2010年に発表された、セス・グレアム=スミスの著書”ヴァンパイアハンター・リンカーン”を基に製作された作品。 第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーンがヴァンパイア・ハンターだったという仮説で描く、製作ティム・バートン、出演ベンジャミン・ウォーカー、ドミニク・クーパー、アンソニー・マッキー他、製作、監督ティムール・ベクマンベトフによるファンタジー・アクション。 |
■ スタッフ キャスト ■
監督:ティムール・ベクマンベトフ
製作総指揮
ジョン・J・ケリー
サイモン・キンバーグ
ミシェル・ウォルコフ
製作
ティム・バートン
ティムール・ベクマンベトフ
ジム・レムリー
原作:セス・グレアム=スミス”ヴァンパイアハンター・リンカーン”
脚本:セス・グレアム=スミス
撮影:キャレブ・デシャネル
編集:ウィリアム・ホイ
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演
エイブラハム・リンカーン:ベンジャミン・ウォーカー
ヘンリー・スタージス:ドミニク・クーパー
ウィリアム・H・ジョンソン:アンソニー・マッキー
メアリー・トッド・リンカーン:メアリー・エリザベス・ウィンステッド
アダム:ルーファス・シーウェル
ジャック・バーツ:マートン・チョーカシュ
ジョシュア・フライ・スピード:ジミ・シンプソン
トーマス・リンカーン:ジョゼフ・マウル
ナンシー・リンカーン:ロビン・マクリーヴィー
ヴァドマ:エリン・ワッソン
ジェファーソン・デイヴィス:ジョン・ロスマン
ウィリアム・ウォレス・リンカーン:キャメロン・M・ブラウン
ジェブ・ノーラン上院議員:フランク・ブレナン
スティーヴン・A・ダグラス:アラン・テュディック
ハリエット・タブマン:ジャクリーン・フレミング
エイブラハム・リンカーン(少年期):ラックス・ヘイリー=ジャーディン
ウィリアム・H・ジョンソン(少年期):カーティス・ハリス
アメリカ 映画
配給 20世紀FOX
2012年製作 105分
公開
北米:2012年6月22日
日本:2012年11月1日
製作費 $69,000,000
北米興行収入 $37,516,010
世界 $116,471,600
*詳細な内容、結末が記載されています。
■ ストーリー ■
1865年4月14日、ワシントンD.C.、ホワイトハウス。
大統領エイブラハム・リンカーンは、友人であるヘンリー・スタージェス(ドミニク・クーパー)に日記を託すために手紙を書いていた。
1818年インディアナ州。
エイブラハム・リンカーン(ラックス・ヘイリー=ジャーディン)は、親友ウィリアム・H・ジョンソン(カーティス・ハリス)の家族が奴隷として連れ去られるのを見て、奴隷商人に斧で襲い掛かる。
エイブラハムはウィリアムと共に叩きのめされて、それを制止しようとしたエイブラハムの父親トーマス(ジョゼフ・マウル)は、雇い主で町の名士ジャック・バーツ(マートン・チョーカシュ)に解雇される。
その夜エイブラハムは、母親のナンシー(ロビン・マクリーヴィー)が、バーツに襲われるのを目撃してしまう。 うなされるナンシーの症状は改善されず、ベッドに横たわる彼女は、エイブラハムの傍らで息を引き取る。 9年後に父親トーマスも世を去り、成長したリンカーン(ベンジャミン・ウォーカー)は、バーツに復讐の銃弾を放つ。 しかし、バーツは倒れることなくリンカーンに襲い掛かり、二発目の弾丸を右目に受けて倒れる。 その直後リンカーンは、怪物のように変身したバーツに襲われ、現れたスタージェスに救われるものの意識を失ってしまう。 翌日、スタージェスの家のベッドで目覚めたリンカーンは、ハンターの彼から、バーツがヴァンパイアだと言われる。 リンカーンは、母親の仇であるバーツを殺して欲しいことを伝えるが、スタージェスはそれを断る。 復讐ではなく、ハンターとなることを誓ったリンカーンは、銃ではなく、使い慣れた斧を武器にするようスタージェスに言われる。 リンカーンは、一打で大木を倒せるよいうになり、姿を消す敵に対抗するよう、闇の中でも戦える訓練をする。 更にリンカーンは、ヴァドマ(エリン・ワッソン)やリーダー、アダム(ルーファス・シーウェル)など、敵がバーツだけでないことを知らされる。 1837年、イリノイ州、スプリングフィールド。 やがてリンカーンは、お客だったメアリー・トッド(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)と婚約者のスティーヴン・A・ダグラス(アラン・テュディック)に出会う。 薬局にターゲットがいるという連絡を受けたリンカーンは、その場に向かうものの、罠にはまってしまう。 しかしリンカーンは、殺される寸前で何とか敵を倒す。 その後リンカーンは、舞踏会に招待されたというスピードに、メアリーを婚約者ダグラスから奪うよう指示される。 リンカーンは、男性に冒険心を求めるというメアリーとダンスを踊り、ダグラスはそれを気にする。 順調にターゲットを倒していくリンカーンだったが、彼は世の中に存在するヴァンパイアの数の多さに驚く。 メアリーと親交を深めたリンカーンは、ヴァンパイアを殺していることを話すが、彼女はそれを信じるはずもなかった。 リンカーンは、メアリーから好意を示されるが、それを受け入れるわけにもいかず、そんな二人をバーツが監視する。 アダムとヴァドマは、首なし死体が多数見つかっていることを知り、それがスタージェスの手下の仕業であることを考える。 ある日、法律の勉強をしながら店番をしていたリンカーンは、現れたウィリアムと再会する。 町に出た二人は、早速、白人に襲われてしまい牢屋に入れられる。 メアリーが、ジェブ・ノーラン上院議員(フランク・ブレナン)に頼み、二人は保釈される。 その後リンカーンは、ノーランの協力で政治家を目指すことになる。 その場に現れたスタージェスは、ヴァンパイアを退治するようリンカーンに指示し、メアリーが狙われていることを伝える。 リンカーンは、バーツを見つけて戦いを挑み彼を倒す。 しかしリンカーンは、スタージェスがヴァンパイアだということを知り、彼に襲い掛かる。 かつてスタージェスは、アダムに愛する恋人を殺され、自分も噛まれてヴァンパイア化し、仲間は殺せないことを知らされる。 スタージェスと縁を切ったリンカーンは店に戻り、現れたメアリーに求婚して、二人は人々に祝福されながら結婚式を挙げる。 リンカーンは、現れたスタージェスにその理由を聞き、彼は、メアリーが狙われていると再び忠告する。 アダムはバーツの死を確認し、リンカーンを誘き出そうとする。 ウィリアムを拉致したアダムは、リンカーンを舞踏会に招待する。 ニューオーリンズ。 しかしリンカーンは、アダムとヴァドマに捕らえられて、ウィリアムを助けたければスタージェスを殺すようにと強要される。 アダムはウィリアムを殺そうとするのだが、馬車で現れたスピードが二人を救い、ハリエット・タブマン(ジャクリーン・フレミング)の協力で逃走する。 イリノイに戻ったリンカーンは、奴隷制廃止についての討論でダグラスと激しく対立する。 スタージェスは、ヴァンパイアが奴隷を”餌”にしていることをリンカーンに伝え、制度廃止論を撤回するよう迫る。 リンカーンは、敵がヴァンパイアだけだと言うスタージェスの意見には従わず、国家のため、斧を置き言葉と理想で闘う道を選ぶ。 1862年、ホワイトハウス。 使用人に扮したヴァドマは、リンカーンの息子ウィリアム(キャメロン・M・ブラウン)に近づき手首を噛む。 リンカーンは、病に倒れたウィリアムが、母ナンシーの症状に似ていることに気づき、ヴァンパイアの仕業だと確信する。 スタージェスは、亡くなったウィリアムを蘇生させることもできることをリンカーンに伝える。 リンカーンの、秘密の日記を読んでしまったメアリーは、自分に隠し事があった夫を責め、息子を返しとほしいと訴える。 息子が生き返ったとしても、魔物として存在するしかないことをメアリーに伝えたリンカーンだったが、彼女は納得せずにその場を去る。 スタージェスは、自分の忠告を守らなかったために起きた悲劇であり、これが始りだとリンカーンに伝える。 戦況は悪化して国は崩壊状態となり、リンカーンの苦悩は続く。 アメリカ連合国大統領・ジェファーソン・デイヴィス(ジョン・ロスマン)は、アダムに南部の協力を約束する。 南軍は、ヴァンパイア化した兵士を戦いに送り出し敵を撃破する。 リンカーンは、南軍の優性をメアリーに伝え、首都も奪われると言って嘆く。 ヴァンパイアを倒すためには、銀弾が必要だと気づいたリンカーンは、街中の銀を回収する。 その頃、奴隷問題で必ずしもリンカーンの意見を指示できないスピードは、ヴァドマと接触する。 リンカーンは、多くの隠し事をしたことでメアリーに謝罪し、彼女が必要であることを伝える。 その言葉を待ち焦がれていたというメアリーは夫を許す。 ある計画のため、ワシントンD.C.を離れようとしたメアリーは、タブマンに協力を求める。 再び斧を手にしたリンカーンは、ゲティスバーグに向かう武器弾薬輸送列車に同乗する。 現れたスタージェスは、スピードが裏切り者であり罠だとリンカーンに伝える。 タブマンと奴隷達を連れて、首都を脱出したメアリーは、リンカーンの列車を襲おうとするアダムらに遭遇するが、彼らに怪しまれることはなかった。 列車はヴァンパイアの襲撃に遭い、ウィリアムは現れた敵を倒す。 それをウィリアムに知らされたリンカーンは、列車を止めさせないために機関車に向かう。 アダムに斧を奪われたリンカーンだったが、スタージェスが、噛まれそうになった彼を助ける。 列車に武器が積まれていないことを知ったアダムは、スピードが裏切ったことをに気づき彼を噛む。 ヴァドマが火を放った橋は崩壊し、車両は谷底に落下していくものの、リンカーンとウィリアムは、機関車から橋に飛び移る。 二人は、襲いかかるアダムを倒し、リンカーンは助かったスタージェスに感謝する。 銀で作られた弾丸や武器を運んだメアリーは、それを部隊に届ける。 メアリーはヴァドマに気づき、息子ウィリアムのおもちゃだった、銀のサーベルを銃弾の代わりにして彼女を射殺する。 1863年7月、ゲティスバーグの戦い。 1865年4月14日、ワシントンD.C.、ホワイトハウス。 スタージェスは、リンカーンとメアリーを見送り、日記に目を通す。 現代。
...全てを見る(結末あり)
ジョシュア・フライ・スピード(ジミ・シンプソン)の雑貨店を訪ねたリンカーンは、部屋を借りる代わりに店を手伝うことになる。
リンカーンは、スピードと共にアダムのいる屋敷に向かい、ヴァンパイアに襲われるものの立ち向かう。
大統領となったリンカーンは、就任直後に勃発した南北戦争の状況をウィリアムから報告され、”奴隷解放宣言”に署名する。
北軍は、銀製の武器を使いヴァンパイア軍を撃破し、現地に到着したリンカーンは、戦死者を称え、奴隷制の終わりと民主主義の将来を語る。
手紙を書き終えたリンカーンは、日記をスタージェスに渡して、観劇のためメアリーと共に”フォード劇場”に向かう。
スタージェスは、バーのカウンターで酒を飲む男に近づき、男はヴァンパイア・ハンターになる。
*(簡略ストー リー)
貧しい農家で育ったエイブラハム・リンカーンは、町の名士バーツに母ナンシーを殺されて復讐を誓う。
成長したリンカーンは、バーツを襲うものの、彼がヴァンパイアであることを、ハンターのスタージェスから知らされる。
バーツを倒すために、ヴァンパイア・ハンターになったリンカーンは、スプリングフィールドに移り住み、法律の勉強をしながらスピードの雑貨店で働く。
その間リンカーンは、メアリー・トッドと知り合い親交を深めながら、ハンターとしての役目を果たす。
やがて幼馴染みのウィリアムと再会し、奴隷制ついて考え始めたリンカーンは政治家を目指す。
そして、メアリーが狙われていることを知ったリンカーンは、自分達を監視していたバーツを倒すのだが、彼を操っていたヴァンパイア、のリーダー、アダムの魔の手が近づく・・・。
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偉大なる大統領エイブラハム・リンカーンが、ヴァンパイア・ハンターだったという驚きの内容は大いに楽しめる。
リンカーンの周辺で起きる数々の歴史事実にヴァンパイアがどう関わったかなどを、鬼才ティム・バートンも製作に参加しただけあり、斬新なアイデアや特撮も駆使して、見所満載仕上りにはなっている。
ファンタジー・タッチでもあり許せるのだが、やや大袈裟な描き方であり、欲張り過ぎな感じも受ける。
製作費6900万ドルは、北米興行収入が約3800万ドルに終わったため、それだけでは回収できなかった。
全世界では約1億1700万ドルのヒットとなった。
アメリカの歴史上の人物の中で最も尊敬される人物の一人エイブラハム・リンカーンが、殺戮兵器のようなヒーローであることを国民は望まなかったのか・・・。
メイクのせいで、若き日のリーアム・ニーソンを彷彿させる風貌の、主人公エイブラハム・リンカーンを演ずるベンジャミン・ウォーカー、彼をヴァンパイア・ハンターとして鍛え上げて行動を指示するドミニク・クーパー、主人公の親友ウィリアム・H・ジョンソンのアンソニー・マッキー、主人公リンカーンの妻メアリー・トッドのメアリー・エリザベス・ウィンステッド、ヴァンパイアの首領ルーファス・シーウェル、その手下のマートン・チョーカシュ、エリン・ワッソン、主人公の協力者ジョシュア・フライ・スピードのジミ・シンプソン、主人公の父親トーマスのジョゼフ・マウル、母親ナンシーのロビン・マクリーヴィー、アメリカ連合国大統領・ジェファーソン・デイヴィスのジョン・ロスマン、主人公の息子ウィリアム役のキャメロン・M・ブラウン、上院議員フランク・ブレナン、主人公に対抗する政治家スティーヴン・A・ダグラスのアラン・テュディック、奴隷解放運動ハリエット・タブマンのジャクリーン・フレミング、リンカーンの少年期役ラックス・ヘイリー=ジャーディン、ウィリアムの少年期カーティス・ハリスなどが共演している。