア・パーカーキャロリン・ジョーンズセルマ・リッターキーナン・ウィン共演によるコメディ・タッチのヒューマン・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ドラマ(ヒューマン)


スタッフ キャスト ■
監督:フランク・キャプラ

製作:フランク・キャプラ
戯曲:アーノルド・シュルマン”The Heart Is a Forgotten Hotel”
脚本:アーノルド・シュルマン

撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
音楽:ネルソン・リドル
主題曲:”High Hopes
作詞:サミー・カーン

作曲:ジェームズ・ヴァン・ヒューゼン

出演
フランク・シナトラ:トニー・マネッタ
エドワード・G・ロビンソン:マリオ・マネッタ
エリノア・パーカー:エロイーズ・ロジャース
キャロリン・ジョーンズ:シャール
セルマ・リッター:ソフィー・マネッタ
キーナン・ウィン:ジェリー・マークス
エディー・ホッジス:アルヴィン”アリー”マネッタ
ダブ・テイラー:フレッド
ジョイ・ランシング:ドリーン
ジョイス・ニッツァリ:アリス

アメリカ 映画
配給 ユナイテッド・アーティスツ

1959年製作 120分
公開
北米:1959年7月15日
日本:1960年1月
北米興行収入 $11,000,000


アカデミー賞 ■
第32回アカデミー賞

・受賞
歌曲賞”High Hopes


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー ■
20年前にヒッチハイクでブロンクスからマイアミにやってきたトニー・マネッタ(フランク・シナトラ)は、小さなタクシー会社から始めて、今では”エデンの園”というホテルを経営していた。

仲間だったジェリー・マークス(キーナン・ウィン)は、全米屈指のプロモーターになり、500万ドルもの税金を納めて話題になる。

しかし、トニーを金持ちのプレイボーイと見るのは大きな間違いで、彼は破産寸前のホテル経営者だった。

妻に先立たれ、今ではシャール(キャロリン・ジョーンズ)という派手な女性と付き合っていたトニーには、確り者の一人息子アリー(エディー・ホッジス)がいた。

アリーは、トニーのホテルの苦しい内情を知っているため、父が伯父マリオ(エドワード・G・ロビンソン)に自分を預けてしまわないかと心配する。
...全てを見る(結末あり)

”エデンの園”を引き渡さなくてはならなくなったトニーは、ニューヨークでブティックを経営するマリオに援助を頼むが、彼は遊び人の弟トニーを助ける気はなかった。

トニーは、アリーが病気だということにして、マリオの妻ソフィー(セルマ・リッター)の同情を買い、彼女は夫を連れてマイアミ行きを決意する。

窮地に陥ったトニーだったが、そこに救世主のようにジェリーが現れ、彼が金を工面したくれるかもしれないと高をくくる。

堅物の兄マリオに、シャールを会わせたくないトニーは、わがままを言う彼女に梃子摺ってしまう。

トニーが空港に来ないまま、”エデンの園”に向かったマリオとソフィーは、元気そうなアリーを見て安心する。

シャールと帰ってきたトニーを目撃してしまったマリオとソフィーは、嘘を並べる弟に呆れてしまう。

トニーの自堕落な生活を責めるマリオに対し、ソフィーは結婚相手を探して、彼を落ち着かせようとする。

そこでソフィーは、資産家の未亡人エロイーズ・ロジャース(エリノア・パーカー)をトニーに紹介して、アリーを引き取ることを考える。

アリーは、いよいよトニーには、自分が邪魔な存在になると思い気落ちするが、トニーは我が子を抱き寄せて愛情を示す。

シャールは、マリオとソフィーが話すトニーの結婚話を聞いてしまう。

トニーにそれを確かめたシャールは、彼から結婚する気などないことを知らされる。

やがてエロイーズがホテルに現れ、彼女のあまりの美しさに、アリーは見とれてしまいシャールは嫉妬する。

その後。マリオが口を滑らせて、エロイーズの遺産の話をしてしまい、彼女は気分を害してしまう。

エロイーズを気に入ったアリーが、そんな彼女をなだめる。

予想以上に美しいエロイーズに驚いたトニーは、彼女と外出するが、それを知ったシャールはショックを受ける。

エロイーズの自宅に招待されたトニーは、落ち着きのない彼女に対し、プレイボーイらしい振る舞いで接する。

お互いに、亡くした家族のことなどを話すうちに、トニーは5000ドルの借金で首が回らず、ホテルを維持するために、仕方なく兄マリオの勧めに従い、エロイーズに会ったことを正直に話す。

そして、トニーは潔く計画を断念して帰ろうとするが、エロイーズは彼を引きとめる。

ホテルに戻ったトニーは、待ち構えていたマリオとソフィーそしてアリーに、順調にことが進んでいることを話して、彼らを安心させる。

トニーがエロイーズと結婚したら、小さな雑貨店を開業させようとしていたマリオは、現金を欲しがるトニーの頼みを拒否する。

シャールもホテルから去ってしまい、落胆するトニーだったが、ジェリーからのパーティーの招待を受ける。

パーティー会場でジェリーに会ったトニーは、ドッグレースに誘われてしまい、仕方なく車を売り現金を作りレースに賭けてしまう。

なけなしの金をはたいてしまったトニーだが、なんとそれが当たりして大金を手にする。

早速アリーに連絡したトニーだったが、勢いに乗って息子と同じ名前の”ラッキー・アリー”という犬に5000ドル賭けてしまう。

トニーの祈りは届かず、レースに負けたトニーは、ジェリーにまで侮辱されてしまう。

ホテルでは、アリーとフロント係のフレッド(ダブ・テイラー)が、トニーを歓迎するためのパーティーの準備をしていた。

落胆してホテルに戻ったトニーは、仕方なくアリーをマリオとソフィーに引き取ってもらおうとする。

ソフィーに促され、トニーの借金を返済しようとしたマリオだったが、トニーはそれを断り、アリーを邪魔者扱いして暴力まで振るってしまう。

トニーの気持ちを察したマリオは弟を抱きしめ、翌日アリーを連れてニューヨークに旅立とうとする。

海岸のやしの木陰で、アリーの旅立つ姿を見ていたトニーだったが、エロイーズが彼のことを案じて歩み寄ろうとする。

そこにアリーが現れ、トニーに離れたくないことを伝える。

トニーは息子を抱きしめ、エロイーズは自宅に二人を招待する。

それを見ていたマリオとソフィーは、ニューヨークに戻るのを止め、トニー達を追いかけていく。


解説 評価 感想 ■

*(簡略ストー リー)
20年前にブロンクスからマイアミにやってきたトニー・マネッタは、”エデンの園”というホテルを経営していたが、破産寸前に追い込まれる。
妻に先立たれたトニーは、シャールという派手な恋人と付き合い、確り者の一人息子アリーがいた。
その後、ホテルを引き渡さなくてはならないトニーは、ニューヨークでブティックを経営する兄マリオに援助を頼む。
しかし、マリオは遊び人の弟トニーを助ける気はなかった。
トニーは、アリーが病気だとということにして、マリオの妻ソフィーの同情を買い、彼らをマイアミに呼び寄せる。
そんな時、全米屈指のプロモーターの旧友ジェリーが現れ、トニーは彼が援助してくれると高をくくる。
自堕落な生活を続けるトニーに、呆れるばかりのマリオだったが、ソフィーは、資産家の未亡人のエロイーズをトニーに紹介して、落ち着いた生活をさせようとするのだが・・・。
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数々の傑作を手掛けた、巨匠フランク・キャプラが8年ぶりに製作も兼ねて監督した、彼の得意とする人情コメディ。
キャプラとしては、本作が初めてのカラー作品でもある。

第32回アカデミー賞では、作詞サミー・カーン、作曲ジェームズ・ヴァン・ヒューゼンの主題歌”High Hopes”が歌曲賞を受賞し、大統領候補ジョン・F・ケネディのキャンペーン・ソングにもなった。

また、当時、構想が練られていた、フロリダディズニー・ワールドを思わせる計画や、1957年に再開発された大ヒット商品フラフープなどが登場するところなども興味深い。

肩の凝らない、コミカルな演技で好演するフランク・シナトラと、楽天家の父の行動修正をしようとする息子役エディー・ホッジスの掛け合いと親子愛は、思わずホロリとさせてくれる。

堅物そのものの厳ついエドワード・G・ロビンソンと、涙もろい妻役セルマ・リッターも、人間味溢れる役柄をベテランらしく演じて、また、大いに笑わせてもくれる。

嫌味のない美しさが印象に残る主人公に紹介される資産家の未亡人エリノア・パーカー、対照的に小悪魔的魅力の主人公の恋人キャロリン・ジョーンズ、主人公の旧友
にして大富豪のキーナン・ウィン、ホテルのフロント係ダブ・テイラー等が共演している。


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