1989年にブロードウェイで上演された、アーロン・ソーキンの同名舞台劇の映画化。 キューバのグァンタナモ米軍基地で起きた兵士虐待死事件を担当する海軍内部調査部の若手将校と同基地司令官らとの法廷闘争を描く、製作、監督ロブ・ライナー、主演トム・クルーズ、デミ・ムーア、ジャック・ニコルソン、ケヴィン・ベーコン、キーファー・サザーランド共演によるドラマ。 |
・ドラマ
・トム・クルーズ / Tom Cruise 作品一覧
・トム・クルーズ / Tom Cruise / Pinterest
・ジャック・ニコルソン / Jack Nicholson 作品一覧
・ジャック・ニコルソン / Jack Nicholson / Pinterest
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロブ・ライナー
製作総指揮
ウィリアム・S・ギルモア
レイチェル・ファイファー
製作
デヴィッド・ブラウン
ロブ・ライナー
アンドリュー・シェインマン
脚本:アーロン・ソーキン
撮影:ロバート・リチャードソン
音楽:マーク・シャイマン
出演
ダニエル・カフィー中尉:トム・クルーズ
ジョアナ・ギャロウェイ少佐:デミ・ムーア
ネイサン・R・ジェセップ大佐:ジャック・ニコルソン
ジャック・ロス大尉(検事):ケヴィン・ベーコン
ジョナサン・ケンドリック中尉:キーファー・サザーランド
マシュー・マーキンソン中佐:J・T・ウォルシュ
サム・ワインバーグ中尉:ケヴィン・ポラック
ローデン・ダウニー一等兵:ジェームズ・マーシャル
ハロルド・W・ドーソン兵長:ウォルフガング・ボディソン
ジェフリー・バーンズ伍長:ノア・ワイリー
カール・ハマカー伍長:キューバ・グッディングJr.
ウィリアム・T・サンティアゴ:マイケル・デロレンツォ
ウィテカー大尉:ザンダー・バークレー
ストーン軍医:クリストファー・ゲスト
アメリカ 映画
配給 コロンビア・ピクチャーズ
1992年製作 137分
公開
北米:1992年12月9日
日本:1993年2月
製作費 $33,000,000
北米興行収入 $141,340,180
世界 $237,300,000
■ アカデミー賞 ■
第65回アカデミー賞
・ノミネート
作品
助演男優(ジャック・ニコルソン)
編集・録音賞
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
キューバ、グァンタナモ米軍基地。
海兵隊員のウィリアム・T・サンティアゴ1等兵(マイケル・デロレンツォ)が、就寝中、同僚に襲われて暴行を受け死亡する。
その事件で、ハロルド・W・ドーソン兵長(ウォルフガング・ボディソン)とローデン・ダウニー一等兵(ジェームズ・マーシャル)が逮捕される。
ワシントンD.C.。
海軍内部調査部ジョアナ・ギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)は、部隊内で”コード・レッド”(違反者への暴力制裁)があったことを知り、二人の弁護を申し出る。
サンティアゴは、落伍者寸前の状況に対する上官からの仕打ちに対し、転属願いの手紙を出し、区域外への兵士の不法発砲なども海軍調査局に直訴していた。
上官は簡単な取引で片がつくと判断し、取引専門の法廷経験のないダニエル・カフィー中尉(トム・クルーズ)を弁護人に任命する。 その後、ウィテカー大尉(ザンダー・バークレー)から指示を受けたカフィーは、サム・ワインバーグ中尉(ケヴィン・ポラック)を助手につけて準備を始めることになる。 グァンタナモ米軍基地、事件前。 転属させるべきだと言うマーキンソンに対し、落伍者を他の部隊に送ることを恥だと主張するジェセップは、ケンドリックに対しサンティアゴを鍛え直すよう指示を出す。 その後、ダウニーとドーソンはワシントンD.C.に護送され、ギャロウェイは、取引裁判として簡単にけりをつけようとするカフィーを牽制する。 ギャロウェイは、著名な弁護士だった父を持つカフィーの、実績をひけらかす傲慢な態度が気になり、彼を弁護から降ろすことも考える。 ”コード・レッド”のことをギャロウェイに問われ、それを知らなかったカフィーは、ダウニーとドーソンに会い、その件などを二人に質問する。 その後カフィーは、ジャック・ロス大尉(検事)(ケヴィン・ベーコン)から、二人の有罪は確定的であり、司法取引に応じることを要求される。 悪い条件ではなかったのだが、ケンドリックがサンティアゴに手を出すなと言っていた、ロスの口から出た言葉などが気になり始めたカフィーは、ギャロウェイとワインバーグと共にキューバに向かうことになる。 グァンタナモ。 ケンドリックは、発砲の密告者サンティアゴに手を出すなと指示したことをカフィーに伝え、彼の死は神の意思だと言い切る。 その後、カフィーらはジェセップやマーキンソン、そして、ケンドリックらと昼食を取る。 サンティアゴが密告した後、彼の転属願いを許可したと言うジェセップの話を聞いたカフィーは席を立とうとする。 しかし、ギャロウェイが、禁止されている”コード・レッド”が、この基地に存在するかをジェセップに追求する。 ジェセップは、女性であるギャロウェイを侮辱した上で、”コード・レッド”の存在を認める。 そしてジェセップは、サンティアゴの転属願いのコピーを要求するカフィーに、自分に対して敬意を払わせようとする。 カフィーはジェセップに従い言葉を改め、コピーを許可されて席を立つ。 目の前で、ジェセップの嘘を聞いていたマーキンソンは、その後、姿を消してしまい、ケンドリックが”コード・レッド”を出し、被告達が行動を起こしたことが分かる。 カフィーとギャロウェイはそれをロスに確認するが、強気の彼は尚も司法取引に持ち込もうとする。 取引をすれば半年で出所できることを、ダウニーとドーソンに告げたカフィーだったが、ドーソンは、任務を遂行しただけだと言ってそれを拒む。 それに応じれば、刑を受けた後に不名誉除隊となるため、ドーソンはあくまで、軍人として果たすべき行動をとっただけだと主張する。 憤慨したカフィーは弁護人を降りようとするが、闘おうとしない彼をギャロウェイは罵る。 翌日、カフィーは法廷に現れ、ダウニーとドーソンの無罪を主張し、3週間後に軍事法廷は開かれることになる。 カフィー、ギャロウェイ、ワインバーグは、各方面からの調査を開始し、同時にマーキンソンの行方を追う。 万全の準備で挑みながらも、叩きのめされる覚悟で法廷に向かったカフィーは、冒頭陳述で、被告が命令に従い、任務を遂行しただけだということを強調する。 不法発砲の件で、検察側の証人の、ライフル中隊カール・ハマカー伍長(キューバ・グッディングJr.)が、ケンドリックから、サンティアゴに手を出すなと言われたと証言する。 それに続く証人のストーン軍医(クリストファー・ゲスト)は、サンティアゴに心臓疾患があったことを指摘するカフィーの主張を退け、毒殺だったことを証言する。 休廷後、ギャロウェイが、カフィーの主張に対する異議に反論をしたため、自分達が不利になったと意見するワインバーグは、被告人二人が、ただの弱い者いじめだと言い張る。 二人をなだめたカフィーは、その日は集まることを止めて休息をとることにするが、部屋にギャロウェイが現れる。 カフィーを食事に誘ったギャロウェイは、法廷で優位に立てるチャンスのある彼を励ます。 しかしカフィーは、未だマーキンソンの所在が明らかでない立場では、負けは確実だとギャロウェイに語る。 ある夜、マーキンソンが自分の車に乗っていることに気づいたカフィーは、サンティアゴの転属命令がなかったことと、ジェセップが、基地内で鍛え直せと指示していたことを知らされる。 カフィーは転属命令書を確認していたが、サンティアゴが死亡後に、マーキンソンがそれにサインしたものだった。 その件をギャロウェイとワインバーグに知らせて、護衛をマーキンソンに付けたカフィーは、ロスに会い、ジェセップを訴える用意があることを告げる。 しかしロスは、不用意に将校を訴えるのは身の破滅につながると、カフィーに忠告する。 翌日、証人のケンドリックは、”コード・レッド”を命じていないことを証言する。 証言を前にしてマーキンソンは、”国家安全保障会議”のメンバーになろうかというジェセップを恐れて、自殺してしまう。 その後、証言台に立ったダウニーは、カフィーの尋問に対して、”コード・レッド”の命令をケンドリックから受けたと一旦は証言するが、その後のロスの追及で、ドーソンから命ぜられたと発言してしまう。 その夜、マーキンソンの死を、ギャロウェイとワインバーグに知らせたカフィーは、敗北を認めるしかなかった。 尚も諦めないギャロウェイは、ジェセップを法廷に呼んで尋問し、彼が最初に”コード・レッド”を命じたことを認めさせようとする。 証拠もない空論だと、カフィーはギャロウェイに言い放ち、気分を害した彼女はその場を立ち去ってしまう。 しかし、ジェセップを叩き潰すことが、無謀な賭けだと分かっていても、ワインバーグはカフィーを励ます。 そして、カフィーはギャロウェイを追い、ジェセップを証人に呼ぶことを彼女に伝える。 グァンタナモの、電話の通話記録を調べたカフィーは、ワインバーグをアンドルース空軍基地に向かわせる。 翌日、証人のジェセップを尋問し始めたカフィーは、空軍のクルーを伴い、法廷に姿を現したワインバーグを確認する。 その後カフィーは、ジェセップの転属命令を受けたはずのサンティアゴが、荷造りもせず、誰にも電話をかけていない事実を伝え、転属命令がなかったことを主張する。 カフィーの追求に全く動じないジェセップは、言葉に詰まった彼を尻目に退廷しようとする。 しかし、カフィーは尋問が終わっていないことをジェセップに告げ、証言台に戻った大佐に再び質問を始める。 基地からのフライト記録もなく、サンティアゴには手を触れるなとジェセップが命令したのなら、なぜ彼が危険にさらされて、転属させる理由があったのかをカフィーは問う。 そしてカフィーは、ジェセップが”コード・レッド”を命じたと主張し、それを追求する。 ジェセップは、国を守る軍隊の目的を説き始め、興奮した彼は、自ら”コード・レッド”を発令したことを認めてしまう。 陪審員は退廷して陪審員室に移動し、ジェセップ大佐は逮捕され、ロスが彼の権利を述べる。 ジェセップは取り乱してカフィーに言い寄るが、彼は自分を子ども扱いする大佐を罵倒する。 判決は下り、二人の兵士は殺人及びその共謀に関しては無罪になるが、軍規倫理違反に関しては有罪となり不名誉除隊を言い渡される。 絶望するダウニーは、命令に従っただけだと主張するが、ドーソンは、弱者のために戦うべきだったことを悟る。 カフィーは軍を去るドーソンに対し、誇りある人間だと告げて彼の敬礼を受ける。 カフィーは、空軍のクルーは何も覚えていなかったことをロスに伝え、彼はケンドリックを逮捕することを約束する。 そしてカフィーは、戦い抜いた法廷を後にする。
...全てを見る(結末あり)
司令官ネイサン・R・ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)は、サンティアゴの件について、マシュー・マーキンソン中佐(J・T・ウォルシュ)とジョナサン・ケンドリック中尉(キーファー・サザーランド)から報告を受ける。
基地に到着したカフィーらは、ジェセップに歓迎された後、ケンドリックに、サンティアゴが殺害された部屋に案内される。
*(簡略ストー リー)
キューバのグァンタナモ米軍基地で、サンティアゴ1等兵が、同僚のドーソン兵長とダウニー一等兵に暴行を受けて殺害される。
二人は逮捕され、海軍内部調査部のギャロウェイ少佐、弁護人ダニエル・カフィー中尉、そして助手のワインバーグ中尉が弁護を担当することになる。
カフィーは、著名な弁護士を父に持ち、法廷取引で実績を上げていた青年将校だったが、被告の無罪を勝ち取ろうとするギャロウェイは不安を感じる。
ギャロウェイの気持ちが伝わり、一応は裁判の準備を始めたカフィーだったが、高級将校である基地の司令官ジェセップの、絶対的な権力が立ちはだかることになる・・・。
__________
翌年の「ザ・ファーム」(1993)と同じ弁護士役をトム・クルーズは見事に演じ、ジャック・ニコルソンと堂々と渡り合う法廷シーンは、へたなアクション映画を見るよりも迫力がある。
ドラマの山場を二人の対面(対決)する場面として、序盤でやや地味に、そしてクライマックスでは激しく、見ている者を飽きせないロブ・ライナーの、メリハリのある演出は見応えがある。
著名な弁護士の息子故に、敷かれたレールの上をそのまま進もうとする青年将校トム・クルーズが、情熱家の内部調査官デミ・ムーアと出会って協力し合い、ジャック・ニコルソン演ずる大佐から、若造扱いされながらも、徐々に人間的に成長していくという展開も面白味がある。
とかく有りがちな恋愛シーンもなく、エリート士官の心の葛藤の結果が、無罪にはなるが除隊させられる若い兵士の人間性まで変えさせるという結末も、見ていて清々しい。
北米興行収入は約1億4100万ドル、全世界では約2億3700万ドルのヒットとなった。
第65回アカデミー賞では、作品、助演男優(ジャック・ニコルソン)編集、録音賞にノミネートされた。
ジャック・ニコルソンは”悪役”ながら、誰もが納得の力強い演技で、ドラマのキーパーソンを見事に演じている。
クライマックスの証言台で、トム・クルーズを圧倒する迫力は、一瞬、彼が演技ではなく、本当にたじろいでいるようにも見えてしまう。
ハリウッドNo.1の実力派ジャック・ニコルソンを相手に、30歳になったばかりのトム・クルーズは一歩も引けを取らずに熱演し、演技派としてのキャリアを着実に築いているという自信が漲っている。
当時全盛のデミ・ムーアの、清潔感溢れる、信念を持った弁護人役も、彼女の逞しさを生かした役柄となっている。
地味ながら、ケヴィン・ポラックのサポート役も、本作では非常に印象に残る。
理知的な検事ケヴィン・ベーコン、大佐(J・ニコルソン)と神を絶対的なものと考える将校キーファー・サザーランド、基地副官J・T・ウォルシュ、被告人ジェームズ・マーシャルとウォルフガング・ボディソン、隊員のノア・ワイリー、キューバ・グッディングJr.、犠牲者マイケル・デロレンツォ、主人公の上官ザンダー・バークレー、軍医クリストファー・ゲストなどが共演している。