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クリスマス・キャロル A Christmas Carol (1938)

1843年に発表された、チャールズ・ディケンズの著書”クリスマス・キャロル”を基に製作された作品。
無慈悲、守銭奴、エゴイストでありクリスマスを嫌う商人が現れた過去、現在、未来のゴーストの導きで心を入れ替えるまでを描く、製作ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ、監督エドウィン・L・マリン、主演レジナルド・オーウェンジーン・ロックハートキャスリーン・ロックハートテリー・キルバムバリー・マッケイリン・カーヴァーレオ・G・キャロルアン・ラザフォード他共演のファンタジー・ドラマ。

アカデミー賞 ■ ストーリー ■ 解説


ファンタジー


スタッフ キャスト
監督:エドウィン・L・マリン

製作:ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
原作:チャールズ・ディケンズクリスマス・キャロル
脚本:ヒューゴ・バトラー
撮影
ジョン・F・サイツ
シドニー・ワグナー
編集:ジョージ・ベムラー
音楽:フランツ・ワックスマン

出演
エベネーザ・スクルージ:レジナルド・オーウェン
ボブ・クラチット:ジーン・ロックハート
クラチット夫人:キャスリーン・ロックハート
タイニー・ティム・クラチット:テリー・キルバム
フレッド:バリー・マッケイ
ベス:リン・カーヴァー
ジェイコブ・マーレーのゴースト:レオ・G・キャロル
過去のクリスマスのゴースト:アン・ラザフォード
現在のクリスマスのゴースト:ライオネル・ブラハム
未来のクリスマスのゴースト:ダーシー・コリガン
エベネーザ・スクルージ(少年期):ロナルド・シンクレア
フェジウィグ:フォレスター・ハーヴェイ
トゥイル:チャールズ・コールマン
ラミッジ:マシュー・ボールトン
ベリンダ・クラチット:ジューン・ロックハート

アメリカ 映画
配給 MGM
1938年製作 69分
公開
北米:1938年12月16日
日本:不明


*詳細な内容、結末が記載されています。
ストーリー
19世紀、ロンドン、クリスマス・イヴ。
凍った道を滑る遊びをする子供達と一緒にそれを楽しんだフレッド(バリー・マッケイ)は、少年タイニー・ティム(テリー・キルバム)から話しかけられる。

ティムの脚が不自由であることに気づいたフレッドは気の毒に思い、彼を背負って滑ってあげる。

滑り降りて来たピーターとティムがボブ・クラチット(ジーン・ロックハート)の息子だと知ったフレッドは、今から父親の職場に向かうことを伝える。

フレッドに父への伝言を頼んだピーターとティムは、母からの買い物リストを渡す。

父に会いたくないのかと訊かれたピーターは、会いたくないのは父の雇い主のエベネーザ・スクルージ(レジナルド・オーウェン)だとフレッドに伝える。

スクルージがフレッドの伯父だと知ったピーターとティムは、その場から逃げ去る。
...全てを見る(結末あり)

スクルージ&マーレー商会。
その場にいたボブに、息子のピーターとティムに会ったことを伝えたフレッドは、二人から預かったリストを渡す。

部屋が寒いために、スクルージが石炭の無駄遣いをさせないことに気づいたフレッドは、持参してきたワインで体を温めることをボブに提案する。

クリスマスの気分になったボブは石炭を足してしまい、フレッドからワインのグラスを渡されるものの、そこにスクルージが戻る。

無慈悲、守銭奴、エゴイストであるスクルージはフレッドを歓迎しないばかりか、クリスマスも嫌う。

人々が善良な気持ちになれるクリスマスを、素直に祝おうとしないスクルージに意見したフレッドの言葉に、ボブは思わず拍手してしまう。

まじめに仕事をするようにとボブを注意したスクルージは、明日の夜、婚約者のベス(リン・カーヴァー)と共に食事に招待すると言うフレッドを追い払おうとする。

それでも憎めないスクルージとボブにクリスマスの挨拶をしたフレッドは、その場を去る。

そこに、トゥイル(チャールズ・コールマン)とラミッジ(マシュー・ボールトン)がマーレーを訪ねて現れ、対応したスクルージは、マーレーは7年前のクリスマス・イヴに死んだことを伝える。

トゥイルとラミッジは、スクルージに貧者への寄付を求めるものの、それを拒まれる。

スクルージから、貧者が死ねば過剰な人口の減少につながり感謝されるとまで言われた二人は、諦めてその場を去る。

残業しているボブに仕事をやめさせたスクルージは、明日は休みたい様子の彼に、その翌日は早く出勤するようにと伝えて帰そうとする。

給料を要求するボブに仕方なく金を渡して帰したスクルージは、その場にあったワインを持って部屋に戻る。

買い物をしようとしたボブは、雪投げをして遊んでいる子供達に、自分は得意だと言って自慢する。

子供達から紳士が来ると言われたボブは、現れた彼にめがけて雪玉を投げて命中させる。

その紳士はスクルージで、雪玉で飛ばされたシルクハットは馬車に轢かれてしまう。

それを拾ったボブを解雇したスクルージは、彼に帽子代を請求してその場を去る。

子供達に謝罪されたボブは、彼らを責めなかった。

気落ちしたボブだったが、考えを変えてクリスマスを楽しむことにして、リストの買い物を済ませて帰宅する。

妻(キャスリーン・ロックハート)に迎えられたボブは、明日の分だと言って食材を渡し、子供達を喜ばせる。

ボブが明日の仕事を休めることを確認した妻は、彼からスクルージの話はしたくないと言われる。

仕事を終えて屋敷に戻ったスクルージは、マーレー(レオ・G・キャロル)の顔が見えたように思い、何かを感じる。

眠ろうと思ったスクルージは、周囲から聴こえてくる鐘の音に驚き、そこに男が現れる。

それがマーレーのゴーストであること信じないスクルージは、通りにいた男達に侵入者がいることを伝えて、鍵を渡して呼び寄せる。

屋敷に入って来た男達は、誰もいなかったためにスクルージの勘違いだと思い、笑いながらその場を去る。

再び現れたマーレーから、金貸し業から抜け出せなかったために苦しんでいると言われたスクルージは、同じ運命をたどらないように警告に来たことを知らされる。

3人のゴーストが現れ、彼らの訪問に対処できなければ自分と同じ目に遭うと言うマーレーは、最初の訪問者は午前1時、それに続き2時と3時だと言って姿を消す。

動揺するスクルージは、戸締りをして眠る。

午前1時、何も起こらないと思っていたスクルージの前に、過去のクリスマスのゴースト(アン・ラザフォード)が現れる。

感謝の気持ちを忘れていると言うゴーストは、幸せと正しい心への導きが現れた目的だとスクルージに伝える。

スクルージに触れて夜空に飛び立ったゴーストは、彼が子供時代に通った学校に向かう。

懐かしい場所に戻り喜ぶスクルージは、少年時代の自分(ロナルド・シンクレア)が、クリスマスを家族と過ごすために友人達を見送る姿を見つめる。

クリスマスを家族と過ごすよりも、勉強をした方がましだと父親と決めたと友人に伝えたスクルージだったが、いざ学校に一人残ると寂しくなり涙する。

そこに妹のファンが現れ、以前より優しくなった父が帰ることを許してくれたことを知り喜ぶスクルージは、彼女と共に家に向かう。

出産で亡くなったファンの子供が甥のフレッドだということをゴースト話したスクルージは、彼女と街に戻る。

最初に働いたフェジウィグ(フォレスター・ハーヴェイ)の店の前で、彼に優しくされ1ポンドの小遣いまでもらう自分を見て考え込むスクルージは、ゴーストから、彼の親切に報いたいのではないかと訊かれる。

その通りだと言うスクルージは、亡くなったフェジウィグの代わりに、ボブに優しくすることをゴーストから提案されるものの、自分はビジネスマンだと伝える。

ゴーストから、自分に残された時間で見せたいものがあると言われたスクルージは、欲深い自分の姿だと話す彼女に反論する。

ベッドでわめいていることに気づいたスクルージは、眠ってしまう。

目覚めたスクルージは2時だと気づき、現れた現在のクリスマスのゴースト(ライオネル・ブラハム)と共に、今のクリスマスを見るために街に向かう。

貧者がクリスマスを幸せに過ごせることを願うゴーストは、スクルージを連れて教会に向かい、その場で歌うフレッドとベスの愛し合う姿を見せる。

ゴーストから、貧しい二人は愛し合っているとは思えないと言われたスクルージは、それを否定して結婚するべきだと伝える。

その場では、ティムの手を握るボブも歌っていた。

ボブとティムに教会の外で出くわしたフレッドは、婚約者のベスを紹介する。

二人と別れたフレッドは、凍った道路を滑る子供達や司祭までその楽しさを知った様子を見て、ベスと共に滑って楽しみ愛を確認する。

ボブに担がれながら人々に挨拶するティムが、未来が変わらない限り長くは生きられないことをゴーストから知らされたスクルージは、彼を何とか助けてあげたいと思う。

高額の治療費をかければ助かるが、職を失ったボブには無理だとゴーストから言われたスクルージは、その状況が変わらなければ、ティムは来年のクリスマスを迎えることはできないことを知らされる。

ゴーストから、人が死んで人口が減ることを喜ばしく思っているはずだと言われたスクルージは、ボブの家に向かう。

長女のマーサも戻りクリスマスの準備を進める一家は、楽しい時間を過ごしていた。

ティムと共に帰宅したボブは、戻っていたマーサから仕事とスクルージのことを訊かれても、彼は自分を頼りにしてくれていると伝える。

様子のおかしいボブが何か隠していることに気づいたマーサは、クビになった父は母には話していないことを知り気の毒に思う。

用意ができたことを知り、悲しい顔は見せずにテーブルに向かったボブとマーサは、家族と共に食事を楽しむ。

家族はクリスマスを祝い、妻はスクルージの幸せも願い、ボブは子供達に頼まれ”アラジンと魔法のランプ”の話をする。

そろそろ行くと言うゴーストに、ボブの話を聞きたいと伝えたスクルージは、仕方なくその場を離れフレッドの家に向かう。

スクルージは金を持っていても、それを役立てていないと言いながら、伯父のことを想うフレッドは彼に乾杯する。

目隠しゲームが始まり、それを楽しもうとしたスクルージは、ゴーストから、クリスマスを馬鹿げたものと思っていたはずだと言われる。

自分はここにいたいと言い張るスクルージは、クリスマスは大好きだとゴーストに伝える。

楽しい夢を見ながら笑っていたスクルージは、自分が寂しい場所にいることに気づく。

現れた未来のクリスマスのゴースト(ダーシー・コリガン)に、これから起きることを見せるのなら、心を入れ替えたいと伝えたスクルージは、喜んで彼について行く。

街の人々が誰かが亡くなったことを話している姿を見たスクルージは、その遺体を確認することはしなかった。

ティムが亡くなったクラチット家は、笑い声が消えていた。

帰宅したボブは、フレッドに会ったことを家族に話し、ティムのことを残念に思うと言ってくれた彼の優しい気持ちを妻に伝える。

ティムの優しさと我慢強さを忘れなければ、家族は仲良く暮らせると皆に話したボブは、寄り添う子供達に幸せだと伝えて抱きしめる。

亡くなったティムを気の毒に思うスクルージは、自分の死など誰も悼まないとゴーストに伝える。

誰が亡くなったのか知りたいとゴーストに伝えたスクルージは、墓地に案内される。

亡くなったのが自分だと知ったスクルージは、生き方を変えることをゴーストに約束する。

毎年クリスマスを祝い、今晩、見た過去、現在、未来の出来事を忘れず、教えも守り生きることをスクルージは誓う。

未来が変わると言ってほしいとゴーストに頼むスクルージはベッドにいることに気づき、夜が明けていたために窓を開ける。

通りを歩いていた少年を呼び止めたスクルージは、今日がクリスマスであることを確認し、肉屋に行って七面鳥を買ってくるようにと指示して財布を渡す。

身支度をしたスクルージは、七面鳥を持参して屋敷を出て、通りを歩く婦人にクリスマスの挨拶する。

トゥイルとラミッジに出くわしたスクルージは、昨夜のことを謝罪し、寄付を申し出て感謝される。

フレッドの家に寄ったスクルージは、別人のようだと言う彼に、友人やベスを紹介される。

スクルージから、フレッドを共同経営者にすることを知らされたベスは、それをフレッドに伝えて彼と共に喜ぶ。

クラチット家に向かったスクルージは、七面鳥や食材を持参して訪問する。

ボブに迎えられたスクルージは、妻や子供達を呼ぶようにと指示する。

スクルージの様子がおかしいことを妻に伝えたボブは、子供達の騒ぐ声に驚き居間に向かい、恐ろしくなった彼女は身を隠す。

スクルージからプレゼントを受け取った子供達は喜び、ボブは、その場にベスと共に現れたフレッドから、伯父が共同経営者にしてくれたために結婚できることを知らされる。

隠れていた妻を連れて来たボブは、スクルージからポンチを配るようにと言われる。

昇給することを決めたとボブに伝えたスクルージは、大人になったらピーターも雇うことを約束する。

世界の人々にメリー・クリスマスと言いたい気持ちのスクルージは、皆で乾杯する。


解説 評価 感想

*(簡略ストー リー)
19世紀、ロンドン、クリスマス・イヴ。
無慈悲、守銭奴、エゴイストでありクリスマスを嫌う商人エベネーザ・スクルージは、雇っていたボブ・クラチットをクビにしてしまう。
その後、屋敷に戻ったスクルージの前に、7年前に亡くなった共同経営者マーレーのゴーストが現れる。
マーレーは、この後に現れる過去、現在、未来の3人のゴーストに対処できなければ、自分のように死んでも罪を背負うことになると言われる。
半信半疑のスクルージだったが、マーレーの予告通り現れた過去のゴーストと共に、子供時代の自分の元に向かうのだが・・・。
__________

クリスマス・ストーリーの中でも最も知られるチャールズ・ディケンズの”クリスマス・キャロル”を基に、まだ20代だった若き日のジョーゼフ・L・マンキーウィッツが製作し、エドウィン・L・マリンが監督した作品。

ヨーロッパで戦火が迫る激動の時代に製作された、人々に訴える心温まるドラマとして、ユーモアを交えたヒューマン・タッチで展開するファンタジックに描かれたクリスマス映画であり、あらゆる年齢層が楽しめる名作だ。

特殊効果やミニチュアなどを駆使した映像や、19世紀のロンドンの街並みなど雰囲気のあるセットも素晴らしい。

ドラマを盛り上げる、フランツ・ワックスマンの軽快且つ愉快な音楽も印象的だ。

スクルージを演ずる主演のレジナルド・オーウェンは、幸せを含めてすべてを否定する人物から、人々に尽くす心に目覚める主人公を熱演している。

主人公スクルージに雇われる心優しいボブ・クラチットを好演するジーン・ロックハート、その妻で実生活での彼の妻であるキャスリーン・ロックハート、体が弱いその息子タイニー・ティムのテリー・キルバム、スクルージの甥である気のいい青年フレッドのバリー・マッケイ、その婚約者リン・カーヴァー、スクルージの前に現れる亡くなった共同経営者マーレーのゴースト、レオ・G・キャロル、過去のゴーストのアン・ラザフォード、現在のゴーストのライオネル・ブラハム、未来のゴーストのダーシー・コリガン、スクルージの少年期ロナルド・シンクレア、スクルージが最初に働いた店の店主フォレスター・ハーヴェイ、スクルージに寄付を求める男性のチャールズ・コールマンマシュー・ボールトン、また、ジーン・ロックハート夫妻の娘ジューン・ロックハート(テレビ・ドラマ”宇宙家族ロビンソン”のロビンソン夫人役で有名)が、クラチット家の娘役で出演している。


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