1989年にオフ・ブロードウェイで上演されたチャズ・パルミンテリの一人芝居”A Bronx Tale”の映画化。 ギャングと親交を深める少年の成長を描く、製作、監督、主演ロバート・デ・ニーロ、脚本、出演チャズ・パルミンテリ、リロ・ブランカート、ジョー・ペシ他共演のドラマ。 |
・ドラマ
■ スタッフ キャスト ■
監督:ロバート・デ・ニーロ
製作
ジェーン・ローゼンタール
ジョン・キリク
ロバート・デ・ニーロ
製作総指揮:ピーター・ガーティエン
原作:チャズ・パルミンテリ”A Bronx Tale”(戯曲)
脚本:チャズ・パルミンテリ
撮影:レイナルド・ヴィラロボス
編集
デヴィッド・レイ
ロバート・Q・ラヴェット
音楽:ブッチ・キンボール
出演
ロレンツォ・アネロ:ロバート・デ・ニーロ
ソニー・ロスペチオ:チャズ・パルミンテリ
カロジェロ・アネロ(9歳):フランシス・キャプラ
カロジェロ・アネロ(17歳):リロ・ブランカートJr.
ロジーナ・アネロ:キャスリン・ナルドゥッチ
ジェーン・ウィリアムズ:タラル・ヒックス
カーマイン:ジョー・ペシ
クレージー・マリオ:ルイス・ヴァナリア
ジミー・ウィスパ-:クレム・カセルタ
エディ・ムシュ:エディ・モンタナーロ
ニッキー・ゼロ:ドメニク・ランバルドッツィ
ジョジョ:フレッド・フィッシャー
アメリカ 映画
配給 Savoy Pictures
1993年製作 120分
公開
北米:1993年10月1日
日本:1994年8月20日
製作費 $22,000,000
北米興行収入 $17,266,970
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1960年、ブロンクス、ベルモント。
路線バスの運転手であるイタリア系のロレンツォ・アネロ(ロバート・デ・ニーロ)と妻ロジーナ(キャスリン・ナルドゥッチ)の9歳の息子カロジェロ(フランシス・キャプラ)は、地元を仕切るギャングのソニー・ロスペチオ(チャズ・パルミンテリ)に憧れていた。
カロジェロは、ギャング達がたむろする隣のバーを裏口から覗くことを楽しみにしていたが、母ロジーナに見つかり叱られる。
食事の際、父ロレンツォからも行ってはダメだと言われたカロジェロは、それを約束する。
ある日カロジェロは、ソニーが路上で人を射殺するのを目撃してしまう。
ソニーは、今まで気にしてもいなかったカロジェロを、何度も見つめながらその場を去る。 アパートの部屋にカロジェロを連れ戻したロレンツォは、動揺するロジーナに心配ないことを伝える。 そこに二人の刑事が現れ、カロジェロは銃撃の目撃者として、ロレンツォと共にバーに向かう。 店の前に集められていたソニーと部下達を前に、カロジェロは、犯人を教えるようにと刑事から言われる。 カロジェロは、ソニーを含めた全員が犯人ではないと刑事に伝えてアパートに戻る。 うまく騙せたとロレンツォに伝えたカロジェロは、悪い奴にいいことをした意味が、いずれは分かると言われる。 その後、ソニーが自分とカロジェロに感謝していることを部下のジミー・ウィスパ-(クレム・カセルタ)から知らされたロレンツォは、仕事を与えると言われるものの、それを断る。 その件をロジーナに話したロレンツォは、クジ券を運ぶだけで週150ドルは悪くないと言われるものの、ソニーらに関わる気にはなれなかった。 ソニーに呼ばれたカロジェロは、彼に気に入られて、それ以来、学校が終わるとバーに行くようになる。 カロジェロは、飲物を運ぶとチップがもらえた上に、ソニーに可愛がられる。 ソニーと親しくなるにつれて、カロジェロは、周囲の自分に対する目が変化していくことに気づく。 そん時カロジェロは、引き出しに隠してあった600ドルをどうしたのかを、ロレンツォから追及される。 正直に話せば叱らないと言われたカロジェロは、”クラップス”のチップだと答える。 バーで稼いだとカロジェロから知らされたロレンツォは憤慨し、行くことは禁じたが、金を返す必要はないと言うロジーナの意見を聞き入れない。 ソニーに会い金を返したロレンツォは、カロジェロにかまうなと言って、小競り合いになりながらその場を去る。 金を返したことに不満なカロジェロに、悪い金だと言い聞かせるロレンツォは、ソニーに会うことを禁ずる。 それが理解できないカロジェロを厳しく叱ったロレンツォは、大人になれば分かると言って、息子を抱いてアパートに戻る。 しかし、カロジェロはソニーの元に通い続け、二人は友人になる。 1968年、クイーンズ、アケダクト競馬場。 クレージー・マリオ(ルイス・ヴァナリア)らとクラブを始めたカロジェロは、ロレンツォのバスに乗っていた黒人の少女ジェーン・ウィリアムズ(タラル・ヒックス)に惹かれる。 ロレンツォとの関係も良好だったカロジェロだったが、全てをソニーから教わった。 人に恐れられることの重要性をカロジェロに教えたソニーは、バーに現れたバイカーが騒いだため、部下達と共に半殺しにして店からたたき出す。 カロジェロらに銃を売ろうとしたニッキー・ゼロ(ドメニク・ランバルドッツィ)を追い払ったソニーは、マリオらと付き合うことを禁ずる。 ロレンツォとボクシングを観に行ったカロジェロは、現れたソニーの部下からリングサイドに誘われる。 ロレンツォはそれを断り、不満だったカロジェロは、行きたいのなら止めないと言われたために、父に謝罪する。 学校でジェーンを見かけたカロジェロは、彼女に声をかけて、転校してきたことを知る。 ジェーンを送っていくことになったカロジェロは、彼女から映画に誘われ、翌日、校門の前で待ち合わせることにする。 黒人地区の入口までジェーンを送っていったカロジェロは、揉め事になる前に、明日の約束をしてその場を去る。 自転車で道を通っただけの黒人少年達を仲間達が痛めつけるが、カロジェロはそれに加わろうとしない。 その件をソニーに話したカロジェロは、仲間達と付き合うなと忠告したはずだと言われ、黒人の少女に惹かれていることを話す。 自分の思うように行動しろとソニーから言われたカロジェロは、車を貸してもらえることになる。 カロジェロは、相手をテストして、ダメな女なら捨てろとソニーから言われる。 自分が黒人と付き合ったらどう思うかを、カロジェロはロレンツォに尋ねる。 あり得ないと言うロレンツォから、よく考えるようにと助言されたカロジェロは、ソニーの車でジェーンを迎えに行く。 現れたジェーンは、兄ウィリーがイタリア人に殴られたとカロジェロに伝え、その場にいたかを確認する。 いなかったと答えたカロジェロは、車にいるウィリーに会うようにとジェーンから言われる。 呼ばれたウィリーは、カロジェロがいたとジェーンに伝える。 手は出さなかったと弁明するカロジェロは、その場にいなかったと言ったことでジェーンから非難される。 ウィリーと言い合いになったカロジェロは、黒人を侮辱してしまい、ショックを受けたジェーンは、兄と共にその場を去る。 車を返しに来たカロジェロが、何も話そうとせずに帰ったため、ソニーは彼の様子を気にする。 帰宅したカロジェロに、なぜソニーの車を運転していたかを尋ねたロレンツォは、まともに答えようとしない息子に、ソニーに信頼などされていないと話す。 皆、ソニーを恐れているだけだと言うローレンスは、真面目に働く男になれと忠告するが、カロジェロは、貧乏暮らしの父を非難して部屋を出る。 黒人が仕返しに来たことを仲間達から知らされたカロジェロは、現れたソニーから、車のエンジンに仕掛けがしてあったと言われ、どこに行ったのかを追及される。 学校に行っただけで何も知らないと答えたカロジェロは、父親の様に慕っていたのに信じてもらえないと言って、泣きながらその場を去る。 カロジェロを捜しに来たロレンツォはソニーに言い寄り、部下に痛めつけられる。 仲間達の車に乗ったカロジェロは、火炎瓶と拳銃を用意して、黒人地区に仕返しに行くことを知らされる。 ロレンツォやソニーのことを考えながら、考えを巡らせていたカロジェロは、現れたソニーから車を降りるよう指示される。 ソニーは、二度とカロジェロを誘うなとマリオ達に警告する。 車に乗せられてソニーと共にバーに向かったカロジェロは、ジェーンが来たことを知らされる。 ソニーの制止も聞かずにジェーンを追ったカロジェロは、助けてくれたことを兄から知らされたと彼女から言われる。 誤解が解けたカロジェロは、互いの気持ちを確認してジェーンとキスし、疑ったことを彼女から謝罪される。 仲間達が仕返しに行くことを思い出したカロジェロは、ジェーンを車に乗せて、ソニーから言われたように彼女をテストする。 ジェーンが本気だと分かったカロジェロは喜び、黒人地区に向かう。 その頃、マリオらは、黒人地区の店を襲撃して発砲し、火炎瓶に火を点けて投げ込み逃走する。 しかし、火炎瓶を投げ返された車は炎上して爆発する。 ジェーンと共に現場に着いたカロジェロは、仲間達の焼死体を確認して、黒人達に罵倒される。 ソニーのことを考えながら感謝したカロジェロは、ウィリーとジェーンから危険だと言われ、その場を去る。 バーに戻りソニーに礼を言おうとしたカロジェロは、不審な男に気づく。 次の瞬間、自分を呼んでいたソニーは銃撃され、男は取り押さえられる。 犯人は、8年前にソニーが路上で射殺した男の息子だった。 ソニーの葬儀は行われ、最後までその場に残ったカロジェロは、棺の前で、ジェーンがテストにパスしたことを話す。 命を救ってくれたお礼を言ったカロジェロは、現れたカーマイン(ジョー・ペシ)も、ソニーに助けられたたことを知らされる。 路上で殴られたカーマインを助けて、ソニーが男を撃ったことを思い出したカロジェロは、彼が街を仕切ることを知らされ、何かあればバーに来るようにと言われる。 当分バーにはいかないと言うカロジェロの気持ちを理解するカーマインは、いつでも歓迎すると伝えて立ち去る。 現れたロレンツォは、息子の友人に別れを言うとカロジェロに伝える。 迷惑ばかりかけたと言って謝罪するカロジェロを、ロレンツォは抱きしめる。 ソニーに話しかけるロレンツォは、カロジェロの命を救ってくれたことを感謝し、嫌ってはいなかったが、息子を早く大人にし過ぎたことを伝える。 大人になれば分かると言っていたロレンツォとソニーから、才能を無駄に失うなということと、自分の選択が人生を決めると学んだカロジェロは、それがブロンクスの物語だと考える。
...全てを見る(結末あり)
17歳のカロジェロ(リロ・ブランカートJr.)は、ソニーに信頼される仲になっていた。
カロジェロもソニーに別れを告げて、ロレンツォと共にその場を去る。
*(簡略ストー リー)
1960年、ブロンクス。
路線バスの運転手であるイタリア系のロレンツォ・アネロの9歳の息子カロジェロは、街を仕切るギャングのソニーに憧れていた。
ある日、カロジェロは、ソニーが路上で男を射殺したのを目撃してしまう。
ソニーと部下らを前に、犯人を教えるよう警官に言われたカロジェロは、この場にはいないと答える。
その後、ソニーに呼ばれたカロジェロは気に入られ、彼のバーに通うようになる。
それを知ったロレンツォは、カロジェロを真面目に働く男にするため、息子を守り生き方を教えようとするのだが・・・。
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オフ・ブロードウェイで上演されたチャズ・パルミンテリの一人芝居”A Bronx Tale”に興味を示したロバート・デ・ニーロが製作、監督、主演を兼ねて、チャズ・パルミンテリ自身の脚本と出演で製作された作品。
ロバート・デ・ニーロにとっては初監督作品で、非常に高い評価を得た。
主人公は、イタリア系のバスの運転手(ロバート・デ・ニーロ)の息子であり、裏社会を仕切る男に憧れる誰もが抱く子供心と、息子を真面目に働く男に育てようとする父親との関係を描く、奥く深いドラマに仕上がっている。
男として人の生きる道を教え込むギャングから学ぶ教訓は、全て悪とは描いていないところがポイントだ。
大人としての考えを教えるのが早過ぎたと判断する、裏社会との関りを避ける父親の冷静な言葉に、少年の成長と将来未への希望が感じられる結末もいい。
ロバート・デ・ニーロは製作と監督を兼ねているにも拘らず、流石にハリウッド屈指の演技派だけあり、その存在感ある演技で観る者を納得させる好演を見せる。
自らの舞台劇であり脚本も担当する、街を仕切るギャングをいい雰囲気で熱演するチャズ・パルミンテリ、彼に気に入られる少年で、ロバート・デ・ニーロに容姿などが似ていることでも話題になったリロ・ブランカートJr.、9歳の彼を演ずるフランシス・キャプラ、その母親キャスリン・ナルドゥッチ、カロジェロ(リロ・ブランカートJr.)と惹かれ合う少女のタラル・ヒックス、ソニー(チャズ・パルミンテリ)亡き後、街を仕切ることになる、友情出演的なジョー・ペシ、カロジェロの仲間ルイス・ヴァナリア、ギャングのクレム・カセルタ、エディ・モンタナーロ、フレッド・フィッシャー、銃の売人の少年ドメニク・ランバルドッツィなどが共演している。